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憶
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おぼ
ふりがな文庫
“
憶
(
おぼ
)” の例文
ぼくは別れて、後ろの席から、あなたの、お下げ
髪
(
がみ
)
と、内田さんの赤いベレエ
帽
(
ぼう
)
が、時々、動くのを見ていたことだけ
憶
(
おぼ
)
えています。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
そうなると色々の現象が分って来るというような意味の一節があったように
憶
(
おぼ
)
えているが、どうもそういうことがありそうである。
雪雑記
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
警官が聞きこんで、その鞄を
検分
(
けんぶん
)
に来た。彼は東京からの
指令
(
しれい
)
を
憶
(
おぼ
)
えていたので、
早速
(
さっそく
)
「それらしきもの漂着す」と無電を打った。
鞄らしくない鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それから後お祖父さんは、「蔵へ入れるよ。」といはれると、どんなに
拗
(
す
)
ねてゐても、すぐしやんとするやうになつたことを
憶
(
おぼ
)
えてゐる。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
『
猫
(
ねこ
)
だとて
王樣
(
わうさま
)
を
拜
(
はい
)
して
差支
(
さしつか
)
へない』と
愛
(
あい
)
ちやんが
云
(
い
)
ひました。『
私
(
わたし
)
は
或
(
あ
)
る
書物
(
しよもつ
)
でそれを
讀
(
よ
)
みました、
何處
(
どこ
)
であつたか
憶
(
おぼ
)
えて
居
(
ゐ
)
ませんが』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
▼ もっと見る
(
憶
(
おぼ
)
えておゐでになりますかしら、隨分
嚴
(
きび
)
しい寒さでしてね、雪が降らないと思ひますと、雨が降つたり、風が吹いたりいたしました。)
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
信州の何とか云う人が作ったと、聞いた時から、俺の事だ俺の身の上を
咏
(
よ
)
んだのだと、馬鹿
相応
(
そうおう
)
の一つ
憶
(
おぼ
)
えで、ツイ口に出たのでござんす。
瞼の母
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
京都時代の私達の会合——その席へはあなたも一度来られたことがありますね——
憶
(
おぼ
)
えていらっしゃればその時いたAです。
橡の花
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
いくら団地だ、アパートだっていっても、同じ階段を上り下りする連中の顔ぐらいはいやでも
憶
(
おぼ
)
えちゃうさ。だがぼくは、そんな男はしらない。
お守り
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
既に故ハクスレーも人が獣を何の必要なしに残殺するは不道徳を免れぬが虎や熊が牛馬を害したって不道徳でなくて無道徳だと言われたと
憶
(
おぼ
)
える。
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
たとえば年取った者ならまだ
憶
(
おぼ
)
えているだろうが、近畿とその周囲の昔かたぎの家々で、正月元日の朝の起きぬけに、特に彼らをして言わしめた
詞
(
ことば
)
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
憶
(
おぼ
)
えが悪いといっては、琵琶の
撥
(
ばち
)
で打たれ、
節語
(
ふしがた
)
りに、東国
訛
(
なま
)
りが抜けぬといっては、お手の
中啓
(
ちゅうけい
)
(半開きの扇)を、この
盲
(
めしい
)
の顔へ
抛
(
ぶ
)
つけられたり……
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
船でハドソン河をさかのぼったことのある人なら、だれでも、きっとカーツキル山脈を
憶
(
おぼ
)
えているにちがいない。
リップ・ヴァン・ウィンクル:ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
二人は徒歩で山形あたりはまだ暁の暗いうちに過ぎ、それから関山越えをした。その朝山形を出はずれてから持っていた
提灯
(
ちょうちん
)
を消したように
憶
(
おぼ
)
えている。
三筋町界隈
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
…………私が何故こんなくだらない事をはっきり
憶
(
おぼ
)
えているかといえば——いや、全く、こんなことはどうでもいいことだが——それは勿論、私自身も
亦
(
また
)
虎狩
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
急ぎて裏門を
出
(
い
)
でぬ、
貴嬢
(
きみ
)
はここの梅林を
憶
(
おぼ
)
えたもうや、今や貴嬢には苦しき
紀念
(
かたみ
)
なるべし、二郎には悲しき木陰となり、われには恐ろしき場処となれり。
おとずれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
