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引掻
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ひっか
ふりがな文庫
“
引掻
(
ひっか
)” の例文
……
畜生
(
ちくしゃう
)
、
兩方
(
りゃうはう
)
の
奴等
(
やつら
)
め!……うぬ!
犬
(
いぬ
)
、
鼠
(
ねずみ
)
、
鼷鼠
(
はつかねずみ
)
、
猫股
(
ねこまた
)
、
人間
(
にんげん
)
を
引掻
(
ひっか
)
いて
殺
(
ころ
)
しをる!
一二三
(
ひふうみい
)
で
劍
(
けん
)
を
使
(
つか
)
ふ
駄法螺吹家
(
だぼらふき
)
め!
破落戸
(
ごろつき
)
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
その跫音にすらすらと
衣服
(
きもの
)
の触る音でもしょうなら、魂に綱をつけて、ずるずる
引摺
(
ひきず
)
り
引廻
(
ひんまわ
)
されて、胸を
引掻
(
ひっか
)
いて、のた打廻るだ。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
自分の襟がみを吊るしあげている逞しい腕を、
生半可
(
なまはんか
)
、
引掻
(
ひっか
)
きなどしたので、
土匪
(
どひ
)
は、この小さい者にも疑いぶかい眼を光らした。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
はね起きて追いにかかると一目散に逃げたと思った女は、反対に抱きついて来た。二人は互に情に堪えかねてまた殴ったり
引掻
(
ひっか
)
いたりした。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
与一はパレットナイフで
牡蠣
(
かき
)
のように固くなった絵の具をバリバリとパレットの上で
引掻
(
ひっか
)
きながら、越して来たこの家がひどく気に入った風であった。
清貧の書
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
▼ もっと見る
和泉の人はやはり土手のうえに倒れて何かあたりを
引掻
(
ひっか
)
くような
恰好
(
かっこう
)
をしながらも、津の人ののた打つのを眼だけ生きのこっているように見つめていた。
姫たちばな
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
道の片端を走抜けようとしますと、また寄って来ます。嫌がるのが面白いのでしょう。私は顔を真赤にして逃出すので、夢中ですから
引掻
(
ひっか
)
いたかも知れません。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
汽車は鉄橋にかかり、
常盤橋
(
ときわばし
)
が見えて来た。
焼爛
(
やけただ
)
れた岸をめぐって、黒焦の巨木は天を
引掻
(
ひっか
)
こうとしているし、
涯
(
は
)
てしもない燃えがらの
塊
(
かたまり
)
は
蜿蜒
(
えんえん
)
と起伏している。
廃墟から
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
自制を失って、甲板上で、狂おしく泣き叫びながら、お互の
身体
(
からだ
)
を
引掻
(
ひっか
)
いたり、
叩
(
たた
)
き合ったりしている。
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
そして
骸骨
(
がいこつ
)
の様な上下の
白歯
(
しらは
)
が歯ぐきの根まで現れて来た。そんなことをした所で、何の甲斐もないと知りつつ、両手の爪は、夢中に蓋の裏を、ガリガリと
引掻
(
ひっか
)
いた。
お勢登場
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「ああそうだろう、源左は馬鹿で間が抜けてるからな、いつも
芥溜
(
ごみため
)
ばかり
引掻
(
ひっか
)
き廻して、痛ッ」
長屋天一坊
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
主人も迷亭も独仙も糞を
食
(
くら
)
えと云う気になる。金田のじいさんを
引掻
(
ひっか
)
いてやりたくなる。妻君の鼻を食い欠きたくなる。いろいろになる。最後にふらふらと立ちたくなる。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
黒く目の潰れた畳を、苦しまぎれに
引掻
(
ひっか
)
いた、女の爪からは血が流れていた。髪は乱れて、瞳は開いて大きく、歯が折れるほど噛み鳴らした、歯茎からは血を噴き出していた。
悪魔
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そこで負けず嫌いな一郎は友達と
喧嘩
(
けんか
)
するときよく
引掻
(
ひっか
)
くので「猿」というあだ名を
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「野郎」、「この野郎」、と互に顔を
引掻
(
ひっか
)
きながら、
相撲
(
すもう
)
を取って遊んでいた。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
どぶの水を持って来て
引掻
(
ひっか
)
き廻させようなんぞは、
吝
(
しみ
)
ったれでお話にならねえ
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
お力は、
簪
(
かんざし
)
で、髪の根元をゴシゴシ
引掻
(
ひっか
)
いていたが
甲州鎮撫隊
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
マーキュ
唯
(
うん
)
、
唯
(
うん
)
、
引掻
(
ひっか
)
かれた/\。はて、これで十
分
(
ぶん
)
ぢゃ。
侍童
(
こやっこ
)
めは
何處
(
どこ
)
にをる?
