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暗闇
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くらやみ
ふりがな文庫
“
暗闇
(
くらやみ
)” の例文
それで、私は、いつも自分の心の、肉の食慾を樂しましてゐたのだ。その代りに私は
暗闇
(
くらやみ
)
の中に見える想像の畫で自分を樂しませた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
彼は窓の所へ行き、息苦しいかのようにそれをいっぱい開き、そして
暗闇
(
くらやみ
)
の前に立ちながら、街路の方に暗夜に向かって語り始めた。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
もと/\
二人
(
ふたり
)
でする事を
一人
(
ひとり
)
で
兼
(
か
)
ねる無理な芸だから仕舞には「偉大なる
暗闇
(
くらやみ
)
」も講義の筆記も双方ともに関係が解からなくなつた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
クリストフは、寝台の上につみ重なってる
枕
(
まくら
)
や、オリヴィエの疲れた顔をながめた。
暗闇
(
くらやみ
)
の中でもがいてるその姿が眼の前に浮かんだ。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
この真の
暗闇
(
くらやみ
)
の中で泥棒だのオイハギの殆どないのは、どういうわけだろう、私の関心の最大のこと、むしろ私の驚異がそれであった。
魔の退屈
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
▼ もっと見る
「こん畜生! 貴様はいっさいをぶちこわしてしまったのだ。貴様はおれの一生を
暗闇
(
くらやみ
)
にしてしまったのだ。貴様がなければ……」
世界怪談名作集:17 幽霊の移転
(新字新仮名)
/
フランシス・リチャード・ストックトン
(著)
暗闇
(
くらやみ
)
から出てゆくことは、まるで襲いでもするような格好になり、少なくとも相手を非常に驚かすことになったにちがいなかった。
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
狙
(
ねら
)
つて居るんです。フト、
暗闇
(
くらやみ
)
で人の眼を見たり、——私を狙つて居る不氣味な眼でした、——さうかと思ふと、キラリと刄物を見たり
銭形平次捕物控:296 旅に病む女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
けれども、すぐにまったくの真っ
暗闇
(
くらやみ
)
となり、私たちはただその男がみんなの真ん中に立っているのを感ずることができるだけだった。
ウィリアム・ウィルスン
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
それは私のすぐそばから叫び出したのであるが、わたしが
暗闇
(
くらやみ
)
のうちをじっと見つめた時には、何も見分けることは出来なかった。
世界怪談名作集:09 北極星号の船長 医学生ジョン・マリスターレーの奇異なる日記よりの抜萃
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
玄関の戸が内からあいて、細おもての古風な匂いのする、私より三つ四つ年上のような女のひとが、玄関の
暗闇
(
くらやみ
)
の中でちらと笑い
斜陽
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
暗闇
(
くらやみ
)
の広っぱを横ぎりながら、あれかこれかと思いめぐらすうちに、やがて、ある恐ろしい考えが、火花のように明智の頭に
閃
(
ひら
)
めいた。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
しかし、その御厨ノ伝次は、ちょっと前、八郎太に連れ出されて、隣の
塒
(
ねぐら
)
を離れたと思うと、たちまち彼方の
暗闇
(
くらやみ
)
で呶号していた。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私がすぐさま
閂
(
かんぬき
)
をさし、私たちは、船長の死体のある家の中にただ二人きりで、
暗闇
(
くらやみ
)
の中でちょっとの間はあはあ喘ぎながら立っていた。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
と、その姿で……ここは
暗闇
(
くらやみ
)
だ。お聞きになるあなたの目に、もう一度
故郷
(
くに
)
の一本松を思い浮べて頂きたい。あの松の幹をです。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ぞ極めける或日又々郡奉行伊藤半右衞門は傳吉を呼出し汝が何程
僞
(
いつ
)
はりても惡事は最早知れてあり其夜
暗闇
(
くらやみ
)
にて昌次郎と
爭
(
あらそ
)
ひしを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
しまりをつける頭もつかわず、見張り番の目もつかわずに、ただ手足ばかり動かすのは、ちょうど
暗闇
(
くらやみ
)
で仕事をしているようなものでしょう。
女中訓
(新字新仮名)
/
羽仁もと子
(著)
日が暮れて夜が静かに忍びよるのではなく、この海辺に夜の来る感じは、いきなり
暗闇
(
くらやみ
)
が襲ひかかるといふ方が当つてゐる。
晶子鑑賞
