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闇黒
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やみ
ふりがな文庫
“
闇黒
(
やみ
)” の例文
道理で、辻斬りが
流行
(
はや
)
るというのにこのごろはなお何かに呼ばれるように左膳は夜ごとの
闇黒
(
やみ
)
に迷い出る——もう
一口
(
ひとふり
)
の刀さがしに!
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
四面
楚歌
(
そか
)
のドイツのスパイだから、たちまち
闇黒
(
やみ
)
の中で処分されてしまうという段取りで、一度密偵団の
上長
(
じょうちょう
)
に
白眼
(
にら
)
まれたが最後、どこにいても危険は同じことだ。
戦雲を駆る女怪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
殆
(
ほと
)
んど
闇黒
(
やみ
)
に
全體
(
ぜんたい
)
を
包
(
つゝ
)
まれて
居
(
を
)
つたが、
私
(
わたくし
)
の
一念
(
いちねん
)
の
屆
(
とゞ
)
いて
幾分
(
いくぶ
)
か
神經
(
しんけい
)
の
鋭
(
するど
)
くなつた
爲
(
ため
)
か、それとも
瞳
(
ひとみ
)
の
漸
(
やうや
)
く
闇黒
(
あんこく
)
に
馴
(
な
)
れた
爲
(
ため
)
か、
私
(
わたくし
)
は
辛
(
からう
)
じて
其
(
その
)
燈光
(
ひかり
)
の
主體
(
ぬし
)
を
認
(
みと
)
め
得
(
え
)
た
途端
(
とたん
)
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
その声が耳に止まった福太郎はフト足を
佇
(
と
)
めて、
背後
(
うしろ
)
の
闇黒
(
やみ
)
を振り返った。
斜坑
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
どさっと濁った音をたてて、棒が人の頭上に落ちたり、うす
闇黒
(
やみ
)
に鳶ぐちがひらめいたりするたびに、お高は、両手で顔をおおった。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
▼ もっと見る
私
(
わたくし
)
が
一心
(
いつしん
)
に
見詰
(
みつ
)
めて
居
(
を
)
る
間
(
あひだ
)
に、
右舷
(
うげん
)
に
緑燈
(
りよくとう
)
、
左舷
(
さげん
)
に
紅燈
(
こうとう
)
、
甲板
(
かんぱん
)
より二十
尺
(
しやく
)
以上
(
いじやう
)
高
(
たか
)
き
前檣
(
ぜんしやう
)
に
閃々
(
せん/\
)
たる
白色燈
(
はくしよくとう
)
を
掲
(
かゝ
)
げたる
一隻
(
いつさう
)
の
船
(
ふね
)
は、
印度洋
(
インドやう
)
の
闇黒
(
やみ
)
を
縫
(
ぬ
)
ふてだん/″\と
接近
(
せつきん
)
して
來
(
き
)
た。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
一時、守人を忘れて、安が向こう側をにらんでいると、また一人、いつのまにか
闇黒
(
やみ
)
から現われて、その門前に立っている男がある。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そうだ、意趣返しに相違ない、と一旦は景気づいてもみるが、つぎの刹那、藤吉はまた手の着け場所のない
無明
(
むみょう
)
の
闇黒
(
やみ
)
に堕ちるのだった。
釘抜藤吉捕物覚書:08 無明の夜
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
土生仙之助がサッ! と顔色を変えたかと思うと、突如庭奥の
闇黒
(
やみ
)
から銀矢一閃、
皎刃
(
こうじん
)
、
生
(
せい
)
あるごとく飛来して月輪軍之助の胸部へ……!
