“くらやみ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
暗闇69.4%
暗黒8.7%
闇黒4.6%
黒暗4.6%
黒闇4.6%
闇暗2.0%
1.0%
暗中1.0%
暗夜1.0%
1.0%
失明0.5%
幽暗0.5%
暗澹0.5%
黯黒0.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
彼は窓の所へ行き、息苦しいかのようにそれをいっぱい開き、そして暗闇くらやみの前に立ちながら、街路の方に暗夜に向かって語り始めた。
迂濶うかつに手を放せば、彼は底知れぬ暗黒くらやみに転げちて、お杉と同じ運命を追わねばならぬ。さりとてのままの暗黒くらやみでは仕方が無い。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
水辺にばかり気を取られていた捜査線を見事に突破して、闇黒くらやみとともにいずこへともなく逃走してしまった。たぶんチャアリイをれたまま。
チャアリイは何処にいる (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
飛び込んだ時にはもう白い光の影もなく、ただ薄暗い元の部屋に壊れかかった数ある卓子テーブルがみな黒暗くらやみの中に隠れていた。
白光 (新字新仮名) / 魯迅(著)
山路で、黒闇くらやみで、人っ子一人通らなくって、御負おまけに蝙蝠なんぞと道伴みちづれになって、いとど物騒な虚に乗じて、長蔵さんが事ありげに声をげたんである。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いや、その姿が真の闇暗くらやみの隧道の天井を貫くばかり、行違ゆきちがった時、すっくりと大きくなって、目前を通る、白い跣足はだしが宿の池にありましょう、小さな船。
遺稿:02 遺稿 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
安全な所へかくしてしまったでしょうし、それに捕縛など仕ようものならば、あの醜穢きたない問題がまたまた火の手を揚げて、くらやみの恥をあかるみへ出す様なものですからね
水晶の栓 (新字新仮名) / モーリス・ルブラン(著)
とまを上げて、ぼやりと光って、こんの兄哥の形がな、暗中くらやみへ出さしった。
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
小平は刀ののりを死骸の着物で拭い、鞘に納め、暗夜くらやみながらぴか/\する黄金こがねの光を見当みあてに掻き集め、無茶苦茶に手拭に包んだりたもとへ入れたりして、丹治の死骸を川中へ蹴落し、又悪党でも親子の情で
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「かうだ婆等ばゞあらだつてさうだに荷厄介にやつけえにしねえでくろよ、こんでぢやまあだれなくつちやくらやみだよおめえ、よめがあの仕掛しかけだもの」ばあさんはさら
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
泣きて曰ひけるは、汝若し才高きによりてこの失明くらやみひとやをめぐりゆくをえば、わが兒はいづこにありや、かれ何ぞ汝と共にあらざる 五八—六〇
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
それからのちの私たち二人は、肉体からだ霊魂たましいも、ホントウの幽暗くらやみい出されて、夜となく、昼となく哀哭かなしみ、切歯はがみしなければならなくなりました。
瓶詰地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
とこの暗澹くらやみな山中で見てもなお飽くまで艶な顔を覗かせた。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
文三はホッと吐息をついて、顧みて我家わがいえの中庭を瞰下みおろせば、所狭ところせきまで植駢うえならべた艸花くさばな立樹たちきなぞが、わびし気にく虫の音を包んで、黯黒くらやみうちからヌッと半身を捉出ぬきだして
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)