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墜
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おと
ふりがな文庫
“
墜
(
おと
)” の例文
どうせ都市上空で迎え撃つものなら、なぜ事前に一機でも
墜
(
おと
)
してくれないのだろう。たとえ一トンの爆弾でも無効になるではないか。
一つの世界:――私信――
(新字新仮名)
/
伊丹万作
(著)
師の房は、彼を憎んだことも、
墜
(
おと
)
し入れたこともないのに、幼少から今日まで弁海が範宴を憎悪することはまるで仇敵のようである。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
零落不平素志を達せずして
終
(
つひ
)
に道徳上世に
容
(
い
)
れられざる人となることもあるべし。
憤懣
(
ふんまん
)
短慮終に自己の名誉を
墜
(
おと
)
すこともあるべし。
罪過論
(新字旧仮名)
/
石橋忍月
(著)
しかもそれは一石にして二鳥を
墜
(
おと
)
す名案でもあったのです。……オヤ、どうかしましたか。しっかりなさい。まだお話することがあります。
何者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
玄機は前夜のうちに観の
背後
(
うしろ
)
に土を取った穴のある処へ、緑翹の
屍
(
かばね
)
を抱いて往って、穴の中へ推し
墜
(
おと
)
して、上から土を掛けて置いたのである。
魚玄機
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
しかして
萬
(
よろづ
)
の
被造物
(
つくられしもの
)
の
長
(
をさ
)
なりしかの第一の
不遜者
(
ふそんじや
)
が光を待たざるによりて
熟
(
う
)
まざる先に
墜
(
おと
)
し事よくこれを
證
(
あかし
)
す 四六—四八
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
これ
蓋
(
けだ
)
し、すでに腹の畑は
肥
(
こや
)
しができ、掘り起こされて
土壤
(
どじょう
)
が柔かになり、
下種
(
かしゅ
)
の時
晩
(
おそ
)
しと待っているところに、空飛ぶ鳥が
偶然
(
ぐうぜん
)
一
粒
(
りゅう
)
墜
(
おと
)
したり
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
今度の一件も薩州屋敷あたりの者が内々で運動費を使って、こんな
悪戯
(
いたずら
)
をして、幕府の歩兵の信用を
墜
(
おと
)
させようと企てたのであろうと云うのです。
半七捕物帳:62 歩兵の髪切り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「すると、昨晩の十時から十一時までの間に殺された訳ですね。そしていつ頃に投げ
墜
(
おと
)
されたものでしょう?」
デパートの絞刑吏
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
白刃をポロリと地上に
墜
(
おと
)
すと体を
絞
(
しぼ
)
り
手拭
(
てぬぐい
)
のようにねじって、両手を代り代りに伸ばしては虚空をつかむと見えたが、やがて、ズドーンと地上に転落した。
くろがね天狗
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
第八号機がまっ先にうち
墜
(
おと
)
された。つづいて「毒ガスの雨を降らしてやるぞ。」といばっていた第十号機が、雲間に悲しいさけびを立てながら燃え落ちた。
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
万乗の君主金冠を
墜
(
おと
)
し、
剃刀
(
ていとう
)
の冷光
翠髪
(
すいはつ
)
を
薙
(
な
)
ぐ。悲痛何ぞ
能
(
よ
)
く
堪
(
た
)
えんや。
呉王
(
ごおう
)
の教授
揚応能
(
ようおうのう
)
は、臣が名
度牒
(
どちょう
)
に応ず、願わくは祝髪して
随
(
したが
)
いまつらんと
白
(
もう
)
す。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
パッティが晩年まで「歌の女王」の名声と格式を
墜
(
おと
)
さなかったのは、この要領のためであったかも知れない。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
斯うなると、世間の注目は私一身に
叢
(
あつ
)
まっているような気がして、何だか嬉しくて嬉しくて
耐
(
たま
)
らないが、一方に於ては此評判を
墜
(
おと
)
しては大変という心配も起って来た。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
地獄に
墜
(
お
)
ちてもだえ苦しむ者と、地獄に
墜
(
おと
)
して喜ぶ悪魔との
咽喉
(
のど
)
から一緒になって、ただ地獄からだけ聞えてくるものと思われるような、なかば恐怖の、なかば勝利の
黒猫
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
主
(
あるじ
)
は彼の
為人
(
ひととなり
)
を知りし
後
(
のち
)
、
如此
(
かくのごと
)
き人の
如何
(
いか
)
にして高利貸などや志せると疑ひしなり、貫一は
己
(
おのれ
)
の履歴を
詐
(
いつは
)
りて、如何なる失望の極身をこれに
墜
(
おと
)
せしかを告げざるなりき。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
河に突き
墜
(
