打撃だげき)” の例文
世界大戦後、経済界の恐怖に捲込まきこまれて真佐子の崖邸も、手痛い財政上の打撃だげきを受けたという評判は崖下の復一の家まで伝わった。
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
世人せじん金解禁きんかいきん出來できたならば、正貨せいくわ急激きふげき巨額きよがく積出つみだされ、其結果そのけつくわ經濟界けいざいかい非常ひじやう打撃だげきあたへるとつて心配しんぱいしてるが
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
お島の聟になつて、寶屋を繼ぐ筈だつたとすれば、成程身を引くのが當然で、これはお島の死によつて一番大きな打撃だげきを受けたことになります。
「躰も無論惡いが」と暫らくして友は思出おもひだしたやうに、「それよりか、精神上せいしんじよう打撃だげきはもツと/\胸にこたへるね。」
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
よりいっそう大きな打撃だげきをかれにあたえたのは、一通り案内を終わって、最後にかれの居室きょしつをのぞいたとき、それまでほとんど口をきかないでいた恭一が
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
うしませう」とすゝいた。宗助そうすけ再度さいど打撃だげきをとこらしくけた。つめたいにくはひになつて、其灰そのはひまたくろつちくわするまで一口ひとくち愚癡ぐちらしい言葉ことばさなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ときにはまた、あのおそるべき打撃だげきのために、かへつ獨立どくりつ意志いし鞏固きようこになつたといふことのために、彼女かのぢよくゐふたゝ假面かめんをかぶつてみづかやすんじようとこゝろみることもあつた。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
しかれども打者の打撃だげき球に触れざる時は打者は依然いぜんとして立ち、攫者キャッチャーは後(一)にありてその球を止めこれを投者ピッチャーに投げ返す。投者は幾度となく本基に向って投ずべし。
ベースボール (新字新仮名) / 正岡子規(著)
モンクスがしゃがんだ自分を打つのには、足を大きくみ出して打ってかからなければ、打撃だげきに力がはいらない。足だけひいて、へっぴり腰で打つのなら、恐ろしくない。
柔道と拳闘の転がり試合 (新字新仮名) / 富田常雄(著)
おつぎを奉公ほうこうしてしまへば、二人ふたりいておしな從來これまでのやうにはたらくことが出來できない、わづかかせぎでもそれが停止ていしされることは彼等かれら生活せいくわつためには非常ひじやう打撃だげきでなければならぬ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
崩壞ほうかいまた墜落物ついらくぶつ打撃だげきからのがるような場所ばしよ一時いちじ避難ひなんするがよい。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
すこ海軍かいぐんことつうじたひとたれでもつてる、すでに海水中かいすいちう十四フヒート以下いかしづんだるあるものむかつては、世界最強力せかいさいきようりよくのガツトリング機砲きほうでも、カ子ーほうでも、些少させう打撃だげきをもくわふること出來できぬのである。
勇太郎失踪しつそうの直接の責任者と思はれて居るお春の方が氣を揉み、お春よりは又、七年間勇太郎を育てたお霜の方が大きな打撃だげきを受けて居る樣子です。
ぼくの場合は、笑ってもすませるが、道江の場合は、そうはいくまい。道江にとっては、それはおそらく致命的ちめいてき打撃だげきを意味するだろう。おそろしいことだ。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
それから繻珍しゆちん夏帶なつおびとおめし單衣ひとえ綾絹あやぎぬ蝙蝠傘かふもりがさとを強請ねだられてはせられたが、これは彼の消極的經濟せうきよくてきけいざいに取ツて、預算よさん以外の大支出だいししゆつで、確に一だい打撃だげきであツた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
其結果そのけつくわ我國わがくに金利きんりたかくなり、株劵かぶけんさがり、公債こうさい社債しやさいさがつて、我國わがくに經濟界けいざいかい非常ひじやう打撃だげきあたへるであらうとふことが、世人せじんぱん心配しんぱいになつたところであるが
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
第一、どうあっても負けられない。日本のはじになる。柔道の力というものをばかにされる。だが、正面と正面に向き合って、拳闘選手けんとうせんしゅのものすごい打撃だげきを受け留めることは絶対ぜったいにできない。
柔道と拳闘の転がり試合 (新字新仮名) / 富田常雄(著)
勝造の言葉は、お町に取つて恐ろしい打撃だげきだつたらしく、暫らく船に乘るのも忘れてどての中腹に立ち縮みました。
これがまた彼の心を他へそゝのかして、幾分いくぶん其の製作をさまたげてゐる。無論むろん藝術家が製作に熱中してゐる場合に、些としたひつかゝり氣懸きがゝりがあつても他から想像さう/″\されぬ位の打撃だげきとなる。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
投機思惑とうきおもわくまればまた爲替相場かはせさうば急激きふげきさがるのであり、此爲替相場このかはせさうば急激きふげきなる騰落とうらくは、經濟界けいざいかいすくなからざる打撃だげきあたへたことを體驗たいけんしてるからして、それであるから投機思惑とうきおもわくかね買取かひと
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
よしッ、とばかりモンクスは、いきなり富田とみただん片方かたほうの足へ飛びついて、小脇こわききかかえた! すかさず右の手をのばして、弾丸だんがんのような顎打アッパー・カット打撃だげき、がんとあごへ飛ぼうとしたそのときだ。
柔道と拳闘の転がり試合 (新字新仮名) / 富田常雄(著)