トップ
>
悉皆
>
しつかい
ふりがな文庫
“
悉皆
(
しつかい
)” の例文
何れも皆立派な美徳を具へた神様達ぢやが、わが天理王の命と申すは、何と有難い事でな、この十柱の神様の美徳を
悉皆
(
しつかい
)
具へて御座る。
赤痢
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
見性
(
けんしやう
)
した
日
(
ひ
)
に、
嬉
(
うれ
)
しさの
餘
(
あま
)
り、
裏
(
うら
)
の
山
(
やま
)
へ
馳
(
か
)
け
上
(
あが
)
つて、
草木
(
さうもく
)
國土
(
こくど
)
悉皆
(
しつかい
)
成佛
(
じやうぶつ
)
と
大
(
おほ
)
きな
聲
(
こゑ
)
を
出
(
だ
)
して
叫
(
さけ
)
んだ。さうして
遂
(
つひ
)
に
頭
(
あたま
)
を
剃
(
そ
)
つてしまつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
又た彼の多年苦心して集めし義太夫本、我を得て沈滅の憂ひなきを喜び、其没後には
悉皆
(
しつかい
)
我に贈らんと言ひければ、我は其好意に感泣しぬ。
三日幻境
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
然るに
悉皆
(
しつかい
)
成就の暁、用人頭の爲右衞門普請諸入用諸雑費一切しめくゝり、
手脱
(
てぬか
)
る事なく決算したるに尚大金の
剰
(
あま
)
れるあり。
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
何が楽しみに
轅棒
(
かぢぼう
)
をにぎつて、何が望みに
牛馬
(
うしうま
)
の真似をする、
銭
(
ぜに
)
を貰へたら嬉しいか、酒が呑まれたら愉快なか、考へれば何もかも
悉皆
(
しつかい
)
厭やで
十三夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
▼ もっと見る
さいはひ娘さんも、家にゐた。私は客間に通され、娘さんと母堂と二人を前にして、
悉皆
(
しつかい
)
の事情を告白した。ときどき演説口調になつて、閉口した。
富嶽百景
(新字旧仮名)
/
太宰治
(著)
石鏃
(
せきぞく
)
は
製造
(
せいぞう
)
終
(
をわ
)
るに
隨
(
したが
)
ひ
悉皆
(
しつかい
)
笴
(
やがら
)
に
固着
(
こちやく
)
されしにはあらずして、餘分の物は種々の入れ物に
貯
(
たくは
)
へ
置
(
お
)
かれしものと見ゆ。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
... 其蔵儲は今
悉皆
(
しつかい
)
久原
(
くはら
)
家の有に帰し居候。」按ずるに初編の「四月」は恐くは再三版であらう。藤陰は六月発兌の二編を、早くも五月末日に贖ひ得たのである。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
こゝ五六年も経つと、山は
悉皆
(
しつかい
)
がらん堂になつてしまふかも知れない、それには今迄のやうに宝物を物の判らない、
慾
(
よく
)
つ
張
(
ぱり
)
の
僧侶
(
ばうず
)
に
委
(
まか
)
せて置いては安心が出来ない、
何
(
なん
)
でも博物館を一つ拵へて
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
何
(
なに
)
が
樂
(
たの
)
しみに
轅棒
(
かぢぼう
)
をにぎつて、
何
(
なに
)
が
望
(
のぞ
)
みに
牛馬
(
うしうま
)
の
眞似
(
まね
)
をする、
錢
(
ぜに
)
を
貰
(
もら
)
へたら
嬉
(
うれ
)
しいか、
酒
(
さけ
)
が
呑
(
の
)
まれたら
愉快
(
ゆくわい
)
なか、
考
(
かんが
)
へれば
何
(
なに
)
も
彼
(
か
)
も
悉皆
(
しつかい
)
厭
(
い
)
やで
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
復
(
かへ
)
さでは我あるべきか、今は一切世間の法、まつた一切世間の相、
森羅万象人畜草木
(
しんらばんしやうにんちくさうもく
)
、
悉皆
(
しつかい
)
朕
(
わがみ
)
の
敵
(
あだ
)
なれば
打壊
(
うちくづ
)
さでは已むまじきぞ、心に染まぬ大千世界、見よ/\
二日物語
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
徳川氏は封建制度を完成したり、その「完成」とは即ち
悉皆
(
しつかい
)
日本社会に
当篏
(
あては
)
めたるものにして、再言すれば日本種族の精神が其制度に於て「満足」を見出すほどに完備したるなり。
明治文学管見:(日本文学史骨)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
午後の三時、
規定
(
おきまり
)
の授業は一時間前に
悉皆
(
しつかい
)
終つた。
雲は天才である
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
悉皆
(
しつかい
)