おと
)
された雪の塊が、船の間にしきりに流れて来る。それに陽がさすと
窈幻
(
ようげん
)
な氷山にも見える。こんなものの中にも
餌
(
えさ
)
があるのか、烏が下り立って、
嘴
(
くちばし
)
で
掻
(
か
)
き
漁
(
あさ
)
る。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
その魂さえ地獄へ
墜
(
おと
)
した筈の坂下鶴吉は、そうした罪悪を犯した事が却って懺悔の材料となり、天国へ行けると云うことは、少くとも私にとっては奇怪至極な理窟のように思われます。
ある抗議書
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
もし兵衛が病死したら、勿論いくら打ちたくとも、
敵
(
かたき
)
の打てる筈はなかった。と云って兵衛が生きたにせよ、彼自身が命を
墜
(
おと
)
したら、やはり永年の艱難は水泡に帰すのも同然であった。
或敵打の話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
が、子供の僕は、しかしやはり振り
墜
(
おと
)
されている人間ではなかったのだろうか。
鎮魂歌
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
廟の傍の林には数百の鴉が棲んでいて、その前を往来する舟を数里の
前
(
さき
)
まで迎えに往って、舟の上に群がり飛ぶので、舟から肉を投げてやると一いち
啄
(
くちばし
)
でうけて、下に
墜
(
おと
)
すようなことはなかった。
竹青
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「
可
(
い
)
けません可けません、私は大事の体です。これから出世しなくちゃなりません。信用を
墜
(
おと
)
しちゃ大変です」お島は片意地らしく
脅
(
おど
)
しつけるように言って、筋張った彼の手をきびしく
払退
(
はらいの
)
けた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
渠は我を
後
(
うしろ
)
ざまに馬の脊に掻き載せて、おのれは前の方に跨り、水に
墜
(
おと
)
さぬ用心なりとて、太き綱を我胸と
肘
(
ひぢ
)
とのめぐりに卷きて、脊中合せにしかと負ひたり。我には手先を動かす餘地だになかりき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
『恨めしい茂作さん、わたしを天から
墜
(
おと
)
したね。』
小熊秀雄全集-14:童話集
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
一層ぞんざいに
墜
(
おと
)
し入れている。
日本探偵小説界寸評
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
墜
(
おと
)
すようなことはしなかった。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
善く導きて、名をな
墜
(
おと
)
しそ。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
いや、その一瞬に、足場板もろとも、まッ逆さまにぼくはドックの底へ
墜
(
おと
)
されていたのである。高さは約四十
呎
(
フィート
)
ぐらいだったかと思われる。
忘れ残りの記:――四半自叙伝――
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
とりあへずその椿を掘り倒してみたが、その結果はいたづらに賣卜者の信用を
墜
(
おと
)
すにすぎなかつた。
半七捕物帳:01 お文の魂
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
被害者野口が
墜
(
おと
)
されたと思われる東北側の隅へ歩み寄り、腰を
屈
(
かが
)
めてタイル張りの床を透かして見たり外廓を取り
繞
(
め
)
ぐる鉄柵の内側に沿う三尺幅の植込みへ手を突込んで
デパートの絞刑吏
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
千人を
遣
(
や
)
りて
詐
(
いつわ
)
りて
降
(
くだ
)
らしめ、燕王を迎えて城に入らしめ、
予
(
かね
)
て壮士を城上に伏せて、王の入るを
侯
(
うかが
)
いて大鉄板を
墜
(
おと
)
して
之
(
これ
)
を撃ち、又別に
伏
(
ふく
)
を設けて橋を断たしめんとす。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
と思った瞬間、頭の上からバッサリ、熱くて重いものが、わしを、突き
墜
(
おと
)
すように、落ちてきた。そして、
呀
(
あ
)
ッという間に、ヌラヌラと、顔や腕を撫でて、下へ墜落していった。
夜泣き鉄骨
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
こんな家業に身を
墜
(
おと
)
されたのも、
已
(
や
)
むを得ざる事情の為とは承知してをりますが、父への追善、又その遺族の路頭に迷つてゐるのを救ふのと思つて、金を貸すのは
罷
(
や
)
めて下さい。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
幸
(
さいわい
)
に竜池は偽善を以て子を
篏制
(
かんせい
)
しようとはしなかった。自分の地味な遊には子之助を侍せしめて、これに教うるに酒色の
筵
(
むしろ
)
にあっても品位を
墜
(
おと
)
さぬ心掛を以てした。子之助の態度は
此
(
ここ
)
に一変した。
細木香以
