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座蒲団
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ざぶとん
ふりがな文庫
“
座蒲団
(
ざぶとん
)” の例文
旧字:
座蒲團
そのうちにようやく経の用意も出来たので本堂へ案内されたが、来てみると、ここは一層寒いうえに、
勿論
(
もちろん
)
火鉢も
座蒲団
(
ざぶとん
)
もなかった。
比叡
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
すると
廊下伝
(
ろうかづたい
)
に
室
(
へや
)
の入口まで来た彼は、
座蒲団
(
ざぶとん
)
の上にきちんと
坐
(
すわ
)
っている私の姿を見るや否や、「いやに澄ましているな」と云った。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「立っていたって仕方がないでしょう。そこに
座蒲団
(
ざぶとん
)
があるから、御自由にお敷きなさい。だが、百合枝さん、とうとう来ましたね」
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
此時
(
このとき
)
座敷の隅を曲って右隣の方に、
座蒲団
(
ざぶとん
)
が二つ程あいていた、その先の分の座蒲団の上へ、さっきの踊記者が来て
胡坐
(
あぐら
)
をかいた。
花吹雪
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
そうして、お雪ちゃんのすすめる
座蒲団
(
ざぶとん
)
の上に坐ると、その間にお雪ちゃんは、重詰をあけ、銚子を取り出して、御持参の酒肴を並べ
大菩薩峠:38 農奴の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
かもはなにも知らずに熟睡していたが、揺り起こされてみると、夜が明けてい、自分が
座蒲団
(
ざぶとん
)
を
枕
(
まくら
)
にごろ寝をしていることに気づいた。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
机と火鉢と
座蒲団
(
ざぶとん
)
が一所にかたまって、其の周囲には、書籍だの新聞だの雑誌だの、紙屑だのが、無茶苦茶に放り出してあった。
鼻に基く殺人
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
私は悄然としながら、案内せられるままにそちらに通ると、
座蒲団
(
ざぶとん
)
を持って来てすすめたり、
手焙
(
てあぶ
)
りに火を取り分けて出したりしながら
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
その内側の壁にはジョンの先祖たちの記念碑が飾られ、やわらかい
座蒲団
(
ざぶとん
)
や、立派な上張りの
椅子
(
いす
)
が心地よくしつらえてある。
ジョン・ブル
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
楽屋にては小親の
緋鹿子
(
ひがのこ
)
のそれとは違い、黒き
天鵞絨
(
びろうど
)
の
座蒲団
(
ざぶとん
)
に、
蓮葉
(
はすは
)
に片膝立てながら、
繻子
(
しゅす
)
の襟着いたる
粗
(
あら
)
き
竪縞
(
たてじま
)
の
布子
(
ぬのこ
)
羽織りて
被
(
き
)
つ。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
小言をいいながら平次は、取散らかした部屋の中を片付けて、少し
煎餅
(
せんべい
)
になった
座蒲団
(
ざぶとん
)
を二枚、上座らしい方角へ直します。
銭形平次捕物控:062 城の絵図面
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
障子
(
しょうじ
)
に近い大きな白熊の毛皮の上の盛上るような
座蒲団
(
ざぶとん
)
の上に、はったんの
褞袍
(
どてら
)
を着こんだ場主が、
大火鉢
(
おおひばち
)
に手をかざして
安座
(
あぐら
)
をかいていた。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
この人を裏の土蔵の方へ導こうとして、おまんは
提灯
(
ちょうちん
)
を手にしながら先に立って行った。半蔵も
蓙
(
ござ
)
や
座蒲団
(
ざぶとん
)
なぞを用意してそのあとについた。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
二十
西仙
(
センテモ
)
出して
座蒲団
(
ざぶとん
)
を買った私は、こうして石段の席へ腰を据えて、持参の望遠鏡で正面入口の混雑を検査している。
踊る地平線:07 血と砂の接吻
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
床の前に
座蒲団
(
ざぶとん
)
を直して、「あんまり
御無沙汰
(
ごぶさた
)
をしていましたから」と、
呟
(
つぶや
)
くようにいいながら、
違棚
(
ちがいだな
)
にあった
葉巻
(
はまき
)
の箱を下して前へ出しました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
となりの六畳室のふすまをはずしてそこに
座蒲団
(
ざぶとん
)
がたくさんしいてあった。先客はすでに
蓄音器
(
ちくおんき
)
をかけてきいていた。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
隣の間から
箒
(
ほうき
)
