-
トップ
>
-
立處
>
-
たちどころ
此の
勢に
乘じて、
立處に
一國一城の
主と
志して
狙をつけたのは、あらう
事か、
用人團右衞門の
御新造、おきみ、と
云ふ、
年は
漸く
二十と
聞く
金の
力と
權威を
以て、
見事に
此の
女祕藏し
見すべし、
再び
是を
阿母の
胎内に
戻すことこそ
叶はずとも、などか
其の
術のなからんや、いで
立處に
驗を
見せう。
別るゝ
時一掬の
雪を
取つて、
昌黎に
與へて
曰く、
此のもの
能く
潮州の
瘴霧を
消さん、
叔公、
御機嫌ようと。
昌黎馬上に
是を
受けて
袖にすれば、
其の
雪香しく
立處に
花片となんぬとかや。
……
朝餉を
濟ますと、
立處に
床を
取直して、
勿體ない
小春のお
天氣に、
水を
二階まで
輝かす
日當りのまぶしさに、
硝子戸と
障子をしめて、
長々と
掻卷した、これ
此の
安湯治客、
得意の
處。
立處其の
手足を
炙るべく、
炎々たる
炭火を
熾して、やがて、
猛獸を
拒ぐ
用意の、
山刀と
斧を
揮つて、あはや、
其胸を
開かむとなしたる
處へ、
神の
御手の
翼を
擴げて、
其膝、
其手、
其肩、
其脛
蝗、
蛭、
蛙、
蜥蜴の
如きは、
最も
喜びて
食する
物とす。
語を
寄す(
應)よ、
願はくはせめて
糞汁を
啜ることを
休めよ。もし
之を
味噌汁と
洒落て
用ゐらるゝに
至らば、十
萬石の
稻は
恐らく
立處に
枯れむ。
實は
六十幾歳の
婆々で、かもじを
亂し、
白ぬのを
裸身に
卷いた。——
背中に、
引剥がした
黒塀の
板を
一枚背負つて
居る。それ、トくるりと
背後を
向きさへすれば、
立處に
暗夜の
人目に
消えたのである。