トップ
>
四方山
>
よもやま
ふりがな文庫
“
四方山
(
よもやま
)” の例文
海軍士官のとなりの重役風の人物は、事業で損をしなかった人物の円滑さで、向い側の陸軍軍人に、折々
四方山
(
よもやま
)
ばなしをしかけた。
播州平野
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
ある晩
双鶴館
(
そうかくかん
)
の
女将
(
おかみ
)
が話に来て
四方山
(
よもやま
)
のうわさのついでに倉地の妻の様子を語ったその言葉は、はっきりと葉子の心に焼きついていた。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
可
(
い
)
い
塩梅
(
あんばい
)
な
酔心地
(
よいごこち
)
で、
四方山
(
よもやま
)
の話をしながら、
螽
(
いなご
)
一ツ飛んじゃ来ない。そう言や一体蚊も
居
(
お
)
らんが、大方その
怪物
(
ばけもの
)
が
餌食
(
えじき
)
にするだろう。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と、塔十郎は
不躾
(
ぶしつけ
)
にならない程度に、花世の顔を正視しながら、初対面の挨拶を交わして、静かに、品よく、
四方山
(
よもやま
)
の座談に移る
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その頃、丸の内の杉山左京という旗本の邸に、月二三回ぐらいずつ毛色の変った人々が集まって、
四方山
(
よもやま
)
の話をする会があった。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
髪床の上り
框
(
がまち
)
に大胡坐をかいて、鳶の若い者や老舗の隠居を相手に、
日永
(
ひなが
)
一日将棋を囲みながら
四方山
(
よもやま
)
の座談を交すのが藤吉の日課であった。
釘抜藤吉捕物覚書:01 のの字の刀痕
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
僕
(
ぼく
)
は
先生
(
せんせい
)
と
對座
(
たいざ
)
して
四方山
(
よもやま
)
の
物語
(
ものがたり
)
をして
居
(
ゐ
)
ながら、
熟々
(
つく/″\
)
思
(
おも
)
ひました、
世
(
よ
)
に
美
(
うる
)
はしき
生活
(
せいくわつ
)
があるならば、
先生
(
せんせい
)
の
生活
(
せいくわつ
)
の
如
(
ごと
)
きは
實
(
じつ
)
にそれであると
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
一 小説家二、三人打寄りて
四方山
(
よもやま
)
の話したりし時
一人
(
いちにん
)
のいひけるはおよそ芸術を業とするものの
中
(
うち
)
にて我国当世の小説家ほど気の毒なるはなし。
一夕
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
とんぼと
山茶花
(
さざんか
)
は、それから、
四方山
(
よもやま
)
の
話
(
はなし
)
をしているうちに、
日
(
ひ
)
はまったく
暮
(
く
)
れてしまった。
花
(
はな
)
は、
闇
(
やみ
)
の
中
(
なか
)
で、とんぼを
見
(
み
)
ることができなかった。
寒い日のこと
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
根津の下宿に居たある年の夏の夜、圭一郎は茶の間に招かれて宿のをばさんと娘の芳ちやんと二人で
四方山
(
よもやま
)
の話をした。
業苦
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
表の間の格子のところで、四人の若い衆が、時々富士春を眺めたり、格子の外に立っている人を、すかして見たりしながら、
四方山
(
よもやま
)
話をしていた。
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
このたくさんの文字は小作人が語った
四方山
(
よもやま
)
の話だ。それが皆ゲラゲラ笑い出し、気味の悪い目付でわたしを見る。
狂人日記
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
実定は重兼を相手に、
四方山
(
よもやま
)
の世間話に打ち興じていたが、その内いつしか話題は平家一門の話にもふれていった。
現代語訳 平家物語:02 第二巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
四方山
(
よもやま
)
の物語に時移り、
入日
(
いりひ
)
の影も
何時
(
いつ
)
しか消えて、冴え渡る空に星影寒く、階下の
叢
(
くさむら
)
に蟲の鳴く聲露ほしげなり。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
そのとき宿の若い亭主が訪ねてきて
四方山
(
よもやま
)
ばなしをはじめ、あまりお世辞のよい男なのに、一杯さすと彼はこのウイスキーの質を賞めながら盛んにのむ。
瀞
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
何にも知らぬ二僧は、すっかり悦んで箸を取りながら主人や女中を相手に
四方山
(
よもやま
)
の
咄
(
はなし
)
の末、法眼が言いました。
茶屋知らず物語
