)” の例文
其邊そのへんには』とひながらねこは、其右そのみぎ前足まへあしつてえがき、『帽子屋ぼうしやんでる、それから其方そつちはうには』とほか前足まへあしつて
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
束帯そくたいすそが、同時に、長いをえがいた。すかさず、べつな武者へも宮は足蹴あしげをくれるやいな、だっと、元の階段のほうへ、一躍しかけた。
しかし海だけは見渡す限り、はるかにえがいた浪打ち際に一すじの水沫みなわを残したまま、一面に黒ぐろと暮れかかっていた。
海のほとり (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
扇紋おうぎもん畳扇たたみおうぎとして直線のみで成立している間は「いき」をもち得ないことはないが、開扇ひらきおうぎとしてを描くと同時に「いき」はかおりをさえもとどめない。
「いき」の構造 (新字新仮名) / 九鬼周造(著)
代表選手の練習を集めた実写物らしく女子選手のダイビングが、空中に美しい弓なりのえがいているところでした。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
ハッと見る間に、白い流星がやみの空にを描いて飛んだ。恩田は引きちぎった首を、悪魔の国のまり投げのように、いきなり車の外へほうり出したのだ。
人間豹 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ると……見渡みわたすと……東南とうなんに、しば品川しながはあたりとおもふあたりから、きた千住せんぢう淺草あさくさおもふあたりまで、大都だいと三面さんめんつゝんで、一面いちめんてんである。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
暗黒の月世界をだんだんはなれ、その向こう側の昼の面が、大きな三日月のとなって動きあがって来る。
三十年後の世界 (新字新仮名) / 海野十三(著)
数秒の後、まぶしい深紅しんくの光がえがいてあらわれたと思うと、数十本の櫟の幹の片膚かたはだが、一せいにさっとあわい黄色に染まり、無数の動かない電光のようなしまを作った。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
潜戸を脱けたお秀の身體は、夜空にゑがいて、大川へ水音高く飛び込んでしまつたのです。
と、わめくより早く、乾雲の鞘尻を切ってはっし! お藤の背を打ったが——。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
各自かくじ直上ちよくじやう中心點ちうしんてんにしてそらゑがいた輪郭外りんくわくぐわいよこにそれからなゝめえるひろとほそら黄褐色くわうかつしよくきりごとほこりためたゞほのほかれたやうである。卯平うへい自分じぶん小屋こやすぼめた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ちょっと向うを見たら何か黒いものがなみからけ出て小さなえがいてまた波へはいったのでどうしたのかと思ってみていたらまたすぐ近くにも出た。それからあっちにもこっちにも出た。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ところが、紳士のほうは何も用はないので、ただそのうしろをを描きながらたえずいったりきたりして、彼の肩越しに書類をちらりとのぞこうとしておそるおそるのぞき見するのだった。
(新字新仮名) / フランツ・カフカ(著)
穂に立つ麦の畑の中道なかみちにうねりつつやはらかき土
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
わが道は明日あすゑがかん
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
厄年やくどしの男女がふめば厄難をはらうという、四十二段、三十三段の石段を上ると、日和佐川のはけ口から、をえがいている磯の白浪、ひと目のうちだ。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あきれた人々の、目鼻の、まゆとともに動くに似ず、けろりとした蝦蟆が、口で、鷹揚おうように宙にを描いて
雨ばけ (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
大きくをえがいて、長い黒マントの怪魔は議事堂の庭の上に落ちた。そして動かなくなった。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
潜戸をけたお秀の身体は、夜空にを描いて、大川へ水音高く飛び込んでしまったのです。
今まで何か饒舌しゃべって動いていた甚八の首が、宙にを描いてドサッ、畳を打った。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
浅黄色あさぎいろにすみわたった空にゆるやかなをえがきつつあったのを万人ばんにんが万人、すこしも気がつかなかったのである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
左右さいう見渡みわたかぎ苜蓿うまごやし下臥したふは、南部馬なんぶうま牧場ぼくぢやうくに、時節じせつとて一とうこまもなく、くもかげのみそのまぼろしばして一そうさびしさをした……茫々ぼう/\たる牧場ぼくぢやうをやゝぎて、みちゑがところ
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ぱっぱっと黄色い光りの輪のまわるのを見せながら、円板ロケットは大きいをえがいたあとで、調子よくギンネコ号のうしろから近づいていった。ギンネコ号は知らん顔をして飛びつづけている。
怪星ガン (新字新仮名) / 海野十三(著)
お篠の手がまた大きく夕空にを描くのです。
渥美あつみノ海はあくまであおく、なぎさは白いを描いており、馬やら人やらで熱風を渦まいていた。
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
じっと、……るに連れて、次第に、ゆるく、柔かに、落着いてを描きつゝ、其のまるい線のがっするところで、又スースーと、一寸二寸づゝ動出うごきだすのが、何となく池を広く大きく押拡おしひろげて、船は遠く
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
鳩は一八郎の意志をうけたように舞いがった。手をかざして見ていると、初めは御城番ごじょうばんの方へ直線にツーと行ったがを描いて南へ返り、ハタハタと住吉村の方角へ飛び去った。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三ツ目入道、懐手の袖をねて、飽貝あわびっかいの杯を、でかを描いて楽屋を招く。
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)