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扱帯
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しごき
ふりがな文庫
“
扱帯
(
しごき
)” の例文
旧字:
扱帶
「ハッ」紅の
扱帯
(
しごき
)
を二、三本結んで、縛り上げたお金の身体は、其の儘北見之守の目の前、屋形船の
梁
(
はり
)
へキリキリと吊り上げました。
新奇談クラブ:08 第八夜 蛇使いの娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「聞きゃ、道成寺を舞った時、腹巻の下へ蛇を
緊
(
し
)
めた姉さんだと云うじゃないか。……その
扱帯
(
しごき
)
が鎌首を
擡
(
もた
)
げりゃ
可
(
よ
)
かったのにさ。」
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
腰元は
振袖
(
ふりそで
)
の
白無垢
(
しろむく
)
の
裾
(
すそ
)
をひいて、
水浅黄
(
みずあさぎ
)
ちりめんの
扱帯
(
しごき
)
を前にたらして、縄にかかって、島田の
鬘
(
かつら
)
を重そうに首を垂れていた。
マダム貞奴
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
初春
(
はる
)
の櫛だの、やれ下駄だの、
扱帯
(
しごき
)
だのとねだられたあげく、小料理屋で飲んで喰って、すっかり財布の底をハタいてしまったいい気な客は
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お君は犬に向って、こんなことを言いながら
扱帯
(
しごき
)
を解いたものと見え、その扱帯の端でムク犬の首をグルグルと巻きました。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
階子段
(
はしごだん
)
に向い合った頭の上の
手摺
(
てすり
)
から、私の母の色の褪めた
扱帯
(
しごき
)
が輪の形になってブラ下がっているのが眼に這入りました。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
みぞおちから
肋骨
(
あばら
)
の辺を堅く
緊
(
し
)
め附けている丸帯と、骨盤の上を
括
(
くく
)
っている
扱帯
(
しごき
)
の加減で、私の体の血管には、自然と女のような血が流れ始め
秘密
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そっと近寄っていって
覗
(
のぞ
)
くと一人の腰元がこっちへ背中を向けて
俯伏
(
うつぶ
)
しになっていた、赤いのはほどけた
扱帯
(
しごき
)
の端である。
若殿女難記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
やがてのことに女は、
肌膚
(
はだ
)
に着けた
絎紐
(
くけひも
)
をほどくと、燃えるような真紅の
扱帯
(
しごき
)
が袋に縫ってあって、
蛇
(
へび
)
が
蛙
(
かえる
)
を
呑
(
の
)
んだように真ん中がふくれている。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
小次郎はスルスルと近寄ったがパッと飛びかかって首を掴み、持って来た手拭いで
猿轡
(
さるぐつわ
)
。
扱帯
(
しごき
)
を解いて腕をくくり
傍
(
そば
)
の柱へ
繋
(
つな
)
いだが、奥の襖を手早く開けた。
大鵬のゆくえ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
……今で言えば肺病でござりますが、其の頃は
癆症
(
ろうしょう
)
と申しました、
寝衣姿
(
ねまきすがた
)
で、
扱帯
(
しごき
)
を乳の
辺
(
あたり
)
まで固く締めて、縁先まで
立出
(
たちいで
)
ました途端、プーッと吹込む一陣の風に誘われて
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
のみならず、自殺に用ふる
扱帯
(
しごき
)
の色の青と
紅
(
あか
)
とを比べて、
紅
(
べに
)
を選ぶやうな用意をさへ尽した。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
上から
友禅
(
ゆうぜん
)
の
扱帯
(
しごき
)
が半分
垂
(
た
)
れかかって、いるのは、誰か衣類でも取り出して急いで、出て行ったものと解釈が出来る。扱帯の上部はなまめかしい
衣裳
(
いしょう
)
の間にかくれて先は見えない。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
緋じりめん鹿ノ子絞りの目ざめるような
扱帯
(
しごき
)
キリキリと締め直して、
懐剣
(
かいけん
)
甲斐々々しく乳房の奥にかくした菊路を随えながら、ふたりの姿は朝あけの本所をいち路番町に急ぎました。
旗本退屈男:11 第十一話 千代田城へ乗り込んだ退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
白木綿の鉢巻でまっ黒に伸びた頭髪を
箒
(
ほうき
)
のように縛り上げて、よれよれの
縞
(
しま
)
の着物とたっつけ
袴
(
ばかま
)
に
草鞋
(
わらじ
)
がけといういでたちで、それにまっかな木綿の
扱帯
(
しごき
)
のようなもので
襷
(
たすき
)
がけをした
柿の種
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
の
長襦袢
(
ながじゅばん
)
の上に青色の
扱帯
(
しごき
)
を締めた、島田に
結
(
ゆ
)
うた
壮
(
わか
)
い女が右の手を突いて
艶
(
なまめ
)
かしく
横膝
(
よこひざ
)
