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拙者
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せっしゃ
ふりがな文庫
“
拙者
(
せっしゃ
)” の例文
依
(
よっ
)
てかの家を彩牋堂とこじつけ候へども元より
文藻
(
ぶんそう
)
に乏しき
拙者
(
せっしゃ
)
の
出鱈目
(
でたらめ
)
何か
好
(
よ
)
き名も御座候はゞ御示教願はしく
万々
(
ばんばん
)
面叙
(
めんじょ
)
を期し申候
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
若君のお刀は伝家の宝刀、ひとの手にふれさせていい
品
(
しな
)
ではありませぬ。また、
拙者
(
せっしゃ
)
の
杖
(
つえ
)
は
護仏
(
ごぶつ
)
の
法杖
(
ほうじょう
)
、
笈
(
おい
)
のなかは
三尊
(
さんぞん
)
の
弥陀
(
みだ
)
です。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「お見受け申せば、御女中二人の旅のようでござるが、どちらへ往かれる、
拙者
(
せっしゃ
)
はこの村に住居いたす者で、怪しい者でござらぬ」
切支丹転び
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「
殿
(
との
)
、功は
拙者
(
せっしゃ
)
一人
(
ひとり
)
のものではありませぬ。こ、この
朝月
(
あさづき
)
も働きました。このことを、戦功帳に書いていただくことはあいなりませぬか」
三両清兵衛と名馬朝月
(新字新仮名)
/
安藤盛
(著)
どうもね、それは
拙者
(
せっしゃ
)
は昨夜人の出入のたびに怒鳴りつけたり追いかけたりしたかも知れないけれど、どうも、よく覚えていないのでね。
不連続殺人事件
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
▼ もっと見る
「おう、左様か。
拙者
(
せっしゃ
)
箱根下山の際に、ちょっと数えて見たら、十二名のように見受けたが、それでは他の旅人まで数え込んだのであろう」
丹那山の怪
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
「恐れながら、恐れながら
拙者
(
せっしゃ
)
とても、
片時
(
へんし
)
も早く、もとの人間に成りまして、人間らしく、
相成
(
あいな
)
りたう存じます。
峠
(
とうげ
)
を越えて戻ります。」
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
目科は
威長高
(
いたけだか
)
に巡査に向い「貴官は
拙者
(
せっしゃ
)
を
知
(
しり
)
ませんか、拙者は目科です、是なる若者は拙者と
一処
(
いっしょ
)
に来たのです」目科の名を
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
「こういう仲になった貴様の便利が計っていられるか? それとも、
拙者
(
せっしゃ
)
に伴れがあるので、怖ろしくなったのか?」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「大汽船エンプレス号が百万
弗
(
ドル
)
の金貨を積んで横浜に入港しているが、あれは
拙者
(
せっしゃ
)
が頂戴するから、悪く思うなよ」
地中魔
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
彼奴
(
きゃつ
)
は、ちゃんと心得ていて聞いたのだが、聞かれると、返答せん訳には参らぬ。
拙者
(
せっしゃ
)
が答えると、じっと、拙者の顔を、ちらっと、天一坊殿の顔を——
大岡越前の独立
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
ギニョール——したが
拙者
(
せっしゃ
)
は出られないのでござる。なぜと申せば、拙者の
股引
(
パンタロン
)
めを
鳶
(
とび
)
がさらってまいったゆえ。
ノンシャラン道中記:01 八人の小悪魔
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
働き出し玉う
御容貌
(
ごきりょう
)
は百三十二
相
(
そう
)
も
揃
(
そろ
)
い
御声
(
おんこえ
)
は
鶯
(
うぐいす
)
に
美音錠
(
びおんじょう
)
飲ましたよりまだ清く、
御心
(
ごしん
)
もじ広大
無暗
(
むやみ
)
に
拙者
(
せっしゃ
)
を
可愛
(
かわゆ
)
がって下さる結構
尽
(
づく
)
め
故
(
ゆえ
)
堪忍ならずと
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
拙者
(
せっしゃ
)
は貴殿に深き
恨
(
うら
)
みを抱くものである。長の
年月
(
としつき
)
を、拙者は、ただ貴殿への復讐準備の為に
費
(
ついや
)
して来た。今や準備は全く整った。
愈々
(
いよいよ
)
恨みをはらす時が来たのだ。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「ようし、それでは
拙者
(
せっしゃ
)
がひとりで。」と言いながら危い足どりでその舟に乗り込み、「ちゃんとオールもございます。沼を一まわりして来るぜ。」
騎虎
(
きこ
)
の
勢
(
いきお
)
いである。
花火
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「そうだ。用があるのだ。
拙者
(
せっしゃ
)
は、まだこの
裟婆
(
しゃば
)
に用があるのだ」喬之助は、夢みるような声で
