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さしはさ
ふりがな文庫
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(
さしはさ
)” の例文
旧字:
挾
しかもあの柔順らしく見える愛子は葉子に対して生まれるとからの敵意を
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(
さしはさ
)
んでいるのだ。どんな可能でも描いて見る事ができる。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
ガラッ八と錦太郎はゴクリと
固唾
(
かたず
)
を呑みました。事件のあまりに不思議な展開に、考えることも、異議を
挟
(
さしはさ
)
むことも出来なかったのです。
銭形平次捕物控:100 ガラッ八祝言
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
イエスに疑念を
挟
(
さしはさ
)
んだのは、かなり
以前
(
まえ
)
からのことであった。ユダにはイエスが傲慢に見えた。それが不愉快でならなかった。
銀三十枚
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ぶりき板の破片や腐つた屋根板で
葺
(
ふ
)
いたあばら
家
(
や
)
は数町に渡つて、
左右
(
さいう
)
から
濁水
(
だくすゐ
)
を
挟
(
さしはさ
)
んで互にその傾いた
廂
(
ひさし
)
を向ひ合せてゐる。
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
御母さんの弁舌は
滾々
(
こんこん
)
としてみごとである。小野さんは一字の間投詞を
挟
(
さしはさ
)
む
遑
(
いと
)
まなく、
口車
(
くちぐるま
)
に乗って
馳
(
か
)
けて行く。行く先は
固
(
もと
)
より判然せぬ。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
その相伴うや、相共に親愛し、相共に尊敬し、互いに助け、助けられ、
二人
(
ににん
)
あたかも一身同体にして、その間に少しも
私
(
わたくし
)
の意を
挟
(
さしはさ
)
むべからず。
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
それが川を
挟
(
さしはさ
)
んで向い合っていることまでは見分けるべくもなかったけれども、流れの両岸にあるのだと云うことを、私は芝居で知っていた。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
その状
当
(
まさ
)
に行うべき所を行う如くであったので、抽斎はとかくの意見をその間に
挟
(
さしはさ
)
むことを得なかった。しかし中心には深くこれを徳とした。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
私はこの画の前に立って、それから受ける感じを味うと共に、こう云う疑問もまた
挟
(
さしはさ
)
まずにはいられなかったのである。
沼地
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
二人は顔を背け合って、それから総曲輪へ出て、四十物町へ行こうとする、杉垣が
挟
(
さしはさ
)
んで、樹が
押被
(
おっかぶ
)
さった
径
(
こみち
)
を四五間。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
奉「これなる長二郎は幸兵衛方へ
出入
(
でいり
)
をいたしおった由じゃが、何か遺恨を
挟
(
さしはさ
)
むような事はなかったか、何うじゃ」
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
文三に対して一種の敵意を
挟
(
さしはさ
)
んでいたお勢が俄に様子を変えて、顔を
※
(
あか
)
らめ
合
(
あっ
)
た事は全く忘れたようになり、
眉
(
まゆ
)
を
皺
(
しか
)
め眼の
中
(
うち
)
を曇らせる事はさて置き
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
そして右肩は、青銅製の丸環でこの外衣を吊り、外衣は左腰のあたりで緩やかな帯に
挟
(
さしはさ
)
んであるように思われた。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
一旦自分に対して深刻の敵意を
挟
(
さしはさ
)
んだ
狠戻
(
こんれい
)
豪黠
(
ごうかつ
)
の佐々成政を熊本に封じたのは、成政が無異で有り得れば九州の土豪等に対して成政は我が
藩屏
(
はんぺい
)
となるので有り
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
君に対して
頗
(
すこぶ
)
る礼を失するかも知れぬが、現になお雪江さんに対して、強い愛着の念を持って居る僕が、雪江さんの良人となる君に、どうして敵意を
挟
(
さしはさ
)
むことが出来よう。
恋愛曲線
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
教育に
由
(
よっ
)
てとにもかくにも理智の目の
開
(
あ
)
きかけた今日の婦人が従来の外圧的貞操に懐疑を
挟
(
さしはさ
)
み
私の貞操観
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
天下の
為
(
た
)
めに一身を
犠牲
(
ぎせい
)
にしたるその
苦衷
(
くちゅう
)
苦節
(
くせつ
)
を
諒
(
りょう
)
して、一点の
非難
(
ひなん
)
を
挟
(
さしはさ
)
むものなかるべし。
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
ボートルレはあわてて口を
挟
(
さしはさ
)
んだ。「ああ、いつか僕がつけた男が消えたのは、その叢の中の潜戸ですね、よし、勝利は私たちのものです、お互に力を
協
(
あ
)
わせてやりましょう。」
奇巌城:アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
満島より東、浜崎に到るのあひだ、松浦川と玉島川との
挟
(
さしはさ
)
める一帯の海岸なるかな、そもそも何によりてかただちに人を魅するの力ある、さながら夢幻の境のごときもの、これ虹の松原!