小奴
(
やっこ
)
、はよ
往
(
い
)
って
下科醫者
(
げくわいしゃ
)
を
呼
(
よ
)
んで
來
(
こ
)
い。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
「はあ、喧嘩したんです。私、喰いついてやったり、
引掻
(
ひっか
)
いたり、一生懸命だったんです。でも負けたわ。」
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
くやしくなって、
引掻
(
ひっか
)
いてやりますと、その顔が、怖い顔になって、
呶鳴
(
どな
)
ったり、泣きだしたりします。私は少しも悲しくないのに、ポロポロ涙をこぼしたりします。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
はじめは
口惜
(
くや
)
しがって、おれのつらを
引掻
(
ひっか
)
きやがったが、今では
阿魔
(
あま
)
め、おれの行くのを待遠しがっていやがる、そうなってみると、
焼杉
(
やきすぎ
)
の下駄の一足も買ってやらなきゃあ
冥利
(
みょうり
)
が悪いから
大菩薩峠:25 みちりやの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「こんなに家中無断で
引掻
(
ひっか
)
きまわして、済みませんなンて云わないッ」
清貧の書
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
咽喉
(
のど
)
は裂け、舌は凍って、
潮
(
しお
)
を浴びた
裙
(
すそ
)
から冷え通って、正体がなくなる処を、貝殻で
引掻
(
ひっか
)
かれて、やっと船で正気が付くのは、
灯
(
あかり
)
もない、何の船やら、あの、まあ
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
飛び散る血潮、ギャッといううめき声、そして、宙を
引掻
(
ひっか
)
く、真白な指……。
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
熱いものが
引掻
(
ひっか
)
き廻す、仏頂寺、おまえのも楽じゃあるまいが……
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
けれども、この恭屈頂礼をされた方は——また勿論されるわけもないが——胸を
引掻
(
ひっか
)
いて、
腸
(
はらわた
)
でも
毮
(
むし
)
るのに、引導を渡されでもしたようで、腹へ風が
徹
(
とお
)
って、ぞッとした。
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
痛痒
(
いたがゆ
)
い処を
引掻
(
ひっか
)
いたくらいでは埒あかねえで、田にしも隠元豆も地だんだを
蹈
(
ふ
)
んで
喰噛
(
くいかじ
)
るだよ。
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
惚
(
ほ
)
れた女の腹の中で、じたばたでんぐり返しを打って騒ぐ、
噛
(
か
)
み合う、掴み合う、
引掻
(
ひっか
)
き合う。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
時々
悪戯
(
いたずら
)
をして、その紅雀の
天窓
(
あたま
)
の毛を
挘
(
むし
)
ったり、かなりやを
引掻
(
ひっか
)
いたりすることがあるので、あの猿松が居ては、うっかり可愛らしい小鳥を
手放
(
てばなし
)
にして
戸外
(
おもて
)
へ出してはおけない
化鳥
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
どうも始末に悪いのは、高く崩れる裾ですが、よくしたもので、
現
(
うつつ
)
に、その蚤の痕をごしごし
引掻
(
ひっか
)
く
次手
(
ついで
)
に、膝を
捩
(
ね
)
じ合わせては、ポカリと
他人
(
ひと
)
の目の前へ靴の底を
蹴上
(
けあ
)
げるのです。
