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金輪際
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こんりんざい
ふりがな文庫
“
金輪際
(
こんりんざい
)” の例文
ましてこの竹生島の周囲は、深いことに於て、竹生島そのものが
金輪際
(
こんりんざい
)
から浮き出でているというのだから、始末の悪いこと
夥
(
おびただ
)
しい。
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「よし、こうなったら、やぶれかぶれ。おれはきさまを
詛
(
のろ
)
ってやる。
金輪際
(
こんりんざい
)
まで詛ってやる。今更、この期になってびくつくまいぞ」
富士
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
しかし、いったん
己
(
おのれ
)
の位置の悲劇性を悟ったが最後、
金輪際
(
こんりんざい
)
、正しく美しい生活を
真面目
(
まじめ
)
に続けていくことができないに違いない。
悟浄歎異:―沙門悟浄の手記―
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
これは
性
(
しょう
)
が悪くて、客が立止って一度価を聞こうものなら、
金輪際
(
こんりんざい
)
素通りの聞放しをさせない、
袂
(
たもと
)
を握って客が値をつけるまで離さない。
江戸か東京か
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
「
取舵
(
とりかじ
)
だい‼」と叫ぶと見えしが、早くも
舳
(
とも
)
の
方
(
かた
)
へ
転行
(
ころげゆ
)
き、疲れたる
船子
(
ふなこ
)
の握れる
艪
(
ろ
)
を奪いて、
金輪際
(
こんりんざい
)
より生えたるごとくに
突立
(
つった
)
ちたり。
取舵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
御老中は申すに及ばず、お側の衆からもいろ/\
諫言
(
かんげん
)
を申上げたが、上樣日頃の御氣性で、一旦仰せ出された上は
金輪際
(
こんりんざい
)
變替は遊ばされぬ。
銭形平次捕物控:001 金色の処女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
しようとは思わぬ。御一統の企てについては、ほかから漏れたら知らぬこと、わしからは
金輪際
(
こんりんざい
)
口外
(
こうがい
)
すまい。それだけは固く約束しておくよ
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
いいえ、当推量なもんですか。それでは、綺麗な斑のある片身を、なぜ、十四郎には
金輪際
(
こんりんざい
)
とれぬ——と貴女は云ったのです?
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
酔って言うんじゃあ、ございませんが、おでんなんてものこそ、一流の店じゃあ、
金輪際
(
こんりんざい
)
食えねえ、下司の味だと思いやすがね、何うですい?
下司味礼賛
(新字新仮名)
/
古川緑波
(著)
あっしのこの手裏剣
業
(
わざ
)
と来た日にゃア、日の下開山、だれと立ちあったところで遅れをとるようなことア、
金輪際
(
こんりんざい
)
げえせん。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
それは覚悟しなければならぬ。それにしても聖処女によって世に降誕した神の子基督の御顔を、
金輪際
(
こんりんざい
)
拝し得られぬ苦しみは忍びようがなかった。
クララの出家
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
またふみちやんの手は
吸盤
(
きふばん
)
を持つてゐた。呼び込み窓へ近づいて來た男の手首を一度握ると、
金輪際
(
こんりんざい
)
離れなかつた。男は泣き顏をしながら上つた。
天国の記録
(旧字旧仮名)
/
下村千秋
(著)
買いかぶらせることには、役者衆の
上手
(
うわて
)
だから、もう、二本差した男には、
金輪際
(
こんりんざい
)
、惚れないことにきめたんですとさ
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
みずから貧しくして、偽りに満ち、揺らめきて危うきを知る謙遜なる心が、豊かにして、まことに、
金輪際
(
こんりんざい
)
動揺せざる絶対の実在を求むる無限の憧憬である。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
ただ
一眼
(
ひとめ
)
見たが最後! 見た人は彼女の魔力から
金輪際
(
こんりんざい
)
、
免
(
のが
)
るる事は出来ない。あの色はただの赤ではない。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「これを見なさい、この通り、おぬしは抜かずに済ましとる、そこで勝った——今日から土民どもはおぬしの前に手をつくよ、
金輪際
(
こんりんざい
)
じゃま立ては致すまいよ」
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
幾度繰り返しても只この中の一つ二つの言葉をかえる
許
(
ばか
)
りだけれ共、どんな事が
有
(
あ
)
っても、「七十日」と「十円」を抜かす様な事は決して決して
金輪際
(
こんりんざい
)
無いのである。
農村
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
しかし甲斐守の性質として、一旦いわぬといったからには、
