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たやす
ふりがな文庫
“
容易
(
たやす
)” の例文
マリクをして「彼が一度木の柱を金の柱なりと言ったとしたならば、彼は
容易
(
たやす
)
くその柱の黄金なることを論証する智弁を有している」
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
と云うよりは、むしろ、始からそれほど「主」を大事に思っていない。だから、彼は、
容易
(
たやす
)
く、「家」のために「主」を
犠牲
(
ぎせい
)
にした。
忠義
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その信仰や極めて
確乎
(
かっこ
)
たるものにてありしなり。海野は熱し詰めて
拳
(
こぶし
)
を握りつ。
容易
(
たやす
)
くはものも得いはで唯、唯、
渠
(
かれ
)
を
睨
(
にら
)
まへ詰めぬ。
海城発電
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
僧正「その往生というのがなかなかとげ難いことだから、そこでお尋ねをして見たのだ。どうしたら
容易
(
たやす
)
く往生が出来るものかいな」
法然行伝
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「斯んな風に打たなければならないんだが、
容易
(
たやす
)
いやうでこれで容易に
呼吸
(
いき
)
が合ふやうに二つ続け打ちに鳴すのは六ヶ敷しいよ。」
舞踏会余話
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
▼ もっと見る
両性問題は
容易
(
たやす
)
く理を以て
推
(
すゐ
)
すべからざるものだとは云ひながら、品の人物に何か特別なアトラクシヨンがなくては
愜
(
かな
)
はぬやうである。
椙原品
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
老獪な
船長
(
マスター
)
は、そうした不思議な鯨共を
容易
(
たやす
)
く撃ち捕るために、密かに禁止された仔鯨撃ちを、永い間安吉に命じていたのだった。
動かぬ鯨群
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
いざ
戦
(
いくさ
)
——という日でも、集まる雑兵はいくらでも集まるが、求めても
容易
(
たやす
)
く来ないような人物を、今は各藩で
血眼
(
ちまなこ
)
に探しているのだ。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もし間違って王様の御気に入らないような事があると、これ位
恥辱
(
はじ
)
な事はないからと云って、両親は
容易
(
たやす
)
く承知致しませんでした。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
岩石ヶ城の四天王の一人、白虎太郎はこう呼びながら、
襖
(
ふすま
)
を静かに
叩
(
たた
)
いたが室内は
鼾
(
いびき
)
の声ばかりで
容易
(
たやす
)
く眠りから覚めそうもない。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
それから、私は、
繪具板
(
パレット
)
や鉛筆を取り出して、
容易
(
たやす
)
いから、もつと氣休めになるロザマンド・オリヴァの肖像畫の仕事に取りかゝつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
他人
(
ひと
)
に同情するなどというのは、けっして
容易
(
たやす
)
いわざでないということを。いい加減な同情などは、これからつつしまなくては。
キャラコさん:03 蘆と木笛
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
おれが
容易
(
たやす
)
く其れを賛成して帰してしまつたことを、妻はその時既にこの女との関係がおれにあつたからだと思ふかも知れない。
素描
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
それ故錐が鋭利といふわけではないけれど、錐の外面は常に光を放つて極めて
滑
(
なめら
)
かであつた。何十枚の紙も
容易
(
たやす
)
く突き通されたのである。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
腹の中では、その義務を
容易
(
たやす
)
く果させるために、叔母が自分と連れ立って、夫人の所へ行ってくれはしまいかと
暗
(
あん
)
に願っていた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
『混効験集』を按ずるに「うきしま」は那覇のことである。今日地勢から見ても、那覇がかつて島であったということは
容易
(
たやす
)
く想像される。
浦添考
(新字新仮名)
/
伊波普猷
(著)
これは修法の道場に俗人が
容易
(
たやす
)
く近づくことを嫌ったことが登山の作法を厳格にした所以の一でもあった。しかし信徒となれば格別である。
山の今昔
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
