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雑
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まじ
ふりがな文庫
“
雑
(
まじ
)” の例文
旧字:
雜
あれはどうやら三丁目らしい。さては油屋かな永楽屋かな。いいお客があると見える。油屋とするとお北めも、
雑
(
まじ
)
っているに相違ねえ
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
雪は浅くて、ところどころに砂礫
雑
(
まじ
)
りの乾いた土が露出し、開墾のために立木を伐採したあとの切株が、雪原に点々と黒く残っていた。
荒野の冬
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
そして、喘ぎながら曳っぱっている馬の立てる湯気がそれと
雑
(
まじ
)
り、その霧がみんな馬の吐き出したものかと思われるほどであった。
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
中には各種を
雑
(
まじ
)
へ用ゐたるも少からず。なほこの外に多少の例外なきにあらねど、その数極めて少きを以て特にここに挙ぐるの要なし。
古池の句の弁
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
ときおり向うの庇の間から、頭の君と道綱とが小声で取交わしている話し声に
雑
(
まじ
)
って、
笏
(
しゃく
)
に扇の打ちあたる音が微かに聞えてくる。
ほととぎす
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
▼ もっと見る
この老婦人は
基督
(
キリスト
)
教の信者であつた。とは言へ、此頃は教会へ通ふことも絶えてなく、日常も神の名を会話に
雑
(
まじ
)
へることさへなかつた。
竹藪の家
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
角閃石
(
かくせんせき
)
に多くの
黒雲母
(
こくうんぼ
)
を
雑
(
まじ
)
えた、また構成の比較的
脆弱
(
ぜいじゃく
)
なもので、
殊
(
こと
)
に
凝灰
(
ぎょうかい
)
岩をもまじえているので、風化浸蝕作用は案外早く行われ
雲仙岳
(新字新仮名)
/
菊池幽芳
(著)
カルルの
辻
(
つじ
)
なる『カッフェエ・ロリアン』に入りて見れば、おもひおもひの仮装色を争ひ、中に
雑
(
まじ
)
りし常の衣もはえある
心地
(
ここち
)
す。
うたかたの記
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
色黄褐で香気は
葱
(
ねぎ
)
と
乾酪
(
チーズ
)
を
雑
(
まじ
)
えたごとし。だから屁にもちょっと似て居る。秋末、柳や白楊や樫の林下の地中また時として耕地にも産す。
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
其れが世田ヶ谷騎兵聯隊から持って来た新しい馬糞で、官馬の事だから馬が食ってまだよく
消化
(
しょうか
)
しない
燕麦
(
えんばく
)
が多量に
雑
(
まじ
)
って居た。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
来たるべき神の国ではその傷も全くいやされ、我と汝らと再会してまた離れることなく、
雑
(
まじ
)
りなき歓喜をもって新しきものを飲むであろう。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
しかしながら、その拒絶の理由のうちに、少しでも相手が特殊部落民であるということが
雑
(
まじ
)
っているならば、それは社会的に大きな問題であります。
融和促進
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
投げつけられたような気がしたのだ。第一あの柔らかい色彩は、ああいう子供でなければ見られない色彩だ。すこしも
雑
(
まじ
)
ったものがない本当の色だ。
或る少女の死まで
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
そして私は若い店員たちの中に、一人
雑
(
まじ
)
っている年寄りのおじさんを見た。おじさんの主な役目は紙分けであった。
おじさんの話
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
憐
(
あわれ
)
むべし細川繁! 彼は全く失望して了って。その失望の中には
一
(
いつ
)
の苦悩が
雑
(
まじ
)
っておる。彼は「我もし学士ならば」という一念を去ることが出来ない。
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
門
(
もん
)
の前には
彼
(
か
)
の七兵衛
老爺
(
じじい
)
が、
銀杏
(
いちょう
)
の黄なる落葉を
掃
(
は
)
いていた。横手の材木置場には、焚火の煙が白く渦巻いて、
鋸
(
のこぎり
)
の音に
雑
(
まじ
)
る職人の笑い声も聞えた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
何かの
雑
(
まじ
)
