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突張
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つっぱ
ふりがな文庫
“
突張
(
つっぱ
)” の例文
と両袖を
突張
(
つっぱ
)
って肩でおどけた。これが、さかり場の魔所のような、
廂合
(
ひあわい
)
から
暗夜
(
やみ
)
が
覗
(
のぞ
)
いて、植込の影のさす姿見の前なんですが。
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
船頭はやはり二人で、
棹
(
さお
)
をつつッと
突張
(
つっぱ
)
るや否や、
後
(
あと
)
のが
櫓
(
ろ
)
べそを調べると、櫓をからからとやって、「そおれ出るぞぉ」である。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
やい/\
此処
(
こゝ
)
を
何処
(
どこ
)
と心得て
居
(
お
)
る、大伴蟠龍軒の道場へ来て、手前達が腕を
突張
(
つっぱ
)
り、弱い町人や老人を
威
(
おど
)
かして侠客の
男達
(
おとこだて
)
のと云う訳にはいかぬ
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
土人の一人は手でもって椰子の
幹
(
みき
)
を抱き、足でもってそれを
突張
(
つっぱ
)
りながら、そろそろと登ってまいりました。
椰子蟹
(新字新仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
折角油の
異臭
(
におい
)
に慣れたところに、
肥料
(
こやし
)
のにおいなんか押し付けられちゃ、たまらない……なぞと我儘を
突張
(
つっぱ
)
った。無理にも亭主に運転手稼業を止めさせまいとした。
衝突心理
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
番犬を繋いである犬小屋があったが、二人が近づいても犬は吠えもしなければ、身動きもしない、ボートルレが走り寄ってみると、犬は四肢を
突張
(
つっぱ
)
って死んでいた。
奇巌城:アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
「饂飩はよすよ。ここいらの饂飩はまるで
杉箸
(
すぎばし
)
を食うようで腹が
突張
(
つっぱ
)
ってたまらない」
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
三個が、手足を
突張
(
つっぱ
)
らかして、箸の折れたように、踊るふりで行くと、ばちゃばちゃと音がして、水からまた
一個
(
ひとり
)
這上
(
はいあが
)
った。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
けれども事実は事実で
詐
(
いつわ
)
る訳には行かないから、吾輩は「実はとろうとろうと思ってまだ
捕
(
と
)
らない」と答えた。黒は彼の鼻の先からぴんと
突張
(
つっぱ
)
っている長い
髭
(
ひげ
)
をびりびりと
震
(
ふる
)
わせて非常に笑った。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
で、
操
(
あやつり
)
の糸の切れたがごとく、手足を
突張
(
つっぱ
)
りながら、ぐたりと眠る……俗には船を
漕
(
こ
)
ぐとこそ言え、これは
筏
(
いかだ
)
を流す
体
(
てい
)
。
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
済みやしないよ、七皿のあとが、
一銚子
(
ひとちょうし
)
、玉子に
海苔
(
のり
)
と来て、おひけとなると可いんだけれど、やっぱり一人で寝るんだから、大きに足が
突張
(
つっぱ
)
るです。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
背
(
せい
)
の低い、色の黄色
蒼
(
あお
)
い、
突張
(
つっぱ
)
った、
硝子
(
ビイドロ
)
で張ったように
照々
(
てらてら
)
した、
艶
(
つや
)
の
可
(
い
)
い、その癖、随分よぼよぼして……はあ、
手拭
(
てぬぐい
)
を畳んで、べったり
被
(
かぶ
)
って。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
極
(
きまり
)
が悪いと云えば、私は今、毛筋立を
突張
(
つっぱ
)
らして、薄化粧は
可
(
い
)
いけれども、のぼせて湯から帰って来ると、染ちゃんお客様が、ッて
女房
(
おかみ
)
さんが言ったでしょう。
第二菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
愚僧は
好事
(
ものずき
)
——お行者こそ御苦労な。江戸まで、あの荷物を
送
(
おくり
)
と見えます。——
武士
(
さむらい
)
は何とした、
心
(
しん
)
が
萎
(
な
)
えて、手足が
突張
(
つっぱ
)
り、
殊
(
こと
)
の
外
(
ほか
)
疲れたやうに見受けるな。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
何でも買いなの小父さんは、紺の筒袖を
突張
(
つっぱ
)
らかして懐手の
黙然
(
もくねん
)
たるのみ。景気の
好
(
い
)
いのは、
蜜垂
(
みつたらし
)
じゃ蜜垂じゃと、
菖蒲団子
(
あやめだんご
)
の附焼を、はたはたと
煽
(
あお
)
いで呼ばるる。
茸の舞姫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ただね、材木を組んで
筏
(
いかだ
)
を
拵
(
こせ
)
えて流して来るのが、この下を抜ける時、どこでも勝手次第に
長鍵
(
ながかぎ
)
を
打込
(
ぶちこ
)
んで、
突張
(
つっぱ
)
って、
潜
(
くぐ
)
るくらいなもので、旦那が
買置
(
かっとき
)
なすった。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この錠前だと言うのを一見に及ぶと、片隅に立掛けた奴だが、
大蝦蟆
(
おおがま
)
の干物とも、
河馬
(
かば
)
の
木乃伊
(
みいら
)
とも
譬
(
たと
)
えようのねえ、
皺
(
しな
)
びて
突張
(
つっぱ
)
って、
兀斑
(
はげまだら
