雷鳴らいめい)” の例文
しかし自分じぶんは、いま兵隊へいたいさんのまえにいるのだとがつくと、かれは、我慢がまんして、じっと、雷鳴らいめいとおざかっていくそらつめていました。
僕はこれからだ (新字新仮名) / 小川未明(著)
きょうはいいお天気であったので、三角岳登山を試みたのであったが、途中で雷に出あい、洞穴どうけつの中にとびこんで雷鳴らいめいのやむのを待った。
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
したがつて空合そらあひときには雷鳴らいめいがあるのだから、いつもはかつぐのに、ときは、そんなことつてひまはなかつた。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
すさまじい電光でんこう雷鳴らいめいと黒雲との渦巻うずまいた中に、金の日の丸がぴかりと光っただけで、後は何にもわかりませんでした。
雷神の珠 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
がらがら鳴りつづける雷鳴らいめいの中に、ふと、ごうっというひどいひびきがした。一連隊れんたい騎兵きへいがあらしに追われてばらばらとかけてでも来るような音であった。
大雨おおあめがふる日もある。暴風ぼうふうみきをゆすぶるばんもある。雷鳴らいめい雷気らいきが山をくような場合ばあいもあるにちがいない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と云う声も雷鳴らいめいの烈しいので聞えません。もとより逆せ上った茂之助ゆえ無慚にも我が女房おくのがおぶってる乳呑児の上から突通したから堪りません。おくのは
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
また菜花煙さいかえん彼方此方かなたこなた電光でんこうひらめくのがられる。このさい雷鳴らいめい噴火ふんかおとはうむられてしまふが、これはたん噴煙上ふんえんじようにて放電ほうでんするのみで、地上ちじよう落雷らくらいしたれいがないといはれてゐる。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
両三日来非常にす。東の方に雲が立つ日もあった。二声ふたこえ三声雷鳴らいめいを聞くこともあった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
十一月二十七日は、朝からむしむしと暑苦あつくるしい日であった。空は重々ちょうちょうたる密雲におおわれて、遠くで雷鳴らいめいがいんいんとひびき、なんとなく大あらしの前兆ぜんちょうをつげる空もようである。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
ほう火竜かりゅう他方たほう水竜すいりゅう——つまりよういんとのべつはたらきがくわわるから、そこにはじめてあの雷鳴らいめいだの、稲妻いなづまだのがおこるので、あめくらべると、この仕事しごとほうはるかに手数てすうがかかるのじゃ……。
午後から雷鳴らいめいはげしく、ひょうのような雨さえ降って来た。
清貧の書 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
かの壮快さうくわいなる雷鳴らいめいつひに聞え来らず。
(新字旧仮名) / 石川啄木(著)
ここにえているや、くさたちは、ほんとうに雷鳴らいめいと、暴風雨ぼうふううよりほかにおそろしいものが、この宇宙うちゅう存在そんざいすることをらなかったのでした。
戦友 (新字新仮名) / 小川未明(著)
何処どこの家のより立派だというのです。ところが、間もなく雷鳴らいめいが始まりましたが、雷は天地もくずれるような音をたてて真先まっさきにこの家に落ちました。
科学が臍を曲げた話 (新字新仮名) / 海野十三丘丘十郎(著)
なにかくさう、唯今たゞいま雲行くもゆきに、雷鳴らいめいをともなひはしなからうかと、氣遣きづかつたところだから、土地とち天氣豫報てんきよはうの、かぜはれ、に感謝かんしやへうしたのであつた。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
雷鳴らいめいがはげしくなった。雲がいよいよ深くなって、もうほとんど夜のように思われた。
船は一上一下、奈落ならくの底にしずむかと思えばまた九天にゆりあげられる、あらしはますますふきつのり、雷鳴らいめいすさまじくとどろいていなづまは雲をつんざくごとに毒蛇どくじゃの舌のごとくひらめく。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
すでに今朝から陰険いんけんそうをあらわしていた空は、この時になって、いっそうわるい気流となり、雷鳴らいめいとともに密雲のそうはだんだんとあつくなって、呼吸いきづまるような水粒すいりゅう疾風しっぷうが、たえず
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あだか電光でんこう雷鳴らいめいとの關係かんけいのようなものである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
というわけは、きのうの真夜中のことだが、雷鳴らいめいの最中にかきおか病院びょういんに怪人がしのびこんで、谷博士の病室をうちやぶり、博士を連れて、逃げてしまったのだ。
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
達吉たつきちは、ぴかり、ゴロゴロ、ド、ドンという電光でんこう雷鳴らいめいのものすごい光景こうけいに、ちち戦死せんししたときのことを想像そうぞうして、ついおもったことをくちして、きいたのであります。すると、准尉じゅんい
僕はこれからだ (新字新仮名) / 小川未明(著)
雷鳴らいめいに、ほとんひなむとした人々ひと/″\みゝに、驚破すはや、天地てんちひとつのこゑ
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おりしも雷鳴らいめいがおこって、天地もくずれるほどのひびきが、山々を、谷々をゆりうごかす。三角岳の頂上に建っている谷博士たにはかせの研究所のとうの上に、ぴかぴかと火柱ひばしらが立った。
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その叱咤する声は、だんだん大きくなっていって、雷鳴らいめいかと疑うばかりだった。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
とつぜん、晴天の雷鳴らいめいのように、どなった者がある。
火薬船 (新字新仮名) / 海野十三(著)