りのない英雄的な喜びにあずかることは、つねにわれわれに益をあたえ、どことも知れず気分が悪いときに、われわれの関節の凝りを取りさり
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
往来繁
(
ゆききしげ
)
き町を湯屋の角より
入
(
い
)
れば、道幅その二分の一ばかりなる横町の物売る店も
雑
(
まじ
)
りながら閑静に、
家並
(
やなみ
)
整へる中程に
店蔵
(
みせぐら
)
の
質店
(
しちや
)
と軒ラムプの並びて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
此時龍馬は創を負て居るからと籠にのり、私は男粧して兵隊の中に
雑
(
まじ
)
つて行きました……、
笑止
(
をかし
)
かつたですよ。
千里駒後日譚
(新字旧仮名)
/
川田瑞穂
、
楢崎竜
、
川田雪山
(著)
鳳仙花
(
ほうせんか
)
の、草に
雑
(
まじ
)
って
二並
(
ふたならび
)
ばかり紅白の咲きこぼるる土塀際を
斜
(
はす
)
に切って、小さな築山の
裾
(
すそ
)
を
繞
(
めぐ
)
ると池がある。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
といって戒めたが、まだ十日もたたないうちに
雑
(
まじ
)
っていた。こんなことが幾回もくりかえされたので、馬はうるさくてたまらなかった。黄英は笑って言った。
黄英
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
そこにはゑぞ菊とダリアとシネラリアとが
雑
(
まじ
)
り合つてゐた。田舎で花もないだらうと言ふので、それでわざ/\母親が今朝庭から刈取つて集めて来たのである。
草みち
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
泣きたい人をば泣かせてやり、そしてどんなに大きな憂愁が、この世の凡ての営みにうち
雑
(
まじ
)
っているかと云うことを、身にしみじみと感じさせてやりましょう。
チチアンの死
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
顔には
歓
(
よろこ
)
ばしさに
雑
(
まじ
)
って打ち解けない表情があった。唇を動かしてはいたが声には出さなかった。彼の態度は堅苦しいものになって、はっきりと叫んで言うには
故郷
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
ホームの
半程
(
なかばほど
)
から、鷲尾も先を争う人々に
雑
(
まじ
)
って、赤く力みながら
駈
(
か
)
け出したが、ひょッと横合から出て来た男に肩をツカまれてひっくり返りそうになった。——
冬枯れ
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
幼少のころには、も少し形の均斉もとれていて、あるいは優れた血が
雑
(
まじ
)
っているのかもしれぬと思わせるところあったのであるが、それは真赤ないつわりであった。
畜犬談:―伊馬鵜平君に与える―
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
これ祖先伝来のままにて何ら外国の影響を受けざる、
雑
(
まじ
)
りなき、純の純なる
教
(
おしえ
)
を説かんとの意である。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
彼一流の空想を
雑
(
まじ
)
へて、ぼんやり考へるともなく考へ、思ふともなくそんなことを思うて居た。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
「風
雑
(
まじ
)
り雨降る夜の、……如何にしつつか、
汝
(
な
)
が世は渡る」といえば、一人が、「天地は広しといへど、あが
為
(
ため
)
は
狭
(
さ
)
くやなりぬる、……斯くばかり
術
(
すべ
)
無きものか、
世間
(
よのなか
)
の道」
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
ただ偽君子の群集するその中に十人並みの人が
雑
(
まじ
)
るゆえ、格別に目立つまでのことなり。
学問のすすめ
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
真の
雑
(
まじ
)
り気のない主観的生活者、即ち所謂「詩を作らない詩人」でなければならない。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
金網の垣を張った土手の真下と、水を隔てた堀端の道とには電車が絶えず往復しているが、その響の途絶える折々、暗い水面から貸ボートの静な
櫂
(
かい
)
の音に
雑
(
まじ
)
って若い女の声が聞える。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
なるほど
半
(
なかば
)
以上の辺には随分拙ない作品も
雑
(
まじ
)
っている、しかしながら佳作もまた決して少くはない、世の中にいかなる事業でも、第一期の成績を二期もしくは三期の程度から顧みてみれば
竹乃里人
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
道衍の
珙
(
こう
)
を燕王に薦むるに当りてや、燕王