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
三味線
背負
(
しょ
)
つた乞食坊主が、
引掻
(
ひっか
)
くやうにもぞ/\と肩を
揺
(
ゆす
)
ると、
一眼
(
いちがん
)
ひたと
盲
(
し
)
ひた、
眇
(
めっかち
)
の青ぶくれの
面
(
かお
)
を向けて、
恁
(
こ
)
う、
引傾
(
ひっかたが
)
つて、
熟
(
じっ
)
と紫玉の其の
状
(
さま
)
を
視
(
み
)
ると、肩を
抽
(
ぬ
)
いた
杖
(
つえ
)
の
尖
(
さき
)
が
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
引掻
(
ひっか
)
くようにもぞもぞと肩を
揺
(
ゆす
)
ると、一眼ひたと
盲
(
し
)
いた、
眇
(
めっかち
)
の青ぶくれの
面
(
かお
)
を向けて、こう、
引傾
(
ひっかたが
)
って、
熟
(
じっ
)
と紫玉のその
状
(
さま
)
を視ると、肩を
抽
(
ぬ
)
いた
杖
(
つえ
)
の
尖
(
さき
)
が、一度胸へ
引込
(
ひっこ
)
んで、
前屈
(
まえかが
)
みに
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
がちがち震えながら、
傍目
(
わきめ
)
も
触
(
ふ
)
らず、坊主が立ったと思う処は
爪立足
(
つまだちあし
)
をして、それから、お前、前の峰を
引掻
(
ひっか
)
くように
駆上
(
かけあが
)
って、……ましぐらにまた
摺落
(
ずりお
)
ちて、
見霽
(
みはら
)
しへ出ると、どうだ。
朱日記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
小児一 じゃあ、
階段
(
だんだん
)
から。おい、
箒
(
ほうき
)
の足りないものは手で
引掻
(
ひっか
)
け。
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
持主の旅客は、ただ黙々として、
俯向
(
うつむ
)
いて、
街樹
(
なみき
)
に染めた
錦葉
(
もみじ
)
も見ず、時々、額を
敲
(
たた
)
くかと思うと、両手で
熟
(
じっ
)
と
頸窪
(
ぼんのくぼ
)
を
圧
(
おさ
)
える。やがて、
中折帽
(
なかおれぼう
)
を取って、ごしゃごしゃと、やや伸びた
頭髪
(
かみのけ
)
を
引掻
(
ひっか
)
く。
革鞄の怪
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
暑さの
取着
(
とッつき
)
の晩方頃で、いつものように遊びに行って、人が
天窓
(
あたま
)
を
撫
(
な
)
でてやったものを、
業畜
(
ごうちく
)
、
悪巫山戯
(
わるふざけ
)
をして、キッキッと歯を
剥
(
む
)
いて、
引掻
(
ひっか
)
きそうな剣幕をするから、
吃驚
(
びっくり
)
して
飛退
(
とびの
)
こうとすると
化鳥
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
引掻
(
ひっか
)
いてよ。」と手を挙げたが、思い出したように座を立って
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ごしごし
痒
(
かゆ
)
そうに
天窓
(
あたま
)
を
引掻
(
ひっか
)
いていたのを見ると
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「へい、
引掻
(
ひっか
)
いたんじゃありませんか。」
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
とその何だか、火箸で灰を
引掻
(
ひっか
)
いて
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
引
常用漢字
小2
部首:⼸
4画
掻
漢検準1級
部首:⼿
11画
“引掻”で始まる語句
引掻廻
引掻合
引掻競
引掻鳴