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幼
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いとけな
ふりがな文庫
“
幼
(
いとけな
)” の例文
幼
(
いとけな
)
き保の廊下に
遊嬉
(
いうき
)
するを見る毎に、戯に其臂を執つてこれを
噬
(
か
)
む勢をなした。保は遠く柏軒の来るを望んで逃げ
躱
(
かく
)
れたさうである。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
「
幼
(
いとけな
)
くこそあれ、わが子曹叡こそは、仁英の質、よく大魏の
統
(
とう
)
を継ぐものと思う。汝ら、心を
協
(
あわ
)
せて、これを
佐
(
たす
)
け、朕が心に
背
(
そむ
)
くなかれ」
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と言わるるままに、忍び音が、声に出て、肩の震えが、袖を
揺
(
ゆす
)
った。小芳は
幼
(
いとけな
)
いもののごとく、あわれに
頭
(
かぶり
)
を
掉
(
ふ
)
って、厭々をするのであった。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
逃
(
に
)
げて行く母を
恋
(
こ
)
い
慕
(
した
)
う少年の悲しみの
籠
(
こも
)
っていることが、当時の
幼
(
いとけな
)
い自分にも何とはなしに感ぜられたと見える。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
日出雄少年
(
ひでをせうねん
)
は
先刻
(
せんこく
)
から、
櫻木大佐
(
さくらぎたいさ
)
の
傍
(
かたはら
)
に、
行儀
(
ぎようぎ
)
よく
吾等
(
われら
)
の
談話
(
はなし
)
を
聽
(
き
)
いて
居
(
を
)
つたが、
幼
(
いとけな
)
き
心
(
こゝろ
)
にも
話
(
はなし
)
の
筋道
(
すぢみち
)
はよく
分
(
わか
)
つたと
見
(
み
)
へ、
此時
(
このとき
)
可愛
(
かあい
)
らしき
眼
(
め
)
を
此方
(
こなた
)
に
向
(
む
)
け
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
▼ もっと見る
私は
幼
(
いとけな
)
き時から、学校の友達か、親戚の外は、滅多に人に逢つた事はござひませず、父の客などが参りました時なども、たまたま私が玄関などにうろついてをりますと
こわれ指環
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
山の手の高台もやがて尽きようというだらだら坂をちょうど登りきった角屋敷の黒門の中に生まれた私は、
幼
(
いとけな
)
き日の自分をその黒門と切り離して
想
(
おも
)
い起すことは出来ない。
山の手の子
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
母は彼の
幼
(
いとけな
)
かりし頃世を去りて、父は彼の尋常中学を卒業するを見るに及ばずして病死せしより、彼は
哀嘆
(
なげき
)
の中に父を葬るとともに、
己
(
おのれ
)
が前途の望をさへ葬らざる
可
(
べ
)
からざる不幸に
遭
(
あ
)
へり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
霞亭は
幼
(
いとけな
)
かつた時の家庭の一小事を記憶してゐて、後にこれを筆に
上
(
のぼ
)
せた。それは天明八年に霞亭が九歳であつた時の事である。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
途端
(
とたん
)
に「
綺麗
(
きれい
)
だわ」「
綺麗
(
きれい
)
だわ」と
言
(
い
)
ふ
幼
(
いとけな
)
い
聲
(
こゑ
)
を
揃
(
そろ
)
へて、
女
(
をんな
)
の
兒
(
こ
)
が
三人
(
さんにん
)
ほど、ばら/\と
駈
(
か
)
け
寄
(
よ
)
つた。
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
まだお
幼
(
いとけな
)
い主上を抱きまいらせて、ご
同輿
(
どうよ
)
の出御を仰ぎ、内大臣宗盛
父子
(
おやこ
)
や平大納言時忠など、重なる人々は衣冠、そのほか、武臣はもとより、公卿殿上人から
端仕
(
はしたづか
)
えの人々まで、すべて
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
日出雄少年
(
ひでをせうねん
)
は
海外
(
かいぐわい
)
萬里
(
ばんり
)
の
地
(
ち
)
に
生
(
うま
)