を持出しばさばさと座敷の真中だけを掃いて
座蒲団
(
ざぶとん
)
を出してくれた。そうして其のまま去って終った。
浜菊
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
純子
(
どんす
)
の
座蒲団
(
ざぶとん
)
の上に坐って、
金無垢
(
きんむく
)
の
煙管
(
きせる
)
で煙草を吸っている春見は今年四十五歳で、
人品
(
じんぴん
)
の
好
(
い
)
い男でございます。
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
庸三は新調のふかふかしたメリンスの
対
(
つい
)
の
座蒲団
(
ざぶとん
)
の一つに、どかりと
胡座
(
あぐら
)
をかくと、さも
可笑
(
おか
)
しそうに笑っていた。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
Tの横の
座蒲団
(
ざぶとん
)
の上にきちんとすわって、
袴
(
はかま
)
のひざを合わせた上へ、だいぶひびの切れた両手を正しくついて、そうして知らん顔をしているのであった。
柿の種
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
そのなかはまあ二人で差し向いに腰かけるのがやっと位だが、そこには
座蒲団
(
ざぶとん
)
や毛布から、火鉢の用意までしてある。火鉢には火もどっさり入れてある。
大和路・信濃路
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
絹靴下なんぞをはいたこの綾子に出せるような
座蒲団
(
ざぶとん
)
はない。俺は自分の座蒲団を裏返して綾子にすすめた。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
とまた昔日の元気に似ず、今日に限りて
座蒲団
(
ざぶとん
)
の汚れが
殊
(
こと
)
に目立ち、畳の
焦痕
(
やけあと
)
が
俄
(
にわか
)
に拡がりしように覚ゆ。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
一隅
(
はじ
)
には、
座蒲団
(
ざぶとん
)
を何枚も折りかさねた側に香立てを
据
(
す
)
えた
座禅
(
ざぜん
)
場があります。
壁間
(
かべ
)
には、
鳥羽
(
とば
)
僧正
(
そうじょう
)
の
漫画
(
まんが
)
を仕立てた長い
和装
(
わそう
)
の額が五枚
程
(
ほど
)
かけ連ねてあります。
岡本一平論:――親の前で祈祷
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
気のついたときには、茶の間の
座蒲団
(
ざぶとん
)
の上にチョコナンと
胡坐
(
あぐら
)
をかいているという有様だった。
振動魔
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
しかもそのまん中には小さい
紫檀
(
したん
)
の机があつて、その又机の向うには
座蒲団
(
ざぶとん
)
が二枚重ねてある。
東京小品
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
昔を思い出してか
座蒲団
(
ざぶとん
)
の上に長まっていたりする。そのくせ人間の眼を見ると必ず逃げる。
黒猫
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
女は
座蒲団
(
ざぶとん
)
を持って先に立ちその一番端しの室に彼を案内した。女は金を受取ると出ていった。廊下を行く足音を龍介はじいときいていた。彼はきゅうに身体が
顫
(
ふる
)
えてきた。
雪の夜
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
天野は
空
(
あ
)
いている
座蒲団
(
ざぶとん
)
の上に落ちるように坐ると、ものをいう前の
癖
(
くせ
)
で、ぐうと息を吸いこんで、眼を白黒させ、お、お、お、遅くなった、す、す、すまん、とだけ云った。
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
『多少どころではない。これは大変な事になったものだ。すっかり、
座蒲団
(
ざぶとん
)
を上げてみい』
濞かみ浪人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
広巳は少女の手を
揮
(
ふ
)
りはらって上へあがった。広巳は笑っていた。広巳に
跟
(
つ
)
いてあがった少女の一人は、女に近く
座蒲団
(
ざぶとん
)
を敷いた。それは
菰
(
こも
)
の葉のような
蒼白
(
あおじろ
)
い蒲団であった。
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
為事場の板の間に
座蒲団
(
ざぶとん
)
を敷き、前に研ぎ板を、向うに
研水桶
(
とみずおけ
)
(小判桶)を置き、さて静かに
胡坐
(
あぐら
)
をかいて膝に膝当てをはめ、膝の下にかった押え棒で、ほん山の合せ研を押えて
小刀の味
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
座蒲団
(
ざぶとん
)
も拾った。縁側の畳をはねくり返してみると、持逃げ用の
雑嚢
(
ざつのう
)
が出て来た。私は
吻
(
ほっ
)
としてそのカバンを肩にかけた。隣の製薬会社の倉庫から赤い小さな
焔
(
ほのお
)
の姿が見えだした。
夏の花
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
若殿は
恍惚
(
うっとり
)
として、
見惚