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
あれやこれやと
四方山
(
よもやま
)
ばなしが出たなかで、どうやらその、手形で金を借りて、銀行の利子が払えそうなんだ。
桜の園
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
まず父母の
安
(
やす
)
きを問い、
四方山
(
よもやま
)
の話相手にもなり、とくに親孝行といわれるほどの人は、
二十四孝
(
にじゅうしこう
)
の芝居でみるように、肩をもみ腰をなで、
洗足
(
せんそく
)
の湯をとり
親子の愛の完成
(新字新仮名)
/
羽仁もと子
(著)
そのうちに渋茶がはいると、かねて中間に持たせて来た
鮓
(
すし
)
を今日の昼食として、なお
四方山
(
よもやま
)
の話をしていた。
初恋
(新字新仮名)
/
矢崎嵯峨の舎
(著)
幸子は夫と一緒なら兎に角、悦子と二人で旅館に泊るのも気が進まなかったし、久々で姉と
四方山
(
よもやま
)
の話をするには姉の家の方が便利であると考えた訳であった。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
と云いながら上へ
上
(
あが
)
り、是から
四方山
(
よもやま
)
の話を致しながら、春見は又作に
盞
(
さかずき
)
を差し、自分は飲んだふりをして、あけては差すゆえ、又作はずぶろくに
酔
(
え
)
いました。
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
四方山
(
よもやま
)
の話をして、間もなくお徳は帰りました。それに続いて、平次とガラッ八が出かけようとすると
銭形平次捕物控:055 路地の小判
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「こは
好
(
よ
)
きことを聞き得たり」ト、
数度
(
あまたたび
)
喜び聞え、なほ
四方山
(
よもやま
)
の物語に、時刻を移しけるほどに、日も
山端
(
やまのは
)
に
傾
(
かたぶ
)
きて、
塒
(
ねぐら
)
に騒ぐ
群烏
(
むらがらす
)
の、声かしましく聞えしかば。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
今、二人は岩の上の獣の皮の敷いてある上へ、
暢気
(
のんき
)
そうに腰をおろしながら、
四方山
(
よもやま
)
の話に余念がない。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
日の当った事のないように薄暗い部屋を見回すと、マントルピースの上に
淋
(
さび
)
しい水仙が
活
(
い
)
けてあった。主婦は自分に茶だの
焼麺麭
(
トースト
)
を
勧
(
すす
)
めながら、
四方山
(
よもやま
)
の話をした。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
色の白い、眉の迫った、
痩
(
や
)
せぎすな若主人は、
盆提灯
(
ぼんちょうちん
)
へ火のはいった縁先のうす明りにかしこまって、かれこれ初夜も過ぎる頃まで、
四方山
(
よもやま
)
の世間話をして行きました。
妖婆
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
間もなく方丈では主客うちくつろいでの
四方山
(
よもやま
)
の話がはじまった。
点火
(
あかり
)
もわざと暗くした
風情
(
ふぜい
)
の中に、おのおの
膳
(
ぜん
)
についた。いずれも
草庵
(
そうあん
)
相応な
黒漆
(
くろうるし
)
を塗った
折敷
(
おしき
)
である。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
寐顔の※ひを洗ひ捨てゝ
四方山
(
よもやま
)
を見るに、さりとは口惜しや一銭つかはで是ほど面白く風情ありしことを知らず、もたれたる遊びに金銭を費して無益の年月を送りけるよと
花のいろ/\
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
ドイツ見物に数週間ベルリンに
費
(
つい
)
やしたことがあったが、その際ある文士に会って、
四方山
(
よもやま
)
の文談を聞いたときに、話がゲーテとシラーに移って、両氏の性格および文才と
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
紅葉もまた打解けて少しも
蟠
(
わだかま
)
りがなく用件以外の
四方山
(
よもやま
)
の
世間咄
(
せけんばなし
)
をしてその夜を
更
(
ふ
)
かした。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
或日
(
あるひ
)
奥平の屋敷に
推参
(
すいさん
)
して久々の面会、
四方山
(
よもやま
)
の話の
序
(
ついで
)
に、主人公が一冊の原書を出して
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
あなたの深い静かな心に映った物ごとの
四方山
(
よもやま
)
ばなしをきかせて頂こうじゃありませんか
不連続殺人事件
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
家の者が茶の間へ集って茶でも飲みながら心静かに
四方山
(
よもやま
)
の話をしているだろうと云う事を、彼は、自分もかつてよくそうした仲間の一人であったのでよく知っているのであった。
