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冷
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ひえ
ふりがな文庫
“
冷
(
ひえ
)” の例文
ことに近頃の冬は彼の
身体
(
からだ
)
に厳しく
中
(
あた
)
った。彼はやむをえず書斎に
炬燵
(
こたつ
)
を入れて、
両膝
(
りょうひざ
)
から腰のあたりに
浸
(
し
)
み込む
冷
(
ひえ
)
を防いだ。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
伊香保饅頭は
温
(
あった
)
かいうちは旨いが
冷
(
ひえ
)
ると往生で、
今坂
(
いまさか
)
なんざア食える訳のもんではありません……へえー藤村ので、
東京
(
とうけい
)
から来るお菓子で、へえ
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
スーッと身に
涼風
(
りょうふう
)
が当るように感じたそのうちに、エレヴェーターで下に降りるような気がしてきた。それと共に身体が
冷
(
ひえ
)
て、ガタガタ
慄
(
ふる
)
えだした。
蠅
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
寒中
雨雪
(
うせつ
)
に
歩行
(
ありき
)
て
冷
(
ひえ
)
たる人
急
(
きふ
)
に
湯火
(
たうくわ
)
を
用
(
もち
)
ふべからず。
己
(
おのれ
)
が
人熱
(
じんねつ
)
の
温
(
あたゝか
)
ならしむるをまつて用ふべし、
長生
(
ちやうせい
)
の一
術
(
じゆつ
)
なり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
その
中
(
うち
)
湯が
沸騰
(
わい
)
て来たから例の通り氷のように
冷
(
ひえ
)
た飯へ
白湯
(
さゆ
)
を
注
(
か
)
けて
沢庵
(
たくあん
)
をバリバリ、待ち兼た風に食い初めた。
竹の木戸
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
▼ もっと見る
夜更けてかえると
冷
(
ひえ
)
るので牛肉を半斤ばかり煮て食べるのが
仕来
(
しきた
)
りになっていた。それさえ口にしなかった。
松井須磨子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
停車場
(
ていしやば
)
から宿屋まで、僅か一町足らずの間に、夜風の
冷
(
ひえ
)
に
頤
(
おとがひ
)
を埋めた首巻が、
呼気
(
いき
)
の
湿気
(
しめり
)
で真白に凍つた。
菊池君
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
お
厭
(
いと
)
ひなくば
其所
(
そこ
)
は
冷
(
ひえ
)
れば
此方
(
こなた
)
にてと座敷の中へ
花莚
(
はなござ
)
を
敷
(
しか
)
せて
二個
(
ふたり
)
を
招
(
せう
)
ずるに此方は喜び
有難
(
ありがた
)
き旨を
演
(
のべ
)
つゝ上へ登り
風呂敷包
(
ふろしきづつみ
)
を
解開
(
ときひら
)
き辨當を出し
吹筒
(
すゐづつ
)
の酒を飮んと
爲
(
なし
)
けるを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
見渡す処、死んだ魚の眼の色は濁り
淀
(
よど
)
みその
鱗
(
うろこ
)
は青白く
褪
(
あ
)
せてしまい、
切身
(
きりみ
)
の血の色は
光沢
(
つや
)
もなく
冷
(
ひえ
)
切っているので、店頭の色彩が不快なばかりか
如何
(
いか
)
にも貧弱に見えます。
監獄署の裏
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
枯野
(
かれの
)
の
冷
(
ひえ
)
が
一幅
(
ひとはば
)
に細く肩の
隙
(
すき
)
へ入つたので、しつかと引寄せた下着の
背
(
せな
)
、
綿
(
わた
)
もないのに
暖
(
あたたか
)
く
二
(
に
)
の
腕
(
うで
)
へ触れたと思ふと、足を包んだ
裳
(
もすそ
)
が揺れて、絵の
婦人
(
おんな
)
の、
片膝
(
かたひざ
)
立てたやうな
皺
(
しわ
)
が
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
此
(
こ
)
ら
暖
(
ぬくと
)
くつてえゝ
鹽梅
(
あんべえ
)
だ、
冷
(
ひえ
)
させちやえかねえ」
彼
(
かれ
)
は
掛蒲團
(
かけぶとん
)
をとつぷり
蓋
(
ふた
)
した。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
