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縁故
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えんこ
ふりがな文庫
“
縁故
(
えんこ
)” の例文
主家小寺家と荒木家とは、いろいろな
縁故
(
えんこ
)
から旧交浅からぬ間であった。従って、官兵衛も彼の性行と今日ある
由縁
(
ゆえん
)
はよく知っていた。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ところが、ここに、幸いなことには、思いがけない
縁故
(
えんこ
)
を
辿
(
たど
)
って、いろいろあの山奥の方の地理や風俗を聞き込むことが出来た。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「君が来たんで生徒も大いに喜んでいるから、
奮発
(
ふんぱつ
)
してやってくれたまえ」と今度は釣にはまるで
縁故
(
えんこ
)
もない事を云い出した。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
私は、彼女の地位、
縁故
(
えんこ
)
等が彼に合つてゐる故を以て、
家柄
(
いへがら
)
や、恐らくは政略的な理由の爲めに彼が彼女と結婚しようとしてゐるのだと思つた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
じゅうぶんな
手当
(
てあ
)
てをしたのであるが、そういう
縁故
(
えんこ
)
をもたぬ貧乏な
旅人
(
たびびと
)
には、旅は誠にういものつらいものであった。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
▼ もっと見る
富貴
(
ふうき
)
には
寄
(
よ
)
る
親類顏
(
しんるゐがほ
)
幾代先
(
いくだいさ
)
きの
誰樣
(
たれさま
)
に
何
(
なに
)
の
縁故
(
えんこ
)
ありとかなしとか
猫
(
ねこ
)
の
子
(
こ
)
の
貰
(
もら
)
ひ
主
(
ぬし
)
までが
實家
(
さと
)
あしらひのえせ
追從
(
つゐしよう
)
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
あの帆村荘六という奴は、わしと
同郷
(
どうきょう
)
でな、ちょっと或る
縁故
(
えんこ
)
でつながっている者だが、すこし変り者だ。
什器破壊業事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そして
偶
(
たま
)
には
神様
(
かみさま
)
に
連
(
つ
)
れられて、
現世
(
げんせ
)
で
縁故
(
えんこ
)
の
深
(
ふか
)
かった
人達
(
ひとたち
)
の
許
(
もと
)
へも
尋
(
たず
)
ねて
行
(
ゆ
)
くとのことでございました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
貴君
(
きくん
)
、
今
(
いま
)
本艦
(
ほんかん
)
水兵
(
すいへい
)
と
貴君
(
きくん
)
の
同伴者
(
どうはんしや
)
なる
武村兵曹
(
たけむらへいそう
)
との
談話
(
だんわ
)
によると、
貴君等
(
きくんら
)
は、
我
(
わ
)
が
最
(
もつと
)
も
親密
(
しんみつ
)
なる
海軍大佐櫻木重雄君
(
かいぐんたいささくらぎしげをくん
)
と
縁故
(
えんこ
)
の
人
(
ひと
)
の
樣
(
やう
)
に
思
(
おも
)
はれるが、
果
(
はた
)
して
左樣
(
さう
)
ですか。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
アイヌ人は、そんな
縁故
(
えんこ
)
から、くまの
肉
(
にく
)
を、よく、わたしの家へ持ってきてくれたものでした。
くまと車掌
(新字新仮名)
/
木内高音
(著)
中でも朝鮮との
縁故
(
えんこ
)
は深く、江戸時代三百年の間に、日本の焼物を非常に発達させる原因をなしました。豊臣秀吉の軍が、朝鮮に攻め入った時、彼は不思議な命令を下しました。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
以前
此
(
この
)
寺の僧院であつた隣の建築物はツウル市の博物館に成つて居る。博物館の前は小さな広場で、文豪が
屡
(
しば/\
)
此
(
この
)
地に遊んだ
縁故
(
えんこ
)