田舎医師の子
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
初対面の私を
種々
(
しゅしゅ
)
厚遇してくれて、さて
四方山
(
よもやま
)
の
談話
(
はなし
)
の末に老僧がいうには
雪の透く袖
(新字新仮名)
/
鈴木鼓村
(著)
兎も角、釣道の一名家に相違無ければ、道連れになりしを、一身の誉れと心得、
四方山
(
よもやま
)
の話しゝて、緩かに
歩
(
あし
)
を境橋の方に移したりしに、老人は、いと歎息しながら一条の物語りを続けたり。
釣好隠居の懺悔
(新字旧仮名)
/
石井研堂
(著)
四方山
(
よもやま
)
の話をした末に賀川市長は教育者大会の失敗に終った話をした。
空中征服
(新字新仮名)
/
賀川豊彦
(著)
室の中央に火鉢がおかれ、その周囲に、老若諸大家が座をしめ、何とかいう茶人がたてる抹茶を服みながら、
四方山
(
よもやま
)
の話がはずみます。旅の話が出ているかと思うと、こちらでは鳥の話が出ている。
明治懐顧
(新字新仮名)
/
上村松園
(著)
四方山
(
よもやま
)
の話が出た。行一は今朝の夢の話をした。
雪後
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
女の外出などはくれぐれ気をつけねば物騒である。——と、いうような
四方山
(
よもやま
)
ばなしなどのすえ、しばらくは小右京の帰宅を待っていたが
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
むかしは吉原の全盛の色香に心を引かれたらしい。——三の輪の知人在宿にて、双方心易く、
四方山
(
よもやま
)
の話に夜が更けた。あるじ泊りたまえと平にいう。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一日
(
いちにち
)
われ
芝辺
(
しばへん
)
に所用あつて朝早くより
家
(
いえ
)
を出で帰途築地の
庭後庵
(
ていごあん
)
をおとづれしにいつもながら
四方山
(
よもやま
)
の話にそのまま
夜
(
よ
)
をふかし車を頂戴して帰りけり。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
敬
(
うや
)
まふ事大方ならず今日
計
(
はから
)
ずも伊賀亮の
來訪
(
らいはう
)
に
預
(
あづ
)
かれば自身に出迎ひて
座敷
(
ざしき
)
へ
請
(
しやう
)
じ久々にての對面を喜び種々
饗應
(
きやうおう
)
して
四方山
(
よもやま
)
の
物語
(
ものがた
)
りには及べり天忠言葉を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
四方山
(
よもやま
)
の話をもちかけたのは、一つは、これから仙台郷へ入って、なるべく
郷
(
ごう
)
に従わんとする用意としての、奥州語の会話の練習を兼ねんがためでありました。
大菩薩峠:34 白雲の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
と茶を
喫
(
の
)
みながら
四方山
(
よもやま
)
の話を致して居りますも、
自
(
おのずか
)
ら経済法が正しく、倹約の道に
適
(
かな
)
って居りまする。
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
田川夫妻は自然に葉子を会話からのけものにして、二人の間で
四方山
(
よもやま
)
のうわさ話を取りかわし始めた。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
周囲は
駕籠
(
かご
)
が通り人々は
煙草
(
たばこ
)
をふかし、茶をのみ乍ら
四方山
(
よもやま
)
の
咄
(
はな
)
しに
耽
(
ふけ
)
る普通の現実の世界である。
宝永噴火
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
四方山
(
よもやま
)
の話をして六時頃寿引上げかけたら、酒やで福神漬を売るから月番よろしくとのことで、わたしは日のかげったときゆっくり畑いじりしてみようと思っていたのに
獄中への手紙:11 一九四四年(昭和十九年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
たゞ何とのう
四方山
(
よもやま
)
の世間話をいたしましたり、又は諸国の昔話、浄瑠璃、草紙の類などを面白おかしゅうこしらえて、
道化
(
どうけ
)
た身ぶり手真似などを加えて申し上げますと
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
九人の山伏を相手にして、この夜おそくまで戸野兵衛は、機嫌よく
四方山
(
よもやま
)
の話をしていた。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
書肆某来りて
四方山
(
よもやま
)
の物語をす、余はかかる射利の徒と交はるだも心苦しけれどもこれも交際と思ひ返してよきほどにあしらへり、もし心に任せたる世ならましかば彼ら如き輩を
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
四
常用漢字
小1
部首:⼞
5画
方
常用漢字
小2
部首:⽅
4画
山
常用漢字
小1
部首:⼭
3画
“四方山”で始まる語句
四方山話
四方山噺
四方山語