“一期:いちご” の例文
“一期:いちご”を含む作品の著者(上位)作品数
吉川英治14
泉鏡花5
中里介山5
夢野久作4
北原白秋2
“一期:いちご”を含む作品のジャンル比率
歴史 > 伝記 > 個人伝記1.3%
文学 > 日本文学 > 小説 物語1.3%
文学 > 日本文学 > 詩歌0.2%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
法然が亡くなった後にはその遺骨を一期いちごの問頭にかけて後には鎌倉右大臣の子息である高野の大将法印定暁に相伝えられた。
法然行伝 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それを見ていた錦子の、張り切っていた気持ちにくずれが来て、白い粉の薬を飲んだのが廿三の彼女の一期いちごの終りだった。
田沢稲船 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
「先日、明良あきらの邸へ参ったとき、十三日の後の月見こそ、一期いちごの折というようなことを申したそうな。なんのことだ」
鈴木主水 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
将軍御前で、万一、相手に言い伏せられるようなことでもあったら、それこそ、奉行たるものの面目はない、一期いちごの恥辱。
顎十郎捕物帳:09 丹頂の鶴 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
事実、彼はこの参内と、そして、めったにはめぐまれえない天子直々の拝謁を機に、或る一期いちごの覚悟をしていたらしい。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「明日こそは、家康をくだすか、秀吉がやぶるるか、一期いちごの大決戦をこころみん所存である。よく寝て、心支度、おこたるな」
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
巌流佐々木小次郎と、いつかは一度、一期いちごの面接は避け難いであろうとは、武蔵もく期していたことだった。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、この朝をもって老いの武者声の一期いちごと誓っているもののように、馬上、天をつくばかり指揮の手を振っていた。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「卑怯者めっ。一騎討じゃ——牧っ、仙波八郎太が、一期いちごの働きを見せてくれる。参れ、牧。参れ。参らぬかっ」
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
「油断はならぬ。明日こそは、われらの一期いちごだ。まずは酒に体でもあたため、こよいは充分に身を養っておけ」
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
東組与力小泉淵次郎えんじらうは十八歳を一期いちごとして、陰謀第一の犠牲としていのちおとした。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
故郷ふるさとの水のことごと、柳河や橋のことごと、たまゆらと、空ゆ一期いちごと、我が見ると、飛ぶとかけると、我が和子わこ連れぬ。
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
八幡照覧、信長の眼前、ただきょうを一期いちご無我無性むがむしょうに働く者ぞまことの織田武士なれ
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こは是れ一期いちごの大事到来と、千丈の絶壁に足を爪立て、万仞ばんじんの深き淵に臨んだ思がしたろう。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
庄五郎は二十八歳を一期いちごとして世を去ったが、従弟の平七のほかにこれぞという親戚はなかった。
半七捕物帳:45 三つの声 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
と言って帰って来たのは別儀ではない、私の姉さん、お前、一緒に京都へ行ってくれるかね、お前が行ってくれれば、これも一期いちごの奉公だと心得て
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
つい今の先、この関の蝉丸神社へ一期いちごの思い出に納め奉ってしまったのか、そのいずれかであろうとは推察が届くのであります——竹生島にしても、蝉丸にしても
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
チョビ安とお美夜ちゃんへの愛に、うしろ髪引かるる思い……が、それも、一期いちごの思い出に名作を残そうとする、心のちかいの前には、たち切らざるをえなかった。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
という辞世の一句も哀れや六十一歳を一期いちごとして溘然こうぜんこの世を去られた。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
現在の日本は西暦一九三〇年前後を一期いちごとして、世界の最大強国となりつつ在る。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
な、俗物ぞくぶつ鑑賞かんしやうかたじけなふするはおん作者さくしや様方さまがた即ち文学者ぶんがくしや一期いちご栄誉えいよなれば
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
積年の病ついに医するあたわず、末子ばっし千秋ちあき出生しゅっしょうと同時に、人事不省におちいりて終にたず、三十六歳を一期いちごとして
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
否それより、間違えば禄離ろくばなれ——一期いちごの浮沈にもかかわるところだ。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「このたびこそは、一期いちごの大戦となるだろう。未練をあとにのこして立つな」
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