その大酔の時に彼がこんなことをいって、壁にある旗の前に腕組みをして立ちあがったことを僕は
憶
(
おぼ
)
えている。
吊籠と月光と
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
も一つの記憶も、其頃の事、何方が先であつたか忘れたが、矢張夏の日の嚇灼たる午後の出來事と
憶
(
おぼ
)
えてゐる。
二筋の血
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
ずらりと家の中を見廻して、暮しに不自由そうな部分を
憶
(
おぼ
)
えて置いて、あとで自宅のものの誰かに運ばせた。
老妓抄
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
勿論僕はその人の本に——第一どんな本を出したのかさへ不明である——序文など書いた
憶
(
おぼ
)
えはなかつた。
偽者二題
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
蔭
(
かげ
)
になり、ひなたになりして
護
(
まも
)
ってやったことを、あの
子
(
こ
)
は、よく
憶
(
おぼ
)
えているはずだ。あの
子
(
こ
)
は、
俺
(
おれ
)
の
荒
(
あら
)
い
肌
(
はだ
)
をさすって、
小父
(
おじ
)
さん、
小父
(
おじ
)
さんといったものだ。
あらしの前の木と鳥の会話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
私はこの人の半生を、さまざまのことを
憶
(
おぼ
)
えている。この人のことについて書けば限りがないのであった。
廃墟から
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
その首のそばに四五尺もあるような青大将がずたずたに轢き切られているのです。ギクリとした途端に自分でも頭から血がスーッと引いて行ったのを
憶
(
おぼ
)
えています。
穴
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
これは、私の白髪首にかけましても、きっぱりと、申上げることが出来るのでございます。あすこから、お這入りになりました方々の順序まで、私はよく
憶
(
おぼ
)
えております。
京鹿子娘道成寺
(新字新仮名)
/
酒井嘉七
(著)
諸王不穏の流言、
朝
(
ちょう
)
に聞ゆること
頻
(
しきり
)
なれば、一日帝は子澄を召したまいて、先生、
疇昔
(
ちゅうせき
)
の
東角門
(
とうかくもん
)
の言を
憶
(
おぼ
)
えたもうや、と
仰
(
おお
)
す。子澄直ちに
対
(
こた
)
えて、
敢
(
あえ
)
て忘れもうさずと
白
(
もう
)
す。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「私の方はとてもの変わりようよ。……ねえ、私、ヤアギチと結婚したの。ヴラヂーミル・ニキートイチよ。あの人
憶
(
おぼ
)
えてるでしょう。……私、あの人と幸福に暮らしているの。」
大ヴォローヂャと小ヴォローヂャ
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「君が昨夜ここを出る時に、この
蝋燭
(
ろうそく
)
がどのぐらいの長さだったか
憶
(
おぼ
)
えているかね?」
聖アレキセイ寺院の惨劇
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
お父さんということだけ
憶
(
おぼ
)
えていればあとのことは自然その中に含まれている。
キリスト教入門
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
あとの話はみんな忘れた、彼は誰でもがどうしても
憶
(
おぼ
)
えきれないこの長い名前をよく暗記した。そこで、彼は人が彼を低能などと
罵
(
ののし
)
ることがあっても、自分は決して頭が悪くないと自負した。
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
そうなると色々の現象が分って来るというような意味の一節があったように
憶
(
おぼ
)
えているが、どうもそういうことがありそうである。
雪
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
ぼくはものを感じるのは、まあ
人並
(
ひとなみ
)
だろうと、思っていますが、
憶
(
おぼ
)
えるのは、
面倒臭
(
めんどうくさ
)
いと考える
故
(
ゆえ
)
もあって、自信がありません。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
あの超電撃的地球儀的
広汎
(
こうはん
)
大作戦が、
真実
(
しんじつ
)
に日本軍の手によって行われたその恐るべき大現実に、爆風的圧倒を
憶
(
おぼ
)
えない者は一人もなかった。
不沈軍艦の見本:――金博士シリーズ・10――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
おとら 古いことでうろ
憶
(
おぼ
)
えだけれども、確か江州だったと思うのさ、兄さんは江戸ッ子らしいから江州では人違いだねえ。
瞼の母
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
台所から首を出している母らしいひとの眼を彼は避けた。その家が見つかれば道は
憶
(
おぼ
)
えていた。彼はその方へ歩き出した。
過古
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
