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随
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つ
ふりがな文庫
“
随
(
つ
)” の例文
旧字:
隨
また床次君のやうに自分が偉人らしい
言草
(
いひぐさ
)
も気に喰はぬ、
身
(
み
)
不肖
(
ふせう
)
ながら朝夕南洲翁に
随
(
つ
)
いてゐたから、翁の
面目
(
めんもく
)
はよく知つてゐるが
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
鍬
(
くわ
)
を肩に掛けて行く男もあり、
肥桶
(
こえたご
)
を担いで腰を
捻
(
ひね
)
って行く男もあり、
爺
(
おやじ
)
の煙草入を腰にぶらさげながら
随
(
つ
)
いて行く児もありました。
藁草履
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
栄さんが春まで家におってくれると、勝も東京へ
随
(
つ
)
いて行けるのじゃけれどな、戻ったと思うと、すぐにまた行ってしまうんでしょう。
入江のほとり
(新字新仮名)
/
正宗白鳥
(著)
私はちやうど籠球部へ籍を入れて四日目だつたが、指導選手のあとにのこのこ
随
(
つ
)
いて行つて、夕陽丘の校門をくぐつたのである。
木の都
(新字旧仮名)
/
織田作之助
(著)
許宣はこんな大きな家に住んでいた人が
何故
(
なぜ
)
判
(
わか
)
らなかったろうと思って不審した。彼はそのまま小婢に
随
(
つ
)
いてそこの門を
潜
(
くぐ
)
った。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
▼ もっと見る
支那人ボウイは顔をしかめて
随
(
つ
)
いて行く。駅長はただちにドアの真向うの部屋へはいって、同じことを言っているのが聞こえて来る。間。
安重根:――十四の場面――
(新字新仮名)
/
谷譲次
、
林不忘
(著)
蝉取竿
(
せみとりざお
)
を持った子供があちこちする。虫籠を持たされた
児
(
こ
)
は、時どき立ち留まっては籠の中を見、また竿の方を見ては小走りに
随
(
つ
)
いてゆく。
城のある町にて
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
娘は煉瓦積む手を
止
(
と
)
めて、男の
面
(
かほ
)
を
瞥
(
ぢろり
)
と見た。もう眼には泪を一杯溜めて居たが、それでも男の跡に
随
(
つ
)
いて行つて
了
(
しま
)
つた。惚れてゐるのだ。
椋のミハイロ
(新字旧仮名)
/
ボレスワフ・プルス
(著)
いつか、人混の中へ織り込まれていたかの女は、前後の動きの中に入って
却
(
かえ
)
って落着いた。「
藻掻
(
もが
)
いてもしようがない。
随
(
つ
)
いて行くまでだ」
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
この兄というのは軍籍にあったので、日清戦争後は
小倉
(
こくら
)
の師団に転任させられた。少女もまた兄の赴任に
随
(
つ
)
いて小倉へ行った。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
奥さんもお嬢さんもいかにも幸福らしく見えました。私も幸福だったのです。けれども私の幸福には黒い影が
随
(
つ
)
いていました。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
婆「何だかお医者が
随
(
つ
)
いて来まして
膏薬
(
こうやく
)
に
練
(
ね
)
ると、これが
大
(
でけ
)
え薬になる、毒と云うものも、使いようで薬に成るだてえました」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と、口小言を言い言い、母も渋々起きて、
雪洞
(
ぼんぼり
)
を
点
(
つ
)
けて
起上
(
たちあが
)
ったから、私も
其後
(
そのあと
)
に
随
(
つ
)
いて、玄関——と云ってもツイ次の間だが、玄関へ出た。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
択
(
え
)
りにも択ってこんな貧乏な人間を友達にして、大小となく相談をかけている印度の太子やそれに
随
(
つ
)
き従っている周囲の人々の心を考えると
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
飛びまはり
纏
(
まと
)
はりついて居た彼の二疋の犬が、やうやう柔順になつて、彼のうしろに、二疋並んで、そろそろ
随
(
つ
)
いて来るやうになつた頃である。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
玄関へ加賀田さんが出て来て、上れと云はれて
憶
(
おく
)
し心を隠して
其
(
その
)
人に
随
(
つ
)
いて行きますと、幾室かを通つてそれから出た所は明るい庭の前でした。
私の生ひ立ち
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