に坐り、それと向き合って双子らしい
袷
(
あわせ
)
を着た壮い色の白い男が鼓を肩にしてすわっていた。
鼓の音
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
青いリノリウムのうえにMELINSの
扱帯
(
しごき
)
が夜光虫のように円をつくると、私は断截された濡れた頭髪を腕の中に感じて、いつのまにか恋愛のマッフのなかに、ひとときの安息を求めた。
大阪万華鏡
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
一人は飲食店の借金で首がまはらず
狸
(
たぬき
)
を
捕
(
と
)
る毒薬で自害し、一人の女は継母と婿養子との不和から世を
厭
(
いと
)
うて
扱帯
(
しごき
)
で
縊
(
くび
)
れ、水夫であつた一人は失恋して朝鮮海峡に投身して死んだことを話した。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
……ねえ! 宮ちゃん! ……じゃ、せめてお前と、その人との身の上でも話して聞かしてくれないか。……もう大分遅いようだが、今晩寝ないでも聞くよ。私には
扱帯
(
しごき
)
なんかよりもその方が好いよ。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
噫、病院の窓! 梅野とモ一人の看護婦が、
寝衣
(
ねまき
)
に着換へて
淡紅色
(
ときいろ
)
の
扱帯
(
しごき
)
をしてた所で、
足下
(
あしもと
)
には燃える様な赤い裏を
引覆
(
ひつくらか
)
へした、まだ身の
温
(
ぬくも
)
りのありさうな
衣服
(
きもの
)
! そして、白い脛が! 白い脛が!
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
(
扱帯
(
しごき
)
に櫛簪を結びつける)
一本刀土俵入 二幕五場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
わしの
扱帯
(
しごき
)
も
極楽とんぼ
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
「勘兵衛の
足袋
(
たび
)
の底はどうなんです。わざわざ自分の赤い
扱帯
(
しごき
)
で殺して、死骸の
雪駄
(
せった
)
を片っ方だけ自分の家へ持って来たんですかい」
銭形平次捕物控:028 歎きの菩薩
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
机を置いてこれに対し、浴衣に
縮緬
(
ちりめん
)
の
扱帯
(
しごき
)
を
〆
(
し
)
めて、
肱
(
ひじ
)
をつき、
仰
(
の
)
けざまの目を
瞑
(
ねむ
)
るがごとくなるは、謂うまでもなく鴨川であった。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
弦之丞が目をみひらくと、お綱は何か大声で叫んで、夢中な手で
扱帯
(
しごき
)
を裂き、
朱
(
あけ
)
になったかれの腕根をギリギリ巻きにする。
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私は早速光子の後に廻って
鬱金
(
うこん
)
縮緬の
扱帯
(
しごき
)
を解き、結いたての唐人髷がこわれぬように襟足の長い頸すじへ手を挿し入れ
少年
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
と云ううちに振袖に赤い
扱帯
(
しごき
)
を
襷
(
たすき
)
がけにして、お茶を給仕していた少年は、汗ばむ程上気しながら椅子に腰をかけると
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
娘の両手は、胸に突き刺した短刀の柄を握っていた、両足は膝のところを、着物の上から固く
扱帯
(
しごき
)
で縛ってあった。
五瓣の椿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
艶
(
あでや
)
かな色の大振り袖、燃え立つばかりの緋の
扱帯
(
しごき
)
、
刺繍
(
ぬい
)
をちりばめた錦の帯、姿は妖嬌たる娘ではあるが頭を見れば銀の白髪、顔を見れば縦横の
皺
(
しわ
)
、百歳過ぎた古老婆が
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
と
緋
(
ひ
)
の
絹縮
(
きぬちゞみ
)
の
扱帯
(
しごき
)
を渡すから帯に巻付けまして、互に顔と顔を見合せると胸が一杯になり
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
お君は強く
扱帯
(
しごき
)
を引張りながら西へ向いて歩き出しましたけれど、犬はいっかな身動きもしません。
頑
(
がん
)
として主人の意に従わないのみか猛犬は、かえって猛然として
牙
(
きば
)
を鳴らしました。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
拾ってみると、緋縮緬の
扱帯
(
しごき
)
だ。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
わしの
扱帯
(
しごき
)
も
雨情民謡百篇
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
……
遊山
(
ゆさん
)
旅籠
(
はたご
)
、温泉宿などで
寝衣
(
ねまき
)
、浴衣に、
扱帯
(
しごき
)
、
伊達巻
(
だてまき
)
一つの時の様子は、ほぼ……お互に、しなくっても
可
(
よ
)
いが想像が出来る。
怨霊借用
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
人混みを掻き分けて入ると、亀沢町のとある路地に、
紅
(
あか