その後
河鍋暁斎
(
かわなべきょうさい
)
がキヨソネとかいうイタリア人に、絵画と写真との区別心得を示した物を読んだ中にも、実例を出して、似た事を説きあったと
憶
(
おぼ
)
える。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
杖の上に
白髯
(
はくぜん
)
の
顎
(
あご
)
を乗せている老翁や、心
憶
(
おぼ
)
えに筆写している書生風なのや、女や労働者や物売りやら、なんとも雑多な
陽溜
(
ひだま
)
りの
匂
(
にお
)
いが
蒸
(
む
)
れ立っている。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
其後十七年の今日まで僕は此夜の光景を
明白
(
はつきり
)
と
憶
(
おぼ
)
えて居て忘れやうとしても忘るゝことが出來ないのである。今も尚ほ憐れな女の顏が眼のさきにちらつく。
少年の悲哀
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
『さうらしいのよ』と
云
(
い
)
つて
愛
(
あい
)
ちやんは、『でも、
習慣
(
しふくわん
)
になつて
了
(
しま
)
つて
憶
(
おぼ
)
えて
居
(
を
)
られないわ——だッて、十
分
(
ぷん
)
間
(
かん
)
を
全
(
まつた
)
く
同
(
おな
)
じ
大
(
おほ
)
きさで
居
(
ゐ
)
られないのですもの』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
人間が今のように
逼迫
(
ひっぱく
)
するよりも前から、もう九州ではこの烏祭は絶えている。子供と烏だけがその古い契約を、僅か片端だけでもなお
憶
(
おぼ
)
えているのではないか。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
藤野さんは、豐吉に敗けたのが
口惜
(
くやし
)
いと言つて泣いたと、富太郎が
言囃
(
いひはや
)
して歩いた事を
憶
(
おぼ
)
えてゐる。
二筋の血
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
祖父の死を聞いて声をあげてないた少年の日の自分を、陵はいまだにハッキリと
憶
(
おぼ
)
えている。……
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
「なんという
名
(
な
)
まえの
船
(
ふね
)
だったかな、だれか
憶
(
おぼ
)
えていたであろう。」と、
一人
(
ひとり
)
がいいました。
カラカラ鳴る海
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
デント大佐と彼の組とがどんな謎を演じたか、どんな言葉を選んだか、またどういふ風に演じたか、最早私は
憶
(
おぼ
)
えてゐない。しかも幕の終る毎にその協議を私は見てをつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
そのとき三津井は青ざめた彼を励しながら、川のほとりで
嘔吐
(
おうと
)
する肩を
撫
(
な
)
でてくれた。そんな、遠い、細かなことを、無表情に近い、
窄
(
すぼ
)
んだ顔は
憶
(
おぼ
)
えていてくれるのだろうか。
壊滅の序曲
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
聞き
憶
(
おぼ
)
えで、四つの年には、もう、春雨なんかを踊っていたそうでございます。
両面競牡丹
(新字新仮名)
/
酒井嘉七
(著)
昼休みのはじまるころになると、彼はいつでもスーッと部屋を出て行ってしまう。なんの気なしにその姿勢を
憶
(
おぼ
)
えていながら、その理由にいままで気づかなかったぼくは、なんてバカだ。
煙突
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
その山崎と云ふ人の手紙は、内容証明になつてゐたから、僕も
早速
(
さつそく
)
内容証明で、あなたには逢つたこともなければ、金を借りた
憶
(
おぼ
)
えは
猶更
(
なほさら
)
ないと云つてやつた。それから僕は
軽井沢
(
かるゐざは
)
に行つた。
偽者二題
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「イエスよ、御国に入り給う時、我を
憶
(
おぼ
)
え給え」とお願いしました。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
「
憶
(
おぼ
)
えちょれ。……今に、見ちょれ」
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
在学中にこの雨天体操場の方も改築されたように
憶
(
おぼ
)
えているが、印象に残っているのは、妙に改築前の
旧
(
ふる
)
い体操場の方である。
簪を挿した蛇
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
“憶”の意味
《動詞》
憶する(おくする)
おじけづく。臆する。憶は臆の代字
(出典:Wiktionary)
“憶”の解説
「憶」 (おもう) は、日本のロックバンド、Kagrra,の14枚目のシングル。2005年4月26日にコロムビアミュージックエンタテインメントから販売。
(出典:Wikipedia)
憶
常用漢字
中学
部首:⼼
16画
“憶”を含む語句
追憶
記憶
憶出
追憶談
憶起
山上憶良
憶度
記憶力
憶劫
見憶
憶良
憶測
揣摩憶測
憶面
物憶
憶病
心憶
記憶亡失
相憶
記憶像
...