トップ
>
達
>
とゞ
ふりがな文庫
“
達
(
とゞ
)” の例文
この人は
自宅
(
うち
)
に居る折は、座敷に
胡座
(
あぐら
)
をかいたまゝ、すぐ手をのばしたら
達
(
とゞ
)
きさうな巻煙草一つ、自分からは手にとらうとしなかつた。
茶話:07 大正十四(一九二五)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
夏痩は、
辰
(
たつ
)
ノ
口
(
くち
)
といふ温泉の、叔母の家で、
従姉
(
いとこ
)
の処へわきから包ものが
達
(
とゞ
)
いた。其上包になつて読売新聞が一枚。
いろ扱ひ
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
恐しく鳴り渡るにつれて、『どうだ、君
一杯
(
ひとつ
)
。』の叫声、手も
達
(
とゞ
)
かぬテーブルの、
彼方
(
かなた
)
此方
(
こなた
)
を
酒杯
(
さかづき
)
の取り遣り。
一月一日
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
ぢゃによって、
戀
(
こひ
)
の
神
(
かみ
)
の
御輦
(
みくるま
)
は
翼輕
(
はねがる
)
の
鳩
(
はと
)
が
牽
(
ひ
)
き、
風
(
かぜ
)
のやうに
速
(
はや
)
いキューピッドにも
双
(
ふた
)
つの
翼
(
はね
)
がある。あれ、もう
太陽
(
たいやう
)
は、
今日
(
けふ
)
の
旅路
(
たびぢ
)
の
峠
(
たうげ
)
までも
達
(
とゞ
)
いてゐる。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
その長く引いた裾根が蘆の湖の水に
達
(
とゞ
)
かうとする稍〻平な處に、岩崎男爵家のコッテージ風の別莊がある。
箱根の山々
(旧字旧仮名)
/
近松秋江
(著)
▼ もっと見る
食
(
た
)
べやう、
若
(
も
)
し
其爲
(
そのた
)
めに
私
(
わたし
)
が、もつと
大
(
おほ
)
きくなれば
鍵
(
かぎ
)
に
手
(
て
)
が
達
(
とゞ
)
くし、
又
(
また
)
若
(
も
)
し
小
(
ちひ
)
さくなれば
戸
(
と
)
の
下
(
した
)
を
匍
(
は
)
はれる、
何方
(
どツち
)
にしろ
私
(
わたし
)
は
其花園
(
そのはなぞの
)
に
出
(
で
)
られる、
何
(
ど
)
うなつても
關
(
かま
)
はない!
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
「
幼児
(
をさなご
)
の
御主
(
おんあるじ
)
よ、われをも
拯
(
たす
)
け
給
(
たま
)
へ。」このかた、かた、いふ
木札
(
きふだ
)
の
音
(
おと
)
が、
浄
(
きよ
)
い
鐘
(
かね
)
の
音
(
ね
)
の
如
(
ごと
)
く、
願
(
ねが
)
はくは、あなたの
御許
(
おんもと
)
までも
達
(
とゞ
)
くやうに。
頑是無
(
ぐわんぜな
)
い
者
(
もの
)
たちの
御主
(
おんあるじ
)
よ、われをも
拯
(
たす
)
け
給
(
たま
)
へ。
癩病やみの話
(新字旧仮名)
/
マルセル・シュウォッブ
(著)
そんなことでは容易に
埒
(
らち
)
が明かないばかりか、一旦落着したお
捌
(
さば
)
きの再吟味を願ふなどと云つては、御奉行樣のお
手許
(
てもと
)
まで
達
(
とゞ
)
かないうちに、下役人の手で握り
潰
(
つぶ
)
されてしまふのは知れてゐる。
権三と助十
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
其夜
(
それ
)
からといふものは
真実
(
ほんと
)
、真実でござりまする上人様、晴れて居る空を見ても
燈光
(
あかり
)
の
達
(
とゞ
)
かぬ
室
(
へや
)
の隅の暗いところを見ても、白木造りの五重の塔がぬつと突立つて私を見下して居りまするは
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
梯子
(
はしご
)
といつたところで、とても
達
(
とゞ
)
きやうがないし、皆はあれあれといふばかりで、じつと火の
行方
(
ゆくへ
)
を見つめてゐました……
茶話:06 大正十一(一九二二)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
ヂュリ あい、さうぢゃ、わたしの
此
(
この
)
手
(
て
)
が
能
(
よ
)
う
達
(
とゞ
)
かぬ
遠
(
とほ
)
い
處
(
ところ
)
に。わたしの
手
(
て
)
一
(
ひと
)
つで
從兄
(
いとこ
)
どのゝ
敵
(
かたき
)
が
討
(
う
)
ちたい。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
それを
取
(
と
)
りに
洋卓
(
テーブル
)
の
所
(
ところ
)
へ
戻
(
もど
)
つて
行
(
い
)