)
い
鹿
(
か
)
の
子絞
(
こしぼり
)
の
扱帯
(
しごき
)
で首を絞められた若い男が
虚空
(
こくう
)
を
掴
(
つか
)
んで死んでいるのでした。
銭形平次捕物控:028 歎きの菩薩
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
源次郎が屏風をまわってゆくと、おしのは
長襦袢
(
ながじゅばん
)
になって夜具の上に坐り、
扱帯
(
しごき
)
をしめようとするところだった。
五瓣の椿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そして、真っ先に、おりんの寝間へ駈けこんで行ってみると、おりんは
扱帯
(
しごき
)
に両腕を縛られて絹糸のように身をねじったまま、仆れた体をもがいております。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それから私は、その娘の
扱帯
(
しごき
)
を解いて、部屋の
鴨居
(
かもい
)
に引っかけて、縊死を遂げたように装わせておいた。
縊死体
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
扱帯
(
しごき
)
の一端を自分の手に持って橋の上を歩きはじめました。お君は、やはり気が変になっています。草も木も眠っているのだから、
何人
(
なんぴと
)
もこの主従の
異形
(
いぎょう
)
な
夜行
(
よあるき
)
を見てあやしむものはありません。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
お品の口を塞ぐと、
扱帯
(
しごき
)
を解いてキリキリと縛り上げました。柄に似ぬ非凡の力で、お品などは
羽搏
(
はばたき
)
もさせることではありません。
銭形平次捕物控:046 双生児の呪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
小親この時は楽屋着の
裾
(
すそ
)
長く
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
の下着踏みしだきて、胸高に水色の
扱帯
(
しごき
)
まといたり。髪をばいま引束ねつ。優しき目の
裡
(
うち
)
凜
(
りん
)
として
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
白の寝衣に
鴇色
(
ときいろ
)
の絞りの
扱帯
(
しごき
)
をしめ、髪を解いていた。化粧は直したらしいが、口紅はきれいにぬぐってある。甲斐は眼をつむったまま「おいで」と云った。
樅ノ木は残った:02 第二部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
松の
根方
(
ねかた
)
にもがいていたお綱は、転々としながらこう叫んだ。叫んだけれど声は出ない。さいぜんお十夜のために、
扱帯
(
しごき
)
を解かれて猿ぐつわをかけられていた。
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
緋鹿子絞
(
ひかのこしぼ
)
りの
扱帯
(
しごき
)
、燃え立つような
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
の湯もじ、白
足袋
(
たび
)
を穿かされた白い足首……そのようなものがこうした屍体解剖室の冷酷、残忍の表現そのものともいうべき器械
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
……
扱帯
(
しごき
)
を
繋
(
つな
)
いで、それに
縋
(
すが
)
って、
道成寺
(
どうじょうじ
)
のつくりもののように、ふらふらと幽霊だちに、
爪立
(
つまだ
)
った
釣身
(
つりみ
)
になって覗いたのだそうです。
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「そればかりじゃありません。この二三日、
鬱金色
(
うこんいろ
)
の
扱帯
(
しごき
)
だの、
鹿
(
か
)
の
子絞
(
こしぼ
)
りの
下締
(
したじめ
)
だの、変なものが百本杭や永代へ流れ着くそうですよ」
銭形平次捕物控:010 七人の花嫁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
華やかな嬌めかしい夜具の上で、雪白の寝衣に
鴾色
(
ときいろ
)
の
扱帯
(
しごき
)
をしめ、頭をふかく垂れて、花嫁は坐っていた。——広一郎は決心した、すべてを花嫁にうちあけよう。
女は同じ物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
とお延は
妲己
(
だっき
)
の本性を現わして、
扱帯
(
しごき
)
の下から引き抜いた
匕首
(
あいくち
)
を逆手に、さっと小六に斬りつけてきた。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その上から
緋鹿子絞
(
ひがのこしぼ
)
りの
扱帯
(
しごき
)
をキリキリと巻付けてやりましたが、その姿の奇妙さ、滑稽さ……そうして、それと向い合って見下している黒怪人物の、今更に眼に立つ物々しい妖異さ……。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
お妙はその状を見定めると、何を穿いたか自分も知らずに、スッと格子を開けるが
疾
(
はや
)
いか、
身動
(
みじろ
)
ぎに端が解けた、しどけない
扱帯
(
しごき
)
の
紅
(
くれない
)
。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
扱
常用漢字
中学
部首:⼿
6画
帯
常用漢字
小4
部首:⼱
10画
“扱”で始まる語句
扱
扱帶
扱入
扱所
扱箸
扱落
扱下
扱人
扱使
扱兼