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ふりがな文庫
“
広野
(
ひろの
)” の例文
旧字:
廣野
太郎
(
たろう
)
は、もしや、おじいさんが、この
真夜中
(
まよなか
)
に
雪道
(
ゆきみち
)
を
迷
(
まよ
)
って、あちらの
広野
(
ひろの
)
をうろついていなさるのではなかろうかと
心配
(
しんぱい
)
しました。
大きなかに
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
座に
言
(
ことば
)
が途絶えると
漂渺
(
ひょうびょう
)
たる雪の
広野
(
ひろの
)
を隔てて、里ある
方
(
かた
)
に鳴くように、胸には描かれて、
遥
(
はるか
)
に鶏の声が聞えるのである。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「訴えのおもむきをいうてみい。また、このようなさびしい
広野
(
ひろの
)
に、ただひとりおるそちは、いったい何者の娘だ」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
人立
(
ひとだち
)
おびただしき
夫婦
(
めをと
)
あらそひの
軒先
(
のきさき
)
などを過ぐるとも、
唯
(
ただ
)
我れのみは
広野
(
ひろの
)
の原の冬枯れを行くやうに、心に止まる物もなく、気にかかる景色にも覚えぬは
にごりえ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
昔の
画家
(
えかき
)
が聖母を乗せる雲をあんな風にえがいたものだ。山の
裾
(
すそ
)
には雲の青い影が
印
(
いん
)
せられている。山の影は広い谷間に
充
(
み
)
ちて、
広野
(
ひろの
)
の
草木
(
くさき
)
の緑に灰色を帯びさせている。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
▼ もっと見る
香
(
かお
)
りのする花の咲き軟らかな草の
滋
(
しげ
)
って居る
広野
(
ひろの
)
を
愉快
(
たのし
)
げに
遊行
(
ゆぎょう
)
したところ、水は大分に夏の初めゆえ
涸
(
か
)
れたれどなお清らかに流れて岸を洗うて居る大きな川に出で逢うた
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
貞観のはじめ前越後守伴龍男の従者
吉弥
(
きみ
)
侯
(
この
)
広野
(
ひろの
)
の、その主の犯罪を官に密告せる書生物部稲吉を殴殺せしがごときその一なり。『将門記』に、平将門の駆使に
丈部
(
はせつかべ
)
子春丸あり。
武士を夷ということの考
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
果
(
はて
)
しのない
広野
(
ひろの
)
を
埋
(
う
)
め尽す
勢
(
いきおい
)
で何百万本という護謨の樹が茂っている真中に、一階建のバンガローを
拵
(
こしら
)
えて、その中に栽培監督者としての自分が
朝夕
(
あさゆう
)
起臥
(
きが
)
する様を想像してやまなかった。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
こういう寺及び七、八軒ある小村を過ぎて少しく北に行くと、平地に二丁四面程の高地があって、そこに武器庫が建ててある。それから北へ二里、西へ半里、東へ二里ばかりある
広野
(
ひろの
)
があります。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
大空、大海、大山、大川、
広野
(
ひろの
)
等の如し。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
万里
一白
(
いつぱく
)
の雪の
広野
(
ひろの
)
……
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
すずめは
毎日
(
まいにち
)
、
雪
(
ゆき
)
の
中
(
なか
)
を
山
(
やま
)
のあちらへ、また、
林
(
はやし
)
のこちらへと
飛
(
と
)
びまわって、だれも
通
(
とお
)
らない、さびしい
雪
(
ゆき
)
の
広野
(
ひろの
)
を
見渡
(
みわた
)
して
鳴
(
な
)
いていました。
春になる前夜
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
真中に
一棟
(
ひとむね
)
、小さき屋根の、
恰
(
あたか
)
も
朝凪
(
あさなぎ
)
の海に難破船の
俤
(
おもかげ
)
のやう、
且
(
か
)
つ破れ且つ傾いて見ゆるのは、
此
(
こ
)
の
広野
(
ひろの
)
を、久しい以前汽車が
横切
(
よこぎ
)
つた、
其
(
そ
)
の
時分
(
じぶん
)
の
停車場
(
ステエション
)
の
名残
(
なごり
)
である。
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
山の頂の夕焼は最後の光を見せている。あの
広野
(
ひろの
)
を
女神達
(
めがみたち
)
が歩いていて、手足の疲れる
代
(
かわ
)
りには、
尊
(
とうと
)
い草を摘み取って来るのだが、それが何だか我身に近付いて来るように思われる。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
桑田
(
