“光子(みつこ)” の例文
近所(きんじょ)の家(いえ)の二階(かい)の窓(まど)から、光子(みつこ)さんの声(こえ)が聞(き)こえていた。そのませた、小娘(こむすめ)らしい声(こえ)は、春先(はるさき)の町(まち)の空気(くうき)に高(たか)く響(ひび)けて聞(き)こえていた。
伸び支度 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「これは、きっと、お母(かあ)さんばちにちがいないわ。」と思(おも)うと、光子(みつこ)さんの目(め)の中(なか)からしぜんにあついなみだがこぼれおちたのです。
はちの巣 (新字新仮名) / 小川未明(著)
兄林助(りんすけ)の一番上の娘の子、八歳になる光子(みつこ)の手を引き、すこし大きな荷物になりそうだったので、「中学生」の俊次を、供(とも)につれた。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
光子(みつこ)は葉子が先生と一緒に学校へ来るのが妬(ねたま)しくてならなかった。その週間も過ぎて、つぎの地理の時間が来た。
先生の顔 (新字新仮名) / 竹久夢二(著)
そして私は、郊外の大気と日の光とに我を忘れてる光子(みつこ)を眺めて、小鳥のような女だと思ったのだった。そして私もまた、何かしら心が浮々としてきたのだった。
或る男の手記 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
と云うのは、その夕(ゆうべ)、光子(みつこ)のものに加えて、更にもう一つの雛段が、飾られねばならなかったからだ。
絶景万国博覧会 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
「一度僕は話の中に、冗談に、お婆さんと呼んだんだ。すると光子(みつこ)さんは泣いてしまったよ」
妻の秘密筥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
其(それ)も其筈(そのはづ)、実家(さと)は生計向(くらしむき)も豊(ゆた)かに、家柄(いへがら)も相当(さうたう)に高(たか)く、今年(ことし)五十幾許(いくつ)かの父(ちゝ)は去年(きよねん)まで農商務省(のうしやうむしやう)の官吏(くわんり)を勤(つと)め、嫡子(ちやくし)は海軍(かいぐん)の大尉(たいゐ)で、今(いま)朝日艦(あさひかん)に乗組(のりく)んで居(を)り、光子(みつこ)は唯(たつ)た一人(ひとり)の其妹(そのいまうと)として
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
ねえさんは光子(みつこ)といって高校一年生、弟は銀一(ぎんいち)といって中学一年生です。
超人ニコラ (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
種田は初婚の恋女房に先立たれてから三四年にして、継妻(けいさい)光子(みつこ)を迎えた。
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
数(かぞ)え歳(どし)の二つにしかならない男(おとこ)の児(こ)であるが、あのきかない気(き)の光子(みつこ)さんに比(くら)べたら、これはまた何(なん)というおとなしいものだろう。
伸び支度 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
勇(いさむ)ちゃんは、光子(みつこ)さんの家(うち)でいちばんおじいさんがこわかったのです。だから、もうそれっきりねこのことをいうのをやめてしまいました。
はちの巣 (新字新仮名) / 小川未明(著)
やがて先生は、光子(みつこ)という同級の生徒と連れだって歩いていらした。葉子は丁寧にお辞儀をした。先生は何事もなかった前のように、にこやかに「おはよう」を仰有った。
先生の顔 (新字新仮名) / 竹久夢二(著)
私(わたし)は此後(このゝち)或(あるひ)は光子(みつこ)を離縁(りえん)するかも測(はか)られぬ。次第(しだい)に因(よ)つては、光子(みつこ)の父母(ちゝはゝ)に、此事(このこと)を告白(こくはく)せぬとも限(かぎ)らぬ。が、告白(こくはく)したところで、離縁(りえん)をした処(ところ)で、光子(みつこ)に対(たい)する嫉妬(しつと)の焔(ほのほ)は、遂(つひ)に消(け)すことが出来(でき)ぬ。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