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
落ちながら刀をはなさなかったので、濡れ燕を杖に、いたむ身をささえてやっと起きあがろうとすると、
闇黒
(
やみ
)
の中に声がした。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
と、もう
闇黒
(
やみ
)
の奥から笑って、来た時とおなじように庭に姿を消すが早いか、気をつけろ! と追いかけた忠相の声にもすでに答えなかった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
もう、
凹地
(
くぼち
)
の家には水が出たらしく、あわただしく叫びかわす人声と、提灯の灯とが、物ものしく、
闇黒
(
やみ
)
に交錯していた。
あの顔
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
まっ黒な夜ぞらの下、銀の矢と降る雨、咆え狂う風の中を葛籠笠を傾けて、と、と、と——大次、たちまち
闇黒
(
やみ
)
に消えた。
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
足が早いし、この
闇黒
(
やみ
)
の夜、ふっと消えうせるぐらい、安にとってはお茶の子さいさいだ。だからいやに鼻っぱしが強い。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
濃い小さな
闇黒
(
やみ
)
が、眼に近くしっくりと押し包んでいて、朝眼がさめたときのように、女が前後の事情を思い出すまでにはちょっとのまがあった。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
何だか知らないが、貰った物だから、礼を述べているうちに、渡した相手は、つぶてのように門を走り出て、
瞬
(
またた
)
く間に
闇黒
(
やみ
)
の底に
呑
(
の
)
まれてしまった。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
口にすべくあまりに恐ろしい——
闇黒
(
やみ
)
にとざされて見えないが、おそらくこの時は、さすがの左膳も源三郎も、ともに顔色が変わっていたに相違ない。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
時々暗い
個所
(
ところ
)
で駕籠を停めて前棒が
闇黒
(
やみ
)
に隠れることがあったが、
酒代
(
さかて
)
でも
強請
(
ねだ
)
りに客を追うのだろうくらいに考えて、辰は別に気にもとめなかったというが
早耳三次捕物聞書:01 霙橋辻斬夜話
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
月が隠れたから、五つ半の
闇黒
(
やみ
)
は
前方
(
まえ
)
を行く駕籠をともすれば呑みそうになる。三次は足を早めた。ひやりと何か冷たいものが頬に当った。
霙
(
みぞれ
)
になったのである。
早耳三次捕物聞書:01 霙橋辻斬夜話
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
愚楽老人が、全身をゆすぶって笑った時、庭の奥から
闇黒
(
やみ
)
の中を、こっちへ近づいてくる跫音が……。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
その、来いッ! が終った
秒間
(
びょうかん
)
、フッ! 喬之助の吹く息と
倶
(
とも
)
に、落ちた——
漆黒
(
しっこく
)
の
闇黒
(
やみ
)
が室内に。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
堀丹波
(
ほりたんば
)
の土塀に沿うてみぞれ橋という小橋があった。そのすこし手前でまたもや駕籠が停まったところを、三次は
闇黒
(
やみ
)
に
紛
(
まぎ
)
れて追い越した。橋の上を老人らしい侍が行く。
早耳三次捕物聞書:01 霙橋辻斬夜話
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
ましてやたそがれ
刻
(
どき
)
、早や、清水のような
闇黒
(
やみ
)
があたりを
罩
(
こ
)
めはじめて、人通りはない。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
二人で死体を運んで、三次と伊助、材木町通りのなかほどにある伊助の店江戸あられ瓦屋という煎餅屋へ帰って行った時は、冬の夜の
丑満
(
うしみつ
)
、大川端の
闇黒
(
やみ
)
に、
木枯
(
こがらし
)
が吹き荒れていた。
早耳三次捕物聞書:02 うし紅珊瑚
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
と頭を
低
(
さ
)
げて、大次郎は今さらのように、隣室のけはい、縁の
闇黒
(
やみ
)
へ注意を払った。
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
その雨戸の真ん中辺へ何か固い物が
外部
(
そと
)
からぶつかった音に相違ないのだ。初太郎は手早く桟を下ろして、雨戸を引いた。とたんに、湿気を含んだ濃い
闇黒
(
やみ
)
が、どっと音して流れ込む。
釘抜藤吉捕物覚書:13 宙に浮く屍骸
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
濃い
闇黒
(
やみ
)
が街を
一彩
(
ひといろ
)
に
刷
(
は
)
き潰して、
晴夜
(
はれ
)
とともに
一入
(
ひとしお
)
の寒気、降るようにとまでは往かなくとも、星屑が銀砂子を撒き散らしたよう、蒼白い光が漂ってはいるが地上へは届かないから
釘抜藤吉捕物覚書:09 怨霊首人形
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
家臣らを押さえている間に、小信は
闇黒
(
やみ
)
を縫って庭伝いに屋敷を落ち延びたのだ。
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
と叫んで、男が
地団太
(
じだんだ
)
踏んだその刹那、程近い
闇黒
(
やみ
)
の奥から太い声がした。
釘抜藤吉捕物覚書:05 お茶漬音頭
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
病みほうけた源三郎が、片膝おこして追おうとしたとき、
白鞘
(
しらざや
)
の刀を見るような丹下左膳の姿は、すでに部屋から、小庭から、そして木戸から、
戸外
(
そと
)
のあかつきの
闇黒
(
やみ
)
へのまれさっていたのでした。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
闇黒
(
やみ
)
がひときわ濃いときがあるといいます。明け方の闇は、夜中の闇よりもいっそう深沈として——その
暁闇
(
ぎょうあん
)
につつまれた左膳、源三郎、萩乃の三人は、それぞれの立場で、凝然と考えこんだままだ。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
急に立ちどまって、
闇黒
(
やみ
)
を通してお駒ちゃんの白い顔をみつめた。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
大川の流れが、
闇黒
(
やみ
)
に、白く泡立っていた。
釘抜藤吉捕物覚書:12 悲願百両
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
“闇黒”の意味
《名詞・形容動詞》
闇黒(あんこく)
「暗黒」と同じ。
(出典:Wiktionary)
闇
常用漢字
中学
部首:⾨
17画
黒
常用漢字
小2
部首:⿊
11画
“闇黒”で始まる語句
闇黒雲
闇黒の海