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麁末
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そまつ
ふりがな文庫
“
麁末
(
そまつ
)” の例文
尤も何方が雲か
泥
(
どろ
)
かは、其れは見る人の心次第だが、兎に角著しく変った。引越した年の秋、お
麁末
(
そまつ
)
ながら
浴室
(
ゆどの
)
や女中部屋を建増した。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
左様に候へば、此御まな料、まことに
麁末
(
そまつ
)
の御事におはしまし候へども、歳末の御祝儀申上まゐらせ候しるしまでにさし上まゐらせ候。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
麁末
(
そまつ
)
なもの、と重詰の
豆府滓
(
とうふがら
)
、……
卯
(
う
)
の花を
煎
(
い
)
ったのに、
繊
(
せん
)
の
生姜
(
しょうが
)
で小気転を利かせ、酢にした
鯷鰯
(
しこいわし
)
で気前を見せたのを一重。
木の子説法
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
件
(
くだん
)
の馬像は、輪廓もっとも
麁末
(
そまつ
)
ながら、表土を去って白堊を露わす故、下の谷から眺むれば、十分馬跳ぬるところと見える。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
大「えゝ道具は
麁末
(
そまつ
)
でござるが、主人が心入れで、自ら隅田川の
水底
(
みずそこ
)
の水を汲上げ、
砂漉
(
すなごし
)
にかけ、水を
柔
(
やわら
)
かにして
好
(
よ
)
い茶を入れましたそうで」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
彼等
(
かれら
)
は
勞働
(
らうどう
)
から
來
(
く
)
る
空腹
(
くうふく
)
を
意識
(
いしき
)
する
時
(
とき
)
は
一寸
(
いつすん
)
も
動
(
うご
)
くことの
出來
(
でき
)
ない
程
(
ほど
)
俄
(
にはか
)
に
疲勞
(
ひらう
)
を
感
(
かん
)
ずることさへある。
什麽
(
どんな
)
麁末
(
そまつ
)
な
物
(
もの
)
でも
彼等
(
かれら
)
の
口
(
くち
)
には
問題
(
もんだい
)
ではない。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
大師と知らずに
麁末
(
そまつ
)
に取扱ったため、その家が後に非運に陥ったというような話も、いろいろ伝わっている。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
選
(
えら
)
び突出しの
仕着
(
しきせ
)
より茶屋々々の
暖簾
(
のれん
)
に至る迄も花々敷吉原中
大評判
(
おほひやうばん
)
故
(
ゆゑ
)
突出
(
つきだ
)
しの日より
晝夜
(
ちうや
)
の
客
(
きやく
)
絶
(
たえ
)
る間なく如何なる老人
醜
(
みにく
)
き男にても
麁末
(
そまつ
)
に扱はざれば人々皆
先
(
さき
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「ありがとうござります、主人喜兵衛はじめ、
後家
(
ごけ
)
弓とも、よろしく申しました。承わりますれば、御内室お岩さまが、お産がありましたとやら、お
麁末
(
そまつ
)
でござりますが」
南北の東海道四谷怪談
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
身柄いやしとはみえねど。他の二人にくらぶれば。幾分か
麁末
(
そまつ
)
なるところあるがごとし。少ししまがらのはでに過ぎたるめんめいせんの綿入れも。あかづきたとにはあらねど。
藪の鶯
(新字新仮名)
/
三宅花圃
(著)
自然お客様のお
越
(
こし
)
も御座りませんゆゑ、何分用意
等
(
とう
)
も致し置きませんやうな次第で、然し、
一両日
(
いちりようにち
)
中にはお
麁末
(
そまつ
)
ながら何ぞ差上げまするやうに取計ひまするで御座いますで、どうぞ
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
付けて
中津川
(
なかつがは
)
より來りし馬二頭ありしを幸ひこれに乘る元より駄馬なれば鞍も
麁末
(
そまつ
)
に蒲團などもなし宿の主
才角
(
さいかく
)
して
後
(
うしろ
)
より馬の
桐油
(
とうゆ
)
をかけて我々を包む簑虫の
變化
(
ばけもの
)
の如し共に一笑して
此
(
こゝ
)
を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
というので
麁末
(
そまつ
)
な戸の事、その戸を越して
彼方
(
かなた
)
に麦畑が見えるというのである。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
清凉紫宸
(
せいりやうししん
)
の玉台に四海の君とかしづかれおはしませし我国の帝の御墓ぞとは、かりそめにも申得たてまつらるべきや、わづかに土を盛り上げたるが上に
麁末
(
そまつ
)
なる石を三重に畳みなしたるあり。
二日物語
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
お勢の親を
麁末
(
そまつ
)
にするのまでを文三の罪にして難題を言懸ける。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
……根からお