前の諸祖と合せて一口に、諸仏諸祖と言いまして、その修業の功徳も、積んだ智慧も、
容易
(
たやす
)
く私たちに遺産としてくれているのであります。
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
そのベルナルドオを難ずる詞は、多少我
創痍
(
さうい
)
に
灌
(
そゝ
)
ぐ藥油となりたれども、アヌンチヤタを
貶
(
おとし
)
むる詞は、わが
容易
(
たやす
)
く首肯し難きところなりき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
その時に成っても、堅く結ばれた節子の口はまだそう
容易
(
たやす
)
く
解
(
ほど
)
けて来そうも無かった。彼女は思うことの十が一をも岸本に語り得なかった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
人間の持つ願望のうちで一番むづかしいといはれる飛翔すらも
容易
(
たやす
)
くできるといふことを聞いた彼は、早速安期生を訪ねて、弟子入りをした。
春の賦
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
一羽のひよこが何を思つて居たかは、人間の子供の私達にさう
容易
(
たやす
)
く解る
筈
(
はず
)
はないが、何と云つてもそんな簡単なものでないと思つたのです。
私の生ひ立ち
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
かくも
容易
(
たやす
)
く応諾の返事が得られようなぞとは、私にとってはまったく意外も意外! 手の舞い足の踏む所を知らぬ、歓喜そのものであった。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
無論長吉は何とでも
容易
(
たやす
)
くいい
紛
(
まぎ
)
らすことは出来ると思うものの、それだけの
嘘
(
うそ
)
をつく良心の苦痛に
逢
(
あ
)
うのが
厭
(
いや
)
でならない。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
風が無くて気温が高く雪の結晶が零度に近い温度にあると、触れ合った時
容易
(
たやす
)
く付着するので雪片は大きくなるというふうに普通いわれている。
粉雪
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
義雄は、そんなあり振れた思はせ振りに
容易
(
たやす
)
く乘る樣な男ではないぞと云はないばかりに、その方へ寢返りながら云つた
泡鳴五部作:03 放浪
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
時に野性に
復
(
かえ
)
り掛かる例なきにあらざれど
容易
(
たやす
)
く制止し得る、南米曠野の野馬は数百年間人手を離れて家馬の種が純乎たる野馬となったのだが
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
そして遂にはかかる嘲笑を以てヨブの信仰に対せしほどのゾパルをも
容易
(
たやす
)
く赦し得て、みずから手を伸ばして彼らと握手するに至ったのである。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
その上私は学問が非常によく出来て、算術でも読書でも凡ての学課が私の頭には実に
容易
(
たやす
)
くすら/\と流れ込みました。
金色の死
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そうした優れた芸術家の歴史に有名な逸話の実際の結晶である絵本類がそのように
容易
(
たやす
)
く、今日の古雑誌を購うのと同様に買い取れたかと思うと
幼き頃の想い出
(新字新仮名)
/
上村松園
(著)
併し、今彼のくだ/\しい毒舌を聞いた者は、彼の冷かな犬儒趣味が決して単なる彼の興味から出るものではない事を
容易
(
たやす
)
く見抜き得たであらう。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
中学校、高等学校で電気の学問を教わっても、この子供の頭に滲み込んだ恐ろしさはそう
容易
(
たやす
)
くは抜け切らなかった。
家庭の人へ
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
お前がこの間話した、
嬰児
(
あかご
)
と嬰児を取換えるというのは、一応筋になりそうだが、実はそう
容易
(
たやす
)
く行く芸当じゃない。
銭形平次捕物控:109 二人浜路
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
へい、そんな事は
容易
(
たやす
)
いことで、わたしは、子供の時からこの
歳
(
とし
)
まで三十年間も、手品師で飯を喰つてまゐりました。
小熊秀雄全集-14:童話集
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
真打の取りたい一心でこう
容易
(
たやす
)
く引き受けてはしまったものの、このごろ何かにつけて自分に当りの烈しい師匠圓生。
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
