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たいがん
この
共同湯の
向う
傍は、
淵のやうにまた
水が
青い。
對岸の
湯宿の
石垣に
咲いた、
枝も
撓な
山吹が、ほのかに
影を
淀まして、
雨は
細く
降つて
居る。
不審に
思つて
躊躇して
居ると
突然目の
前に
對岸の
松林の
陰翳から
白く
光つて
居る
水の
上へ
舳が
出て
船が
現はれた。
鈴生りに
人を
乘せた
舟が、
對岸に
着くまで、
口惜しさうにして
突つ
立つた
天滿與力の、
大きな
赤い
顏が、
西日に
映つて一
層赤く
彼方の
岸に
見えてゐた。——
讀者もし
世界地圖を
開かれたなら、アフリカの
西沿岸の
大きな
凹みが、
大西洋を
隔てた
對岸の
南アメリカ
これを
對岸から
寫すので、
自分は
堤を
下りて
川原の
草原に
出ると、
今まで
川柳の
蔭で
見えなかつたが、
一人の
少年が
草の
中に
坐つて
頻りに
水車を
寫生して
居るのを
見つけた。
尤も
彼の
前にも
車が
續いた。
爾時、
橋の
上をひら/\
肩裾の
薄く
濃く、
月下に
入亂れて
對岸へ
渡つた四五
人の
影も
見えた。
其等は
徒歩で、
些と
早めに
宴會を
辭した
連中。
夜の
手は
對岸の
松林の
陰翳を
其の
水に
投げて、
川幅は
僅に
半分に
蹙められて
見える。
此地震の
場合に
於て、
大地の
開閉を
起した
所は、リスボンの
對岸、アフリカのモロッコ
國の
首府モロッコから
三里ほど
離れた
一部落であつて、そこにはベスンバ
種族と
呼ばれる
土民が
住まつてゐた。
對岸(——
橋を
渡つて
俥は
湯の
原の
宿の
裏を
眞正面の
坂を
上る——)に
五層七層を
連ねた
中に、
一所、
棟と
棟との
高い
切目に、
樅か
欅か、
偉なる
古木の
青葉を
卷いて、
其の
梢から
兩方の
棟にかゝり