一家は玩具や雑貨の荷を背で負って、盛り場から盛り場へと歩いてゆく父親に
随
(
つ
)
いて、祭礼や縁日のある土地へ行った。
雨の回想
(新字新仮名)
/
若杉鳥子
(著)
「そいでぁうなだ、この人さ
随
(
つ
)
ぃで家さ戻れ。この人ぁ
楢鼻
(
ならはな
)
まで行がはんて。今度の土曜日に天気ぁ好がったら又おれぁ迎ぃに行がはんてなぃ。」
ひかりの素足
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
あるいは浮かびあるいは沈み数千里行くを、処三日三夜
随
(
つ
)
れ行き殺して出で、自ら行いを改めて忠行もて
顕
(
あらわ
)
れたという。
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
だから、つまりみんなの自然発生的な気持に我々までが
随
(
つ
)
いて歩いてるわけだ。日常の不満から帝国主義戦争の本質を
党生活者
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
「まア御寮人さん……」と、
仰山
(
ぎようさん
)
らしく
呆
(
あき
)
れた表情をしたが、後から
随
(
つ
)
いて入つて来た源太郎の大きな姿を見ると
鱧の皮
(新字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
と感謝して
随
(
つ
)
いて来る少女を、うまく不良事務所へ連れ込むのであるが、少女の場合は少年のと違って、第一に着物に眼をつける。その次が手紙である。
東京人の堕落時代
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
雨上りの泥道をひたすら急ぐ藤吉の
背
(
あと
)
から、勘次と彦兵衛の二人が注進役の小僧を中に小走りに
随
(
つ
)
いて行った。
釘抜藤吉捕物覚書:03 三つの足跡
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
その人もをりをり、老人に
随
(
つ
)
いて謡をうたつた。直されては同じ所を幾度もくり返した。丁度に謡へないので、
何方
(
どちら
)
も笑つては止めてしまふのが例であつた。
秋の第一日
(新字旧仮名)
/
窪田空穂
(著)
新子は、木賀の相変らずの朗かな調子に、
随
(
つ
)
いて行くことが出来なかった。木賀も、やや、真面目になって
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
右大臣という人物にはいつも気づまりさを
匂宮
(
におうみや
)
はお覚えになるらしい。右大臣の
息子
(
むすこ
)
の右大弁、侍従宰相、権中将、
蔵人兵衛佐
(
くろうどひょうえのすけ
)
などは初めからお
随
(
つ
)
きしていた。
源氏物語:48 椎が本
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
お前はわたしの憧憬に
随
(
つ
)
いて来て、わたしの幸福となるために、わたしのそばへ来てくれたのか。お前はそれになっているのだ。安心おし。そうしておねむり。
悩みのひととき
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
わたしは素直に立上って、ぞろぞろ動くものに
随
(
つ
)
いておとなしく歩いた。そうしていれば、そうしていれば、わたしはどうにかわたしにもどって来そうだった。
鎮魂歌
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
が、落日に対して
真
(
まこと
)
に気高い、
蓬莱
(
ほうらい
)
の島にでも居るような心持のする時も、いつも女中が
随
(
つ
)
いていたのに。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ありがとうござります、お出かけのところを済みません、御免下さいまし、ハイハイ、と云いながら後に
随
(
つ
)
いて格子戸くぐり、寒かったろうによう出て来たの
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
洒落
(
しゃれ
)
で何か人の気を「なるほど、これは、どうも、おもしろい。好い趣向だ」と感心させて見たいという気分で、これがこの老人に
随
(
つ
)
いて廻った癖でありました。
幕末維新懐古談:41 蘆の葉のおもちゃのはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
たとい世間で笑われようが、どうしょうが、わたしはどこまでもお前に
随
(
つ
)
いて行く……行きますわいなあ
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
間道を通っていわゆる
桃溪
(
とうけい
)
街道を通って帰る事になりましたが、これは後に聞いて見ますとやはりその男が私に
随
(
つ
)
いて来た事までは探偵が行届いて居らんようです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