麁末
(
そまつ
)
な
御馳走
(
ごちそう
)
を、とろろも
鱛
(
なます
)
も
打
(
ぶ
)
ちまけました。ついお囃子に浮かれ
出
(
だ
)
いて、お社の神様、さぞお見苦しい事でがんしょとな、はい、はい。
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
麁末
(
そまつ
)
な
棺臺
(
くわんだい
)
は
少
(
すこ
)
し
堆
(
うづたか
)
く
成
(
な
)
つた
土
(
つち
)
の
上
(
うへ
)
に
置
(
お
)
かれて、
二
(
ふた
)
つの
白張提灯
(
しらはりちやうちん
)
と
二
(
ふた
)
つの
花籠
(
はなかご
)
とが
其
(
その
)
傍
(
そば
)
に
立
(
た
)
てられた。お
品
(
しな
)
は
生來
(
せいらい
)
土
(
つち
)
を
踏
(
ふ
)
まない
日
(
ひ
)
はないといつていゝ
位
(
ぐらゐ
)
であつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
すなわち月の影を見ても必ず
吠
(
ほ
)
えよ、骨折り賃として硬い骨を
噛
(
かじ
)
り
麁末
(
そまつ
)
な肉を
啖
(
くら
)
うべく、寿命は四十歳と聞いて犬震い上り、そんなに骨折って骨ばかり食えとは難儀極まる。
十二支考:09 犬に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
見て氣の
毒
(
どく
)
にや思ひけん
其衣類
(
そのいるゐ
)
では
嘸
(
さぞ
)
かし
難儀
(
なんぎ
)
なるべし
麁末
(
そまつ
)
なれども此方の
衣服
(
いふく
)
を
貸
(
かし
)
申さん其衣類は
明朝
(
みやうてう
)
まで
竿
(
さを
)
にでも掛て
乾
(
ほし
)
玉へと
殘
(
のこ
)
る方なき心切なる
言葉
(
ことば
)
に吉兵衞はます/\
悦
(
よろこ
)
び衣類を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「さようおっしゃりましてはお
可愧
(
はずか
)
しゅうございます、誠にお
麁末
(
そまつ
)
で、どうぞ差置かれまし。」
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
頃日
(
このごろ
)
米国禁鉄となってから、一粒の鉄砂も
麁末
(
そまつ
)
にならぬような話を承る、ふとした事から多大の国益が拡がった例多ければ、妓家の黒壁が邦家の慶事を
啓
(
ひら
)
かぬにも限らぬと存じ
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
すくみといふのは
蹙
(
ちゞ
)
めた
儘
(
まゝ
)
の
形
(
かたち
)
が
保
(
たも
)
たれるやうに
死體
(
したい
)
の
下
(
した
)
から
荒繩
(
あらなは
)
を
廻
(
まは
)
して
置
(
お
)
いて
首筋
(
くびすぢ
)
の
處
(
ところ
)
でぎつしりと
括
(
くゝ
)
ることである。
麁末
(
そまつ
)
な
松板
(
まついた
)
で
拵
(
こしら
)
へた
出來合
(
できあひ
)
の
棺桶
(
くわんをけ
)
はみり/\と
鳴
(
な
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
見んとするに浪人者は
最早
(
もはや
)
日暮方
(
ひぐれがた
)
なれば
徐々
(
そろ/\
)
仕舞
(
しまひ
)
て歸る樣子ゆゑ長八は
後
(
あと
)
に
尾
(
つき
)
て行けるに下谷山崎町なる油屋といふ
暖簾
(
のれん
)
の
懸
(
かゝり
)
し
裏
(
うら
)
へ
這入
(
はひり
)
しかば長八も同じく
續
(
つゞ
)
いて這入見るに九尺二間如何にも
麁末
(
そまつ
)
なる
浪宅
(
らうたく
)
なるにぞ長八は内の
體
(
てい
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
前垂掛
(
まえだれがけ
)
、昼夜帯、若い世話女房といった形で、その髪のいい、
垢抜
(
あかぬけ
)
のした白い顔を、神妙に
俯向
(
うつむ
)
いて、
麁末
(
そまつ
)
な椅子に掛けて、
卓子
(
テエブル
)
に
凭掛
(
よりかか
)
って、足袋を繕っていましたよ、紺足袋を……
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
他部族の男の種を宿さぬよう
麁末
(
そまつ
)
な手術を仕損じてか、とにかくその頃の婦女にはかようの
死様
(
しにざま
)
が実際あったので、現今見るべからざる奇事だから昔の記載は虚構だと断ずるの非なるは先に論じた。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
在り
来
(
きた
)
りの皮は、
麁末
(
そまつ
)
な麦の香のする田舎饅頭なんですが、その餡の
工合
(
ぐあい
)
がまた格別、何とも申されません
旨
(
うま
)
さ加減、それに
幾日
(
いくか
)
置きましても干からびず、味は変りませんのが評判で
政談十二社
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「ええ、これは、お客様、お
麁末
(
そまつ
)
なことでして。」
眉かくしの霊
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「これは
麁末
(
そまつ
)
なや。」
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
麁
漢検1級
部首:⿅
13画
末
常用漢字
小4
部首:⽊
5画
“麁末”で始まる語句
麁末様
麁末樣