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脈
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みゃく
ふりがな文庫
“
脈
(
みゃく
)” の例文
「
否
(
いいえ
)
、」とお
母
(
かあ
)
さんが
言
(
い
)
った。「わたしは
胸
(
むね
)
が
苦
(
くる
)
しくって、
歯
(
は
)
がガチガチする。それで
脈
(
みゃく
)
の
中
(
なか
)
では、
火
(
ひ
)
が
燃
(
も
)
えているようですわ。」
杜松の樹
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
私が三毛をだいて診察場へ行くと、
風邪
(
かぜ
)
でも引いたのかって私の
脈
(
みゃく
)
をとろうとするんでしょう。いえ病人は私ではございません。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
以上のような鉄則にも人間の血が
脈
(
みゃく
)
搏
(
う
)
っていたし、藩という組織もまた、人間と人間、たましいとたましいを以て結ばれていた。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あわて者は、
肝腎
(
かんじん
)
の宝物に手をふれても、それと気がつかないだろう。まだ
脈
(
みゃく
)
があるにちがいないと、私は
合点
(
がてん
)
のいくまで調べる決心をした。
暗号音盤事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
支那
(
しな
)
の
四川省
(
しせんしょう
)
の奥で
修業
(
しゅぎょう
)
をしたと云うんだ。気合をかけると
己
(
じぶん
)
の
脈
(
みゃく
)
がとまるよ、
仰向
(
あおむ
)
いて胸を
反
(
そ
)
らして力を入れると、
肋骨
(
ろっこつ
)
がばらばらになるそうだ。
仙術修業
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
▼ もっと見る
いや
静
(
しず
)
かに。——ただ
今
(
いま
)
、
脈
(
みゃく
)
に
力
(
ちから
)
が
出
(
で
)
たようじゃと
申上
(
もうしあ
)
げたが、
実
(
じつ
)
は
他
(
た
)
の
方々
(
かたがた
)
の
手前
(
てまえ
)
をかねたまでのこと。
心臓
(
しんぞう
)
も、
微
(
かす
)
かに
温
(
ぬく
)
みを
保
(
たも
)
っているだけのことじゃ
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
私は、軽い二間半で道糸に水鳥の白羽を目印につけ、暁の色を映しゆく瀬脇の水の
面
(
おもて
)
を
脈
(
みゃく
)
釣りで流した。
楢の若葉
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
「いや、まて、まだ死んじゃいない。
脈
(
みゃく
)
がある。この血も、どうやら鼻血らしいぜ。」
妖人ゴング
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
宛如
(
さながら
)
、狂人、乱心のものと覚えたが、いまの気高い姿にも、
慌
(
あわ
)
てゝあとへ
退
(
ひ
)
かうとしないで、ひよろりとしながら前へ出る時、
垂々
(
たらたら
)
と血の
滴
(
したた
)
るばかり
抜刀
(
ばっとう
)
の
冴
(
さえ
)
が、
脈
(
みゃく
)
を打つてぎらりとして
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
十力
(
じゅうりき
)
の
大宝珠
(
だいほうじゅ
)
はある時黒い
厩肥
(
きゅうひ
)
のしめりの中に
埋
(
う
)
もれます。それから木や草のからだの中で月光いろにふるい、青白いかすかな
脈
(
みゃく
)
をうちます。それから人の
子供
(
こども
)
の
苹果
(
りんご
)
の
頬
(
ほお
)
をかがやかします
虹の絵の具皿:(十力の金剛石)
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
イヤこの山には
金鉱
(
きんこう
)
の
脈
(
みゃく
)
がある! すなわち
家康公
(
いえやすこう
)
にとっての
金脈
(
きんみゃく
)
があるのだ! これからそれをさがしにかかるのだから、ずいぶん
骨
(
ほね
)
を折るがよい。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ぼんやり
中腰
(
ちゅうごし
)
になってお由の白い顔を眺めていた土岐健助は、初めて
愕然
(
がくぜん
)
と声をあげた。そして、おずおずとお由の
硬張
(
こわば
)
った腕を持ったが、
勿論
(
もちろん
)
脈
(
みゃく
)
は切れていた。
白蛇の死
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
情
(
なさ
)
けの風が女から吹く。声から、眼から、
肌
(
はだえ
)
から吹く。男に
扶
(
たす
)
けられて
舳
(
とも
)
に行く女は、夕暮のヴェニスを
眺
(
なが
)
むるためか、扶くる男はわが
脈
(
みゃく
)
に
稲妻
(
いなずま
)
