城跡しろあと)” の例文
その音色ねいろは、さびしい城跡しろあとっている木々きぎながねむりをばさましました。また、ふるつくっている小鳥ことりをばびっくりさせました。
海のかなた (新字新仮名) / 小川未明(著)
落城後らくじょうごもなく、城跡しろあとの一三浦みうらぞくはかきずかれましたので、わたくし自分じぶん住居じゅうきょからちょいちょい墓参ぼさんをいたしましたが、はかまえつむっておがんでりますと
一行はいま私が講演した会場の寺院の山門を出て、町の名所となっている大河に臨み城跡しろあとの山へ向うところである。その山は青葉に包まれて昼も杜鵑ほととぎすが鳴くという話である。
みちのく (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
さつせえ、いまに太陽様おてんとうさまさつせえても、濠端ほりばたかけて城跡しろあとには、お前様めえさま私等わしらほかには、人間にんげんらしいかげもねえだ。偶々たま/\突立つゝたつて歩行あるくものは、しやうくねえ、野良狐のらぎつねか、山猫やまねこだよ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
勝沼かつぬままちとても東京こゝにての塲末ばすゑぞかし、甲府かうふ流石さすが大厦高樓たいかかうろう躑躅つつじさき城跡しろあとなどところのありとはへど、汽車きしや便たよりよきころにならばらず、ことさら馬車腕車ばしやくるまに一晝夜ちうやをゆられて
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
右のつらゝさへ我をはじめつらゝはめづらしからねばしひて見にゆく人なし。此清水村の阿部翁はむかしきこえたる阿部右衛門のじようが子孫也、世々清水こえ関守せきもりたり。こゝに長尾伊賀守の城跡しろあとあり。
唐津の浜に居りつつ城跡しろあとの年ふりしを幾たびか見む
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
そして、毎日まいにち日暮ひぐがたになると、城跡しろあとにいって、いつもおじいさんのこしかけるいしのそばにって、おじいさんのくるのをっていました。
海のかなた (新字新仮名) / 小川未明(著)
は、敦子あつこさまとちて、城跡しろあとの、あの良人おっとはかもうでたことがございましたが、そのみちすがら敦子あつこさまがわれたことはいまわたくし記憶きおくのこってります。——
城跡しろあとのところにいきますと、いつもおじいさんが屋台やたいろす場所ばしょ屋台やたいいてありました。そこからチャルメラのこえこえてきました。
子供の時分の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
なつ晩方ばんがたには、むら子供こどもらがおおぜい、この城跡しろあとあつまってきていしげたりおにごっこをしたり、またなわをまわしたりしてあそんでいました。
海のかなた (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたしは、このかぎをむかし城跡しろあとからつけしたのだから、むかしのものにちがいないとおもう。」と、一人ひとりがいいますと
三つのかぎ (新字新仮名) / 小川未明(著)
まちからすこしばかりはなれた、ちいさなさびしいむらでありました。むらにはむかし城跡しろあとがありました。
子供の時分の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
このあめりじいさんは、城跡しろあとぐちのところに、いつも屋台やたいろしました。そして、むらじゅうの子供こどもせるように、遠方えんぽうのぞんで、チャルメラをらしました。
子供の時分の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし、その秘密ひみつはこは、どこにうずもれているかわからなかった。若者わかものは、そのから、このむかし城跡しろあとやこの付近ふきんまちをたずねあるいて、黄金こがねはこはなしそうとしました。
三つのかぎ (新字新仮名) / 小川未明(著)
あるのこと、かれは、つかれたあしきずりながら、さびしいむかし城跡しろあととおったのであります。すると、こわれかかった石垣いしがきあいだに、夕日ゆうひひかりけて、ぴかぴかかがやいているものがありました。
三つのかぎ (新字新仮名) / 小川未明(著)