松浦あがた
(新字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
その際
儂
(
のう
)
は新井に向かいいうよう、儂この地に到着するや否や壮士の心中を
窺
(
うかが
)
うに、堂々たる男子にして、私情を
挟
(
さしはさ
)
み、公事を
抛
(
なげう
)
たんとするの意あり、しかして
君
(
きみ
)
の
代任
(
だいにん
)
を
忌
(
い
)
むの
風
(
ふう
)
あり
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
〈夏姫内に技術を
挟
(
さしはさ
)
む、けだし老いてまた
壮
(
さか
)
んなる者なり、三たび王后となり、七たび夫人となり、
公矦
(
こうこう
)
これを争い、迷惑失意せざるはなし、あるいはいわくおよそ九たび寡婦とならば
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
両派は毫も互に
挟
(
さしはさ
)
む所なく、手を携えて法典の編纂に従事し、同心協力して我同胞に良法典を与えんことを努めたるが如き、もってその心事の光風
霽月
(
せいげつ
)
に比すべきものあるを見るべきである。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
故に一国といえども強兵を
挟
(
さしはさ
)
んで他を侵略せんとするの意図を有する間は、世界的の平和を期することは不可能である。さらば世界的の平和は
到底
(
とうてい
)
望むべからざるかというに、決してそうではない。
世界平和の趨勢
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
両人は
私怨
(
しえん
)
を
挟
(
さしはさ
)
み、
果合
(
はたしあ
)
いを約したという風聞だ、その虚実は今は問わぬが、只今の御家の
体
(
てい
)
を拝したら、それどころではあるまい、くだらぬ騒ぎをして不忠を働くな、それよりは主君の御憤りを
討たせてやらぬ敵討
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
しかし、この事実といふことに対して疑ひを
挟
(
さしはさ
)
んだ議論も沢山出た。
小説新論
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
妻のさうした純な、少しの疑惑をも、
挟
(
さしはさ
)
まない言葉に、接するに付けても、信一郎は夫人に叩き返したいものが、もう一つ殖えたことに気が付いた。それは、夫人から受けた此の誘惑の手紙である。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
兵馬を中に
挟
(
さしはさ
)
んで、峠の道をやや下りになる仏頂寺と丸山。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
(疑念を
挟
(
さしはさ
)
むらしき姉の目付を見て言い淀む。)ふん。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
挟
(
さしはさ
)
んだ二つの岬の名を示しているのだ!
流線間諜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
挟
(
さしはさ
)
めり
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
ぶりき板の破片や腐った屋根板で
葺
(
ふ
)
いたあばら
家
(
や
)
は数町に渡って、左右から
濁水
(
だくすい
)
を
挟
(
さしはさ
)
んで互にその傾いた
廂
(
ひさし
)
を向い合せている。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
やや事物の真相を解し得たる主人までが、浅薄なる三平君に一も二もなく同意して、
猫鍋
(
ねこなべ
)
に故障を
挟
(
さしはさ
)
む
景色
(
けしき
)
のない事である。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
一まず女紅場で列を整え、先立ちの露払い、十人の
稚児
(
ちご
)
が通り、
前囃子
(
まえばやし
)
の屋台を
挟
(
さしはさ
)
んで、そこに、十二人の姫が続く。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その三文信用を
挟
(
さしはさ
)
んで人に臨んで、人を軽蔑して、人を
嘲弄
(
ちょうろう
)
して、人を侮辱するに至ッては文三腹に
据
(
す
)
えかねる。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
銃を擬した兵卒が左右二十人ずつ
轎
(
かご
)
を
挟
(
さしはさ
)
んで、一つ一つ戸を開けさせて
誰何
(
すいか
)
する。女の轎は
仔細
(
しさい
)
なく通過させたが、成善の轎に至って、審問に時を費した。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「先生、ちょっとお待ち下さい、先生……」と
堪
(
たま
)
りかねてその時記者席の一隅から、口を
挟
(
さしはさ
)
んだものがある。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
