トップ
>
仰
>
おっ
ふりがな文庫
“
仰
(
おっ
)” の例文
「お客さんは、わたしより古くから、殿さまを知っているって
仰
(
おっ
)
しゃったけれど、殿さまのことはなにも御存じないようだからです」
樅ノ木は残った:04 第四部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「お師匠さま、お前をもはばからず、取りみだし、申しわけもござりませぬ。心を平らに伺いますゆえ、なにとぞ、
仰
(
おっ
)
しゃって——」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
今
仰
(
おっ
)
しゃった事がほんとうなら
飛立
(
とびた
)
つ程嬉しいが、只今も申す通り、
私
(
わし
)
は今じゃア
零落
(
おちぶ
)
れて
裏家住
(
うらやずま
)
いして、人力を
挽
(
ひ
)
く
賤
(
いや
)
しい身の上
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
況
(
いわ
)
んや、こちらにも同じような欠点があるのを、潔く貰ってやると
仰
(
おっ
)
しゃる御心には、涙を流して感謝致して居るので御座います。
秘密の相似
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
「仕方が無い、争って居る時間が無い。それでは、あの
娘
(
こ
)
を救うために、私が外の手段を採っても、不服を
仰
(
おっ
)
しゃってはいけませんよ」
判官三郎の正体
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
と、冷やかすように
仰
(
おっ
)
しゃった。己は藝術家の
何
(
なん
)
たるかを知らないのだから“Yes”とも“No”とも答える訳に行かなかった。
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「ええ、行って来ました。何だそうです。
明日
(
あした
)
御引移りになるそうです。今日これから上がろうと思ってた所だと
仰
(
おっ
)
しゃいました」
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「ひどい風ですね、硝子障子が頭の上に倒れるかと思って、心配で寝られなかった」と
仰
(
おっ
)
しゃりながら、私達の申上げたことに対しては
秩父宮殿下に侍して槍ヶ岳へ
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
今しがたも、わたしのママのことを、なんて言ってらしたの? ご自分の妹じゃありませんか? なんだって、あんなことを
仰
(
おっ
)
しゃるの?
桜の園
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「もう
仰
(
おっ
)
しゃって下さるな、人には人の天命ありです。いくら妖人が祟ろうと、人命を支配するなどという理はうなずけません」
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
別段わたくしたちには、何にも
仰
(
おっ
)
しゃいません。ハイ、東京からは時々、片仮名の手紙が来ていました。絵葉書もまいりました。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「病人に何だって、こんなばかなことをさしとくのだ」鼈四郎はモデルの娘に当った。モデル娘は「だって、こちらが
仰
(
おっ
)
しゃるんですもの」
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
で、私は、貴方の
仰
(
おっ
)
しゃる通り、出来得べくば、男を元の京都に帰して、
此処
(
ここ
)
一二年、娘は
猶
(
なお
)
お世話になりたいと存じておりますじゃが……
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
貴方
(
あなた
)
が、
幾何
(
いくら
)
仰
(
おっ
)
しゃっても、僕は政治などには、興味が向かないのです。
殊
(
こと
)
に現在のような議会政治には、何の興味も持っていないのです。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「イヤ何とも
仰
(
おっ
)
しゃりはしないが、アレ以来始終
気不味
(
きまず
)
い顔ばかりしていて打解けては下さらんシ……それに……それに……」
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「いいえ。
知
(
し
)
らぬことはございますまい。
先程
(
さきほど
)
お
出
(
で
)
かけなさる
時
(
とき
)
、
帯
(
おび
)
を
何
(
な
)
んとやら
仰
(
おっ
)
しゃったのを、
新
(
しん
)
七は、たしかにこの
耳
(
みみ
)
で
聞
(
き
)
きました」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
近江へ往くとは
仰
(
おっ
)
しゃいましたが、わたくしには
実
(
まこと
)
とは思われませんでした。なぜかしらそんな気が致したのでございます。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
由比少佐
(
ゆいしょうさ
)
の
挨拶
(
あいさつ
)