から「エミル・ゾラの広場」と云ふ名を負うて居る。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
明日行つて訊くがいゝ、——多分、大垣の
縁故
(
えんこ
)
の者だらう。金づくでやれる仕事ぢやないよ。あんな危ない仕事をさした上、口を
塞
(
ふさ
)
ぐ氣になつたのは、大垣も少し血迷つたのだらう。
銭形平次捕物控:062 城の絵図面
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
丁度そこへ、彼の貧窮時代同じ下宿にいた
縁故
(
えんこ
)
で知合の小林紋三が、
屈竟
(
くっきょう
)
な事件を持込んで来た。山野夫人の話を聞いている内に、彼は多年の慣れで、これは一寸面白そうな事件だと直覚した。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「ふん、なんだと、お前はなんの
縁故
(
えんこ
)
でこんなことに口を出すんだ」
シグナルとシグナレス
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
『だって、山岡屋じゃ、内密で
盗品買
(
けいずかい
)
もしているというから、牢屋敷の者にだって、まんざら
縁故
(
えんこ
)
がないわけじゃないだろうさ』
魚紋
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
宗助
(
そうすけ
)
は
安井
(
やすゐ
)
を
此所
(
こゝ
)
に二三
度
(
ど
)
訪
(
たづ
)
ねた
縁故
(
えんこ
)
で、
彼
(
かれ
)
の
所謂
(
いはゆる
)
不味
(
まづ
)
い
菜
(
さい
)
を
拵
(
こし
)
らえる
主
(
ぬし
)
を
知
(
し
)
つてゐた。
細君
(
さいくん
)
の
方
(
はう
)
でも
宗助
(
そうすけ
)
の
顏
(
かほ
)
を
覺
(
おぼ
)
えてゐた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
想像
(
さうざう
)
とは
他
(
ほか
)
でもない、
貴君等
(
きくんら
)
が
果
(
はた
)
して
我
(
わ
)
が
親愛
(
しんあい
)
なる
櫻木君
(
さくらぎくん
)
と
縁故
(
えんこ
)
の
人
(
ひと
)
ならば、
今度
(
こんど
)
此
(
この
)
不思議
(
ふしぎ
)
なる
出來事
(
できごと
)
も、
或
(
あるひ
)
は
櫻木大佐
(
さくらぎたいさ
)
の
運命
(
うんめい
)
に
或
(
ある
)
關係
(
くわんけい
)
を
有
(
いう
)
して
居
(
を
)
るのではあるまいかと。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
私達が偶然に同じ兩親によつて生れたといふ理由でもつて、あなたが極く僅かな
縁故
(
えんこ
)
を云ひたてゝ、頼つてくれば、そのまゝ私が寄せつけようなどゝは考へないで下さいよ。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
かつて
御産屋
(
みうぶや
)
に奉仕した者、またはその
縁故
(
えんこ
)
を引く人々をもって組織した
部曲
(
かきべ
)
であって、これに
由
(
よ
)
って御名を永き世に留めんとしたものと、普通に解釈せられていてまだ異説はない。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
パンテオンの
側
(
そば
)
のオテル・スフロウに
泊
(
とま
)
つてから一箇月近く経つた。
此
(
この
)
宿は最初和田
英作
(
えいさく
)
君などの洋画界の先輩が泊つて居た
縁故
(
えんこ
)
で
巴里
(
パリイ
)
へ来る日本人は今でも大抵
一先
(
ひとま
)
ず
此処
(
ここ
)
へ落ち着く。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
三河屋の
縁故
(
えんこ
)
の者で、客分とも居候ともつかず、この二三年厄介になっている、
佐々波金十郎
(
ささなみきんじゅうろう
)
という男、まだ二十七八でしょうが、腕も才智もすぐれた上、男前も
恰幅
(
かっぷく
)
もなかなかに見事です。
銭形平次捕物控:087 敵討果てて
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「さようでございます。
昔
(
むかし
)
からのご
縁故
(
えんこ
)
で、わたくしは、どこでもよいから、徳川さまのご
領地
(
りょうち
)
