暗夜くらやみ)” の例文
まる桔梗ききょうの紋を染めた、いかめしい馬乗提灯うまのりぢょうちんが、暗夜くらやみにほのかに浮くと、これを捧げた手は、灯よりも白く、黒髪が艶々つやつやと映って、ほんのりとあかるい顔は、お町である。
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
小平は刀ののりを死骸の着物で拭い、鞘に納め、暗夜くらやみながらぴか/\する黄金こがねの光を見当みあてに掻き集め、無茶苦茶に手拭に包んだりたもとへ入れたりして、丹治の死骸を川中へ蹴落し、又悪党でも親子の情で
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)