(新字旧仮名)
/
平野万里
(著)
船長が、とつおいつ、
覆面
(
ふくめん
)
の敵に対してこののちどうしようかと、
思案
(
しあん
)
にくれていたとき、そばにいた古谷局長が、
暗闇
(
くらやみ
)
の中から声をかけた。
幽霊船の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そして、つい近ごろまで輝くほど健康で美しかった人が、こんなに急に「
暗闇
(
くらやみ
)
と
蛆虫
(
うじむし
)
」の墓に運び去られたのを、いぶかしく思っているだろう。
傷心
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
はじめお客は、どこかの子供たちが
暗闇
(
くらやみ
)
に
戸惑
(
とまど
)
いして、この部屋へまぎれ
込
(
こ
)
んだのかも知れないと思いました。それで
神様の布団
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
「まあ暗い、まだお
灯
(
あかり
)
も差し上げなかったのでございますね。まだお暑苦しいのに早くお格子を下ろしてしまって
暗闇
(
くらやみ
)
に迷うではありませんかね」
源氏物語:52 東屋
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
馬もまた、そこの
暗闇
(
くらやみ
)
にうづくまつて、先祖と共に眠つてゐるのだ。永遠に、永遠に、過去の遠い昔から居た如くに。(『大調和』1927年9月号)
田舎の時計他十二篇
(新字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
……良子は、はじめて小説の中の人物のように、自分があることを積極的に欲しているのを知った。
暗闇
(
くらやみ
)
の中で、幾度も頬が燃えるように
赧
(
あか
)
くなった。
一人ぼっちのプレゼント
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
その障子はまた静かに閉まつて、みしみしと畳をふむ音がした。重くかぶつてくる男の体重に胸を押されて、ゆき子ははつとして、
暗闇
(
くらやみ
)
に眼を開いた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
行燈
(
あんどん
)
はほのかにともっていたものの、
日向
(
ひなた
)
から
這入
(
はい
)
って
来
(
き
)
たばかりの
松
(
まつ
)
五
郎
(
ろう
)
の
眼
(
め
)
には、
家
(
うち
)
の
中
(
なか
)
は
真
(
ま
)
ッ
暗闇
(
くらやみ
)
であった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
「そういうわけさ、ね、それでおしまいさ。眼玉もなくなるし、なにもかもなくなる。
竈
(
へっつい
)
のなかの
暗闇
(
くらやみ
)
ばかり……」
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
しかし佐助はその
暗闇
(
くらやみ
)
を少しも不便に感じなかった盲目の人は常にこう云う闇の中にいるこいさんもまたこの闇の中で三味線を弾きなさるのだと思うと
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
こう思うと、彼の胸は急に
暗闇
(
くらやみ
)
になった。彼は自分の抱えている女を、どう処置していいか判らなくなってきた。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
スヴィドリガイロフの心の中では恐ろしい
暗闇
(
くらやみ
)
の一瞬間が過ぎた。名状し難いまなざしで彼は女をみつめていた。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
奈落の
暗闇
(
くらやみ
)
で、男に抱きつかれたといったら、も一度
此処
(
ここ
)
でも、
肝
(
きも
)
を冷されるほど
叱
(
しか
)
られるにきまっているから、
弟子
(
でし
)
娘は
乳房
(
ちぶさ
)
を
抱
(
かか
)
えて、息を殺している。
市川九女八
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
覚えてゐるか? いや、きつと、
暗闇
(
くらやみ
)
で、わからなかつたらう。だが、そいつは、お前に遺恨でもあつたのか。
クロニック・モノロゲ
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
私等は奥の院の裏手に廻り、提灯を消して
暗闇
(
くらやみ
)
に腰をおろした。
其処
(
そこ
)
は暗黒であるが、その向うに大きな
唐銅
(
からかね
)
の
鼎
(
かなへ
)
があつて、
蝋燭
(
らふそく
)
が幾本となくともつてゐる。
仏法僧鳥
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
私は
暗闇
(
くらやみ
)
の中で、時男さんの手から糸巻を受けとつて、さはつて見ると、なるほど糸のはしが切れてゐます。
時男さんのこと
(新字旧仮名)
/
土田耕平
(著)
私
(
わたくし
)
のような
強情
(
かたくな
)
なものが、ドーやら
熱心
(
ねっしん
)
に
神様
(
かみさま
)
にお
縋
(
すが
)
りする
気持
(
きもち
)
になりかけたのは、
偏
(
ひとえ
)
にこの
暗闇
(
くらやみ
)
の
内部
(
なか
)
の、
世
(
よ
)
にもものすごい
