いひ)” の例文
にたゝへておたかくとはいひしぬ歳月としつきこゝろくばりし甲斐かひやうや此詞このことばにまづ安心あんしんとはおもふものゝ運平うんぺいなほも油斷ゆだんをなさず起居たちゐにつけて
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
抱上いだきあげ今日より後は如何にせん果報くわはうつたなき乳呑子ちのみごやと聲をはなつてかなしむを近所の人々聞知りて追々おひ/\あつまり入來りくやいひつゝ吉兵衞に力を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
いやなら忌で其れもよう御座んすサ、只だ其のいひぷりしやくさはりまさアネ、——ヘン、軍人はわたしいやです
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
遊びにふければ是非思はぬいたづらもするもので、私はこの日父のいひつけを忘れてウツカリ桃の実を屋根へはふり挙げ、二階座敷へ近ごろいれた大版のガラス二枚こはし升た。
黄金機会 (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
三四郎にも馬鹿気ばかげてゐる所が頗る可笑おかしいんだが、はゝいひ条が、全く事実を離れた作りばなしでないのだから、其所そこに気が付いた時には、成程軽卒な事をしてわるかつたと少しく後悔した。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
作者さくしやなんゆえにラスコーリニコフが氣鬱病きうつびやうかゝりたるやをかたらず開卷かいかん第一にその下宿住居げしゆくじゆうきよ點出てんしつせり、これらをも原因げんいんある病氣びやうきいひしりぞけたらんには、このしよ妙所みやうしよついにいづれにかそんせんや。
「罪と罰」の殺人罪 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
おほきさは一寸いつすん二三分にさんぶちひさなせみぐらゐあつた、とふ。……しかしその綺麗きれいさは、うもおもふやうにいひあらはせないらしく、じれつたさうに、家内かない逆上のぼせてた。たゞあをつたのでは厄介やつかいだ。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かれ室内しつないあるはじめたが、やが小聲こゞゑまたいひす。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
とうさんがいひますと、うまくびをふりながら
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
べしは重々ぢゆう/\此方こなたわるけれど母上はゝうへとらへてなにいひつたかおみゝれまいとおもへばこそ樣々さま/″\苦勞くらうもするなれさらでもの御病氣ごびやうきにいとゞおもさを
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
つれ申さんにすけ十郎郷右衞門の兩人にのみほねをらかくのめ/\と我が宅に居ん事眞に云甲斐かひなしとはいひ何分病には勝難し偖々さて/\何か仕樣しやうは有まいか萬一此事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
左右さいうかへりみ、下男等げなんどもいひつけて、つてさした握太にぎりぶとつゑ二本にほん
麦搗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
夕暮ゆふぐれうすくらきにまよこゝろもかきくらされてなにいひれんのすきよりさしのぞ家内かないのいたましさよ頭巾づきん肩掛かたかけはつゝめど
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
島秀之助が今日の振舞ふるまひのちに關東へ聞え器量きりやう格別かくべつの者なりとて元文ぐわんぶん三年三月京都町奉行まちぶぎやうを仰付られ島長門守しまながとのかみいひしは此人なりし同五年江戸町奉行となり延享えんきやう三年寅年とらどし免ぜらる
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
あきれはてし與之助が、あまりの事に戯れとも思はれず、さりとて青筋たてゝ怒りもせば、いよ/\笑はれて茶にされて、我がいひ條は何所にか立たすべき、母はもとより同意も同意
花ごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)