の血を走らすためか。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「そうです、そうです。血が通っています。死体人形なら、
脈
(
みゃく
)
がとまったようです」
悪霊物語
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そして動くに
連
(
つ
)
れて、
潮
(
しお
)
はしだいに増すようである。
水
(
み
)
の
面
(
も
)
が、水の面が、
脈
(
みゃく
)
を打って、ずんずん
拡
(
ひろ
)
がる。
嵩
(
かさ
)
増
(
ま
)
す潮は、さし
口
(
ぐち
)
を
挟
(
はさ
)
んで、川べりの
蘆
(
あし
)
の根を
揺
(
ゆ
)
すぶる、……ゆらゆら揺すぶる。
海の使者
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
楊
(
やなぎ
)
の木でも
樺
(
かば
)
の木でも、
燐光
(
りんこう
)
の
樹液
(
じゅえき
)
がいっぱい
脈
(
みゃく
)
をうっています。
イーハトーボ農学校の春
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「
脈
(
みゃく
)
に
力
(
ちから
)
が
出
(
で
)
たようじゃが。……」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
すべて家康の四
肢
(
し
)
となり、家康と通じる者の
脈
(
みゃく
)
を断って、その後、
爼上
(
そじょう
)
に料理すべき
大魚
(
たいぎょ
)
を
観
(
み
)
ながら——彼は網を南へ打ち、北へ打ち、おもむろに重点のものを
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そばによってみると、博士は、心臓が
衰弱
(
すいじゃく
)
しているようで、
脈
(
みゃく
)
がわるいが、しかしちゃんと生きていた。X号はよろこんだ。博士はこんこんとねむっているらしい。
超人間X号
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
けれども
呼息
(
いき
)
をするたびに春の
匂
(
におい
)
が
脈
(
みゃく
)
の中に流れ込む快よさを忘れるほど自分は老いていなかった。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
小さな
浮木
(
うき
)
ほどに成つて居たのが、ツウと浮いて、板ぐるみ、グイと傾いて、水の
面
(
おも
)
にぴたりとついたと思ふと、
罔竜
(
あまりょう
)
の
頭
(
かしら
)
、
絵
(
えが
)
ける
鬼火
(
ひとだま
)
の如き
一条
(
ひとすじ
)
の
脈
(
みゃく
)
が、
竜
(
たつ
)
の
口
(
くち
)
からむくりと
湧
(
わ
)
いて、水を
一文字
(
いちもんじ
)
に
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
これが
裂罅
(
れっか
)
を
温泉
(
おんせん
)
の通った
証拠
(
しょうこ
)
だ。
玻璃蛋白石
(
はりたんぱくせき
)
の
脈
(
みゃく
)
だ。
台川
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
夜色
(
やしょく
)
をこめた草原のはてを
鞍上
(
あんじょう
)
から見ると——はるかに
白々
(
しらじら
)
とみえる
都田川
(
みやこだがわ
)
のほとり、そこに、なんであろうか、一
脈
(
みゃく
)
の
殺気
(
さっき
)
、形なくうごく
陣気
(
じんき
)
が民部に感じられた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
時計を出しては一日に
脈
(
みゃく
)
を何遍となく
験
(
けん
)
して見る。何遍験しても
平脈
(
へいみゃく
)
ではない。早く打ち過ぎる。不規則に打ち過ぎる。どうしても尋常には打たない。
痰
(
たん
)
を
吐
(
は
)
くたびに眼を皿のようにして
眺
(
なが
)
める。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「そうか。おい
立派
(
りっぱ
)
なもんだなあ。シグナルさまの後見人で鉄道長の甥かい。けれどもそんならおれなんてどうだい。おれさまはな、ええ、めくらとんびの後見人、ええ風引きの
脈
(
みゃく
)
の甥だぞ。どうだ、どっちが
偉
(
えら
)
い」
シグナルとシグナレス
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
口へ
掌
(
てのひら
)
を当てがっても、
呼息
(
いき
)
の通う音はしなかった。母は
呼吸
(
こきゅう
)
の
塞
(
つま
)
ったような苦しい声を出して、下女に
濡手拭
(
ぬれてぬぐい
)
を持って来さした。それを宵子の額に
載
(
の
)
せた時、「
脈
(
みゃく
)
はあって」と千代子に聞いた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
脈
常用漢字
小5
部首:⾁
10画
“脈”を含む語句
脈搏
血脈
山脈
水脈
静脈
脈絡
脈膊
頸動脈
一脈
脈管
岩脈
動脈
脈所
糸脈
大動脈
脈々
見脈
火山脈
銅脈
鉱脈
...