併し、この男の一期いちごの不覚は、障子の格子のあいているのを知らなかったこと、そして、驚いてそれを閉めた時に、偶然店先にいた二人の学生に姿を見られたことでした。
D坂の殺人事件 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
君と見て一期いちごの別れする時もダリヤはあかしダリヤはあか
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
が——それだけに、彼女にとっては、なおさら一期いちごの折であった。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そちの吉報が、一期いちご浮沈ふちんだ。——まことに、今日はもう六月二日。百日の期間までには、後七十三日と相成った。一日とてゆるがせにはならん、道中も、急いで頼むぞ」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(右府の死を一期いちごとして、世の中はこれで大きくひとつまわった)
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
膝にきたる骨太の掌指ゆびは枯れたる松枝まつがえごとき岩畳作りにありながら、一本ごとに其さへも戦〻わな/\顫へて一心に唯上人の一言を一期いちごの大事と待つ笑止さ。
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
なおまた、この一期いちごにたいする覚悟や兵学上の意見も問いたい。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
維盛が行末守り呉れよ、時頼、之ぞ小松が一期いちごの頼みなるぞ
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
「はい、ではないっ。あれほど、街亭はこれわが軍ののんどにもあたる所ぞ、一期いちごの命にかけても重任を慎しみ守れと、口のすっぱくなるばかり門出にもいい与えておいたではないか」
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
君がため一期いちごの迷ひする時は身のゆき暮れて飛ぶここちする
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
熱海の月はおぼろなりしかど、一期いちごの涙に宿りし面影は、なかなか消えもやらで身に添ふ幻を形見にして、又何日いつかは必ずと念懸おもひかけつつ、雨にも風にも君が無事を祈りて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
老眼に涙を浮べて、御尤ごもっともの御仰と承わりました、然らばそれがし一期いちごの御奉公、いさぎよく御先を駈け申そう、と皺腕しわうでをとりしぼって部署に就く事に決した。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ひそひそと交わしていた二人の会話で、新九郎もさてはと胸を躍らせた。二度とこの醜い自分の姿を見せまいと思っていたが、せめて一期いちごわびに助太刀して立去るも遅くはないと考えた。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
串戯じょうだんじゃあがあせん、わっし一期いちごで、ダーだと思ったね、つちん中へ顔をうずめておさん、ずるずると引摺ひきずられたから、ぐらぐらと来て気が遠くなったんで。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一期いちごの悲鳴によりて、最後の苦惱によりて、
(旧字旧仮名) / アダ・ネグリ(著)
程なく、信秀は四十二を一期いちごに世を去った。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あのいさぎよい一期いちごを完全に戦い終った
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
……これは一期いちごじゃ、何としょう。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と云う声を聞き捨てて吾輩は又、甲板デッキに引返して行ったが、この時の友太郎の異様な熱誠ぶりを、知らん顔をしてソッポを向いていた友吉親仁おやじの態度を怪しまなかったのが、吾輩一期いちごの失策だった。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「きょうこそ、一期いちごと覚えたり」
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お前末代わしゃ一期いちご。……
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一期いちごの御浮沈たるべきに
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一番最初に行ったのは神谷町かみやちょうの酒屋伊勢徳いせとく、この辺は柴井町しばいちょうの友次郎の縄張ですが、平次一期いちごの浮沈にかかわることで、日頃仲の悪い友次郎の思惑などを考えちゃいられません。
たとい六波羅蜜ろくはらみつを修し、五戒を守っても、頭の中の妄想が一期いちごの障りとなって、まろは永劫に、輪廻の世界から逃れる事は出来ないだろう。成る程女人は、虚空にかゝる虹のような、仮の幻であるかも知れない。
二人の稚児 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
朝までに身体がこごしびれる。わしら彫金師は、一たがね一期いちごです。明日のことは考えんです。あなたが、おかみさんの娘ですなら、今夜も、あの細い小魚を五六ぴき恵んで頂きたい。死ぬにしてもこんな霜枯れた夜は嫌です。
家霊 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
この一期いちご
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それがしよしなき勇をふるひてあはれ此の者を討ち果たし、かのおん方の志を妨げ候こと一期いちごの不覚にて候ひしかども、今より後は無二の味方を申し、内々手引きして望みをかなへまゐらせん折もあるべしと、此の時より心変りいたし候
お言葉は有難ありがたいが、そのおなさけ冥途めいどへの土産。一両詮議せんぎの大事の時、生憎あいにくと一両ふところに持っているというこの間の悪さ。御一同が疑わずとも、このぶざまは消えませぬ。世の物笑い、一期いちごの不覚。
