“夢寐:むび” の例文
“夢寐:むび”を含む作品の著者(上位)作品数
吉川英治18
島崎藤村2
森鴎外2
正岡子規2
泉鏡花1
“夢寐:むび”を含む作品のジャンル比率
文学 > ドイツ文学 > その他のゲルマン文学14.3%
哲学 > 倫理学・道徳 > 人生訓・教訓12.5%
歴史 > 伝記 > 個人伝記1.7%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
われは平生夢寐むびの間に往來する所の情の、終に散じ終にせうすること此飛泉と同じきを想ひて、忽ち歌ひ起していはく。
ああ。その待ちに待っている唐草銀五郎が、すでに、禅定寺ぜんじょうじ峠の土になっているとは、夢寐むびにも知らぬのであった。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
抽斎は時々じじ譫語せんごした。これを聞くに、夢寐むびあいだに『医心方』を校合きょうごうしているものの如くであった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
事に當り率爾に思慮することは、譬へば臥床夢寐むびの中、奇策妙案を得るが如きも、明朝起床の時に至れば、無用の妄想に類すること多し。
遺訓 (旧字旧仮名) / 西郷隆盛(著)
合淝がっぴの城をあずかって以来、張遼ちょうりょうはここの守りを、夢寐むびにも怠ったためしはない。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
母君の御息所みやすどころの霊が宙宇にさまよって、どんな苦しみを経験しておいでになることかとは中宮の夢寐むびにもお忘れになれないことで
源氏物語:38 鈴虫 (新字新仮名) / 紫式部(著)
たとい装いを変え給うとも、三年このかた夢寐むびにも忘れぬ御面影おんおもかげを、いかで見逃し候べき。
秘密 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
綱宗の夢寐むびの間におもひせた亀千代は、万治三年から寛文八年二月まで浜屋敷にゐた。
椙原品 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
恋をしようと、一個のい鎧具足を註文しようと、彼等のあいだには常に、夢寐むびの間にも、「明日あすは知れないいのち」という人生観があった。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
坂本以来、夢寐むびの間も、光春が心ひそかにおそれていたものは、実に、光秀がいつか自己に敗れて、この言をなすのではあるまいかという予感であった。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
是等の作品の抒情詩的甘露味はかの化政度の通人などの夢寐むびにも到り得る境地ではない。
芭蕉雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
思ひ設けざる事に當り、一點動搖せず、安然として其事を斷ずるところにおいて、平日やしなふ處の膽力を長ずべし、常に夢寐むびの間において我膽を探討すべきなり。
遺訓 (旧字旧仮名) / 西郷隆盛(著)
〔譯〕誠否せいひは、須らく夢寐むびちゆうの事に於て之をけんすべし。
夢寐むびの間も、忘れてはいないのである。武蔵は、そういうとすぐ眼を曇らせてしまった。
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし、竹童がめたおされたのも目撃もくげきしたし、その魁異かいい妖人ようじんのすがたは、夢寐むびにもわすれていない仇敵きゅうてきである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この俊爽なる法官は実に渠が三年みとせの間夢寐むびも忘れざりし欣さんならずや。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
計らずもその夢寐むびに忘れざる姿を見たりし彼が思は幾計いかばかりなりけんよ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
途中三回の暴風にあひ、難航をつゞけて、夢寐むびにも忘れかねた日本の島影を初めて認めることが出来たのは十月三日のことであつた。種ヶ島であつたらうと云はれてゐる。
夢寐むびも忘れずとへどわするるに似たらずやとまた歎けりこころ
九条武子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
五十五日の船旅の後で、彼は夢寐むびにも忘れることの出来ない土を踏んだ。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
夢寐むびにも忘れなかつた其人の前に、丑松は今偶然にも腰掛けたのである。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