に住みたいと願っております」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
其
(
その
)
日曜
(
にちえう
)
に
彼
(
かれ
)
は
又
(
また
)
安井
(
やすゐ
)
を
訪
(
と
)
ふた。それは
二人
(
ふたり
)
の
關係
(
くわんけい
)
してゐる
或
(
ある
)
會
(
くわい
)
に
就
(
つい
)
て
用事
(
ようじ
)
が
起
(
おこ
)
つたためで、
女
(
をんな
)
とは
全
(
まつた
)
く
縁故
(
えんこ
)
のない
動機
(
どうき
)
から
出
(
で
)
た
淡泊
(
たんぱく
)
な
訪問
(
はうもん
)
であつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
詩人ベランゼが住んで居た
縁故
(
えんこ
)
で記念の名を負うた「ベランゼの
並木路
(
アブニウ
)
」に臨んだ
煙草
(
たばこ
)
屋は博士が七箇月間
煙草
(
たばこ
)
を買はれた店で快濶な主人夫婦が面白いと云ふので今度も
態態
(
わざわざ
)
立寄つて
煙草
(
たばこ
)
を買はれた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
「いや、ただいまが初耳、それと知っておりましたら、もとのご
縁故
(
えんこ
)
も
浅
(
あさ
)
からぬこと、ぜひおひきとめ申すのであったに」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今日は
図
(
はか
)
らず御招きに
預
(
あずか
)
りまして突然参上致しました次第でありますが、私は元この学校で育った者で、私にとってはこの学校は大分
縁故
(
えんこ
)
の深い学校であります。
模倣と独立
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
また都に
祗候
(
しこう
)
の主筋や
縁故
(
えんこ
)
を持つ
輩
(
やから
)
は、これまたぞくぞく、東国から京へと急ぎ、海道はそのため、西ゆく者、東する者、
櫛
(
くし
)
の歯を
挽
(
ひ
)
くが如しじゃと、いわれておる
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それは近衛家の
往来
(
おうらい
)
手形だった。官兵衛の祖父明石正風と、近衛家の当主との
風交
(
ふうこう
)
は、近年こそ途絶えているが、その
縁故
(
えんこ
)
は歌の道のほうからいっても浅くない関係にある。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「や。おめえの言葉は北京語だが、そういうところをみると、もしやおめえは、
盧員外
(
ろいんがい
)
(俊儀のこと)の
縁故
(
えんこ
)
の者じゃあねえのかい。いや、安心しねえ。おれたちは、
梁山泊
(
りょうざんぱく
)
の者だからよ」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「なるほど、その
縁故
(
えんこ
)
をたよって、御本陣へ行ったのか。そして、今夜は」
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
縁故
(
えんこ
)
の手づる、見えすいた
贈賄
(
ぞうわい
)
、後宮の女性の口出し、あらゆる浅ましいもののがんじがらめにされてしまい、藤房の潔癖では、到底、その処理もなしえず、やがて辞任を申し出る始末とはなった。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「そなたは、伊丹家の
縁故
(
えんこ
)
とかいうが、そうなのかえ」
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、次には、卯木の
縁故
(
えんこ
)
さきを洗って行った。
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“縁故(縁故主義)”の解説
縁故主義(えんこしゅぎ)またはネポティズム(en: nepotism)とは、血縁を持つ縁故者を優先させる態度。
社会学の分野においては、同族・同郷者に限らず同じ共同体に属する人間の意見ばかりを尊重し、排他的な思想に偏る内集団偏向のことを指す。一般に、権力者はしばしば縁故者を自らの側近や部下として配することで知られる。
(出典:Wikipedia)
縁
常用漢字
中学
部首:⽷
15画
故
常用漢字
小5
部首:⽁
9画
“縁”で始まる語句
縁
縁側
縁起
縁日
縁端
縁先
縁喜
縁付
縁談
縁者