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弧
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こ
ふりがな文庫
“
弧
(
こ
)” の例文
『
其邊
(
そのへん
)
には』と
云
(
い
)
ひながら
猫
(
ねこ
)
は、
其右
(
そのみぎ
)
の
前足
(
まへあし
)
を
振
(
ふ
)
つて
弧
(
こ
)
を
描
(
えが
)
き、『
帽子屋
(
ぼうしや
)
が
住
(
す
)
んで
居
(
ゐ
)
る、それから
其方
(
そつち
)
の
方
(
はう
)
には』と
他
(
ほか
)
の
前足
(
まへあし
)
を
振
(
ふ
)
つて
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
束帯
(
そくたい
)
の
裾
(
すそ
)
が、同時に、長い
弧
(
こ
)
をえがいた。すかさず、べつな武者へも宮は
足蹴
(
あしげ
)
をくれるやいな、だっと、元の階段のほうへ、一躍しかけた。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし海だけは見渡す限り、はるかに
弧
(
こ
)
を
描
(
えが
)
いた浪打ち際に一すじの
水沫
(
みなわ
)
を残したまま、一面に黒ぐろと暮れかかっていた。
海のほとり
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
扇紋
(
おうぎもん
)
は
畳扇
(
たたみおうぎ
)
として直線のみで成立している間は「いき」をもち得ないことはないが、
開扇
(
ひらきおうぎ
)
として
弧
(
こ
)
を描くと同時に「いき」は
薫
(
かおり
)
をさえも
留
(
とど
)
めない。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
代表選手の練習を集めた実写物らしく女子選手のダイビングが、空中に美しい弓なりの
弧
(
こ
)
を
描
(
えが
)
いているところでした。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
▼ もっと見る
ハッと見る間に、白い流星が
闇
(
やみ
)
の空に
弧
(
こ
)
を描いて飛んだ。恩田は引きちぎった首を、悪魔の国の
鞠
(
まり
)
投げのように、いきなり車の外へほうり出したのだ。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
見
(
み
)
ると……
見渡
(
みわた
)
すと……
東南
(
とうなん
)
に、
芝
(
しば
)
、
品川
(
しながは
)
あたりと
思
(
おも
)
ふあたりから、
北
(
きた
)
に
千住
(
せんぢう
)
淺草
(
あさくさ
)
と
思
(
おも
)
ふあたりまで、
此
(
こ
)
の
大都
(
だいと
)
の
三面
(
さんめん
)
を
弧
(
こ
)
に
包
(
つゝ
)
んで、
一面
(
いちめん
)
の
火
(
ひ
)
の
天
(
てん
)
である。
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
暗黒の月世界をだんだんはなれ、その向こう側の昼の面が、大きな三日月の
弧
(
こ
)
となって動きあがって来る。
三十年後の世界
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
数秒の後、まぶしい
深紅
(
しんく
)
の光が
弧
(
こ
)
を
描
(
えが
)
いてあらわれたと思うと、数十本の櫟の幹の
片膚
(
かたはだ
)
が、一せいにさっと
淡
(
あわ
)
い黄色に染まり、無数の動かない電光のような
縞
(
しま
)
を作った。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
潜戸を脱けたお秀の身體は、夜空に
弧
(
こ
)
を
描
(
ゑが
)
いて、大川へ水音高く飛び込んでしまつたのです。
銭形平次捕物控:125 青い帯
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
と、わめくより早く、乾雲の鞘尻
弧
(
こ
)
を切ってはっし! お藤の背を打ったが——。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
各自
(
かくじ
)
の
直上
(
ちよくじやう
)
を
中心點
(
ちうしんてん
)
にして
空
(
そら
)
に
弧
(
こ
)
を
描
(
ゑが
)
いた
其
(
そ
)
の
輪郭外
(
りんくわくぐわい
)
の
横
(
よこ
)
にそれから
斜
(
なゝめ
)
に
見
(
み
)
える
廣
(
ひろ
)
く
且
(
か
)
つ
遠
(
とほ
)
い
空
(
そら
)
は
黄褐色
(
くわうかつしよく
)
な
霧
(
きり
)
の
如
(
ごと
)
き
埃
(
ほこり
)
の
爲
(
ため
)
に
只
(
たゞ
)
熖
(
ほのほ
)
に
燒
(
や
)
かれたやうである。
卯平
(
うへい
)
は
自分
(
じぶん
)
の
小屋
(
こや
)
に
身
(
み
)
を
窄
(
すぼ
)
めた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
ちょっと向うを見たら何か黒いものが
波
(
なみ
)
から
抜
(
ぬ
)
け出て小さな
弧
(
こ
)
を
描
(
えが
)
いてまた波へはいったのでどうしたのかと思ってみていたらまたすぐ近くにも出た。それからあっちにもこっちにも出た。
或る農学生の日誌
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
