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ばう
ふりがな文庫
“
茫
(
ばう
)” の例文
幸ひに航路は穏かで、心配した濃霧もかゝらずに
茫
(
ばう
)
と静かに海は暮れて行つたけれども、しかもさびしさは遂に遂にBを離れなかつた。
犬
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
成程
(
なるほど
)
、
蟲
(
むし
)
と
梟
(
ふくろ
)
では
大分
(
だいぶ
)
見當
(
けんたう
)
が
違
(
ちが
)
ひました。……
續
(
つゞ
)
いて
餘
(
あま
)
り
暑
(
あつ
)
いので、
餘程
(
よほど
)
茫
(
ばう
)
として
居
(
ゐ
)
るやうです。
失禮
(
しつれい
)
、
可厭
(
いや
)
なものツて、
何
(
なに
)
が
鳴
(
な
)
きます。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
こんなことになると、房一はふだんよりなほ
茫
(
ばう
)
とした眠たげな眼つきになる。その目でちらりと相沢を眺めたのである。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
平次は
脂下
(
やにさが
)
りに噛んだ煙管をポンと叩くと、起き上がつてこの
茫
(
ばう
)
とした子分の顏を面白さうに眺めるのです。
銭形平次捕物控:164 幽霊の手紙
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
天の
茫
(
ばう
)
々たる他国にも是に似たる所あるべし、
姑
(
しばら
)
くその
類
(
るゐ
)
を
示
(
しめ
)
す。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
▼ もっと見る
鏡子が
茫
(
ばう
)
として居る
処
(
ところ
)
へ南が出て来た。
帰つてから
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
若旦那
(
わかだんな
)
、
氣疲
(
きつか
)
れ、
魂倦
(
こんつか
)
れ、
茫
(
ばう
)
として
手
(
て
)
もつけられず。
美少年
(
びせうねん
)
の
拔
(
ぬ
)
けたあとを、
夫婦
(
ふうふ
)
相對
(
あひたい
)
して
目
(
め
)
を
見合
(
みあは
)
せて、いづれも
羞恥
(
しうち
)
に
堪
(
た
)
へず
差俯向
(
さしうつむ
)
く。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
そんな物はありやしません、手に持つてゐるのは、筆と
短册
(
たんざく
)
だけ、——増田屋金兵衞
茫
(
ばう
)
となつてしまつた。
銭形平次捕物控:261 弱い浪人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
天の
茫
(
ばう
)
々たる他国にも是に似たる所あるべし、
姑
(
しばら
)
くその
類
(
るゐ
)
を
示
(
しめ
)
す。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
傳
(
つた
)
へ
聞
(
き
)
く、
近頃
(
ちかごろ
)
、
天津
(
てんしん
)
の
色男
(
いろをとこ
)
に
何生
(
なにがし
)
と
云
(
い
)
ふもの、
二日
(
ふつか
)
ばかり
邸
(
やしき
)
を
明
(
あ
)
けた
新情人
(
しんいろ
)
の
許
(
もと
)
から、
午後二時半頃
(
こごにじはんごろ
)
茫
(
ばう
)
として
歸
(
かへ
)
つて
來
(
き
)
た。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
唯
(
たゞ
)
さへ、
思
(
おも
)
ひ
掛
(
が
)
けない
人影
(
ひとかげ
)
であるのに、
又
(
また
)
其
(
そ
)
の
影
(
かげ
)
が、
星
(
ほし
)
のない
外面
(
とのも
)
の、
雨氣
(
あまけ
)
を
帶
(
お
)
びた、
雲
(
くも
)
に
染
(
にじ
)
んで、
屋根
(
やね
)
づたひに
茫
(
ばう
)
と
來
(
き
)
て、
此方
(
こなた
)
を
引包
(
ひきつゝ
)
むやうに
思
(
おも
)
はれる。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
手
(
て
)
を
緊
(
し
)
めて、
差窺
(
さしうかゞ
)
ふ、
母屋
(
おもや
)
の、
遠
(
とほ
)
く
幽
(
かすか
)
なやうな
帳場
(
ちやうば
)
から、
明
(
あかり
)
の
末
(
すゑ
)
が
茫
(
ばう
)
と
屆
(
とゞ
)
く。
池
(
いけ
)
に
面
(
めん
)
した
大廣間
(
おほひろま
)
、
中
(
なか
)
は四五十
疊
(
でふ
)
と
思
(
おも
)
はるゝ、
薄暗
(
うすぐら
)
い
障子
(
しやうじ
)
の
數
(
かず
)
の
眞中
(
まんなか
)
あたり。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
神田
(
かんだ
)
猿樂町
(
さるがくちやう
)
で、
幌
(
ほろ
)
のまゝ
打倒
(
ぶつたふ
)
れた、ヌツと
這出
(
はひで
)
る
事
(
こと
)
は
出
(
で
)
たが、
氣
(
き
)
つけの
賓丹
(
はうたん
)
を
買
(
か
)
ふつもりで
藥屋
(
くすりや
)
と
間違
(
まちが
)
へて
汁粉屋
(
しるこや
)
へ
入
(
はひ
)
つた、
大分
(
だいぶ
)
茫
(
ばう
)
としたに
違
(
ちが
)
ひない、が
怪我
(
けが
)
なし。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
一日
(
いちにも
)
、
茫
(
ばう
)
と
成
(
な
)
つて、
田圃
(
たんぼ
)
の
川
(
かは
)
で
水
(
みづ
)
を
呑
(
の
)
んで
居
(
ゐ
)
る
處
(
ところ
)
を、
見懸
(
みか
)
けた
村
(
むら
)
の
若
(
わか
)
いものが、ドンと
一
(
ひと
)
ツ
肩
(
かた
)
をくらはすと、
挫
(
ひしや
)
げたやうにのめらうとする。
慌
(
あわ
)
てて、
頸首
(
えりくび
)
を
引掴
(
ひツつか
)
んで
鑑定
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
谷
(
たに
)
の
底
(
そこ
)
にも
落
(
お
)
ちないで、ふわりと
便
(
たより
)
のない
処
(
ところ
)
に、
土器色
(
かはらけいろ
)
して、
畷
(
なはて
)
も
畝
(
あぜ
)
も
茫
(
ばう
)
と
明
(
あかる
)
いのに、
粘
(
ねば
)
つた、
生暖
(
なまぬる
)
い
小糠雨
(
こぬかあめ
)
が、
月
(
つき
)
の
上
(
うへ
)
からともなく、
下
(
した
)
からともなく、しつとりと
来
(
き
)
て
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
茫
漢検1級
部首:⾋
9画
“茫”を含む語句
茫然
茫乎
茫々
茫漠
渺茫
茫然自失
微茫
蒼茫
茫洋
光茫
淼茫
縹茫
眇茫
広茫
茫茫
曠茫
茫々然
草茫々
薄茫然
薄茫乎
...