ほどなく由比少佐が出て来られて、やはり同じように伊藤さんの
仰
(
おっ
)
しゃった事を始めに言うて、それから
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
三月の赤ん坊を
此家
(
ここ
)
へつれて来るって? 駄目よ、旦那さまはきっと
可
(
い
)
けないと
仰
(
おっ
)
しゃるわ、心配が大変だからね。怪我でもあったらどうするの。
小さきもの
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
「
白柄組
(
しらつかぐみ
)
とか名をつけて、町人どもを
嚇
(
おど
)
して歩く、
水野十郎左衛門
(
みずのじゅうろうざえもん
)
が仲間のお侍で、
青山播磨
(
あおやまはりま
)
様と
仰
(
おっ
)
しゃるのは、たしかあなたでごぜえましたね」
番町皿屋敷
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
今日は
兄
(
あにき
)
の機嫌はどうだなんて、よく
仰
(
おっ
)
しゃってたものですよ、それが昨年の暮比からみょうに黙りこんで、
厭
(
いや
)
な物でも
眼前
(
めのまえ
)
にいるようにしてるのですよ
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
『よくそれ
丈
(
だけ
)
の
考
(
かんが
)
えがついた。それでこそ
任務
(
つとめ
)
が
立派
(
りっぱ
)
に
果
(
はた
)
される……。』そう
仰
(
おっ
)
しゃって
戴
(
いただ
)
いたのでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
もう一度去年見た村の古い家並みが見てきたいと
仰
(
おっ
)
しゃられるので、私たちもそこまでお
伴
(
とも
)
をすることにした。
楡の家
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
「民さんは町場もんですから、春蘭などと品のよいこと
仰
(
おっ
)
しゃるのです。矢切の百姓なんぞは『アックリ』と申しましてね、
皸
(
あかぎれ
)
の薬に致します。ハハハハ」
野菊の墓
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
それで誰か一人、坊っちゃまのお相手をして、ゆく/\は杖とも柱ともなってくれるような人がいれば世話をしてみたいと
仰
(
おっ
)
しゃっていらっしゃいますの。
地上:地に潜むもの
(新字新仮名)
/
島田清次郎
(著)
「さようでございます、
清元
(
きよもと
)
が大層気に入りまして——踊りも
質
(
たち
)
がいいと
仰
(
おっ
)
しゃってくださいますので——」
旧聞日本橋:12 チンコッきり
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「オオ。そう云う貴方はお父さん、私はその香潮です。そして美留藻はまだ帰らぬと
仰
(
おっ
)
しゃるのですか」
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
「いえ
仰
(
おっ
)
しゃったとおりポントスは死んでいました。やはりキャバレー・エトワールの中でした。ちょっと気がつかない二重壁の中に閉じ籠められていたのです」
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
女優も近々出来ましょうが、やはり男でなくては勤めにくい女の役があると
仰
(
おっ
)
しゃる方もございます。西洋でも昔は男ばかりで女の役を勤めましたそうでございます
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
私はC子氏に対しては
仰
(
おっ
)
しやる通りに或る侮蔑を持つて居ります。然しそれは、あなたには些の関係もないC子氏で御座います。私は「世間知らず」後のC子氏は存じません。
編輯室より:(一九一四年一月号)
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
「おれは植木の医者の方が上手かも知れない。
蟠竜
(
はんりょう
)
というのはこんなのだろう。これを見ると深山の
断崖
(
だんがい
)
から、
千仞
(
せんじん
)
の谷に
蜿蜒
(
えんえん
)
としている
老松
(
おいまつ
)
を思い出すよ」と
仰
(
おっ
)
しゃるので
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
なるほど、そう
仰
(
おっ
)
しゃれば、阿闍利さまのお話をおききするよりも
悠閑
(
のんびり
)
とお笑いになるお顔を見ているだけでも、それだけわたくしだちの心がのびのびいたすのでございます。
あじゃり
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
と
仰
(
おっ
)
しゃった。私はその日、戻るとすぐ清書して送ったが、それっきりである。私は、筆記もとれないらしいのである。その内に、子が出来た。「木の実」という名をつけた。
死までを語る
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
滅相
(
めっそう
)
なこと
仰
(
おっ
)