范邸
(
はんたい
)
は
浚儀
(
しゅんぎ
)
の令たり。二人絹を市に
挟
(
さしはさ
)
み互いに争う。令これを両断し各〻一半を
分
(
わか
)
ちて去らしめ、後人を遣わして
密
(
ひそ
)
かにこれを察せしむ。一人は喜び、一人は
慍
(
いきどお
)
る色あり。
加利福尼亜の宝島:(お伽冒険談)
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
大分昔よりは年功を経ているらしい相手の力量を測らずに、あのような
真似
(
まね
)
をして、
却
(
かえ
)
って弱点を握られはしまいか。いろいろの不安と
疑惧
(
ぎぐ
)
に
挟
(
さしはさ
)
まれながら私は寺へ帰った。
秘密
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
自分は生れて唯一度一人の男と恋をして、その男と結婚して現に共棲している事を当然の事だとして、幸福をこそ
感
(
かん
)
ずれ、少しもそれについて不安をも懐疑をも
挟
(
さしはさ
)
んだ事がない。
私の貞操観
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
もし私を了解しているならば、私に対して
疑
(
うたがい
)
を
挟
(
さしはさ
)
む事が出来ないはずだ。
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
妻のそうした純な、少しの疑惑をも、
挟
(
さしはさ
)
まない言葉に、接するに付けても、信一郎は夫人に叩き返したいものが、もう一つ殖えたことに気が付いた。それは、夫人から受けた
此
(
こ
)
の誘惑の手紙である。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
試みに石の上に坐ってご覧、尻が冷えるのは当り前だろう。尻が冷える、のぼせが下がる、これまた自然の順序にして
毫
(
ごう
)
も疑を
挟
(
さしはさ
)
むべき余地はない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
樺色
(
かばいろ
)
の囚徒の服着たる一個の縄附を
挟
(
さしはさ
)
みて眼界近くなりけるにぞ、お通は心から見るともなしに、ふとその囚徒を見るや否や、
座右
(
ざう
)
の良人を
流眄
(
ながしめ
)
に懸けつ。
琵琶伝
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
財産なり、学問なり、技能なり、何か人より余計に持っている人は、其余計に持っている物を
挟
(
さしはさ
)
んで、傲然として
空嘯
(
そらうそぶ
)
いていても、人は皆其
足下
(
そっか
)
に平伏する。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
二体の
木乃伊
(
ミイラ
)
の納まった大函だけは室の一隅に安置されてあったが、油絵の金貨や例のセロファンとも鋸屑ともつかぬ詰物なぞを無造作に並べた
卓子
(
テーブル
)
を
挟
(
さしはさ
)
んで
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
公然「許す」と
迄
(
まで
)
は云わなかったけれども、彼女が出入りすることに最早や異議を
挟
(
さしはさ
)
まない意向であることを明かにしたので、妙子は六月中
殆
(
ほとん
)
ど日に一度は蘆屋へ来て食事をし
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
その応戦の跡は『漢蘭酒話』、『
一夕
(
いっせき
)
医話』等の如き書に徴して知ることが出来る。抽斎は
敢
(
あえ
)
て
言
(
げん
)
をその間に
挟
(
さしはさ
)
まなかったが、心中これがために憂え
悶
(
もだ
)
えたことは、想像するに難からぬのである。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
それと二人は
卓子
(
テエブル
)
を
挟
(
さしはさ
)
んで
斉
(
ひと
)
しく立上ったのが、一所になり
前後
(
あとさき
)
になって出ようとする、横合の椅子から
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
もし世の中に
全知全能
(
ぜんちぜんのう
)
の神があるならば、私はその神の前に
跪
(
ひざま
)
ずいて、私に
毫髪
(
ごうはつ
)
の
疑
(
うたがい
)
を
挟
(
さしはさ
)
む余地もないほど明らかな直覚を与えて、私をこの
苦悶
(
くもん
)
から
解脱
(
げだつ
)
せしめん事を祈る。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
一言
贅言
(
ぜいげん
)
を
挟
(
さしはさ
)
ませて下さるならば、読者も御承知のとおり浄土宗の総本山
巨刹
(
きょさつ
)
増×寺は、今より二十八年前の明治四十二年三月二日の夜半、風もなく火の気もなき黒本尊より突如怪火を発し
蒲団
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
挟
常用漢字
中学
部首:⼿
9画
“挟”を含む語句
挟撃
引挟
板挟
文挟
紙挟
挟間
手挟
挟箱
差挟
脇挟
挟箱担
物干挟
鳥毛挟箱
鬢挟
髱挟
身挟桃花坂
虎挟
前挟
物挟
懐紙挟
...