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裸身
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はだかみ
ふりがな文庫
“
裸身
(
はだかみ
)” の例文
が、
生命
(
いのち
)
は取らぬ。さるかわり、背に
裸身
(
はだかみ
)
の美女を乗せたまま、池のほとりで牛を
屠
(
ほふ
)
って、角ある
頭
(
こうべ
)
と、尾を添えて、これを供える。
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その光に霑された彼女の指は、薔薇色にすきとほつて、それが亦次第に不透明な、牛乳のやうに白い、
裸身
(
はだかみ
)
の腕に溶けこんでゐる。
クラリモンド
(新字旧仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
罵
(
ののし
)
らるべくもあるところを
却
(
かえ
)
って褒められて、二人は
裸身
(
はだかみ
)
の背中を
生
(
なま
)
蛤
(
はまぐり
)
で撫でられたでもあるような変な心持がしたろう。
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
殊
(
こと
)
に
気味
(
きみ
)
の
悪
(
わる
)
かったのは
私
(
わたくし
)
のすぐ
傍
(
そば
)
に
居
(
お
)
る、
一人
(
ひとり
)
の
若
(
わか
)
い
男
(
おとこ
)
で、
太
(
ふと
)
い
荒縄
(
あらなわ
)
で、
裸身
(
はだかみ
)
をグルグルと
捲
(
ま
)
かれ、ちっとも
身動
(
みうご
)
きができなくされて
居
(
お
)
ります。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
己
(
おの
)
れの罪という罪、悪という悪をぶちまけて、これを審判の前に置き、残るところの
裸身
(
はだかみ
)
を、あの十字の柱に向ってひしひしと投げかけている絶体絶命の仕草である。
大菩薩峠:38 農奴の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
倉庫には
竪
(
たて
)
半分に立ち割った馬の
裸身
(
はだかみ
)
や、ダラリと長い耳を下げた
兎
(
うさぎ
)
の
籠
(
かご
)
などが目についた。
爬虫館事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
裸身
(
はだかみ
)
を屈ませて小走りに、素早く岩かげへ廻ると、何の
設備
(
しつらえ
)
もないとは言え、女性の浴客のために建てられたささやかな脱衣場がある——竹を立て、
莚
(
むしろ
)
をめぐらしたほんの掘立小屋。
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
彼れは妻に手伝わせて馬の皮を
剥
(
は
)
ぎ始めた。生臭い匂が小屋一杯になった。厚い舌をだらりと横に出した顔だけの皮を残して、馬はやがて
裸身
(
はだかみ
)
にされて
藁
(
わら
)
の上に堅くなって
横
(
よこた
)
わった。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
たけは六尺ばかり、
赤髪
(
あかきかみ
)
、
裸身
(
はだかみ
)
、
通身
(
みうち
)
灰色
(
はいいろ
)
にて、
毛
(
け
)
の
脱
(
ぬけ
)
たるに
似
(
に
)
たり、
腰
(
こし
)
より下に
枯
(
かれ
)
草をまとふ。此物よく人のいふことにしたがひて、のちにはよく人に
馴
(
なれ
)
しと高田の人のかたりき。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
蜑の
裸身
(
はだかみ
)
が、底の方にある時は、青い水の層の複雑な動揺の為に、その身体が、まるで海草の様に、不自然にクネクネと曲り、
輪廓
(
りんかく
)
もぼやけて、白っぽいお
化
(
ばけ
)
みたいに見えているが、それが
押絵と旅する男
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
苔
(
こけ
)
を畳む
煩
(
わずら
)
わしさを避けて、
紫
(
むらさき
)
の
裸身
(
はだかみ
)
に、
撃
(
う
)
ちつけて散る
水沫
(
しぶき
)
を、春寒く腰から浴びて、緑り
崩
(
くず
)
るる真中に、舟こそ来れと待つ。舟は
矢
(
や
)
も
楯
(
たて
)
も物かは。
一図
(
いちず
)
にこの大岩を目懸けて突きかかる。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「宗介天狗は
裸身
(
はだかみ
)
でござる!」
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
公孫樹よ、明日の
裸身
(
はだかみ
)
公孫樹
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
前刻
(
さっき
)
も前刻、絵馬の中に、白い女の
裸身
(
はだかみ
)
を仰向けにくくりつけ、膨れた腹を裂いています、
安達
(
あだち
)
ヶ原の
孤家
(
ひとつや
)
の、もの
凄
(
すご
)
いのを見ますとね。
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
未だ小さな青い花で編んである長い乱れ髪は、彼女の頭にまばゆい枕を造つて、其房々した巻き毛は、
裸身
(
はだかみ
)
の肩を掩つてゐる。
クラリモンド
(新字旧仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
たけは六尺ばかり、
赤髪
(
あかきかみ
)
、
裸身
(
はだかみ
)
、
通身
(
みうち
)
灰色
(
はいいろ
)
にて、
毛
(
け
)
の
脱
(
ぬけ
)
たるに
似
(
に
)
たり、
腰
(
こし
)
より下に
枯
(
かれ
)