先
(
ま
)
ず使者をして
珙
(
こう
)
と
与
(
とも
)
に
酒肆
(
しゅし
)
に飲ましめ、王みずから衛士の儀表堂々たるもの九人に
雑
(
まじ
)
わり、おのれ
亦
(
また
)
衛士の服を服し、
弓矢
(
きゅうし
)
を
執
(
と
)
りて
肆中
(
しちゅう
)
に飲む。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
船中には物好きがいて携えて行ったものであろう。それで砕かれた物件に
雑
(
まじ
)
って彼岸花の球根があったと見える。島の土はその球根をひそかに埋めていた。自然は棄ててばかりは
措
(
お
)
かない。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
それが乱れ、
雑
(
まじ
)
り、重なって苔の上を照らすから、林の中に居るものは
琥珀
(
こはく
)
の
屏
(
びょう
)
を
繞
(
めぐ
)
らして間接に太陽の光りを浴びる心地である。ウィリアムは醒めて苦しく、夢に落付くという
容子
(
ようす
)
に見える。
幻影の盾
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
勝手元では鼠が
味噌濾
(
みそこし
)
や鍋をがたがたさせる音に
雑
(
まじ
)
って、水道の水がぽたぽたと落ちる音がした。この寒さではその下が氷っているに違いないと彼女は思いながら、子供の身の上の寒さを案じた。
不幸
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
今の世界は
老屋
(
ろうおく
)
頽厦
(
たいか
)
の如し。これ人々の見る所なり。吾れ
謂
(
おも
)
えらく、大風一たび興って、それをして転覆せしめ、然る後
朽楹
(
きゅうえい
)
を代え
敗椽
(
はいてん
)
を棄て、新材を
雑
(
まじ
)
えてこれを再造せば、
乃
(
すなわ
)
ち美観と為らんと。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
俺は
尋常
(
たゞ
)
の
地犬
(
ぢいぬ
)
サ。
雑
(
まじ
)
りツけない純粋の
日本犬
(
につぽんいぬ
)
だ。耳の垂れた尻尾を下げた
瞳
(
め
)
の碧い毛唐の犬がやつて来てから、地犬々々と俺の同類を
白痴
(
ばか
)
にするが、憚りながら神州の
倭魂
(
やまとだましひ
)
を伝へた純粋のお犬様だ。
犬物語
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
能く視れば、どうか文三もその
中
(
うち
)
に
雑
(
まじ
)
っているように思われる。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
少女どち中に寝よちふうれしくて
雑
(
まじ
)
り寝にけり
魚
(
とと
)
よと云ひて
風隠集
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
そうして彼女等に
雑
(
まじ
)
って一人の老人がいるに過ぎない。
あめんちあ
(新字新仮名)
/
富ノ沢麟太郎
(著)
ああ、せめては中に
雑
(
まじ
)
る
合惚
(
かつぽれ
)
の
進行曲
(
まるしゆ
)
から
北原白秋氏の肖像
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
風
雑
(
まじ
)
へ 雨降る夜の 雨雑へ 雪降る夜は
日本の美
(新字新仮名)
/
中井正一
(著)
模
(
ま
)
ねず、
雑
(
まじ
)
らず、従はぬ
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
ほそりゆき、
雑
(
まじ
)
りけち
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
そうして大変智恵者らしい。残忍性と反逆心との、
雑
(
まじ
)
り合ったような人間でもある。脇息に倚っている様子、酒テン童子を想わせる。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
水素に少し空気が
雑
(
まじ
)
ったり、逆に空気中に水素が少量混入した時に、爆発がどのような形をとって
伝播
(
でんぱ
)
するかを見ようというのであった。
寺田先生の追憶:――大学卒業前後の思い出――
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
何か向いの庭の中で聞きなれない人々の声に
雑
(
まじ
)
って爺やのしゃがれた声が聞えてくるので、どうしたのだろうと思っていました。
朴の咲く頃
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
蚤
(
はや
)
く
大聾
(
だいろう
)
となったので四、五十年前に聞いた事のみよく話す。由って俚言土俗に関して他所風の
雑
(
まじ
)
らぬ古伝を受くるに最も
恰好
(
かっこう
)
の人物だ。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
雑
常用漢字
小5
部首:⾫
14画
“雑”を含む語句
混雑
雑草
雑木
雑談
雑然
複雑
紛雑
雑沓
雑作
雑言
雑兵
雑木林
雑用
粗雑
雑賀
雑音
雑巾
無雑作
雑魚
雑炊
...