女房にようぼ)” の例文
女房にようぼいわく、御大層ごたいそうな事をお言ひでないうちのお米が井戸端ゐどばたへ持つて出られるかえ其儘そのまゝりのしづまつたのは、辛辣しんらつな後者のかちに帰したのだらう(十八日)
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
お袋は田舎へ嫁入つた姉の処に引取つて貰ひまするし、女房にようぼは子をつけて実家さとへ戻したまま音信いんしん不通、女の子ではあり惜しいとも何とも思ひはしませぬけれど
十三夜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
まざ/\と譫言たはことく……われらをんなつたりや、とひますと、それらいでなにをする……今日けふ晩方ばんがた相長屋あひながや女房にようぼはなした。谷町たにまち湯屋ゆやうたげな。
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
磐安ばんあんさんがわたしを女房にようぼに持つてくれぬかしら」とは、たかのしば/\口にした所であつた。推するに橋わたしは石川であつたかも知れない。当時懐之くわいしの家は富裕であつた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
氷屋が彼方此方あつちこちらで大きい声を出して客を呼んで居る中へ、屋台に吊つて太鼓を叩いて菓子うりが来た辻に留つて背の高い男と、それよりも少し年の上のやうな色の黒い女房にようぼとが
住吉祭 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
長屋中の女房にようぼが長雨に着古したつぎはぎの汚れた襦袢や腰卷や、又は赤兒の襁褓おしめや下駄からかさ、臺所の流しなぞを、氣のちがつたやうなすさまじい勢で、洗つたり干したりして、大聲に話して居る
歓楽 (旧字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
「外の人ならいざ知らず、附いてゐる女房にようぼの私が……それはもう間違無しよ!」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
女房にようぼが無いで身締みじまりどうかうのなどと其様そんな心配は、長二や、お前のことだもの少しも有りはせぬが、お前にしてからが何程心淋しいか知れはせぬよ、女など何の役にも立たぬ様に見えるが
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
やす女房にようぼの連ツ子は
別後 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
女房にようぼ語部かたりべ
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
ふくろ田舍いなか嫁入よめいつたあねところ引取ひきとつてもらひまするし、女房にようぼをつけて實家さともどしたまゝ音信不通いんしんふつうをんなではありしいともなんともおもひはしませぬけれど
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
休茶屋やすみぢやゝ女房にようぼふちの厚い底のあがつたコツプについで出す冷酒ひやざけを、蘿月らげつはぐいと飲干のみほしてのまゝ竹屋たけや渡船わたしぶねに乗つた。丁度ちやうどかは中程なかほどへ来たころから舟のゆれるにつれて冷酒ひやざけがおひ/\にきいて来る。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
くらものはあるまいとてくちぜいねばわがおもしろにひと女房にようぼひようしたてる白痴こけもあり、豆腐おかべかふとて岡持おかもちさげておもていづれば、とほりすがりのわかひとふりかへられて
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
乃公おれ女房にようぼはもう死んだ。
虫干 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
数の中にはにうけてこんな厄種やくざ女房にようぼにと言ふて下さる方もある、持たれたら嬉しいか、添うたら本望か、それが私は分りませぬ、そもそもの最初はじめから私は貴君が好きで好きで
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
かずなかにはにうけて此樣こん厄種やくざ女房にようぼにとふてくださるかたもある、たれたらうれしいか、うたら本望ほんもうか、れがわたしわかりませぬ、そも/\の最初はじめからわたし貴君あなたきできで
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
年目ねんめにはわたしところにもお目出めでたうを他人ひとからははれて、犬張子いぬはりこ風車かざぐるまならべたてるやうりましたれど、なんのそんなことわたし放蕩のらのやむことか、ひとかほ女房にようぼたせたらあしまるか
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
久しい馴染なじみでござんしたけれど今は見るかげもなく貧乏して八百屋の裏の小さなうちにまいまいつぶろの様になつていまする、女房にようぼもあり子供もあり、私がやうな者に逢ひに来るとしではなけれど
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ひさしい馴染なじみでござんしたけれどいまるかげもなく貧乏びんぼうして八百屋やほやうらちいさなうちにまい/\つぶろのやうになつてまする、女房にようぼもあり子供こどももあり、わたしがやうなものひにとしではなけれど
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
女房にようぼぐらゐぐされぬこと御座ござりますまいし、一せうなが御座ござります。
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)