この朝の尊氏にもそれが見えるが、そうじて彼のやりくちは、胸には夢寐むびにも忘れぬ大望をおいていながら、おおむね、その画策も運びも、人にやらせて見ているというふうだった。
みかどはそれを、夢寐むびにまで猜疑さいぎしておられるらしい。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『……相木熊楠の名をよもや忘れはしまいな。わしは、夢寐むびの間も忘れていない。男が、この胸へ、生涯焼きしるされたものを……。それが何であるかは、やがて、思い知るがよい』
篝火の女 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
咲二の——夢寐むびにも忘られない咲二の声が彼女の耳元で叫んだ。
日は輝けり (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
折角、小野派の門に入って、二年近い間というもの、夢寐むびにも、修業の念を忘れずにきたのに、今ここで破門されては大望の上の大蹉跌だいさてつ、どこに再びこれ程の名師を求め得よう。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
我が夢寐むびあひだに忘るゝことなかりしララなりき。
こうして寝ているまも、おれは今日まで出会って来た無慙むざんな人間の断末だんまつ形相ぎょうそうやわめき声が、ともすれば夢寐むびにまでつきまとって、寝ざめのよかった朝とてない。
人間山水図巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
幼ければ幼い時の面影に、年ばえは年ばえのように、婆は婆のように、宇治山田の米友には、夢寐むびにもその面影を忘るることができないでいたのに、ここへ来て、初めて正真のお玉を見ることができた。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
眠りつつ衰えてゆく奇病のために、妖婦のきずなに結ばれてぬぐわれぬ生涯の汚辱を求め、帰るべき主家へも帰られずに、武門のすたり者となっている自分と思うことを、夢寐むびにも忘れられません。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
夢寐むび雄敵ゆうてきあらわ
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また支麦輩の夢寐むびにも知らざるところなり。
俳人蕪村 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
夢寐むびにも忘れなかった郷里くにもとに、二年ぶりで、云わば心ときめかして帰って来た彼らは、そこで暮した二三カ月のうちに、今度はあのイシカリのむなしい野をけつくような思いで考えていた。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
いかなる難事が重なろうと、中原進出の大策は、夢寐むびも忘れることなき孔明の一念だった。そのことなくしては孔明もない。彼の望み、彼の生活、彼の日々、すべては凝ってそれへの懸命に生きていた。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
二子の言、夢寐むびかんずる者か。
俳句に譬喩ひゆを用ゐる者、俗人の好む所にしてその句多く理窟に堕ち趣味を没す。蕪村の句時に譬喩を用ゐる者ありといへども、譬喩奇抜にして多少の雅致をそなふ。また支麦輩の夢寐むびにも知らざる所なり。
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
一句五字または七字の中なほ「草霞み」「雨後の月」「夜蛇を打つ」「水に銭踏む」と曲折せしめたる妙は到底「頭よりすらすらと言ひ下し来る」者の解し得ざる所、しかも洒堂、凡兆らもまた夢寐むびにだも見ざりし所なり。
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
江戸では、釘勘の捕物陣とりものじん以来、兇賊狩きょうぞくがりのきびしい詮議に追われ、地方へ足を抜いては行く所に捕手の影がつきまとって、席のあたたまる間もない彼等も、その捜索は夢寐むびの間も忘れていない。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一句五字または七字のうちなお「草霞み」「雨後の月」「夜蛇を打つ」「水に銭蹈む」と曲折せしめたる妙は到底「頭よりすらすらと言い下し来たる」者の解し得ざるところ、しかも洒堂、凡兆らもまた夢寐むびにだも見ざりしところなり。
俳人蕪村 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