(
みと
)
れて、
蓙
(
ござ
)
の上に敷いてある
座蒲団
(
ざぶとん
)
に、坐る事さえ忘れていた。
悪因縁の怨
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
座蒲団
(
ざぶとん
)
、
上敷
(
うわしき
)
、
屏風
(
びょうぶ
)
、
几帳
(
きちょう
)
などのこともすぐれた品々の用意をさせておいでになった。
源氏物語:35 若菜(下)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
座蒲団
(
ざぶとん
)
だ——その御書院番士の座蒲団が一枚
空
(
あ
)
いているからと言って、官報第何号か何かでその欠員を募集するてエと、願書が何千通
山積
(
さんせき
)
して、その中で
高文
(
こうぶん
)
をパスしたやつが何百人
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「これ? これね、もう大分寒くなったでしょう。で、あなたに
座蒲団
(
ざぶとん
)
こしらえて上げたの。それから枕もね」と私が答えて「ねえ、あなたは座蒲団もなし、枕が汚れてるでしょう?」
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
それが両
花道
(
はなみち
)
のきわまでつづき、またそれを一コマずつに、細い
桟木
(
さんぎ
)
で仕切っていって、一コマが、およそ一間の四分の一に仕切られて、その中に四つ、または五枚の
座蒲団
(
ざぶとん
)
が敷いてある。
旧聞日本橋:24 鬼眼鏡と鉄屑ぶとり(続旧聞日本橋・その三)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
三尺の床に袋戸棚が隣ってそこから
座蒲団
(
ざぶとん
)
が引出され、
掛花活
(
かけはないけ
)
の
薊
(
あざみ
)
は大方萎れて、無頓着が売物の小座敷だ、婢は云う御酒は、小歌は云うあがらないの、だけれども印しにと貞之進に向い
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
車を降りた所に縁側があるのでせう、
座蒲団
(
ざぶとん
)
の並んだ畳が見えるのでせう、私は驚きました。
門口
(
かどぐち
)
をくぐらないで直ぐ道からお座敷になつて居る家などを、町家育ちの私は初めて見たのです。
私の生ひ立ち
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
彼は多分の好奇心をもって、縁側へ
座蒲団
(
ざぶとん
)
をすすめた。どうせやって来はしないだろう、この男は人とつきあう事は一切しないと云う噂だから——そう思いながら、試してやる気が充分あった。
遺産
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
その翌朝工場に出て私は自分の
座蒲団
(
ざぶとん
)
の前に膳箱のないのに気づき、うろたえた。一人の仲間が私を呼んだ。仲間は膳箱を抱えて工場の出口のところに立ってい、彼の足
下
(
もと
)
に私の膳箱が置いてあった。
その人
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
主人は
座蒲団
(
ざぶとん
)
を勧めたが彼は有難いとも思わないようである。
愛か
(新字新仮名)
/
李光洙
(著)
彼女は、出来上った着物を
畳
(
たた
)
んで
座蒲団
(
ざぶとん
)
の下に
敷
(
し
)
いた。
魚の序文
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
客を待つ夏
座蒲団
(
ざぶとん
)
の小さきが
六百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
鉄瓶
(
てつびん
)
が約束通り鳴っていた。
長火鉢
(
ながひばち
)
の前には、例によって厚いメリンスの
座蒲団
(
ざぶとん
)
が、彼の帰りを待ち受けるごとくに敷かれてあった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
恩田が彼女のそばへ寄りそって、肩に手をまわして、グッとおしつけると、蘭子はクナクナと
座蒲団
(
ざぶとん
)
の上にくずおれてしまった。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
と言って道庵、
腮
(
あご
)
を撫でながら、太夫さんのすすめてくれた舞台用の
緞子
(
どんす
)
の厚い
座蒲団
(
ざぶとん
)
の上に、チョコナンとかしこまりました。
大菩薩峠:35 胆吹の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
われら式、……いや、もうここで結構と、すぐその欄干に
附着
(
くッつ
)
いた板敷へ席を取ると、
更紗
(
さらさ
)
の
座蒲団
(
ざぶとん
)
を、両人に当てがって
木の子説法
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
座敷のまんなかに
陶物
(
せともの
)
の大きな火鉢を置いて、そばに汚れぬ
座蒲団
(
ざぶとん
)
を並べ、私の来るのを待っていたようである。私は、つくづく感心しながら
黒髪
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
“座蒲団”の意味
《名詞》
椅子や床に座る際に、敷く小さな布団。
(出典:Wiktionary)
座
常用漢字
小6
部首:⼴
10画
蒲
漢検準1級
部首:⾋
13画
団
常用漢字
小5
部首:⼞
6画
“座蒲団”で始まる語句
座蒲団入
座蒲団地