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
東両国は石原の利助の縄張で、今では廃人同様の利助が、娘のお
品
(
しな
)
に助けられながら、
僅
(
わず
)
かに十手捕縄の威光を
墜
(
おと
)
さずにいるのは、銭形平次の好意で、子分の八五郎を後見に付けておくからでした。
銭形平次捕物控:067 欄干の死骸
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「抜かりはございませぬ。——しかも逆茂木打った道へは、
八重
(
やえ
)
十文字に素縄を張りめぐらし、その上に、
墜
(
おと
)
し
穽
(
あな
)
まで仕掛けてありますれば」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そういう周囲の事情から、彼は次第に主君の信用をも
墜
(
おと
)
しかけて来たところへ、足利兄弟が不和を生じて、兄の尊氏と弟の直義とが敵味方に引き分かれることになった。
小坂部姫
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
わざわざ運び込んで屋上から投げ
墜
(
おと
)
し墜死に見せかけよう、なんてナンセンスは信じられない。
デパートの絞刑吏
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
すると源三は何を感じたか
滝
(
たき
)
のごとくに涙を
墜
(
おと
)
して、ついには
啜
(
すす
)
り
泣
(
なき
)
して
止
(
や
)
まなかったが、泣いて泣いて泣き
尽
(
つく
)
した
果
(
はて
)
に
竜鍾
(
しおしお
)
と立上って、背中に付けていた
大
(
おおき
)
な
団飯
(
むすび
)
を
抛
(
ほう
)
り捨ててしまって
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
東京市なんか、敵国の爆撃機が飛んできて、たった五
噸
(
トン
)
の爆弾を
墜
(
おと
)
せば、それでもう、大震災のときのような
焼土
(
しょうど
)
になるんです。そのとき敵の飛行機は、きっと毒瓦斯を投げつけてゆきます。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
馬場は三度目にようよう箕浦の首を
墜
(
おと
)
した。
堺事件
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
そこから直ぐ海口の方へ寄って
鳴海
(
なるみ
)
の城がある。これは一時は織田で
墜
(
おと
)
したが、その後また、駿河勢力に
蚕蝕
(
さんしょく
)
されて、今では敵の
岡部元信
(
おかべもとのぶ
)
が固めている。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
秀吉が姿絵を氏郷の造らせたということを聞いて感涙を
墜
(
おと
)
したというのも、何だか一寸考えどころの有るようだが、全くの感涙とも思われる。すべてに於て想察の
纏
(
まと
)
まるような材料は無い。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
つまり、屍体は、タンク機関車73号から
墜
(
おと
)
されたもので、同時にこれらの血の雫は、同じ73号の
操縦室
(
キャッブ
)
の床の端から、機関車が給水で停車している時から落始めたものだ、と言う風にね。
気狂い機関車
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
織田
砦
(
とりで
)
の
鷲津
(
わしづ
)
、丸根を攻め
墜
(
おと
)
した手際から見て、信長は、最も油断のならぬ敵として、重視していたからである。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
糺
(
ただす
)
の
原
(
はら
)
で、
他人
(
ひと
)
を、野火に
墜
(
おと
)
し入れようとした
悪戯
(
わるさ
)
が、かえって、自分を焼く火となって手痛い目に会ったので、その遺恨が、今もって、消えないのか。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかもその人は、ことしまだ
二十歳
(
はたち
)
の若さと聞いている。桶狭間の合戦の折、義元の
先手
(
さきて
)
を
承
(
うけたまわ
)
って、味方の
鷲津
(
わしづ
)
、丸根の
砦
(
とりで
)
を
墜
(
おと
)
したあの
手際
(
てぎわ
)
もよかった。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「遠巻きの戦法も不策、短気にかかって兵を損じるのも不策。いかにせば稲葉山の
天嶮
(
てんけん
)
を
墜
(
おと
)
すことができるか」
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
獄につないだまま、むじつの罪に
墜
(
おと
)
し入れようとするならば、獄を破っても、お救いして来なければならない
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「だまれッ、まだ罪がある。おまえは
仲間
(
ちゅうげん
)
の龍平と不義をしていた、そして、自分の罪をなするために、入れ札の時に、龍平の名をさして男を獄門に
墜
(
おと
)
した」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
墜
常用漢字
中学
部首:⼟
15画
“墜”を含む語句
墜落
失墜
撃墜
墜下
乱墜
墜道
突墜
墜児
隕墜
自墜落
空花乱墜
激墜
既墜
扇墜
小墜道
射墜
墜葉
墜落物
墜緒
墜入