あり)” の例文
たまたまそとより基督信徒のきたるあれば我らは旧友に会せしがごとく、敵地にありて味方に会せしがごとく、うち悦びてこれを迎えたり
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
聞糺きゝたゞもし出所しゆつしよ明らかなれば夫までの事萬一胡亂うろんの申口ならば見世にありし百兩の金を文右衞門がぬすとりしと云懸いひかゝりて同人が所持の金子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
前年さきのとし江戸にありし時右の事をさき山東翁さんとうをうにかたりしに、をういはく世路せいろなだ総滝そたきよりも危からん、世はあしもとを見てわたるべきにやとてわらへり。
さて、この立国立政府の公道を行わんとするに当り、平時にありてはしたる艱難かんなんもなしといえども、時勢じせい変遷へんせんしたがって国の盛衰せいすいなきを得ず。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
それ演劇は国家の活歴史にして、文盲もんまうの早学問なり。故に欧洲進化の国にありては、縉紳しんしん貴族皆之を尊重す。
本の事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
夜軍よいくさなりて、くらさは暗し、大将軍頭中将重衡、般若寺の門に打立うちたちて『火を出せ』とのたまふ程こそありけれ。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
博士がひとりで二万両の金のありかを探して自分の物にしようとしたので、弟の理学士がいかりのあまり、飼い馴らしていた南洋鸚哥いんこはしに毒を塗って、兄をつかせて殺したのである。
幽霊屋敷の殺人 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
ただ遺憾いかんなるは脇屋わきや某が屠腹とふくを命ぜられたる事を聞き、かかる暴政ぼうせいの下にありては何時いついかなる嫌疑けんぎをうけて首をられんも知れずと思い、その時筐中きょうちゅうおきたる書類しょるい大抵たいてい焼捨やきすてました
矢庭やにはに二人とも生捕いけどり引立ひきたてしは心地よくこそ見えたりけりよつて二人とも入牢申付られしが吉原にあり手負ておひの平四郎は四日相果あひはてし故檢視けんし
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
○さてかの茶店さてんにて雪の氷をめづらしとおもひしに、その次日より塩沢しほざは牧之ぼくし老人が家にありしに、日毎に氷々こほり/\とよびて売来る、山家やまが老婆らうばなどなり。
下等士族のはいが上士に対して不平をいだ由縁ゆえんは、もっぱら門閥虚威きょいの一事にありて、しかもその門閥家の内にて有力者と称する人物にむかって敵対の意をいだくことなれども
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
たれ奸賊かんぞくの富国策を聴かんや、余の教育上の主義ならびに経験は何かある、誰か子弟を不忠の臣に委ぬるものあらんや、余はこのありてこの土のものにあらず
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
せんじてありしが夫と見るより言葉ことばあらため是は/\御深切ごしんせつ毎々いつも/\御尋おたづね今日は何よりも心よき樣子にてすや/\ねぶり居候と云を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
○さてかの茶店さてんにて雪の氷をめづらしとおもひしに、その次日より塩沢しほざは牧之ぼくし老人が家にありしに、日毎に氷々こほり/\とよびて売来る、山家やまが老婆らうばなどなり。
第十一条 子女も亦独立自尊の人なれども、其幼時にありては、父母これが教養のせめに任ぜざるべからず。
修身要領 (新字旧仮名) / 福沢諭吉慶應義塾(著)
をまねきてくすりなどあたへしがそのしるしもなく、両親ふたおやはさら也、あたりよりはせよりしものどもゝ娘のそばありてなみださしぐみつゝつかねまつのみ也。
特にその勉強するところのものは算筆にありて、この技芸にいたっては上等のくわだて及ぶところに非ず。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
みん万暦ばんれきはじめ閩中みんちゆう連江といふ所の人蛤をわりて玉をたれども不識みしらずこれをる、たまかまの中にあり跳躍をどりあがりしてさだまらず、火光くわくわうそらもゆ里人さとびと火事くわじならんとおどろき来りてこれを救ふ。
且水のこほりは地中にりても消易きえやすきものなり、これなし、水は極陰の物なるゆゑ陽にかんやすきゆゑなり。我越後に削氷けづりひを視ておもふに、かの谷間たにあひありといひしは天然てんねんの氷室なり。