對岸たいがん)” の例文
新字:対岸
この共同湯きようどうゆむかがはは、ふちのやうにまたみづあをい。對岸たいがん湯宿ゆやど石垣いしがきいた、えだたわゝ山吹やまぶきが、ほのかにかげよどまして、あめほそつてる。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
不審ふしんおもつて躊躇ちうちよしてると突然とつぜんまへ對岸たいがん松林まつばやし陰翳かげからしろひかつてみづうへへさきふねあらはれた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
鈴生すゞなりにひとせたふねが、對岸たいがんくまで、口惜くやしさうにしてつた天滿與力てんまよりきの、おほきなあかかほが、西日にしびうつつて一そうあか彼方かなたきしえてゐた。——
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
讀者どくしやもし世界地圖せかいちずひらかれたなら、アフリカの西沿岸にしえんがんおほきなくぼみが、大西洋たいせいようへだてた對岸たいがんみなみアメリカ
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
これを對岸たいがんからうつすので、自分じぶんつゝみりて川原かはら草原くさはらると、いままで川柳かはやぎかげえなかつたが、一人ひとり少年せうねんくさうちすわつてしきりに水車みづぐるま寫生しやせいしてるのをつけた。
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
もつとかれまへにもくるまつゞいた。爾時そのときはしうへをひら/\肩裾かたすそうすく、月下げつか入亂いりみだれて對岸たいがんわたつた四五にんかげえた。其等それら徒歩かちで、はやめに宴會えんくわいした連中れんぢう
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
よる對岸たいがん松林まつばやし陰翳かげみづげて、川幅かわはゞわづか半分はんぶんせばめられてえる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
此地震このぢしん場合ばあひおいて、大地だいち開閉かいへいおこしたところは、リスボンの對岸たいがん、アフリカのモロッコこく首府しゆふモロッコから三里さんりほどはなれた一部落いちぶらくであつて、そこにはベスンバ種族しゆぞくばれる土民どみんまつてゐた。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
對岸たいがん(——はしわたつてくるまはら宿しゆくうら眞正面ましやうめんさかのぼる——)に五層ごそう七層しちそうつらねたなかに、一所ひとところむねむねとのたか切目きれめに、もみけやきか、おほいなる古木こぼく青葉あをばいて、こずゑから兩方りやうはうむねにかゝり
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)