あやまりのやうに思はるれど言ふて聞かれぬものぞと
諦
(
あきら
)
めればうら悲しきやうに情なく、友
朋輩
(
ほうばい
)
は変屈者の意地わると目ざせども
自
(
おのづか
)
ら沈みゐる心の底の弱き事
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
悉皆
(
しつかい
)
の詩人哲学者小説家を以て、ベベルの高塔を築くものなりとは言はれざりし、神知霊覚といふ事は先生も亦た之を認められたり、赤心を以て観るといふ事も大に吾人の心を得たるものなり。
人生の意義
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
嫁入
(
よめい
)
りてより七
年
(
ねん
)
の
間
(
あひだ
)
、いまだに
夜
(
よ
)
に
入
(
い
)
りて
客
(
きやく
)
に
來
(
き
)
しこともなく、
土産
(
みやげ
)
もなしに
一人
(
ひとり
)
歩行
(
あるき
)
して
來
(
く
)
るなど
悉皆
(
しつかい
)
ためしのなき
事
(
こと
)
なるに、
思
(
おも
)
ひなしか
衣類
(
いるい
)
も
例
(
いつも
)
ほど
燦
(
きらびや
)
かならず
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
幸
(
さいは
)
ひ
海軍
(
かいぐん
)
の
鳥居
(
とりゐ
)
が
知人
(
ちじん
)
の
子
(
こ
)
に
素性
(
すぜう
)
も
惡
(
わ
)
るからで
利發
(
りはつ
)
に
生
(
うま
)
れつきたる
男
(
をとこ
)
の
子
(
こ
)
あるよし、
其方
(
そなた
)
に
異存
(
いぞん
)
なければ
其
(
そ
)
れを
貰
(
もら
)
ふて
丹精
(
たんせい
)
したらばと
思
(
おも
)
はるゝ、
悉皆
(
しつかい
)
の
引受
(
ひきう
)
けは
鳥居
(
とりゐ
)
がして
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
考へれば何も彼も
悉皆
(
しつかい
)
厭やで、お客樣を乘せやうが
空車
(
から
)
の時だらうが嫌やとなると用捨なく嫌やに成まする、呆れはてる我まゝ男、愛想が盡きるでは有りませぬか、さ、お乘りなされ
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
とて
下
(
した
)
を
向
(
む
)
いて
歎息
(
たんそく
)
の
聲
(
こゑ
)
を
洩
(
も
)
らすに、どうも
何
(
なん
)
とも、
私
(
わし
)
は
悉皆
(
しつかい
)
世上
(
せじやう
)
の
事
(
こと
)
に
疎
(
うと
)
しな、
母
(
はゝ
)
もあの
通
(
とほ
)
りの
何
(
なん
)
であるので、
三方
(
さんばう
)
四方
(
しはう
)
埓
(
らち
)
も
無
(
な
)
い
事
(
こと
)
に
成
(
な
)
つてな、
第一
(
だいいち
)
は
此娘
(
これ
)
の
氣
(
き
)
が
狹
(
せま
)
いからではあるが
うつせみ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
土産もなしに一人
歩行
(
あるき
)
して來るなど
悉皆
(
しつかい
)
ためしのなき事なるに、思ひなしか衣類も
例
(
いつも
)
ほど
燦
(
きらびや
)
かならず、稀に逢ひたる嬉しさに左のみは心も付かざりしが、聟よりの言傳とて何一言の口上もなく
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
いまだに
夜
(
よ
)
に入りて客に来しこともなく、土産もなしに一人
歩行
(
あるき
)
して来るなど
悉皆
(
しつかい
)
ためしのなき事なるに、思ひなしか衣類も
例
(
いつも
)
ほど
燦
(
きらびや
)
かならず、
稀
(
まれ
)
に
逢
(
あ
)
ひたる嬉しさにさのみは心も付かざりしが
十三夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
父
(
ちゝ
)
が
仕業
(
しわざ
)
も
母
(
はゝ
)
の
處作
(
しよさ
)
も
姉
(
あね
)
の
教育
(
したて
)
も、
悉皆
(
しつかい
)
あやまりのやうに
思
(
おも
)
はるれど
言
(
い
)
ふて
聞
(
き
)
かれぬ
物
(
もの
)
ぞと
諦
(
あきら
)
めればうら
悲
(
かな
)
しき
樣
(
やう
)
に
情
(
なさけ
)
なく、
友朋輩
(
ともほうばい
)
は
變屈者
(
へんくつもの
)
の
意地
(
いぢ
)
わると
目
(
め
)
ざせども
自
(
おのづか
)
ら
沈
(
しづ
)
み
居
(
ゐ
)
る
心
(
こゝろ
)
の
底
(
そこ
)
の
弱
(
よわ
)
き
事
(
こと
)
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
“悉皆”の意味
《形容動詞》
悉皆(しっかい)
残すところ無く、すっかり、ことごとく。
(出典:Wiktionary)
悉
漢検準1級
部首:⼼
11画
皆
常用漢字
中学
部首:⽩
9画
“悉皆”で始まる語句
悉皆屋
悉皆成仏
悉皆浄尽