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
今
拙者
(
せっしゃ
)
の前にこうしていようとは、お前の両親も知らぬであろう、アア今頃は
何処
(
どこ
)
にどうしているだろうと、暑いにつけ、寒いにつけお前の事を心配しているに相違ない
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
貴君
(
あなた
)
の親御より十万円
恩借
(
おんしゃく
)
ありて、今年返済の期限
来
(
きた
)
り、万一延滞
候
(
そろ
)
節は所有地
家蔵
(
いえくら
)
を娘
諸共
(
もろとも
)
、貴殿へ
差上候
(
さしあげそろ
)
と申す文面の証書を
認
(
したゝ
)
めて、残し置き、
拙者
(
せっしゃ
)
は返金に
差迫
(
さしせま
)
り
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「
拙者
(
せっしゃ
)
こそは浪人にて人丸左陣と申す者。
御意
(
ぎょい
)
得たきことござりまして
遥々
(
はるばる
)
参ってござります」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
拙者
(
せっしゃ
)
性癖有
レ
時吸
レ
之、
若而人
(
じゃくじじん
)
欲
レ
停
レ
之未
レ
能、
聊
(
いささか
)
因循至
レ
今、唯
暫
(
しばらく
)
代
レ
酒当
レ
茶
而已歟
(
のみか
)
。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
明治六年、
維納
(
ウィーン
)
府大展覧会の開場のとき、
拙者
(
せっしゃ
)
もその
差遣
(
さけん
)
せられた官員の一人でありました。当時〈(そのとき)〉目に触れ、耳に聴くところの利益は、
種々
(
しゅじゅ
)
様々でありました。
禾花媒助法之説
(新字新仮名)
/
津田仙
(著)
拙者
(
せっしゃ
)
事幼少の頃より御貴殿様に一方ならぬ御迷惑相掛け、千万申訳
無之
(
これなく
)
お詫び申上候。
勝ち運負け運
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「いやいや、
拙者
(
せっしゃ
)
が借りようと申すのではない。どうじゃ。金貸しは面白かろう」
とっこべとら子
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
夫れでも
拙者
(
せっしゃ
)
と話は出来ないかと少しく理屈を
云
(
いっ
)
た所が、そう云う
訳
(
わ
)
けなら直ぐに
遇
(
あ
)
うと云うので、夫れから公使に面会して戦争中止の事を
話掛
(
はなしか
)
けると、なか/\聞きそうにも
為
(
し
)
ない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「ああ水戸、
拙者
(
せっしゃ
)
にもあこがれの地です、だがもう行ける望みはない、このとおりのからだですから……そして、水戸へいかれるとすると、おそらく東湖先生をおたずねなさるのでしょうね」
新潮記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「先ほどから
拙者
(
せっしゃ
)
の後を跟けているようだが、何か用事でもあるのかな」
銭形平次捕物控:008 鈴を慕う女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
生まれつきの
馬鹿者
(
ばかもの
)
のゆえ、かかるものを切っては殿の刀のけがれ、いかがなものでしょうか、もう一度外のことをうらなわせて、それで当たらずば殿の前にて
拙者
(
せっしゃ
)
が真っ二つにいたしましては。
とんまの六兵衛
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
「無礼者……とは、かく申す
拙者
(
せっしゃ
)
のことですよ……酔っている? 酔っているかと問われれば、酔っています。……ガンベの酔ったのを見たことがありますか……現在ははは……現在を除いてさ……」
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「
拙者
(
せっしゃ
)
が応対して参ろう」
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「
拙者
(
せっしゃ
)
が替ろう——」
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
また、
武田
(
たけだ
)
の若君ともあるおんかたが、
拙者
(
せっしゃ
)
の
館
(
やかた
)
へおいでくださったのは天のおひきあわせ。なにとぞ幾年でもご
滞留
(
たいりゅう
)
をねがいまする。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
老人田舎もののしょうがには、山の芋を
穿
(
ほ
)
って
鰻
(
うなぎ
)
とする法を飲込んでいるて。
拙者
(
せっしゃ
)
、足軽ではござれども、(
真面目
(
まじめ
)
に)松本の藩士、士族でえす。
錦染滝白糸:――其一幕――
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
大博士が
拙者
(
せっしゃ
)
にきくとは意地が悪いな。まア、笑わずに素人探偵の意見をきいて貰おうか。珠緒さんが王仁の寝室から立ち去ったのが十一時十五分。
不連続殺人事件
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
川音清兵衛
(
かわおとせいべえ
)
、
殿
(
との
)
にまで申しあげます。
拙者
(
せっしゃ
)
の乗馬
朝月
(
あさづき
)
が、こよい
異様
(
いよう
)