つた
時
(
とき
)
には、もう
何
(
ど
)
うしてもそれに
手
(
て
)
が
達
(
とゞ
)
きませんでした。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
筆持つまゝ驚き振り返る間もなく、廊下の足音と共に、濕つて張紙の弛んだ障子を無理に引明け、机の上のランプの光の僅かに
達
(
とゞ
)
く座敷の片隅に、思ひもかけない、
彼
(
か
)
の
女
(
ぢよ
)
の姿が現れた。
歓楽
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
飛騨
(
ひだ
)
から
信州
(
しんしう
)
へ
越
(
こ
)
える
深山
(
しんざん
)
の
間道
(
かんだう
)
で、
丁度
(
ちやうど
)
立休
(
たちやす
)
らはうといふ
一本
(
いつぽん
)
の
樹立
(
こだち
)
も
無
(
な
)
い、
右
(
みぎ
)
も
左
(
ひだり
)
も
山
(
やま
)
ばかりぢや、
手
(
て
)
を
伸
(
の
)
ばすと
達
(
とゞ
)
きさうな
峯
(
みね
)
があると、
其
(
そ
)
の
峯
(
みね
)
へ
峯
(
みね
)
が
乗
(
の
)
り
巓
(
いたゞき
)
が
被
(
かぶ
)
さつて、
飛
(
と
)
ぶ
鳥
(
とり
)
も
見
(
み
)
えず
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「面倒を見てくれと言つたつて、物の二三丁
後
(
おく
)
れて来るのだつたら、呼べば
達
(
とゞ
)
きもしようが、五里も六里も離れてゐる者を
何
(
ど
)
うしようもないもんぢやないか。」
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
頭
(
あたま
)
へ
其手
(
そのて
)
を
上
(
の
)
せることは
迚
(
とて
)
も
出來
(
でき
)
さうもないので、
愛
(
あい
)
ちやんは
頭
(
あたま
)
を
下
(
さ
)
げて
手
(
て
)
に
達
(
とゞ
)
かせやうとして、
今度
(
こんど
)
は
自分
(
じぶん
)
の
首
(
くび
)
が
蛇
(
へび
)
のやうに
容易
(
ようい
)
に
遠
(
とほ
)
くの
方
(
はう
)
へ
曲
(
まが
)
り
廻
(
まは
)
るのを
見
(
み
)
て
大變
(
たいへん
)
喜
(
よろこ
)
びました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
それ、その
日時計
(
ひどけい
)
の
淫亂
(
すけべい
)
な
手
(
て
)
が
午過
(
ひるすぎ
)
の
標
(
しるし
)
に
達
(
とゞ
)
いてゐるわさ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
ある夏の土用に、
宝生太夫
(
はうしやうだいふ
)
が親子打揃つて、この下屋敷へ暑さ見舞に
上
(
あが
)
つた事があつた。土用の
最中
(
もなか
)
だといふのに、座敷には蒲団が天井に
達
(
とゞ
)
きさうに高く積んであつた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
爪立
(
せだ
)
ちしたら、天国にでも手が
達
(
とゞ
)
きさうな
背高
(
のつぽ
)
で、おまけに酷い痩せつぴいだが、それでも
地面
(
ぢべた
)
の事が気になるかして、色々郷里の事に骨折るので、カンサスでは評判のいゝ男である。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
博士の説によると、不良少年、白痴、巾着切……などいふ
輩
(
てあひ
)
は、大抵酒飲みの子に生れるもので、世間に酒が無かつたら、天国はつい手の
達
(
とゞ
)
きさうなところまで引張り寄せる事が出来るらしい。
飲酒家
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
博士の説によると、不良少年、白痴、巾着切……などいふ
輩
(
てあひ
)
は、大抵酒飲みの子に生れるもので、世間に酒が無かつたら、天国はつい手の
達
(
とゞ
)
きさうなところまで引張り寄せる事が出来るらしい。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
“達”の解説
達(「たっし」または「たつ」)とは、江戸時代に上位の役所・役人から下位の役所・役人、その他管下の者に対して出される指示・命令のこと。御達(おたっし)・達物(たっしもの)・御沙汰(おさた)などの別名がある。
転じて、明治政府初期に行政立法としての令達名として用いられ、陸海軍においてはそれ以後も軍政 (行政)の令達名として用いられている文書の名称である。
(出典:Wikipedia)
達
常用漢字
小4
部首:⾡
12画
“達”を含む語句
先達
汝達
御達
私達
調達
達者
前達
手前達
用達
友達
伊達者
曹達
己達
曹達水
人達
上達部
暢達
俺達
上達
悉達多
...