“やみ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ヤミ
語句割合
50.0%
31.2%
暗夜4.9%
暗黒3.6%
暗闇2.8%
闇黒2.8%
1.4%
暗中0.5%
闇夜0.5%
0.3%
(他:12)2.0%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
外国人の入り込む開港場へ海から何かうようにやって来るやみの恐ろしさは、それを経験したものでなければわからない。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
どちらも自分の車室の中で、車窓に顔をくっつけ、あたりに立ちこめてるやみを通して、たがいの眼の中をじっとのぞき込んだ。
萌黄もえぎの光が、ぱらぱらとやみに散ると、きょのごとく輝く星が、人を乗せて外濠そとぼりを流れて来た。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
といって、舌を噛み切って死ねば、妾の腹にある胎児は、やみから暗へ葬られるのだと気がつくと、妾はハッと正気に返った。
三人の双生児 (新字新仮名) / 海野十三(著)
裸脱はだぬぎの背に汗を垂々たらたらと流したのが、ともしかすかに、首を暗夜やみ突込つっこむようにして、
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その美しい令室おくがたが、人にじ、世に恥じて、一室処ひとまどころ閉切とじきって、自分を暗夜やみに封じ籠めます。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
気のせいかな、と前方まえ暗黒やみを見透しながら、早耳三次が二、三歩進んだ時、橋の下で、水音が一つ寒々と響き渡った。
穴は、ポッカリ地上に口をひらいて、暗黒やみをすいこんでいるばかり……のぞいてよばわっても、なんの答えあらばこそ。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
それ、おほみそかは大薩摩おほざつまの、ものすごくもまた可恐おそろしき、荒海あらうみ暗闇やみのあやかしより
五月より (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
もし当人が秘密にして姑息な方法で治そうとしていたら、可哀想に一生を暗闇やみに葬らなくてはならないのでした。
落ちながら刀をはなさなかったので、濡れ燕を杖に、いたむ身をささえてやっと起きあがろうとすると、闇黒やみの中に声がした。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
まっ黒な夜ぞらの下、銀の矢と降る雨、咆え狂う風の中を葛籠笠を傾けて、と、と、と——大次、たちまち闇黒やみに消えた。
煩悩秘文書 (新字新仮名) / 林不忘(著)
爾がためには父のみか、母もやみ歿みまかりたれば、取不直とりもなおさず両親ふたおやあだ、年頃つもる意恨の牙先
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
その様な生命いのちはの、殿、殿たちの方で言うげな、……やみほうけた牛、せさらぼえた馬で、私等わしらがにも役にも立たぬ。
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あれはと認むるひまも無く、いなずま? ふっと暗中やみに消え、やがて泰助の面前に白き女の顔あらわれ、ぬぐいたらむ様にまた消えて、障子にさばく乱髪のさらさらという音あり。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
婀娜あだな声、暗中やみ留南奇とめきがはっと立つ。衣摺きぬずれの音するすると、しばらくして、隔てのふすまと手を掛けた、ひらめく稲妻、輝く白金プラチナ、きらりと指環の小蛇を射る。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さっと血潮が飛んだであろうが闇夜やみのことでわからない。
村井長庵記名の傘 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
兎角とかくするほどあやしふねはます/\接近せつきんきたつて、しろあかみどり燈光とうくわう闇夜やみきらめく魔神まじん巨眼まなこのごとく、本船ほんせん左舷さげん後方こうほうやく四五百米突メートルところかゞやいてる。
わだの源と天の戸閉塞とぢふさがりて天よりの雨やみぬ。ここに於て水次第に地より退き百五十日を経てのち水減り、方舟はこぶねは七月に至り其月の十七日にアララテの山に止りぬ。
可愛い山 (新字新仮名) / 石川欣一(著)
ひそかに部屋の戸を開きて外にいづれば悽惻せいそくとして情人未だ去らず、泣いて遠国につれよとくどく時に、清十郎は親方のなさけにしがらまれて得いらへず、然るを女の狂愛の甚しきにかされて、遂にその誘惑に従はんと決心するまでに至りし頃、うちより人の騒ぎいでたるに驚かされてやみぬ。
「歌念仏」を読みて (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
「ハッ、拙者は、もうこれにて……竜泉寺のとんがり長屋とかへ——闇中やみに、そういう話し声が聞こえました」
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
海蛇丸かいだまるわが弦月丸げんげつまる右舷うげん衝突しやうとつして、かぜごとそのかたち闇中やみぼつつたのちは、船中せんちゆうかなえくがやうさわぎであつた。
地は定形かたちなく曠空むなしくして黒暗やみわだの面にあり
夜の讃歌 (新字旧仮名) / 富永太郎(著)
黒暗やみの潮 今満ちて
夜の讃歌 (新字旧仮名) / 富永太郎(著)
根岸の里を物さびしい夜闇やみおかしはじめたころ、片里が住居を打立った三挺の駕籠があって、上野山下を飛ぶがごとく、切通しから湯島台へと上ってゆき、天神のほとり、見はらしの良い茶亭にはいりましたが、これが即ち片里をはじめ、露月、呉羽之介の連中でした。
艶容万年若衆 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
電光いなびかりのたびにちらりと見える甚右衛門の影と、互いに前後に呼び合う声とを頼りに、八丁堀合点長屋を先刻出た藤吉勘次彦兵衛の三人は、風と雨と神鳴りとが三拍子揃って狂う丑満うしみつ夜陰やみを衝いて、いま大富町から本田主膳正御上屋敷の横を、媾曳橋あいびきばしへと急いでいる。
『近代詩歌』の四月号に彼の詩『鍋焼うどん』といふのがあり宵暗やみの都市に親子の貧しい、うどん売子の熱いアルミニュームの鍋に、彼が渇いた唇をあてゝ『子がしつらへて親がはこぶなり』とせち辛い浮世の味ひを歌つてゐたので私は彼に旭川の鍋焼を喰べに来いと葉書をやつた。
そして彼は最後に言う「我は暗き地、死のかげの地にかん、この地は暗くして晦冥やみに等しく死の蔭にして区別わかちなし、かしこにては光明ひかり黒暗くらやみの如し」と。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
法師之を詛ひしより彼輩一年の間踊りて少しもやみ得なんだ(Henri Estienne,‘Appologie pour Hérodote,’ n. e., Paris, 1879, tom. ⅱ, p. 79)。
詛言に就て (旧字旧仮名) / 南方熊楠(著)
山狩やまがりは、ますます大がかりになっていった。しかしかんじんの怪しい機械人間は、どこへ行ったものか、その夜のやみとともに姿を消してしまった。
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
漸く見ゆる世の乱は誰が為すこととぞ汝はおもふ、沢の蛍は天に舞ひ、闇裏やみおもひは世に燃ゆるぞよ、朕は闇に動きて闇に行ひ、闇に笑つて闇にやすらふ下津岩根の常闇とこやみの国の大王おほぎみなり
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
明るい戸外から来た眼が、しばらくすっかりくらんで、黒闇やみに慣れるまでにかなりのまがある。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)