ところが、紳士のほうは何も用はないので、ただそのうしろを
弧
(
こ
)
を描きながらたえずいったりきたりして、彼の肩越しに書類をちらりとのぞこうとしておそるおそるのぞき見するのだった。
城
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
穂に立つ麦の畑の
中道
(
なかみち
)
は
弧
(
こ
)
にうねりつつやはらかき土
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
わが道は
明日
(
あす
)
も
弧
(
こ
)
を
描
(
ゑが
)
かん
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
厄年
(
やくどし
)
の男女がふめば厄難をはらうという、四十二段、三十三段の石段を上ると、日和佐川のはけ口から、
弧
(
こ
)
をえがいている磯の白浪、ひと目のうちだ。
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
呆
(
あき
)
れた人々の、目鼻の、
眉
(
まゆ
)
とともに動くに似ず、けろりとした蝦蟆が、口で、
鷹揚
(
おうよう
)
に宙に
弧
(
こ
)
を描いて
雨ばけ
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
大きく
弧
(
こ
)
をえがいて、長い黒マントの怪魔は議事堂の庭の上に落ちた。そして動かなくなった。
金属人間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
潜戸を
脱
(
ぬ
)
けたお秀の身体は、夜空に
弧
(
こ
)
を描いて、大川へ水音高く飛び込んでしまったのです。
銭形平次捕物控:125 青い帯
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
今まで何か
饒舌
(
しゃべ
)
って動いていた甚八の首が、宙に
弧
(
こ
)
を描いてドサッ、畳を打った。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
浅黄色
(
あさぎいろ
)
にすみわたった空にゆるやかな
弧
(
こ
)
をえがきつつあったのを
万人
(
ばんにん
)
が万人、すこしも気がつかなかったのである。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
左右
(
さいう
)
見渡
(
みわた
)
す
限
(
かぎ
)
り
苜蓿
(
うまごやし
)
の
下臥
(
したふ
)
す
野
(
の
)
は、
南部馬
(
なんぶうま
)
の
牧場
(
ぼくぢやう
)
と
聞
(
き
)
くに、
時節
(
じせつ
)
とて一
頭
(
とう
)
の
駒
(
こま
)
もなく、
雲
(
くも
)
の
影
(
かげ
)
のみその
幻
(
まぼろし
)
を
飛
(
と
)
ばして一
層
(
そう
)
寂
(
さび
)
しさを
増
(
ま
)
した……
茫々
(
ぼう/\
)
たる
牧場
(
ぼくぢやう
)
をやゝ
過
(
す
)
ぎて、
道
(
みち
)
の
弧
(
こ
)
を
描
(
ゑが
)
く
処
(
ところ
)
で
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ぱっぱっと黄色い光りの輪のまわるのを見せながら、円板ロケットは大きい
弧
(
こ
)
をえがいたあとで、調子よくギンネコ号のうしろから近づいていった。ギンネコ号は知らん顔をして飛びつづけている。
怪星ガン
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
お篠の手がまた大きく夕空に
弧
(
こ
)
を描くのです。
銭形平次捕物控:099 お篠姉妹
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
渥美
(
あつみ
)
ノ海はあくまで
碧
(
あお
)
く、なぎさは白い
弧
(
こ
)
を描いており、馬やら人やらで熱風を渦まいていた。
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
凝
(
じっ
)
と、……
視
(
み
)
るに連れて、次第に、
緩
(
ゆる
)
く、柔かに、落着いて
弧
(
こ
)
を描きつゝ、其の
円
(
まる
)
い線の
合
(
がっ
)
する
処
(
ところ
)
で、又スースーと、一寸二寸づゝ
動出
(
うごきだ
)
すのが、何となく池を広く大きく
押拡
(
おしひろ
)
げて、船は遠く
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
鳩は一八郎の意志をうけたように舞い
揚
(
あ
)
がった。手を
翳
(
かざ
)
して見ていると、初めは
御城番
(
ごじょうばん
)
の方へ直線にツーと行ったが
弧
(
こ
)
を描いて南へ返り、ハタハタと住吉村の方角へ飛び去った。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
三ツ目入道、懐手の袖を
刎
(
は
)
ねて、
飽貝
(
あわびっかい
)
の杯を、
大
(
でか
)
く
弧
(
こ
)
を描いて楽屋を招く。
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“弧”の意味
《名詞》
円周の一部。また放物線の一部など、円周の一部に似た線。数学では円周の連続する一部分のみを指す。
(出典:Wiktionary)
弧
常用漢字
中学
部首:⼸
9画
“弧”を含む語句
弧線
括弧
円弧燈
弧灯
弧光燈
弧形
弧燈
弧光
弧状
尖弧
弧型
吉江弧雁
半弧
円弧
日本島弧
桑弧
邵弧
閃弧
雷弧