木枯こが)” の例文
もりおくまいには、毎日まいにち木枯こがらしがいて、ちつくすと、やがてふかゆきもりをもたにをもうずめつくすようになりました。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
そういった、はは言葉ことば調子ちょうしには、一しゅ安堵あんどがあらわれていました。さきは、って、木枯こがらしのなかあるいてきたおとうと出迎でむかえました。
金歯 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いいや、おれの身になれば、おまえの言葉も、耳に痛い木枯こがらしのように辛く聞える。おれだとて、何日いつまで朽ちて居ようか。
死んだ千鳥 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
木枯こがらしのような、がらがらした声。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
そのばんには、さむ木枯こがらしがきすさびました。翌日よくじつきてみると、屋根やねも、はたけも、のこずえも、しもしろでありました。
山へ帰ったやまがら (新字新仮名) / 小川未明(著)
飢餓きがちまたに、幼いお燕を、背に負いながら、木枯こがらしの日、みぞれ降る日を——一椀の食にも窮して、さまよいあるいたあわれなる父のすがたを、子の泣き声を、どうして忘れ得よう。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ひきのねこは、もうりようとしませんでした。ときどき、おびやかすように、ものすごい木枯こがらしが、かなければ、なおよかったのです。
どこかに生きながら (新字新仮名) / 小川未明(著)
まさちゃんは、さむい、木枯こがらしのきそうな、晩方ばんがたの、なんとなく、物悲ものかなしい、西空にしぞらの、夕焼ゆうやけのいろを、えがいたのです。
ペスをさがしに (新字新仮名) / 小川未明(著)
このとき、おもしたように、木枯こがらしが、さけびをしずかなそらげました。それは、わすれていた令二れいじを、二人ふたりむねなかに、びもどしたのでした。
金歯 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あきけて、すえになると、いつしかかきの坊主ぼうずになってしまって、さむ木枯こがらしが、ひるよるきさらしました。
お化けとまちがえた話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
天使てんし木枯こがらしのなかを、いずこへとなくあるいてりました。そのあと見送みおくって、おじいさんは、よくこのときのかみさまのお心持こころもちがわかったのでした。
いいおじいさんの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
こうして、今年ことしなつも、れてゆくのでした。そして、きたほう田舎いなかには、もうあきがきたのです。木枯こがらしが、うみうえき、き、はやしきました。
赤いえり巻き (新字新仮名) / 小川未明(著)
と、良吉りょうきちはいいました。木枯こがらしは、そのさびしいほかにはだれも人影ひとかげのいない墓地ぼちきすさんで、れたが、そらや、うえにわびしくまわっていました。
星の世界から (新字新仮名) / 小川未明(著)
木枯こがらしのよるのことです。うえには、二、三にちまえった大雪おおゆきがまだえずにのこっていました。そらには、きらきらとほしが、すごい雲間くもまかがやいていました。
海からきた使い (新字新仮名) / 小川未明(著)
さむい、さむい、木枯こがらしのよる、そして、しものしんしんと夜明よあがたははねこにかれて、やすらかにねむった、なつかしい記憶きおくが、はしなくもかぜおとによって
どこかに生きながら (新字新仮名) / 小川未明(著)
その翌日よくじつは、にわかに天気てんきわりました。あさのうちから木枯こがらしがきつのり、日中にっちゅう人通ひとどおりが、えたのです。おじいさんははやくからめてしまいました。
とうげの茶屋 (新字新仮名) / 小川未明(著)
よるは、くらそとに、木枯こがらしがすさまじくさけんでいました。そんなとき、たたく仏壇ぶつだんかねは、このいえからはなれて、いつまでもたよりなく、荒野こうやなかをさまよっていました。
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、いつしかあきとなり、はやくも木枯こがらしがくころになると、まもなく吹雪ふぶきにみまわれなければならぬ、このきたかぜさけもりや、砂浜すなはまなどをにさびしくえがいたのでした。
北の少女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そんなこともらず、おじょうさんは、木枯こがらしのばんに、まどのところで、ピアノをいていました。ストーブのそばには、つちやぶったばかりのヒヤシンスの鉢植はちうえがいてありました。
寒い日のこと (新字新仮名) / 小川未明(著)
木枯こがらしがいていました。そして、ほしひかりが、ぴかぴかと、いまにもびそうにそらひかっていました。少女しょうじょは、じっと、ほしひかりをながめて、ふるさとをおもしていたのであります。
海からきた使い (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ああ、ペスは、もうころされてしまったのだろう。」といって、なかにも、たっちゃんとしょうちゃんは、ペスをたすけなかったのを、後悔こうかいしながら、木枯こがらしのなかを、みんなとあるいていたのです。
ペスをさがしに (新字新仮名) / 小川未明(著)
さむばんで、木枯こがらしのおとがきこえていました。とこにはいってからも、しょうちゃんは、かぜおとみみをすまして、げてきた、かわいそうなペスのことをおもって、なかなかねむりつかれなかったのでした。
ペスをさがしに (新字新仮名) / 小川未明(著)
あるふゆの、木枯こがらしのきすさむばんのことでありました。
酔っぱらい星 (新字新仮名) / 小川未明(著)