仕方がないから出迎えに来た盛装の連中も、みんな馬に乗っていましたのに、わざわざ降りてしまいまして、そうしてザヴィエルの後からぞろぞろと
随
(
つ
)
いて参ります。
ヨーロッパ的性格 ニッポン的性格
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
というと老婆はそのまま
随
(
つ
)
いて来た。王成はそこで細君を呼んであわした。細君の頭髪は蓬のように乱れて、顔色は青いうえに薄黒みを帯びていた。老婆はそれを見て
王成
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
随
(
つ
)
いて行った私の子供が帰ってから、皆にこの事を話したのでわれわれは笑った。しかし、お梅の弁明によると、蛸の足は決して常に八本
揃
(
そろ
)
ってはいないというのであった。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
白萩 あの男なら、とうから我等の後に
随
(
つ
)
いて参りました。気味わろいことぢやわいな。
南蛮寺門前
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
強いこがらしの中を、葬列は門をはいって暗い墓地の方へ消えて行った。いつもは思いもよらぬわるさを仕出す悪童達も、今日は誰もそれに
随
(
つ
)
いて行って見ようとする者がなかった。
こがらし:――南駅余情――
(新字新仮名)
/
岩本素白
(著)
が、私が追々と
土地
(
ところ
)
の事情が解つて来るに
随
(
つ
)
れて、此神経過敏の
理由
(
わけ
)
も読めて来た。
菊池君
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
彼に
随
(
つ
)
いて、この門まで足を運んだ背の高い
看守
(
かんしゅ
)
が、
釈放囚
(
しゃくほうしゅう
)
の肩をぽんと叩き
英本土上陸戦の前夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
その後から又二人、馬の歩みに遅れまいとして
随
(
つ
)
いて行くのは、調度掛と
舎人
(
とねり
)
とに相違ない。——これが、利仁と五位との一行である事は、わざわざ、ここに断るまでもない話であらう。
芋粥
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
事実は役所の
帰途
(
かえりみち
)
に
随
(
つ
)
いて来た
野良犬
(
のらいぬ
)
をズルズルベッタリに飼犬としてしまったので、『平凡』にある通りな狐のような厭な犬であったから、家族は誰も
嫌
(
いや
)
がって
碌々
(
ろくろく
)
関
(
かま
)
いつけなかった。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
今となって残したのが気まりが悪く、
急
(
いそが
)
わしく袂へ
投
(
ほう
)
り込んで梯子を下りる後から、帽子を持て
随
(
つ
)
いて来た小歌が、帽子の内側に名刺の挾んであるのを
認
(
みつ
)
け、これはあなたの、そうなの
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
『イヤそうも言えない随分ひどいという事だから』と叔父のいうに
随
(
つ
)
いてお絹
置土産
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
随
(
つ
)
いて来た家臣三名へも、黄金や衣服などを与えた。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「何んでも好いから妾に
随
(
つ
)
いていらつしやいよ。」
静物
(新字旧仮名)
/
十一谷義三郎
(著)
退職の敬之進は
最早
(
もう
)
客分ながら、何となく名残が惜まるゝといふ風で、
旧
(
もと
)
の生徒の後に
随
(
つ
)
いて同じやうに階段を上るのであつた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
王もその後から
随
(
つ
)
いて往ったが、女の足が馬鹿に早いので追っつけなかった。そして、やっと女に追いついたかと思うと女は立ち止まった。
蘇生
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
そして、うしろからボソボソと
随
(
つ
)
いて来る楢雄の足音を聴きながら、明日は圭介の知り合ひの精神科医の
許
(
もと
)
へ楢雄を連れて行かうと思つた。
六白金星
(新字旧仮名)
/
織田作之助
(著)
で、母が来いと云うから、
跟
(
あと
)
に
随
(
つ
)
いて
怕々
(
こわごわ
)
奥へ行って見ると、父は未だ居る医者と何か話をしていたが、私の
面
(
かお
)
を見るより、何処へ行って居た。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
随
常用漢字
中学
部首:⾩
12画
“随”を含む語句
随意
随行
随身門
随伴
随分
随身
気随
随喜渇仰
随筆
跟随
随喜
附随
随処
随一
随従
夜譚随録
新幡随院
御随身
神随
随一人
...