れて、
父母
(
ちゝはゝ
)
の
外
(
ほか
)
には
本國人
(
ほんこくじん
)
を
見
(
み
)
る
事
(
こと
)
も
稀
(
まれ
)
なる
事
(
こと
)
とて、
幼
(
いとけな
)
き
心
(
こゝろ
)
にも
懷
(
なつ
)
かしとか、
憘
(
うれ
)
しとか
思
(
おも
)
つたのであらう、
其
(
その
)
清
(
すゞ
)
しい
眼
(
め
)
で、しげ/\と
私
(
わたくし
)
の
顏
(
かほ
)
を
見上
(
みあ
)
げて
居
(
を
)
つたが
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
わずかに板敷を残した店先に、私の
幼
(
いとけな
)
かった姿が
瞭然
(
はっきり
)
と
佇
(
たたず
)
むのである。
山の手の子
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
婢は
幼
(
いとけな
)
くして吉原の
大籬
(
おおまがき
)
に
事
(
つか
)
え、忠実を以て称せられていた。その千住の親里に帰ったのは、年二十を
踰
(
こ
)
えた
後
(
のち
)
である。
細木香以
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
剪刀
(
はさみ
)
が
一所
(
いっしょ
)
になつて入つて居たので、糸巻の動くに連れて、
夫
(
それ
)
に
結
(
いわ
)
へた小さな鈴が、ちりんと
幽
(
かすか
)
に云ふから、
幼
(
いとけな
)
い耳に何か
囁
(
ささや
)
かれたかと、弟は
丸々
(
まるまる
)
ツこい
頬
(
ほお
)
に
微笑
(
ほほえ
)
んで、
頷
(
うなず
)
いて
鳴
(
なら
)
した。
蠅を憎む記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
また
松島海軍大佐
(
まつしまかいぐんたいさ
)
の
令妹
(
れいまい
)
なる
彼
(
かれ
)
の
夫人
(
ふじん
)
にはまだ
面會
(
めんくわい
)
はせぬが、
兄君
(
あにぎみ
)
の
病床
(
やまひ
)
を
見舞
(
みま
)
はんが
爲
(
た
)
めに、
暫時
(
しばし
)
でも
其
(
その
)
良君
(
おつと
)
に
別
(
わかれ
)
を
告
(
つ
)
げ、
幼
(
いとけな
)
き
兒
(
こ
)
を
携
(
たづさ
)
へて、
浪風
(
なみかぜ
)
荒
(
あら
)
き
萬里
(
ばんり
)
の
旅
(
たび
)
に
赴
(
おもむ
)
くとは
仲々
(
なか/\
)
殊勝
(
しゆしよう
)
なる
振舞
(
ふるまひ
)
よと
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
幼
(
いとけな
)
き頃から儒学をおさめ、長じては世上を流浪しやることも十数年、世上の
艱苦
(
かんく
)
、人なかの辛苦も、みな生ける学びぞと、常にこの母は、身の孤独も思わず、ただただそなたの修業の積むことのみ
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
信栄の歿した時、信美は猶
幼
(
いとけな
)
かつたので、信美の祖父信政は信栄の妹曾能に婿を取り、
所謂
(
いはゆる
)
中継として信栄の後を
承
(
う
)
けしめた。此女婿が
信階
(
のぶしな
)
である。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
「ホ、ホ、ホ、ホ。貴人。何もそのように怖れ給うことはありません。呉妹君はお
幼
(
いとけな
)
き頃から、剣技をお好み遊ばし、騎馬弓矢の道がお好きなのです。決して貴人に危害を加えるためではありません」
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
忠兵衛の子がまだ皆
幼
(
いとけな
)
く、栄次郎六歳、安三歳、
五百
(
いお
)
二歳の時、
麹町
(
こうじまち
)
の紙問屋
山一
(
やまいち
)
の女で松平
摂津守
(
せっつのかみ
)
義建
(
ぎけん
)
の屋敷に奉公したことのある忠兵衛の妻は亡くなったので
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
勝久の
陸
(
くが
)
は
啻
(
ただ
)
に長唄を
稽古
(
けいこ
)
したばかりではなく、
幼
(
いとけな
)
くして琴を
山勢
(
やませ
)
氏に学び、踊を
藤間
(
ふじま
)
ふじに学んだ。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
幼
常用漢字
小6
部首:⼳
5画
“幼”を含む語句
幼児
幼少
幼稚
幼馴染
幼名
幼心
幼兒
幼稚園
幼童
幼時
幼子
幼穉
幼々
幼年
幼気
童幼
幼女
幼弱
老幼男女
老幼
...