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引止
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ひきと
踵を
囘してツト
馳出づればお
高走り
寄つて
無言に
引止むる
帶の
端振拂へば
取すがり
突き
放せば
纒ひつき
芳さまお
腹だちは
御尤もなれども
暫時
どれでも
煙草のやうにしつとりとした一
種の
潤ひが
火の
足を
引止めるやうな
力はなくて一
度吸へば
直に
灰になつて
お
豊は
何分よろしくと頼んでお
滝が
引止めるのを
辞退して
其の
家を出た。春の
夕陽は赤々と
吾妻橋の
向うに傾いて、花見帰りの混雑を一層
引立てゝ見せる。
下剃一人をおいて
出られたのでは、
家業に
障ると
思ったのであろう。一
張羅の
羽織を、
渋々箪笥から
出して
来たお
花は、
亭主の
伝吉の
袖をおさえて、
無理にも
引止めようと
顔を
窺き
込んだ。
友人に
断って自分だけは帰ろうとしたが、友人が無理に
引止めるので、仕方なしに、その
宵はまだ早かったが、三階の一番
隅の部屋で、一人寝ていると、外もそろそろ
賑になって来たようだが
芸者なんぞになつちやいけないと
引止めたい。
長吉は無理にも
引止めねばならぬと決心したが、すぐ
其の
傍から、自分はお
糸に対しては
到底それだけの
威力のない事を
思返した。
町子は
俄かに
物のおそろしく、
立あがつて二
足三
足、
母屋の
方へ
歸らんと
爲たりしが、
引止められるやうに
立止まつて、
此度は
狛犬の
臺石に
寄かゝり、
木の
間もれ
來る
坐敷の
騷ぎを
遙かに
聞いて
少しでも
余計に
引止めようと、あせるばかりであった。
何と
御覽じて
何とお
恨みなさるべきにや
過ぎし
雪の
夜の
邂逅に
二つなき
貞心嬉しきぞとてホロリとし
給ひし
涙の
顏今も
眼の
前に
存るやうなりさりながら
思ふ
心は
幽冥の
境にまでは
通ずまじきにや
無情く
悲しく
引止められし
命を
吉さんは
長吉の
袖を
引止めて
お
長うとは
申しませぬ
申しあげたきこと
一通りと
詞きれ/″\に
涙漲りて
引止むる
腕ほそけれど
懸命の
心は
蜘蛛の
圍の
千筋百筋力なき
力拂ひかねて
五尺の
身なよ/\となれど
態と
荒々しく
突き
退けてお
人違ひならん
其樣な
仰せ
承はる
私にはあらず
池の
端よりお
供せし
車夫の
耳には
何のことやら
理由すこしも
分りませぬ
車代賜は