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とんぢやく
ふりがな文庫
“
頓着
(
とんぢやく
)” の例文
紺絣
(
こんがすり
)
の兄と
白絣
(
しろがすり
)
の
弟
(
おとと
)
と二人並んで、じり/\と上から照り附ける暑い
日影
(
ひかげ
)
にも
頓着
(
とんぢやく
)
せず、余念なく移り変つて行く川を眺めて居た。
朝
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
が、
客
(
きやく
)
が
待
(
ま
)
たうが
待
(
ま
)
つまいが、
一向
(
いつかう
)
に
頓着
(
とんぢやく
)
なく、
此方
(
こつち
)
は
此方
(
こつち
)
、と
澄
(
すま
)
した
工合
(
ぐあひ
)
が、
徳川家時代
(
とくがはけじだい
)
から
味
(
あぢ
)
の
變
(
かは
)
らぬ
頼
(
たの
)
もしさであらう。
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
もつと正直にいふと時鳥が居なかつた事である。時島は大名や連歌師やには
頓着
(
とんぢやく
)
なく遠い国へ飛んでゐたのだ。唯もう雌が恋しいばつかりに。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「
勘次等
(
かんじら
)
、そん
時
(
とき
)
から
俺
(
お
)
れた
口
(
くち
)
も
利
(
き
)
かねえや」
卯平
(
うへい
)
は
他人
(
ひと
)
には
頓着
(
とんぢやく
)
なしにかういつて
其
(
そ
)
の
舌
(
した
)
を
鳴
(
な
)
らして
唾
(
つば
)
を
嚥
(
の
)
んだ。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
雲飛
(
うんぴ
)
といふ人は
盆石
(
ぼんせき
)
を非常に
愛翫
(
あいぐわん
)
した
奇人
(
きじん
)
で、人々から
石狂者
(
いしきちがひ
)
と言はれて居たが、人が何と言はうと一
切
(
さい
)
頓着
(
とんぢやく
)
せず、
珍
(
めづら
)
しい石の
搜索
(
さうさく
)
にのみ日を送つて居た。
石清虚
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
▼ もっと見る
ヂオゲンは
勿論
(
もちろん
)
書齋
(
しよさい
)
だとか、
暖
(
あたゝか
)
い
住居
(
すまゐ
)
だとかには
頓着
(
とんぢやく
)
しませんでした。
是
(
これ
)
は
彼
(
か
)
の
地
(
ち
)
が
暖
(
あたゝか
)
いからです。
樽
(
たる
)
の
中
(
うち
)
に
寐轉
(
ねころが
)
つて
蜜柑
(
みかん
)
や、
橄欖
(
かんらん
)
を
食
(
た
)
べてゐれば
其
(
そ
)
れで
過
(
すご
)
される。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
しかし、そんな事には一向
頓着
(
とんぢやく
)
なく、別な新しい話が、もう、別なところで持ち上つてゐた。
野の哄笑
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
しばらく
待
(
ま
)
ち
合
(
あは
)
せてゐたが、
宗助
(
そうすけ
)
はついに
空腹
(
くうふく
)
だとか
云
(
い
)
ひ
出
(
だ
)
して、
一寸
(
ちよつと
)
湯
(
ゆ
)
にでも
行
(
い
)
つて、
時間
(
じかん
)
を
延
(
の
)
ばしたらといふ
御米
(
およね
)
の
小六
(
ころく
)
に
對
(
たい
)
する
氣兼
(
きがね
)
に
頓着
(
とんぢやく
)
なく、
食事
(
しよくじ
)
を
始
(
はじ
)
めた。
其時
(
そのとき
)
御米
(
およね
)
は
夫
(
をつと
)
に
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
成れ拙者は
未熟
(
みじゆく
)
なれども
悴
(
せがれ
)
の半四郎は古今の達人なりと
御噺
(
おはなし
)
有しが其半四郎先生に今日
御目
(
おめ
)
に
懸
(
かゝ
)
らんとは
夢
(
ゆめ
)
さら存ぜざりしなり又其
御身形
(
おんみなり
)
は如何なされし事やと
問
(
と
)
ひければ半四郎
聞
(
きゝ
)
て今も云通り某しは
生質
(
うまれつき
)
容體
(