草をまとふ。此物よく人のいふことにしたがひて、のちにはよく人に
馴
(
なれ
)
しと高田の人のかたりき。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
「てんぼうの
裸身
(
はだかみ
)
なんぞは、誰が見たって、あんまり見いいものじゃないよ」
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
右の手高く
振上
(
ふりあげ
)
し
鉈
(
なた
)
には鉄をも砕くべきが気高く
仁
(
やさ
)
しき
情
(
なさけ
)
溢
(
あふ
)
るる
計
(
ばかり
)
に
湛
(
たた
)
ゆる姿、さても水々として柔かそうな
裸身
(
はだかみ
)
、
斬
(
き
)
らば熱血も
迸
(
ほとばし
)
りなんを、どうまあ邪見に
鬼々
(
おにおに
)
しく
刃
(
やいば
)
の
酷
(
むご
)
くあてらるべき
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
体がぶるぶるッと
顫
(
ふる
)
えたと見るが早いか、
掻消
(
かきけ
)
すごとく
裸身
(
はだかみ
)
の女は消えて、一羽の大蝙蝠となりましてございまする。
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
未だ真珠の腕輪も外さない、
裸身
(
はだかみ
)
の腕が象牙のやうにつや/\と、
円
(
まど
)
かな肉附きを見せてゐる艶めかしさに——死後さへも猶——之のみが、反抗の意を示してゐるのである。
クラリモンド
(新字旧仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
裸
(
はだか
)
なる
所以
(
ゆゑん
)
は
人気
(
じんき
)
にて堂内の
熱
(
ねつ
)
すること
燃
(
もゆる
)
がごとくなるゆゑ也。
願望
(
ぐわんまう
)
によりては一里二里の所より正月三日の雪中寒気
肌
(
はだへ
)
を
射
(
いる
)
がごときをも
厭
(
いとは
)
ず、
柱
(
はしら
)
のごとき
氷柱
(
つらゝ
)
を
裸身
(
はだかみ
)
に
脊負
(
せおひ
)
て堂押にきたるもあり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
「坊や、」とばかり、あわれな
裸身
(
はだかみ
)
を抱え上げようとして、その乳のあたりを手に取ると、首が抜けて、手足がばらばら。
胴中
(
どうなか
)
の丸いものばかり蝶吉の手に残ったので
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
裸
(
はだか
)
なる
所以
(
ゆゑん
)
は
人気
(
じんき
)
にて堂内の
熱
(
ねつ
)
すること
燃
(
もゆる
)
がごとくなるゆゑ也。
願望
(
ぐわんまう
)
によりては一里二里の所より正月三日の雪中寒気
肌
(
はだへ
)
を
射
(
いる
)
がごときをも
厭
(
いとは
)
ず、
柱
(
はしら
)
のごとき
氷柱
(
つらゝ
)
を
裸身
(
はだかみ
)
に
脊負
(
せおひ
)
て堂押にきたるもあり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
禰宜 これ、
速
(
すみやか
)
におわびを申し、
裸身
(
はだかみ
)
に塩をつけて
揉
(
も
)
んでなりとも、払い
浄
(
きよ
)
めておもらい申せ。
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「それでも、あの段、くるくる舞うてころげた時は、あて、ぱッと帯紐とけて、
裸身
(
はだかみ
)
で落ちるようにあって、土間は血の池、おにが沢山いやはって、大火鉢に火が燃えた。」
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
裸身
(
はだかみ
)
の色の白さに、つい、とろとろとなって、面目なや、ぬらり、くらりと鰭を滑らかいてまつわりましたが、フトお
目触
(
めざわ
)
りとなって、われら若君、もっての外の御機嫌じゃ。
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「やあ、あの、もの
恥
(
はぢ
)
をする
人
(
ひと
)
が、
裸身
(
はだかみ
)
なんぞ、こんな
姿
(
すがた
)
を、
人
(
ひと
)
に
見
(
み
)
せるわけはない。」
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
裸身
(
はだかみ
)
に、あの針のざらざら刺さるよりは、
鉄棒
(
かなぼう
)
で
挫
(
くじ
)
かれたいと、覚悟をしておりましたが、馬が、
一頭
(
ひとつ
)
、
背後
(
うしろ
)
から、青い火を上げ、
黒煙
(
くろけむり
)
を立てて
駈
(
か
)
けて来て、背中へ
打
(
ぶ
)
つかりそうになりましたので
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
實
(
じつ
)
は
六十幾歳
(
ろくじふいくさい
)
の
婆々
(
ばゞ
)
で、かもじを
亂
(
みだ
)
し、
白
(
しろ
)
ぬのを
裸身
(
はだかみ
)
に
卷
(
ま
)
いた。——
背中
(
せなか
)
に、
引剥
(
ひつぺ
)
がした
黒塀
(
くろべい
)
の
板
(
いた
)
を
一枚
(
いちまい
)
背負
(
しよ
)
つて
居
(
ゐ
)
る。それ、トくるりと
背後
(
うしろ
)
を
向
(
む
)
きさへすれば、
立處
(
たちどころ
)
に
暗夜
(
やみ
)
の
人目
(
ひとめ
)
に
消
(
き
)
えたのである。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
“裸身”の意味
《名詞》
裸身(らしん)
裸。裸体。全裸。
(出典:Wiktionary)
裸
常用漢字
中学
部首:⾐
13画
身
常用漢字
小3
部首:⾝
7画
“裸”で始まる語句
裸体
裸
裸足
裸體
裸形
裸蝋燭
裸馬
裸火
裸木
裸虫