“彈(ひ)” の例文
新字:弾
しかし、それは決して人の好いものではない。彼女はピアノを彈(ひ)いた。その手並(てなみ)は鮮かだつた。彼女は歌つた。その聲は立派だつた。
淋(さび)しきまゝに琴(こと)取出(とりいだ)し獨(ひと)り好(この)みの曲(きよく)を奏(かな)でるに、我(わ)れと我(わ)が調(てう)哀(あは)れに成(な)りて、いかにするとも彈(ひ)くに得(え)堪(た)えず、涙(なみだ)ふりこぼして押(おし)やりぬ。
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「あなたは、なんでも知(し)つておいでなされるといふことであるから、これをお彈(ひ)きになるでせう。一つ彈(ひ)いて聞(き)かせて下(くだ)さい」
で、私の話は、フィービ孃の彈(ひ)いたオルガンの低音が、まだ靜かに餘韻を殘してゐる間に止(や)めるのが一番いゝやうに思はれる。
水車のある教会 (旧字旧仮名) / オー・ヘンリー(著)
若(も)し嬉(うれ)しい消息(しらせ)なら、それを其樣(そん)な顏(かほ)をして彈(ひ)きゃるのは、床(ゆか)しい知(し)らせの琴(こと)の調(しら)べを臺無(だいな)しにしてしまふといふもの。
三味線(さみせん)を彈(ひ)いてゐた女であらう、二十歳(はたち)ぐらゐの首筋に白粉(おしろい)の殘つたのが、皿に入れた鷄肉(けいにく)や葱(ねぎ)や鋤燒鍋(すきやきなべ)なぞを、長方形の脇取盆(わきとりぼん)に載せて持つて來た。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
福富は、毎日授業が濟んでから、三十分か一時間オルガンを彈(ひ)く。さうしてから、明日の教案を立てたり、その日の出席簿を整理したりして歸つて行く。
葉書 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「然(さ)うさ。お前だツて俺(おれ)の大嫌(だいきらひ)なことを悦(よろこ)んで行(や)ツてゐることがあるぢやないか。現(げん)に俺(おれ)が思索(しさく)に耽(ふけ)ツてゐる時にバイヲリンを彈(ひ)いたりなんかして………」
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
その畫はラフアエロの「ヰオリノ」彈(ひ)きの隣に懸けられたるを、われも記憶す。姫。さなり。そのラフアエロが落欵(らくくわん)の見苦しき彼圖の上邊にあるこそ憾(うらみ)なれ。
天皇が筑紫の香椎の宮においでになつて熊曾の國を撃とうとなさいます時に、天皇が琴をお彈(ひ)きになり、タケシウチの宿禰が祭の庭にいて神の仰せを伺いました。
けれども其夜(そのよ)は珍(めづ)らしく、坂井(さかゐ)の主人(しゆじん)は四十恰好(がつかう)の髯(ひげ)のない人(ひと)であると云(い)ふ事(こと)やら、ピヤノを彈(ひ)くのは惣領(そうりやう)の娘(むすめ)で十二三になると云(い)ふ事(こと)やら、又(また)外(ほか)の家(うち)の小供(こども)が遊(あそ)びに來(き)ても
門 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
彈(ひ)くは何者ぞと問へば此家の娘なりといふ容貌(さまかたち)も温泉に濯(あら)ひて清げならん年は幾許(いくつ)ぞ。
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
禿頭(はげあたま)の佛蘭西(フランス)の老紳士(らうしんし)が昔日(むかし)の腕前(うでまへ)を見(み)せて呉(く)れんとバイオリンを採(と)つて彈(ひ)くか彈(ひ)かぬに歌(うた)の曲(きよく)をハツタと忘(わす)れて、頭(あたま)撫(な)で/\罷退(まかりさが)るなど隨分(ずゐぶん)滑※的(こつけいてき)な事(こと)もあるが、大概(たいがい)は腕(うで)に覺(おぼ)えの歐米人(をうべいじん)の事(こと)とて
ロメルポットを彈(ひ)く老人。膀胱に息を入れてる子供。
ハルレム (旧字旧仮名) / ルイ・ベルトラン(著)
かすかにも彈き鳴らすヸオロン彈(ひ)きの少女。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
祕めつる小琴や彈(ひ)きてみまし。
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
歌うたひ、琴彈(ひ)き、舞ひて
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
琵琶彈(ひ)く人をみまもりて。
北村透谷詩集 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
まだ彈(ひ)きも見ぬをとめごの
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
彈(ひ)くべき琴も持たねども
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
イングラム卿はエミー・イィシュトンとふざけ、ルヰザはリン家の一人に聞かせたり、また一緒にも、彈(ひ)いたり歌つたりしてゐた。
しかし、彼女の仕事は立派に爲し遂(と)げられたのであつた。彼女の彈(ひ)いた音色は、閉(と)ざされた記憶の扉(ドア)を打ち落したのである。
水車のある教会 (旧字旧仮名) / オー・ヘンリー(著)
と謂ツて、自分でも出来るといふ程出來はしないと謂ツてゐる位だから、大した腕は無い、長唄の地に、歌澤(うたさは)も少し彈(ひ)けて、先づモグリをしてゐるには差支(さしつかへ)のない分のことだ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
住(す)みたしとならば彼地(かしこ)に住(す)ませ、好(す)きな琴(こと)でも松風(まつかぜ)に彈(ひ)き合(あ)はし、氣儘(きまヽ)に暮(くら)させるが切(せ)めてもと、父君(ちヽぎみ)此處(こヽ)にお許(ゆ)るしの出(い)でければ、あまりとても可愛想(かあいさう)のこと、よし其身(そのみ)の願(ねが)ひとて彼(あ)の樣(やう)な遠(とほ)くに
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
シヤラ/\と彈(ひ)き出(だ)す琵琶(びは)の曲(きよく)、聲(こゑ)張上(はりあ)げて
傷(いた)みそ、彈(ひ)くに妙音(よきね)の浪(なみ)白銀(しろがね)
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
うれしや物の音(ね)を彈(ひ)きて
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
そしてクリスマスですから、召使ひたちも幾人かの御婦人方が歌つたり彈(ひ)いたりなさるのを聞きに廣間(ひろま)に入つてゆくのを許されてゐました。
絃(いと)の音(ね)知らば絃を彈(ひ)けかし。
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
風の來て彈(ひ)く琴の音に
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
火の小指(をゆび)もて誰か彈(ひ)くべき。
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
つちかひ彈(ひ)けば、あやしくも
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
まだ彈(ひ)きも見ぬ少女子(をとめご)の
新しき声 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
ここには誰(たれ)ぞ彈(ひ)きすてて
草わかば (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
こよひわが彈(ひ)く物のねは
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
闇の絃(いと)彈(ひ)く序(じよ)のしらべ。
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)