なりふり
)
には一向
頓着
(
とんぢやく
)
せず人は
容體
(
みめ
)
より只心なり何國へ行にも此通り少しも
構
(
かま
)
はず只々
蕩樂
(
だうらく
)
は酒を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
飼主が見かねて、雌を一羽当てがつたが、鵞鳥はそれに振向きもしないで、狗が迷惑さうな顔をするにも
頓着
(
とんぢやく
)
なく、相変らずべたべたしてゐたさうだ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
が、
最
(
も
)
う、そんな
事
(
こと
)
に
頓着
(
とんぢやく
)
しない。
人間
(
にんげん
)
などには
目
(
め
)
も
懸
(
か
)
けないで、
暗
(
くら
)
い
中
(
なか
)
を
矢鱈
(
やたら
)
に、
其処等
(
そこいら
)
の
樹
(
き
)
を
眺
(
なが
)
めた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
然
(
しか
)
し
彼等
(
かれら
)
は
其麽
(
そんな
)
ことに
頓着
(
とんぢやく
)
を
持
(
も
)
たぬ。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
古時計はナポレオン三世のやうな
気忙
(
きぜは
)
しさうな顔をして、露西亜人などには
頓着
(
とんぢやく
)
なく息を
奮
(
はづ
)
ませてゐる。紳士はいつになく露西亜が恋しくなつて来た。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
昔
(
むかし
)
彼
(
か
)
の
文覺
(
もんがく
)
と
云
(
い
)
ふ
荒法師
(
あらほふし
)
は、
佐渡
(
さど
)
へ
流
(
なが
)
される
船路
(
みち
)
で、
暴風雨
(
あれ
)
に
會
(
あ
)
つたが、
船頭水夫共
(
せんどうかこども
)
が
目
(
め
)
の
色
(
いろ
)
を
變
(
か
)
へて
騷
(
さわ
)
ぐにも
頓着
(
とんぢやく
)
なく、
大
(
だい
)
の
字
(
じ
)
なりに
寢
(
ね
)
そべつて、
雷
(
らい
)
の
如
(
ごと
)
き
高鼾
(
たかいびき
)
ぢや。
旅僧
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
身代較べはいつの
代
(
よ
)
でも税務署の役人か、さもなければ馬鹿者かのする事で、賢い人はそんな事には
頓着
(
とんぢやく
)
しない。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
また
生命
(
いのち
)
を
介
(
かま
)
はずに
乘
(
の
)
ツた
衆
(
しう
)
なら、
風
(
かぜ
)
が
吹
(
ふ
)
かうが、
船
(
ふね
)
が
覆
(
かへ
)
らうが、
那樣事
(
そんなこと
)
に
頓着
(
とんぢやく
)
は
無
(
な
)
い
筈
(
はず
)
ぢやが、
恁
(
か
)
う
見渡
(
みわた
)
した
處
(
ところ
)
では、
誰方
(
どなた
)
も
怯氣々々
(
びく/\
)
もので
居
(
ゐ
)
らるゝ
樣子
(
やうす
)
ぢやが、さて/\
笑止千萬
(
せうしせんばん
)
な
旅僧
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
大膳は鞍の上で
独語
(
ひとりごと
)
を言つたが、その次ぎの瞬間に馬が勝手に女の
後
(
あと
)
をつけてゐるのに気がついた。馬は鞍の上の主人には
頓着
(
とんぢやく
)
なく、ずんずん女の
後
(
あと
)
を追つて往つた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
そして狭いパノラの町で、どんなことが起きようが、それは少しも
頓着
(
とんぢやく
)
しなかつた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
博士は少しお酒が入ると、場所柄には
頓着
(
とんぢやく
)
なく、直ぐ
起
(
た
)
つて国歌を
唱
(
うた
)
ひ出す。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
頓
常用漢字
中学
部首:⾴
13画
着
常用漢字
小3
部首:⽬
12画
“頓”で始まる語句
頓
頓狂
頓死
頓馬
頓挫
頓首
頓智
頓興
頓著
頓服