くつ)” の例文
其辭そのじ(七六)徑省けいせいすれば、すなは(七七)不知ふちとしてこれくつし、(七八)汎濫博文はんらんはくぶんなれば、すなはこれおほしとして(七九)ひさしとす。
ゆびくつしてると、當日たうじつ吾等われら海岸かいがんいへつてから、丁度ちやうど九日目こゝぬかめで、かね海底戰鬪艇かいていせんとうてい試運轉式しうんてんしきさだめられたる紀元節きげんせつ前日ぜんじつである。
翌る日まで生きてゐた道齋は重い手傷にもくつせず『敵は河井龍之介、敵は河井龍之介』と言ひ續けて命を落しました。
強情がうじやうな腹立ちの餘り、その宣告にくつするどころか私は殆んど天の配劑を呪ひさへした、公然とそれに反抗したのだ。
山客、たまたま「文芸春秋」二月号を読み、我鬼先生の愚をわらふと共に佐佐木君のくつを歎かんと欲す。佐佐木君、請ふ、安心せよ。君を知るものに山客あり
八宝飯 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
覚悟かくごのことで、あし相応さうおう達者たツしや、いやくつせずにすゝんだすゝんだ。すると、段々だん/″\またやま両方りやうはうからせまつてて、かたつかへさうなせまいことになつた、ぐにのぼり
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
性理字義せいりじぎ』に曰く、『生死をもって論ずれば、生は気のしん、死は気のくつ。死の上について論ずれば、すなわち魂ののぼるは神となり、魄のおりるは鬼となる。 ...
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
以てサア有體に云々いへ/\きびし打擲うちたゝき種々手をかへせむると雖もお島は更にくつせず後にはまなことぢて一向に物を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
既にして慨然がいぜんとして天下を以て自らにんじ、せつくつして書を讀み、遂に復古ふくこの大げふを成せり。
天皇は、これにくつし給ふことなく、紀州の南端を迂廻して、南方より大和へ入る作戦を敢行遊ばしたが、時利あらず、潮岬の颶風ぐふうに遭つて、皇兄稲飯命いなひのみこと三毛入野命みけいりぬのみことを失ひ給うた。
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
三四郎はげかけたこしを又草のうへおろした。其時三四郎は此女にはとてもかなはない様な気が何所どこかでした。同時に自分のはら見抜みぬかれたといふ自覚にともなふ一種のくつ辱をかすかに感じた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
たゞわれ/\日本人につぽんじんとしてはかような天災てんさいくつすることなく、むし人力じんりよくもつてその災禍さいかをないようにしたいものである。かくするには地震ぢしん火山かざん何物なにものであるかをきはめることが第一だいゝちである。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
落語らくご濫觴らんしやうは、昔時むかし狂歌師きやうかし狂歌きやうかひらきときに、たがひに手をつかねてツクネンと考込かんがへこんでつてはくつします、そこ其合間そのあひまに世の中の雑談ざつだんたがひに語りうて、一うつつたのが濫觴はじまりでござります。
落語の濫觴 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
当然、吉野朝廷のよろこびは大きく、顕家の不とうくつな来援は
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
濁りに染まぬ亀をくつの極といたし、鶴を以てしんの極となす。
顎十郎捕物帳:09 丹頂の鶴 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
天はしんをつかさどり、地はをつかさどる。神は伸をつかさどり、鬼はくつをつかさどる。伸はしゅうをつかさどり、屈は散をつかさどる。この二者は万物を生じ、万物を
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
ゆびくつしてると、吾等われら豫定通よていどうりに印度國インドこくコロンボ附近ふきん降下かうかして、秘密藥品ひみつやくひん買整かひとゝのへ、ふね艤裝ぎさうして橄欖島かんらんたう到着たうちやくはづの二十五にちまでには、最早もはや六日むいかあますのみで。
主人の六右衞門は五十前後、町人ながら一とくせあり氣で、恰幅の見事さも、物言ひの尊大さも、容易に人にくつしない——そして町方の御用聞などを物の數ともしない樣子があります。
匿ひ置ぞ眞直まつすぐに申立よと言ければ七右衞門少もくつする面色なく御意ぎよいの如く私し四人共匿ひ置候に相違さうゐ御座なく候もつとも此儀は私し事先嘉川平助樣御代ごだい格別かくべつ御厚恩ごこうおんに相成候間今度このたび御世話申候
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)