その下には地球が刻々に零下二百七十四度に向って
冷
(
ひえ
)
て行きつつあります。
鼻の表現
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
照る月の
冷
(
ひえ
)
さだかなるあかり戸に眼は
凝
(
こ
)
らしつつ
盲
(
し
)
ひてゆくなり
黒檜
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
たのしみは
小豆
(
あずき
)
の飯の
冷
(
ひえ
)
たるを茶
漬
(
づけ
)
てふ物になしてくふ時
曙覧の歌
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
愛の
冷
(
ひえ
)
きつた世でござる、
何卒
(
どうぞ
)
箙
(
えびら
)
の矢をとつて
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
「わたしの
前生
(
さきしやう
)
はルンペンだつたのかしらん。遠い昔、野の草を宿としてゐて、
冷
(
ひえ
)
こんで
死
(
し
)
んだのかもしれない。それでこんなに
家
(
うち
)
のなかにばかりゐるのかしら?」
あるとき
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
文「町、
何
(
ど
)
うした、足が
冷
(
ひえ
)
るから
一寸
(
ちょっと
)
躓
(
つまず
)
いても怪我をする、
大分
(
だいぶ
)
血が出るな、
足袋
(
たび
)
を脱いで御覧」
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
屈
(
かゞ
)
めて
歩行
(
あるき
)
ながら三五郎に向ひ我等近頃
𬏣癪
(
せんしやく
)
にて折々
難澁
(
なんじふ
)
致すなりと申ければ三五郎聞て夫は彼の大津屋へ
入夫
(
にふふ
)
に
參
(
まゐ
)
つてより金が
溜
(
たま
)
りし故に
腰
(
こし
)
が
冷
(
ひえ
)
るの
成
(
な
)
んなんど
戯談
(
たはぶれ
)
つゝ先へ行を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
雲
(
くも
)
温
(
あたゝか
)
なる気を以て天に
升
(
のぼ
)
り、かの
冷際
(
れいさい
)
にいたれば
温
(
あたゝか
)
なる
気
(
き
)
消
(
きえ
)
て雨となる、
湯気
(
ゆげ
)
の
冷
(
ひえ
)
て
露
(
つゆ
)
となるが
如
(
ごと
)
し。(冷際にいたらざれば雲散じて雨をなさず)さて
雨露
(
あめつゆ
)
の
粒珠
(
つぶだつ
)
は天地の気中に
在
(
あ
)
るを以て也。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
おとなしく
炬燵
(
こたつ
)
にはひり日暮なりふりつつやみし雪のあとの
冷
(
ひえ
)
風隠集
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
柔
(
やわら
)
かい羽根は
冷
(
ひえ
)
きっている。
文鳥
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
打
揃
(
そろ
)
って座についたが、本堂は硝子障子が多いので、書院よりは明るいが、その
冷
(
ひえ
)
はひどかった。
遠藤(岩野)清子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
眼は
閉
(
と
)
ぢて
眶毛
(
まつげ
)
にさやる眼帯の
冷
(
ひえ
)
きはみけり月夜かも沁む
黒檜
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
新「アヽ、下りないでも宜いよ、
冷
(
ひえ
)
るといけねえよ」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
したしくは妻子とこもれ
雪
(
ゆき
)
あかりのこの
谿底
(
たにそこ
)
の日の暮の
冷
(
ひえ
)
風隠集
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
新「仕様がねえな
冷
(
ひえ
)
るといけないからお這入りよ」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
冷
(
ひえ
)
びえと雨が、さ
霧
(
ぎり
)
にふりつづく
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
冷
常用漢字
小4
部首:⼎
7画
“冷”を含む語句
冷笑
冷々
冷評
冷遇
冷水
冷淡
冷嘲
冷酒
冷却
冷奴
冷凍
湯冷
冷飯
冷泉
底冷
寒冷
冷気
秋冷
朝冷
冷冷
...