暗中やみ)” の例文
あれはと認むるひまも無く、いなずま? ふっと暗中やみに消え、やがて泰助の面前に白き女の顔あらわれ、ぬぐいたらむ様にまた消えて、障子にさばく乱髪のさらさらという音あり。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
婀娜あだな声、暗中やみ留南奇とめきがはっと立つ。衣摺きぬずれの音するすると、しばらくして、隔てのふすまと手を掛けた、ひらめく稲妻、輝く白金プラチナ、きらりと指環の小蛇を射る。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あだかすみいたやうなプラツトホームは、ざあ/\と、さながらみづながれるやうで、がく/\こう/\とかはづこゑが、まちも、やまも、も一斉に波打なみうごとく、ふけの暗中やみ鳴拡なきひろがる。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)