しやりますな。病気なしの十年延命なら誰しもいやはございません、この頃のやうに痛み通されては一日も早くお迎への来るのを待つて居るばかりでございます。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
大江山
(
おおえやま
)
の鬼が食べたいと
仰
(
おっ
)
しゃる方があるなら、大江山の鬼を
酢味噌
(
すみそ
)
にして差し上げます。
足柄山
(
あしがらやま
)
の
熊
(
くま
)
がお
入用
(
いりよう
)
だとあれば、
直
(
す
)
ぐここで足柄山の熊をお
椀
(
わん
)
にして差し上げます……
梨の実
(新字新仮名)
/
小山内薫
(著)
「次郎さん、こうなったからには、もう、お祖母さんの
仰
(
おっ
)
しゃるように、押しづよく出るより手はありませんよ。……しかし、旦那が帰っておいでたら、何と仰しゃいますかね。」
次郎物語:03 第三部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
「ハイ、
妾
(
わたし
)
何んだか
恐
(
こわ
)
い様に思いますけど、阿父様の
仰
(
おっ
)
しゃる事なら参りましょう」
黄金の腕環:流星奇談
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
アナタはお淋しいだろうけれども、
何卒
(
どうぞ
)
私を手放して下さらぬか。私の産れたときにお父ッさんは坊主にすると
仰
(
おっ
)
しゃったそうですから、私は今から寺の小僧になったと
諦
(
あきら
)
めて下さい
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
丁度そこへ給仕が
註文
(
ちゅうもん
)
したものを持って来た。男はそれを
好
(
い
)
い事にして、女が「
仰
(
おっ
)
しゃいよ、仰しゃいよ」と云っても、給仕の方を目で見て、じれったそうな身振をするばかりである。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
「あなたは、生きた人間を殺さぬと、
仰
(
おっ
)
しゃったではありませんか」
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
さう目に角をたてゝ
仰
(
おっ
)
しやると私も言はなけりやあなりません、旦那、先ほどは何と仰やつた、ちちうがあつたら許さないと仰やいましたらう、そつちの包にこれほどでもちちうは有やあしますまい
いがみの権太:(明治二十九年一月、明治座)
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
あの皿は古びもあれば出来も
佳
(
よ
)
い品で、
価値
(
ねうち
)
にすればその猪口とは十倍も
違
(
ちが
)
いましょうに、それすら何とも思わないでお諦めなすったあなたが、なんだってそんなに未練らしいことを
仰
(
おっ
)
しゃるのです。
太郎坊
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「お名前、何て
仰
(
おっ
)
しゃるの?」
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
「あのう、こんなことをお
訊
(
たず
)
ねしては、失礼かもしれませんが、もしや貴方は、……あの繁二郎さんと
仰
(
おっ
)
しゃるのではございませんか」
夕靄の中
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
大変昂奮して妹さんの方が
仰
(
おっ
)
しゃるのを聞いたとか、後で山田さんという刑事の方が、家へ見えられた時に話していられました。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
あなたがたはそれを、やれ文化の影響だとか、古い生活はしぜん新しい生活に席を譲るべきだとか、
仰
(
おっ
)
しゃることでしょうね。
ワーニャ伯父さん:――田園生活の情景 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「いえ、母様へもそう申して参りました。母様は——龍之助様先途を見届けるのはお前の役目、私は決して止めはしない——と
仰
(
おっ
)
しゃいます」
大江戸黄金狂
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「オヤマア貴君にも似合わない……アノ
何時
(
いつ
)
か、気が弱くッちゃア主義の実行は到底覚束ないと
仰
(
おっ
)
しゃッたのは
何人
(
どなた
)
だッけ」
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「しかし御亡くなりになる前、島田とは絶交だから、
向後
(
こうご
)
一切
付合
(
つきあい
)
をしちゃならないって
仰
(
おっ
)
しゃったそうじゃありませんか」
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
近江へ往くとは
仰
(
おっ
)
しやいましたが、わたくしには
実
(
まこと
)
とは思はれませんでした。なぜかしらそんな気が致したのでございます。
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
仰
常用漢字
中学
部首:⼈
6画
“仰”を含む語句
仰向
被仰
仰臥
仰山
仰反
仰付
仰々
欽仰
仰有
大仰
渇仰
御仰
仰言
有仰
仰聞
仰天
振仰
随喜渇仰
讃仰
渇仰者
...