きく)” の例文
逆手さかてもちまゝうしなひてたふたりしかば是は何事なにごとならんと氣付きつけあたへて樣子やうすきく敵討かたきうちなりと申ゆゑ半左衞門はんざゑもんおほいに驚き早々さう/\町役人ちやうやくにん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
先頃もお手飼にちんが欲しいと夫人の御意、きくよりも早飲込み、日ならずして何処でもらッて来た事か、狆の子一ぴきを携えて御覧に供える。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
なほさら五月蠅うるさいとはしくくるまのおとのかどとまるをなによりもにして、それおいできくがいなや、勝手かつてもとのはうき手拭てぬぐひをかぶらせぬ。
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
二郎は恐る恐る、「母さんに遇いたいが、お前さんは、母さんのいるところを知らないか。」ときくと乞食は、「母さんのところへ連れて行って上ましょう。」
迷い路 (新字新仮名) / 小川未明(著)
七夕の竹ヤ々々は心涼しく、師走しはすの竹ヤ/\は(すゝはらふ竹うりなり)きくせはし。物皆季におうじて声をなし、情に入る事天然の理なり。胡笳こかかなしみも又然らん。
しいきくでもなけれど此儘このまま別れては何とやら仏作って魂入れずと云う様な者、話してよき事ならばきいた上でどうなりと有丈あるたけの力喜んで尽しましょうといわれておたつ
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ほかきくとは何所で聞くのだ(谷)夫を知らない様で此事件の探偵が出来る者か夫はう君の常に謂う臨機応変だから己の様に何所を推せばどんな音が出ると云う事を
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
一 言葉を慎みておおくすべからず。仮にも人をそしり偽を言べからず。人のそしりきくことあらば心におさめて人に伝へかたるべからず。そしりを言伝ふるより、親類ともなか悪敷あしくなり、家の内おさまらず。
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
今初まったでもないが困った始末、ただ感心なのはあの男と、永年の勤労が位を進め、お名前をきくさえが堅くるしい同郷出身の何がし殿が、縁も無いに力瘤ちからこぶを入れてほめそやしたは
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
汝もし温屋おんおく玻璃はりの内にナザレの耶蘇いえすの弟子ありときくとも汝の心をいたましむるなかれ。
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
教の人における、一日もなかるべからず。飽食・暖衣・逸居いっきょして教なきは、禽獣に近し。教の政における、そのいつなり。われきく、文明の国たる、王家大礼あれば必ず教師をひきてこれをつかさどらしむ。
教門論疑問 (新字新仮名) / 柏原孝章(著)
拍子木ひょうしぎのかたき音きく夜寒かな 堇浪
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
きくなれたる野べの松虫行澄
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さても平野村甚左衞門方に世話せわに成居るお三婆は此事をきくよりおほひなげかなしみ先年御誕生ごたんじやうの若君の今迄いままでも御存命におはしまさば將軍の御落胤おんおとしだねなれば何樣いかやうなる立身を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
七夕の竹ヤ々々は心涼しく、師走しはすの竹ヤ/\は(すゝはらふ竹うりなり)きくせはし。物皆季におうじて声をなし、情に入る事天然の理なり。胡笳こかかなしみも又然らん。
昨夜ゆうべもアレから下へ降りて、本田さんがアノー『慈母おっかさんがきくきっやかましく言出すに違いない、そうすると僕は何だけれどもアノ内海が困るだろうから黙ッていてくれろ』
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
ほつすればなすことなきしくなし人のきくことなきほつすれば言ことなきしくなしとむべなるかな嗚呼あゝ謹愼つゝしまずんば有べからず。
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
○此地近年公税こうぜいきくにいたれども、米麦を生ぜざるゆゑわづかみつぎをなす(鐁役かんなやくといふ)にいたりて、信濃と越後とのの村名主の支配をうけ、旦那寺をも定めたれど
これは水揚みづあがりせざるところものどもこゝにはせあつまりて、川すぢひらき水をおとさんとする也。闇夜あんやにてすがたは見えねど、をんなわらべ泣叫なきさけこゑあるひとほく或はちかく、きくもあはれのありさま也。
女太夫とか鳥追とりおひの三味線さみせんにめでたき哥をうたひ、娘ののやり羽子はご、男の帋鳶いかのぼり、見るものきくものめでたきなかに、初日はつひかげ花やかにさしのぼりたる、新玉あらたまの春とこそいふべけれ。