金輪際
(
こんりんざい
)
口を開かぬものと、諦めなければならなかった。そこで弓之助は一礼し、甲斐守の部屋を出ようとした。
銅銭会事変
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「なんだ。じゃ、君は、僕があれであることは
金輪際
(
こんりんざい
)
許されないことだと思うのかい。」
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
おまけに幹事を引き受けたんだから今度こそは
金輪際
(
こんりんざい
)
、ドンナ事があっても行くって仰言ったんですの。そうしたらまたきょうの騒ぎでしょう。あたし
口惜
(
くや
)
しくて口惜しくて……
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
鷓鴣は
痙攣
(
けいれん
)
したように、もがく。
翼
(
つばさ
)
をばたばたさせる。羽根を飛ばす。
金輪際
(
こんりんざい
)
くたばりそうにもない。彼は、友達の一人ぐらい、もっと楽に、それこそ片手で締め殺せるだろうに。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
連れて行くと
屹
(
きつ
)
と『一晩だけ竹を病院へ泊らして呉れ』と京子が言ひますやろが、それは
金輪際
(
こんりんざい
)
いきまへんよつて、泣いても何うしても構はずに、引き離して
他
(
ほか
)
へ泊つとくなはれ。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
が、私は黙っていた。いくら論じたって彼らには
金輪際
(
こんりんざい
)
わかりっこないことを知っているからだ——私は紳士的微笑とともにしずかに
麺麭
(
パン
)
をむしりながら話題を転じただけだった。
踊る地平線:02 テムズに聴く
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
もしこの赤ペンキを綺麗に落さんと
欲
(
ほっ
)
せば、抛げつけたる当人の許を訪ねて、ペンキ消し液を乞いうけるに非ずんば、
金輪際
(
こんりんざい
)
消えることなし。
乃
(
すなわ
)
ちその際に、運転手の油をウンと絞るなり。
発明小僧
(新字新仮名)
/
海野十三
、
佐野昌一
(著)
毒をもって毒を制すで、それはいいとしても、ブルジョアが金を出すというのは、それが何か自分の利益になるのでなかったら、そうと分ってなかったら
金輪際
(
こんりんざい
)
、そんなことはしないだろう。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
まるで誰か見ている人でもあるかのように——そんなことは
金輪際
(
こんりんざい
)
ないことがわかっているにかかわらず——
跫音
(
あしおと
)
をしのばせて書棚の方へ近づいて行って、右側の書棚の下から二段目の棚から
秘密
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
まだ
隠
(
かく
)
しだてをするつもりか。あくまで
聞
(
き
)
かせたくないというなら、
聞
(
き
)
かずに
済
(
す
)
ませもしようけれど、そのかわりおいらはもうこの
先
(
さき
)
、
金輪際
(
こんりんざい
)
、お
前
(
まえ
)
の
絵
(
え
)
は
描
(
か
)
かないからそのつもりでいるがいい
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
ゆっくりかみしめると奥の方からうまさがわいてくる干パンであったが、こんなものにうきうきしている音枝に妙ないらだたしさを感じて、だれにもらったかなど、
金輪際
(
こんりんざい
)
きくまいと思ったりした。
雑居家族
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
いかに政友会や中立がじたばたしても、
金輪際
(
こんりんざい
)
、うだつの上るためしのないことは見えすいていますが、この際、思い切って民政党に入党してはどうでしょうか、あなたが民政党に入党してくれれば
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
再び女の心のあんなあツたかみに接する時は
金輪際
(
こんりんざい
)
なからう。
泡鳴五部作:04 断橋
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
金輪際
(
こんりんざい
)
夜闇
(
やあん
)
に
根生
(
ねお
)
ふ姿なり五重の塔は立てりけるかも
白南風
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
こればっかりは
金輪際
(
こんりんざい
)
わかりっこないものだそうで、そうして、その苦労がわかってくると、なんだかんだと人のことをいえなくなってしまう。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
よその人気の
尻馬
(
しりうま
)
に乗って人真似をして、柳の下の
鰌
(
どじょう
)
を
覘
(
ねら
)
うような真似は、お角さんには
金輪際
(
こんりんざい
)
できないのですよ。
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
彼女はこの場合無理にも二つのものを
繋
(
つな
)
いでみたくってたまらなかった。けれどもそれを繋ぎ合せる綱は、どこをどう
探
(
さが
)
したって、
金輪際
(
こんりんざい
)
出て来っこなかった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「笑はないよ、笑はないと言つたら、
金輪際
(
こんりんざい