どうしてあの少(すこ)しもじっとしていないで、どうかすると袖子(そでこ)の手(て)におえないことが多(おお)かった光子(みつこ)さんを遊(あそ)ばせるとは大違(おおちが)いだ。
伸び支度 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
光子(みつこ)さんは、勇(いさむ)ちゃんがねこをいじるのはしつこくてかわいそうだけれど、いじめるのではないから、「うん。」といって、承諾(しょうだく)しました。
はちの巣 (新字新仮名) / 小川未明(著)
葉子は、いつか森先生に出逢(であ)った橋の所まで来ると、向うから光子(みつこ)が来るのに会った。
先生の顔 (新字新仮名) / 竹久夢二(著)
「まあ、そんなまねを、光子(みつこ)がしたのでございますか。」と、お母(かあ)さんは、顔(かお)を赤(あか)くして、おばあさんに、きまりのわるい思(おも)いをなさいました。
お姉ちゃんといわれて (新字新仮名) / 小川未明(著)
おばあさんは、たまが、やんまを食(た)べたからしかったと、お話(はなし)をしました。すると、光子(みつこ)さんは、おばあさんの顔(かお)を見(み)て
やんま (新字新仮名) / 小川未明(著)
光子(みつこ)さんが、学校(がっこう)へいこうとすると、近所(きんじょ)のおばあさんが、赤(あか)ちゃんをおぶって、日(ひ)の当(あ)たる道(みち)の上(うえ)に立(た)っていました。
お姉ちゃんといわれて (新字新仮名) / 小川未明(著)
三人(にん)は、子供(こども)たちの集(あつ)まっている方(ほう)へかけ出(だ)しました。そこには、小山(こやま)も、かね子(こ)も、光子(みつこ)も、とみ子(こ)もきていました。
赤土へくる子供たち (新字新仮名) / 小川未明(著)
私(わたし)は、お姉(ねえ)ちゃんといわれても、ちっともうれしいことはないわと、光子(みつこ)さんは、道(みち)を歩(ある)きながら、思(おも)いました。
お姉ちゃんといわれて (新字新仮名) / 小川未明(著)
午後(ごご)になると、妹(いもうと)の光子(みつこ)さんが、先(さき)に帰(かえ)ってきました。それからまもなく、次郎(じろう)さんのくつ音(おと)がして、元気(げんき)よく
気にいらない鉛筆 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「うちの花壇(かだん)のが、咲(さ)いたからいってみましょうよ。」と、光子(みつこ)さんは、きよをつれて、お庭(にわ)へ出(で)ました。
気にいらない鉛筆 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「わたし、お父(とう)さんからもらった小刀(ナイフ)をあげるから、にがしておやり。」と、光子(みつこ)さんはいいました。
花とあかり (新字新仮名) / 小川未明(著)
「自分(じぶん)のことは、自分(じぶん)でせいと、いつもお母(かあ)さんがおっしゃっているのですもの。」と、光子(みつこ)さんはいって、走(はし)って、自分(じぶん)の筆入(ふでい)れの中(なか)から、新(あたら)しい鉛筆(えんぴつ)を持(も)ってきました。
気にいらない鉛筆 (新字新仮名) / 小川未明(著)
よく見(み)ると、かね子(こ)さんと、光子(みつこ)ちゃんらしいのです。そして、ぴかりとしたのは、だれか、コンパクトに、ついているかがみで、日(ひ)をてりかえして、自分(じぶん)に、いたずらを、したのです。
赤土へくる子供たち (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ねえ、正(しょう)ちゃん、にがしておやり。」と、光子(みつこ)さんはなみだぐみました。
花とあかり (新字新仮名) / 小川未明(著)
「この年(とし)になっても、おばあさんは、ばかだね。光子(みつこ)ちゃん、こちらへおいで。」と、いって、おばあさんは、光子(みつこ)さんの頭(あたま)をなでてやりながら、自分(じぶん)にも、こんなような女(おんな)の子(こ)か、先刻(さっき)の
やんま (新字新仮名) / 小川未明(著)
「光子(みつこ)さん、あっちへいって、じゅずだまを取(と)りましょうよ。」と、いいました。草(くさ)むらの中(なか)には、つゆくさがむらさきの花(はな)を咲(さ)かせていました。へびいちごの赤(あか)い実(み)が、じゅくしていました。
赤土へくる子供たち (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのとき、そこへお隣(となり)の光子(みつこ)さんが、たまを抱(だ)いて入(はい)ってきました。
やんま (新字新仮名) / 小川未明(著)