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
陣中の生活僅かに十六旬、不幸にして虹の如き二十有三歳を一期いちごに、葉月二十六日曙近きガデブツシユの戦に敵弾を受けて瞑したりといへども、彼の胸中に覚醒したる理想と其健闘の精神とは、今に生ける血となりて独逸ドイツ民族の脈管に流れ居候。
渋民村より (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「いやその山ノ内方面のじょノ勝ちも、小袋坂で食いとめられているのか、あれ以後の捷報も聞かぬ。——仮粧坂けわいざか口はもとより動きがとれず、また義助にかたくうごくなとも命じてある。なんといたせ、ここを破らねば、一期いちご大事だいじだが」
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこで、富樫が引込むと、「ついに泣かぬ弁慶も一期いちごの涙ぞ殊勝しゅしょうなる」から「判官ほうがん御手おんてを取り給い」の順序になるべきはずのところを、判官を初め、四天王残らずの山伏と、強力が、ずんずん舞台を引込んでしまい、あとは弁慶一人舞台。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「今度は旧天領のものが奮って助郷すけごうを勤めることになりました。これは天領にかぎらないからと言って、総督の執事は、村々の小前こまえのものにまで人足の勤め方を奨励しています。おそらく、今度の御通行を一期いちごにして、助郷のことも以前とは変わりましょう。」
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
吟味所守備かため武士つわものどもに取り囲まれたその時には、一期いちごの難儀と怖さ恐ろしさ、市之丞様のお身の上にもしもの事があったなら私もその場ですぐ自害と心をきめておりますところへご老師様がお駈け付けくだされ武士達を叱り退けられお助けくだされたその時の
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
このいんは。——もっとも、一心を籠めた大切だいじな鏨にだけ記したのだから。——これは、きみの口から聞かしてくれた……無論私も知っている……運八のために、その一期いちごの無念の時、白い幽霊に暖められながら、雪をつかんでとりの目を彫込んで、暁に息が凍った。
そのほか大法、秘法の数々、加持かじ、祈祷のあらん限り、手をつくし品を換えての御介抱で御座いましたが、定まる生命いのちというものは致し方のないもので、去年の夏もようように過ぎて秋風の立ちまする頃、果敢はかなくも二十一歳を一期いちごとしてこの世の光りを見納めました。
名娼満月 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
この時、御堂前南久太郎町みだうまへみなみきうたらうまち、花屋仁左衛門の裏座敷では、当時俳諧の大宗匠と仰がれた芭蕉庵松尾桃青たうせいが、四方から集つて来た門下の人人に介抱されながら、五十一歳を一期いちごとして、「埋火うづみびのあたたまりの冷むるが如く、」静に息を引きとらうとしてゐた。
枯野抄 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
一様に呉氏の生き甲斐のない姿を憐れみ、つ芬夫人の身の上に同情して、手厚い世話をしながら日本に連れて行く事になったが、その途中のこと、船中が皆眠って、月が氷のように冴え返った真夜半まよなかに、呉青秀は海に落ちたか、天に昇ったか、二十八歳を一期いちごとして船の中から消え失せてしまった。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
と両人別れましたが、悪い奴は悪い奴で、此の丈助は大野と共謀ぐるになり、表に忠義と見せかけて小左衞門を鴻の台へ引出す手筈をいたしたので、かゝる悪人とも知らず、忠義なものと心得て目を掛けたがあやまりで、情ないかな稻垣小左衞門は四十九歳を一期いちごとして、一節切と頭巾とを持ったなり落入りました。
あきともかずひるともらず朧夜おぼろよ迷出まよひいでて、あはれ十九を一期いちごとして、同國どうこく浦崎うらざきところ入江いりえやみしづめて、あし刈根かりねのうたかたに、黒髮くろかみらしたのである。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「さてさて、またなき御武運にお会いなされましたものかな。人の一生も生涯の士道も、その仕上げは、よくも悪くも死によって定まるとか申しますが、今日の御生害ごしょうがいうつの人をも数多あまた生かし、また御自身の一命をも末代に生かすはれ一期いちご。およろこび申さずにいられませぬ」
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
其の遺書には、自分は十九歳を一期いちごとして父のもとへ行く——父は前年郷里で死んだ——主人には申訳もうしわけが無いから君から宜しく云うてくれ、荷物は北海道に居る母の許に送ってくれ、運賃として金五円封入ふうにゅうして置く、不足したら店員某に七十二銭の貸しがあるから、其れで払ってくれ、と書いてあった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「捕物吟味の御前試合などとは、まだ話にもためしにもない。日本はじまって以来これが最初。二度とはない一期いちごのおり。……わたくしといたしましても今度ばかりは必死。……さきほど、かこい場の下しらべをおことわり申しあげましたのも、石庵にあうまいと申しましたのも、しょうしょう、覚悟があってのことなのでございます」
顎十郎捕物帳:09 丹頂の鶴 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
加藤清正は、秀吉公の御親類で、まさしくこの尾張が故郷であるのに、あの名古屋の城の天守も、清正公が一期いちごの思い出に、一手で築いたものであるのに、その清正公は尾張の土になれないで、肥後の熊本にまつられていますけれど、あの名古屋の城の天守を見るたびにわたしは、あれを一手に築いて、徳川の一族に捧げた清正公のお胸の中を思いやると、胸が涙でいっぱいになります。そこで、わたしはどうしても加藤の家の血統はたやしてはならない——という気になっているのです。
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)