懲戒
(
みせしめ
)
の
賜
(
たまもの
)
でございました……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
あゝやさしく心あたゝかく、世を紅に染めし我等をもかへりみ、
暗闇
(
くらやみ
)
の空をわけつつゆく人よ 八八—九〇
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
火把
(
たいまつ
)
を先に立てて、浅く段をつけた幅広の上り段を上って行ったが、その火把はあたりの
暗闇
(
くらやみ
)
を掻き乱し
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
葉子は
息気
(
いき
)
せき切ってそれに追いつこうとあせったが、見る見るその距離は遠ざかって、葉子は
杉森
(
すぎもり
)
で囲まれたさびしい
暗闇
(
くらやみ
)
の中にただ
一人
(
ひとり
)
取り残されていた。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
追いつかれたものを見れば、なんの人騒がせな、
暗闇
(
くらやみ
)
から牛の本文通り、これはチュガ公でありました。
大菩薩峠:28 Oceanの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
しかし、ただきれぎれの
音譜
(
おんぷ
)
しか、わたしの光は照らすことができませんでした。その大部分は、わたしにとってはいつまでも
暗闇
(
くらやみ
)
の中に残されることでしょう。
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
それから何秒後のことかはっきりしないが、突然、私の頭上に一撃が加えられ、眼の前に
暗闇
(
くらやみ
)
がすべり
墜
(
お
)
ちた。私は思わずうわあと
喚
(
わめ
)
き、頭に手をやって立上った。
夏の花
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
……まったく……魔物らしい妖気が、小僧の
背後
(
うしろ
)
の
暗闇
(
くらやみ
)
から襲いかかって来たように思ったもんだよ。
難船小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
忽
(
たちま
)
ち
夜
(
よる
)
の
暗闇
(
くらやみ
)
の
中
(
なか
)
に
劇
(
はげ
)
しい
水煙
(
みづけむり
)
が
立
(
た
)
つて、
一人
(
ひとり
)
の
兵士
(
へいし
)
が
小川
(
をがは
)
の
中
(
なか
)
にバチヤンと
落
(
お
)
ち
込
(
こ
)
んでしまつた。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
書きかけては鉛筆を
甜
(
な
)
めながら眼をあげた。どのへんだか、何時頃だか判らなかった。ただ激しい風と
暗闇
(
くらやみ
)
を
衝
(
つ
)
いて
疾走
(
はし
)
りつづけている列車の
轟音
(
ごうおん
)
だけがきこえていた。
冬枯れ
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
暗闇
(
くらやみ
)
の中から大勢の人間が駆け寄ってくる足音が地を揺るがした。遠くのほうで犬が
吠
(
ほ
)
えだした。
恐怖城
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
「おう、お前様は晩方お泊りの尼さんでは御座んせぬか。あなたのお部屋は表二階。それがいかに
暗闇
(
くらやみ
)
とは云いながら、間違えるのに事を欠いて、離れ座敷のここへは?」
備前天一坊
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
と
暗闇
(
くらやみ
)
に声を掛けたが、答えず、思わぬ大金をもらって気が変になったのか強くなったのか、こともあろうにそれは見習弟子だとやがて判った。
抗
(
あらが
)
ったが、なぜか体が
脆
(
もろ
)
かった。
雨
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
で、夜になるといつも、小松屋の店の
硝子戸
(
ガラスど
)
の外に来て
口笛
(
くちぶえ
)
を吹いたり、
暗闇
(
くらやみ
)
の中に
煙草
(
たばこ
)
の火をちらつかせたりして私に
合図
(
あいず
)
をした。すると私は、何とか
口実
(
こうじつ
)
をつけては家を出た。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
厚い五、六尺もあろうと思われる壁の中に——
真暗
(
まっくら
)
な
咫尺
(
しせき
)
も弁ぜぬ——獄舎の中に何年何十年と捕われていた時に彼は何を友としたか。
暗闇
(
くらやみ
)
にちょろちょろ出てくる鼠を友人としたのだ。
イエスキリストの友誼
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
燈
(
あかり
)
のない暗い廊下みたいなところを通って、とある部屋の中へ押し入れられた。
暗闇
(
くらやみ
)
の中を手探りすると、畳の敷いてない床に、荒らい毛の毛布があったので、それにくるまって横になった。
六月
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
暗
常用漢字
小3
部首:⽇
13画
闇
常用漢字
中学
部首:⾨
17画
“暗闇”で始まる語句
暗闇祭
暗闇坂
暗闇阪