)
笑はないよ、俺は今、死んだお袋のことを考へてゐるんだ」
銭形平次捕物控:294 井戸端の逢引
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
それは彼が
寿童丸
(
じゅどうまる
)
とよばれた昔から持っている善信(親鸞)への
呪詛
(
じゅそ
)
と報復とを、今になっても
金輪際
(
こんりんざい
)
捨てていない異常な
粘
(
ねば
)
り方と根気を見てもわかるのである。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「たとえ山巡りのお役人さんでも、厭だと一度首を振ったら、
金輪際
(
こんりんざい
)
諾かねえということだ」
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
鎌倉
(
かまくら
)
に行った時以来、自分のふところからもぎ放してしまって、
金輪際
(
こんりんざい
)
忘れてしまおうと堅く心に契っていたその定子が……それはその場合葉子を全く
惨
(
みじ
)
めにしてしまった。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
連れて歸ることは
金輪際
(
こんりんざい
)
ならん。嫁にすることが出けなんだら、娘にして貰うて下され。またあんたの方から他へ片付けようと、このまゝ
此寺
(
こゝ
)
で婆にして了はうと、それはあんたの勝手ぢや。
ごりがん
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
彼は雪子を後から抱きすくめたまま、
金輪際
(
こんりんざい
)
はなそうとはしなかった。
四次元漂流
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
……たとひ、
恁
(
かう
)
して、
貴女
(
あなた
)
が
拾
(
ひろ
)
つて
下
(
くだ
)
さるのが、
丁
(
ちやん
)
と
極
(
きま
)
つた
運命
(
うんめい
)
で、
當人
(
たうにん
)
其
(
それ
)
を
知
(
し
)
つて
居
(
ゐ
)
て、
芝居
(
しばゐ
)
をする
氣
(
き
)
で、
唯
(
たゞ
)
遺失
(
おと
)
したと
思
(
おも
)
ふだけの
事
(
こと
)
をして
見
(
み
)
ろ、と
言
(
い
)
はれても、
可厭
(
いや
)
です。
金輪際
(
こんりんざい
)
出來
(
でき
)
ません。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
これ以外は、俺が何を聞いても
金輪際
(
こんりんざい
)
、口を割らなかった。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
金輪際
(
こんりんざい
)
夜闇
(
やあん
)
に
根生
(
ねお
)
ふ姿なり五重の塔は立てりけるかも
白南風
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
お婆さんも
札
(
テップ
)
の買い戻しだけは
金輪際
(
こんりんざい
)
しなかった。
踊る地平線:08 しっぷ・あほうい!
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
特別の御用金に金座から大奥お
賄方
(
まかないがた
)
へ納めた分として一つ一つの小判の隅に、小さな
桝目
(
ますめ
)
の印が打ち出してあるのだから
金輪際
(
こんりんざい
)
間違いっこない。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
次第によっては、
金輪際
(
こんりんざい
)
といえどもこの座を動かないことになるかも知れないとまで思い立った弁信が、僅か三日にして、かく白旗を掲げてしまいました。
大菩薩峠:38 農奴の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「それでよし。——ところで、
昨夜
(
ゆうべ
)
のことを此處で打明けて話して見る氣はないか。——それはいやだといふのか。
金輪際
(
こんりんざい
)
打ち明ける氣はないと言ふつもりだらう」
銭形平次捕物控:151 お銀お玉
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「これッ、今宵は、
金輪際
(
こんりんざい
)
逃がさぬぞ、元と違って、今の玄蕃は、三界流浪の浪人、腕ずくでもそちを連れて他国へ走り、想いを遂げる覚悟で先頃からつけていたのじゃ!」
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
帆の自由である限りは
金輪際
(
こんりんざい
)
船を
顛覆
(
てんぷく
)
させないだけの自信を持った人たちも、帆を奪い取られては途方に暮れないではいられなかった。船足のとまった船ではもう
舵
(
かじ
)
もきかない。
生まれいずる悩み
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
いかにジタバタ
踠
(
もが
)
こうと、もう
金輪際
(
こんりんざい
)
遁がれっこはねえ! かごの鳥っていう奴さ! 捕虜だよ捕虜だよ妾達のね! それともお前さんの属している、水戸家の女忍び衆、鷺組に何か手段があり
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
“金輪際”の意味
《副詞》
〔否定表現を伴って〕絶対に。断じて。徹頭徹尾。
(出典:Wiktionary)
金
常用漢字
小1
部首:⾦
8画
輪
常用漢字
小4
部首:⾞
15画
際
常用漢字
小5
部首:⾩
14画
“金輪”で始まる語句
金輪
金輪寺
金輪奈落
金輪寺混外
金輪砲