くわた
)
は
町屋
(
まちや
)
に変り、
広野
(
ひろの
)
は
絃歌
(
げんか
)
の
灯
(
ともしび
)
を
映
(
うつ
)
す堀となり、無数の橋や新しい道路は、小鳥の巣や
鷺
(
さぎ
)
のねぐらを奪って、丘の肌は、みな
生々
(
なまなま
)
しい土層を露出し、削られたあとには、屋敷が建ち、門がならび
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
空
(
そら
)
の
雲
(
くも
)
は、まりが
疲
(
つか
)
れて、
広野
(
ひろの
)
にころがっているのを
見
(
み
)
ました。
雲
(
くも
)
は、あわれなまりを、
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
に
思
(
おも
)
ったのであります。
あるまりの一生
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
と
野良調子
(
のらでうし
)
の
高声
(
たかごゑ
)
を
上
(
あ
)
げて、
広野
(
ひろの
)
の
霞
(
かすみ
)
に
影
(
かげ
)
を
煙
(
けぶ
)
らせ、
一目散
(
いちもくさん
)
に
駆附
(
かけつ
)
けるものがある。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
雪枝
(
ゆきえ
)
は
胸
(
むね
)
を
伸上
(
のしあ
)
げて、
岬
(
みさき
)
が
突出
(
つきで
)
た
湾
(
わん
)
の
外
(
そと
)
を
臨
(
のぞ
)
むが
如
(
ごと
)
く
背後状
(
うしろざま
)
に
広野
(
ひろの
)
を
視
(
なが
)
めた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
さいなまれる
魂
(
たましい
)
が、やわらかな、
温
(
あたた
)
かい
愛
(
あい
)
のしらべに
救
(
すく
)
われて、
暗
(
くら
)
い
中
(
なか
)
、
風
(
かぜ
)
の
吹
(
ふ
)
く、はてしない
広野
(
ひろの
)
をさまよい、
林
(
はやし
)
の
方
(
ほう
)
へ、
知
(
し
)
らない
町
(
まち
)
の
方
(
ほう
)
へ、また、
高
(
たか
)
い、
高
(
たか
)
い、
空
(
そら
)
の
上
(
うえ
)
へと、
苦
(
くる
)
しみのない
雲と子守歌
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
この汽車だが……
果
(
はて
)
しの知れない
暗闇
(
くらやみ
)
の
広野
(
ひろの
)
——とてもその時の心持が、隅々まで人間の手の行届いた田圃とは思われない、野原か、底知れぬ穴の中途——その頼りなさも、汽車の通るのが
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
しかし、その
人
(
ひと
)
たちの
死骸
(
しがい
)
は、
飢
(
う
)
えたおおかみやくまに
食
(
た
)
べられたか、
見
(
み
)
つかりませんでした。ただ、この
物悲
(
ものがな
)
しい
音色
(
ねいろ
)
は、
風
(
かぜ
)
に
送
(
おく
)
られて、その
後
(
のち
)
、
幾夜
(
いくよ
)
も、この
広野
(
ひろの
)
の
空
(
そら
)
を
漂
(
ただよ
)
っていたのです。
春になる前夜
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
この三角畑の裾の
樹立
(
こだち
)
から、
広野
(
ひろの
)
の中に、もう
一条
(
ひとすじ
)
、
畷
(
なわて
)
と傾斜面の広き刈田を隔てて、突当りの山裾へ
畦道
(
あぜみち
)
があるのが屏風のごとく
連
(
つらな
)
った、長く、
丈
(
せい
)
の高い
掛稲
(
かけいね
)
のずらりと続いたのに
蔽
(
おお
)
われて
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
広野
(
ひろの
)
を
越
(
こ
)
えてかなたには、
町
(
まち
)
がありました。
灰色の姉と桃色の妹
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
恁
(
かか
)
る
広野
(
ひろの
)
に
停車場
(
ステエション
)
の屋根と此の
梢
(
こずえ
)
の
他
(
ほか
)
には、草より高く空を
遮
(
さえぎ
)
るもののない、其の
辺
(
あたり
)
の混雑さ、
多人数
(
たにんず
)
の
踏
(
ふみ
)
しだくと見えて、
敷満
(
しきみ
)
ちたる
枯草
(
かれくさ
)
、
伏
(
ふ
)
し、
且
(
か
)
つ立ち、
窪
(
くぼ
)
み、又倒れ、しばらくも
休
(
や
)
まぬ
間々
(
あいだあいだ
)
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
渺茫
(
びょうぼう
)
たる
広野
(
ひろの
)
の中をタタタタと
蹄
(
ひづめ
)
の
音響
(
ひびき
)
。
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“広野”の意味
《名詞》
広 野(こうや 「曠野」の「同音の漢字による書きかえ」)
広広とした野原。
(出典:Wiktionary)
広
常用漢字
小2
部首:⼴
5画
野
常用漢字
小2
部首:⾥
11画
“広野”で始まる語句
広野原