ともあれ、帰還の途にあっても、なお彼が、そういう土地土地の土俗の風や宗教的心理を採りあげて、徳をき、情になずませることを、夢寐むびにも忘れずにあったということは、単なる征夷将軍の武威一徹とは大いに異なるものがある。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
答「幼少より存じあげ、かたがた、薨去こうきょの当夜まで、お枕べに近い控えの間にいて、夢寐むびのまもなきおくるしみや折々のおん譫言うわごとさえ洩れ伺うておりました。いささか御胸中を拝知しておる一人かと自負しております」
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
夢寐むびの間にも此の語を吐くは如何に思い決して居るかが分る、殊に「皆なの為」の一言は実に秀子の今の辛い境遇を説明して余り有るのだ、其の身に懸る二重の汚名が、到底雪ぐ可き由はなくして其の筋に捕わるれば自分のみか此の家の家名にも
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
ひとるはかたくしてやすく、みずかるはやすくしてかたし、ただまさにこれを夢寐むびちょうもっみずかるべし、夢寐むびみずかあざむあたわず」と。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
「今年こそは、果たさなくては相すまぬ」と、夢寐むびにも、思いつづけて来たとはいえ、御恩命を拝してから二十一年の歳月を経たことは、誠に畏れ多く相すまぬ次第ではございますが、はからずも、その間、二十年の研究をこの絵に盛ることができましたので
「およそ人心じんしんうちえてきのこと、夢寐むびあらわれず、昔人せきじんう、おとこむをゆめみず、おんなさいめとるをゆめみず、このげんまことしかり」と。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
輦轂れんこくもと、一日とて、守備なくてはかないませぬ。しかも、戦乱の余燼よじんんだかに見えるのは、洛中だけのこと。不肖、信長の陣代として、変に備うる者どもは、まだ夢寐むびの間も、この具足わらじすら脱いでは寝てもおられぬのでござる。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
興る国——亡びる国——おまえらもずいぶん見て来ただろう。国の亡びた民のみじめさも知ってるだろう。——どうも是非のないものだ。われわれ侍の端くれも、重臣も、御主君はもとより、夢寐むびの間も、一尺の国土たりと、守り防ぎは忘れぬが……国の興亡は、実はお城にあるわけじゃないからな。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
劉皇叔りゅうこうしゅくとこの方とは、桃園に義をむすんで、天下の清掃を志し、以来百戦の中にも、百難のあいだにも、疑うとかそむくなどということは、夢寐むびにも知らぬ仲である。今日、過って呉の計に墜ち、たとえ一命を失うとも、九泉の下、なお桃園の誓いあり、九天の上、なお関羽の霊はある。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかも兄妹揃っていかなる悪因縁ぞ! 太子はいとい抜いていられるにもかかわらず、このキャゼリン・ジャルディン嬢の胸からは兄を成敗した美貌な年少太子のおもかげ夢寐むびにも消え去らず、今夏、遥々はるばる太子の後を慕ってボンベイから日本へ来朝したばかりの身の上だということなのであった。
ナリン殿下への回想 (新字新仮名) / 橘外男(著)
——われ先帝よりみなしごを託すの遺詔いしょうかしこみ、魏とともに天をいただかず、年来、暖衣を退け、飽食を知らず、夢寐むびにも兵馬を磨きてまざるものは、ただただ反国の逆賊を誅滅ちゅうめつし、天下をして漢朝一定の本来のすがたにかえさしめんとするねがいあるのみ。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すっかり支度をして来たのでござります。妻にも子にも思い残すことのないように。——お役には立つまいと存じまするが、浪人こそいたせ、旧家の御恩は、夢寐むびにも忘れては居りませぬ。この体を、何とぞおつかい願いたいのでござる。参る途中にも、鷹取、帆立ほたての国境の峠には、諸藩の兵が、もう二三千は固めておりました。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
御覧ぜられませ、小藩ながらこの本丸にも、三世の年月がり居りまする。徳川家の藩塀はんぺいとして、ここに一城を築きまするにも、一朝一せきのことではなく、藩祖浅野采女正の勲功くんこう、以後代々の忠誠に依り、御恩遇をこうむりましたこと、亡君内匠頭に於ても、夢寐むびのまも忘れ居らず、常に、臣等を勉め励まし、ただ御奉公一途に専心いたしおりましたに、不測の不調法、残念至極にござります。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)