にさわぎまして、
鞍
(
くら
)
をかみます。そこで、鞍をつけてやりますと、静かにあいなりました。
三両清兵衛と名馬朝月
(新字新仮名)
/
安藤盛
(著)
いれかえて、新らしい気もちになってかかれ、決して其の方たちにお咎めはない、お咎めがあれば
拙者
(
せっしゃ
)
じゃ
海神に祈る
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「いや、遊びの心で参詣ではあるまい。大師信心……どうか
拙者
(
せっしゃ
)
の代参として、二人で行って貰いたい」
悪因縁の怨
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
「
拙者
(
せっしゃ
)
がお尋ねの藪原長者、何かご用でもござるかな?」長者はぞんざいに云うのであった。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
侍「とんだ良さそうな物、
拙者
(
せっしゃ
)
の
鑑定
(
かんてい
)
する
処
(
ところ
)
では
備前物
(
びぜんもの
)
のように思われるが
何
(
ど
)
うじゃな」
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
道ならぬ恋に迷ひ
家中
(
かちゅう
)
の者と手に手を取り駈落致したりとの
噂
(
うわさ
)
、世に立ち候時は、師匠の御身分にもかゝはり申べく候。今の
中
(
うち
)
なれば
拙者
(
せっしゃ
)
の外は誰一人知るものなきこそ
幸
(
さいわい
)
なれ。
榎物語
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
御老中松平
信祝
(
のぶとき
)
様より、御取調べの御使の参られました
節
(
せつ
)
、
俄
(
にわか
)
のこととて、取調べも
仕
(
つかまつ
)
らず、と、申しまするは、
拙者
(
せっしゃ
)
が当地へ赴任仕らぬ前のこととて、一向に何事も存じ申さず
大岡越前の独立
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
爆発物は妾の所持品にせんといいたるに、
否
(
いな
)
拙者
(
せっしゃ
)
の所持品となさん、もし発覚せばそれまでなり、
潔
(
いさぎよ
)
く
縛
(
ばく
)
に
就
(
つ
)
かんのみ、
構
(
かま
)
えて同伴者たることを
看破
(
かんぱ
)
せらるる
勿
(
なか
)
れと古井氏はいう。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
わしらも、
後悔
(
こうかい
)
しておる。ちと悪ふざけの度が過ぎました。それも、
仲間
(
なかま
)
うち——と思えばこそ、まったく、貴殿のことは、
拙者
(
せっしゃ
)
など、失礼ながら、弟のように思っておりましたからな。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「おお、
拙者
(
せっしゃ
)
も、たしかに一度逢ったすがたと思うたが、では、あの時の——」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
成程昨今の
弗
(
ドルラル
)
は安くない、
併
(
しか
)
し三井にはズットその前安い時に買入れた弗もあるだろう、
拙者
(
せっしゃ
)
のこの
一歩銀
(
いちぶぎん
)
はその安い弗と両替して貰いたいと云うと、三井の手代は平伏して、
畏
(
かしこま
)
りました
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
委細
(
いさい
)
承知。みなまで
仰言
(
おっしゃ
)
るな。つまりですナ、この牛君……牛様に武芸万般を仕込んでぜひともヘルキュレスを
闘技場
(
アレエヌ
)
の砂に埋葬しようという。……それならば秘策は万事
拙者
(
せっしゃ
)
の方寸にありますヨ。
ノンシャラン道中記:06 乱視の奈翁 ――アルル牛角力の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「
拙者
(
せっしゃ
)
に、……あの狼を拙者に、……」三之丞はにやりと笑った。
備前名弓伝
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「それなら
拙者
(
せっしゃ
)
だ、この
伊坂権内
(
いさかごんない
)
、左利きの上に三人力だぞ」
銭形平次捕物控:080 捕物仁義
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
悪人? さあ、それが
拙者
(
せっしゃ
)
にはどうもわからなくなったんだ。
怪塔王
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「羅門氏にはまだご承知あるまいが、
拙者
(
せっしゃ
)
は、しばらく見なくとも忘れはせぬ。あの若者こそ、先刻お話しいたした、
塙江漢
(
はなわこうかん
)
先生のご子息じゃ」
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
殿
(
との
)
、早々、
御城
(
おしろ
)
へお
退
(
しりぞ
)
きなされませ。
拙者
(
せっしゃ
)
と
朝月
(
あさづき
)
が
先登
(
せんとう
)
つかまつります。朝月、一
期
(
ご
)
の大事、たのむぞ」
三両清兵衛と名馬朝月
(新字新仮名)
/
安藤盛
(著)
“拙者”の意味
《代名詞》
拙者(せっしゃ)
(もとは武士が)自らを謙遜した語。わたくし。拙子。
(出典:Wiktionary)
拙
常用漢字
中学
部首:⼿
8画
者
常用漢字
小3
部首:⽼
8画
“拙者”で始まる語句
拙者方
拙者事
拙者儀
拙者共
拙者宅
拙者迄
拙者宅迄
拙者方家人