「国家の公益? ハヽヽヽ其れは大洞、君等の言ふべき口上ぢや無からう、
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
一旦
(
いつたん
)
取り
定
(
さだ
)
めたものを、サウ
容易
(
たやす
)
く変更することもならんからナ」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
鶴さんの留守の
間
(
ま
)
に北海道から入って来た数通の手紙の一つが、旅で
馴染
(
なじみ
)
になった女からであることが、その手紙の
表記
(
うわがき
)
でお島にも
容易
(
たやす
)
く感づけた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
匂
(
にお
)
いのあるような悪いバターを使うと味が悪くって胸に持ちます。バターケーキの拵え方は色々ありますが誰にでも
容易
(
たやす
)
く出来る法で致しましょう。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
『欲するとしたら、果して、実際にそういう事が
容易
(
たやす
)
く出来るものでしょうか、夢を見ないようになれます事なら、何でもやってみたいんですが——』
むかでの跫音
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
容易
(
たやす
)
く逢われた頃になぜ毎晩通わなかったのか、と歎く気持の歌である。当時の男女相逢う状態を知ってこの歌を味うとまことに感の深いものがある。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
さて、これだけの事実があるとすれば、これに基づいて生物の進化し来った道筋を
容易
(
たやす
)
く説明することができる。
人間生活の矛盾
(新字新仮名)
/
丘浅次郎
(著)
こういうふうにして、何事もその時
逢着
(
ほうちゃく
)
した事実をもととして写生句を作ると、
容易
(
たやす
)
く句作ができると思います。
俳句の作りよう
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
さなきだに暗いほど濃い紅梅の
花弁
(
はなびら
)
は、もう
容易
(
たやす
)
く
闇
(
やみ
)
に溶けはじめてゐる。二階からは細君のうたふ子守唄が、まだ歌ひ手にそぐはぬ節廻しで聞えてゐた。
姉弟と新聞配達
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
今日とても士道なる文字をそのままに書いてなおその内容に従来の意味と異る思想を含めることは甚だ
容易
(
たやす
)
い。
平民道
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
アダ、私は貴女が
容易
(
たやす
)
く身を委すたびに飛行機のプロペラのこわれたように扁平な地球からころげ
墜
(
お
)
ちるような大陸的な叫声を出すのを知っているのです。
孟買挿話
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
しかせば汝の想像はわが第一に日(このとき沈みかゝりぬ)を再び見しさまを
容易
(
たやす
)
く見るにいたるべし 七—九
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
大革命
(
だいかくめい
)
とも
名
(
なづ
)
けられる
位
(
くらゐ
)
だ、
防腐法
(
ばうふはふ
)
の
發明
(
はつめい
)
によつて、
大家
(
たいか
)
のピロウゴフさへも、
到底
(
たうてい
)
出來得
(
できう
)
べからざる
事
(
こと
)
を
認
(
みとめ
)
てゐた
手術
(
しゆじゆつ
)
が、
容易
(
たやす
)
く
遣
(
や
)
られるやうにはなつた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
すなわち
紹介
(
しょうかい
)
を求めて
軍艦奉行
(
ぐんかんぶぎょう
)
の
邸
(
やしき
)
に
伺候
(
しこう
)
し、
従僕
(
じゅうぼく
)
となりて
随行
(
ずいこう
)
せんことを
懇願
(
こんがん
)
せしに、奉行は
唯
(
ただ
)
一面識
(
いちめんしき
)
の
下
(
もと
)
に
容易
(
たやす
)
くこれを
許
(
ゆる
)
して
航海
(
こうかい
)
の
列
(
れつ
)
に加わるを得たり。
瘠我慢の説:05 福沢先生を憶う
(新字新仮名)
/
木村芥舟
(著)
大の奴どもがそれほどに煙たがっている相手は、女たちにも
容易
(
たやす
)
く想像された。お仙は笑いながらきいた。
番町皿屋敷
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
まア
容易
(
たやす
)
く縄に掛けて会所へ廻し、此の
度
(
たび
)
御奉行様の御厄介に成りましたどうか何分宜しくお願い申します
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
容
常用漢字
小5
部首:⼧
10画
易
常用漢字
小5
部首:⽇
8画
“容”で始まる語句
容
容貌
容子
容色
容赦
容姿
容喙
容体
容態
容器