)
の、大古物の
大
(
でっ
)
かい
革鞄
(
かばん
)
で。
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
紗
(
しゃ
)
の
横縞
(
よこじま
)
の
袴
(
はかま
)
を
突張
(
つっぱ
)
らかして、
折革鞄
(
おりかばん
)
を
傍
(
わき
)
に、きちんと
咽喉
(
のど
)
もとをしめた
浅葱
(
あさぎ
)
の
絽
(
ろ
)
の襟を扇で
煽
(
あお
)
ぐと、しゃりしゃりと鳴る薄羽織の五紋が立派さね。——この紋が御見識だ。
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その
鯉口
(
こいぐち
)
の
両肱
(
りょうひじ
)
を
突張
(
つっぱ
)
り、
手尖
(
てさき
)
を八ツ口へ
突込
(
つっこ
)
んで、
頸
(
うなじ
)
を襟へ、もぞもぞと擦附けながら
露肆
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
薄ゴオトで
澄
(
す
)
ましたはいいが、
裙
(
すそ
)
をからげて、
長襦袢
(
ながじゅばん
)
の
紅入
(
べにいり
)
を、何と、
引
(
ひき
)
さばいたように、赤うでの大蟹が、籠の目を睨んで、爪を
突張
(
つっぱ
)
る……襟もとからは、湯上りの乳ほどに
菊あわせ
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
私が時々うかがう
毎
(
たび
)
に、駒下駄を直さして、ああ、勿体ない、そう思う、思う心は、口へは出ず、手も足も固くなるから、
突張
(
つっぱ
)
って、ツンツンして、さぞ高慢に見えたでしょう。
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
で、処々、張出しが
除
(
と
)
れる、
傘
(
からかさ
)
が
窄
(
すぼ
)
まる、その上に
冷
(
つめた
)
い星が光を放って、ふっふっと
洋燈
(
ランプ
)
が消える。
突張
(
つっぱ
)
りの
白木
(
しらき
)
の柱が、すくすくと夜風に細って、積んだ棚が、がたがた崩れる。
露肆
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
大土間の内側を丸太で
劃
(
しき
)
った——(朝市がそこで立つ)——その
劃
(
しきり
)
の外側を廻って、右の権ちゃん……めくら
縞
(
じま
)
の
筒袖
(
つつッぽ
)
を
懐手
(
ふところで
)
で
突張
(
つっぱ
)
って、狸より
膃肭臍
(
おっとせい
)
に似て、ニタニタと
顕
(
あら
)
われた。
古狢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と額にびくびくと
皺
(
しわ
)
を刻み、
痩腕
(
やせうで
)
を
突張
(
つっぱ
)
って、爺は、彫刻のように堅くなったが
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と、
飯櫃
(
めしびつ
)
に太い両手を
突張
(
つっぱ
)
って、ぴょいと尻を
持立
(
もった
)
てる。
遁構
(
にげがまえ
)
でいるのである。
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その時も、手で
突張
(
つっぱ
)
ったり、指で弾いたり、拳で席を
払
(
はた
)
いたり、(人が居るです、——一人居るですよ。)その、
貴下
(
あなた
)
……
白襯衣
(
しろしゃつ
)
君の努力と云ってはなかった。誰にも掛けさせまいとする。
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
香染
(
こうぞめ
)
の
法衣
(
ころも
)
をばさばさと音さして、紫の
袈裟
(
けさ
)
を畳んだままで、
肱
(
ひじ
)
に掛けた、その両手に、
太杖
(
ふとづえ
)
を
屈
(
こごみ
)
づきに、
突張
(
つっぱ
)
って、
馴
(
な
)
れて烏の鳴く樹の枝下へ立つと、寺男が、
背後
(
うしろ
)
から番傘をさしかけた。
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
がっくりがっくりと、振り振り、(ぴい、ぷう。)と笛を吹いて、杖を
突張
(
つっぱ
)
って流して
歩行
(
ある
)
きますと、御存じのお客様は、あの小按摩の通る時は、どうやら毛の薄い頭の上を、
不具
(
かたわ
)
の烏が一羽
怨霊借用
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
もっとも宿を出る時、外套はと気がさしたが、借りて着込んだ浴衣の
糊
(
のり
)
が
硬々
(
こわごわ
)
と
突張
(
つっぱ
)
って、広袖の
膚
(
はだ
)
につかないのが、悪く風を通して、ぞくぞくするために、すっぽりと着込んでいるのである。
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
からからと明くなって、蒼黒い海さ、日の下で
突張
(
つっぱ
)
って、
刎
(
は
)
ねてるだ。
海異記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と車掌も大事件の肩を掴まえているから、息
急
(
せ
)
いて、四五人押込もうとする待合わせの乗組を制しながら、
後退
(
あとじさ
)
りに身を
反
(
そ
)
らせて、曲者を釣身に出ると、両手を
突張
(
つっぱ
)
って礼之進も続いて、どたり。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
主人
(
あるじ
)
が、尻で
尺蠖虫
(
しゃくとりむし
)
をして、足をまた
突張
(
つっぱ
)
って
木の子説法
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と、こうぬっと腕を
突張
(
つっぱ
)
った。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
痩
(
や
)
せた肩を
突張
(
つっぱ
)
りながら
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
突
常用漢字
中学
部首:⽳
8画
張
常用漢字
小5
部首:⼸
11画
“突”で始まる語句
突
突然
突立
突込
突出
突飛
突如
突兀
突伏
突嗟