トップ
>
讐
>
あだ
ふりがな文庫
“
讐
(
あだ
)” の例文
いかん! いかん! かなわぬ願いだっ。逆賊の
胤
(
たね
)
を世にのこしおけば、やがて予に対して祖父の
讐
(
あだ
)
の母の
仇
(
かたき
)
のと、後日のたたりを
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さても
出来
(
でか
)
したり黄金丸、また鷲郎も
天晴
(
あっぱ
)
れなるぞ。その父の
讐
(
あだ
)
を
討
(
うち
)
しといはば、事
私
(
わたくし
)
の意恨にして、深く
褒
(
ほ
)
むるに足らざれど。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
公
(
おおやけ
)
の
讐
(
あだ
)
、私の
敵
(
あだ
)
、どうかしてとっちめてやりたいものだ。だが、どうにも証拠がない。是非とも証拠を握らなければならない。
銅銭会事変
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「もうこれで、下手人は解ったも同様でございます。あとは何のために私に、
讐
(
あだ
)
をするか、それを解きさえすればいいわけで」
銭形平次捕物控:019 永楽銭の謎
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
こちらが、あれほど、
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
に、
思
(
おも
)
ったのに、その
恩
(
おん
)
を
讐
(
あだ
)
で
返
(
かえ
)
すとは、あきれた
人間
(
にんげん
)
だと、
心
(
こころ
)
の
中
(
なか
)
で、
憤
(
いきどお
)
られたのでした。
奥さまと女乞食
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
▼ もっと見る
丁度、去年の
極月
(
ごくげつ
)
十五日に、亡君の
讐
(
あだ
)
を復して、
泉岳寺
(
せんがくじ
)
へ引上げた時、彼
自
(
みずか
)
ら「あらたのし思いははるる身はすつる、うきよの月にかかる雲なし」
或日の大石内蔵助
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
しかしそれも私の胸にある一念から余儀なくああしなければならなくなったのでして……私の夫の
讐
(
あだ
)
を晴らしたいばっかりに……ええ、復讐です。
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
祖父を
辱
(
はずか
)
しむることはできない、また、父の
讐
(
あだ
)
を報じないで捨ておくことも同じくできない。一方には神聖なる墳墓があり、他方には白髪がある。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
前
(
さき
)
の世に恨のあったものが馬の形に宿りまして、生れ変って
讐
(
あだ
)
をこの世に
復
(
かえ
)
したものであろう、というような臆測が群集の口から口へ伝わりました。
藁草履
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
然るに今新に書を著わし、盗賊又は乱暴者あらば之を取押えたる上にて、打つなり斬るなり思う存分にして懲らしめよ。
況
(
いわ
)
んや親の
敵
(
かたき
)
は不倶戴天の
讐
(
あだ
)
なり。
女大学評論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
それを
憤
(
いか
)
りて
喰
(
くっ
)
て懸れば、手に合う者はその場で
捻返
(
ねじかえ
)
し、手に合わぬ者は一
時
(
じ
)
笑ッて済まして
後
(
のち
)
、必ず
讐
(
あだ
)
を
酬
(
むく
)
ゆる……
尾籠
(
びろう
)
ながら、犬の
糞
(
くそ
)
で
横面
(
そっぽう
)
を
打曲
(
はりま
)
げる。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
かつて『曽我物語』を読み、曽我兄弟がその父の
讐
(
あだ
)
を報じたる痛快
淋漓
(
りんり
)
の段に至り、
矍然
(
かくぜん
)
として案を
拍
(
う
)
って曰く「我あに一度は
父讐
(
ふしゅう
)
を報ずるあたわざらんや」
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
その霊が化して雷神となって朝臣に
讐
(
あだ
)
をすると信ぜられていた時分、或る日
清涼殿
(
せいりょうでん
)
に落雷して満廷の
公卿
(
くげ
)
たちが顔色を失った折に、時平は
凜然
(
りんぜん
)
と
太刀
(
たち
)
を引き抜いて大空を
睨
(
にら
)
み
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
抱
(
だき
)
上げ
胡鷺々々
(
うろ/\
)
聲コリヤ白妙
何
(
どう
)
いふ事で此有樣何者の所業ぞや何國に
影
(
かげ
)
を隱すとも此
讐
(
あだ
)
を討ずに置べきやと血眼になりて
怒
(
いか
)
れども歎くに甲斐なき此場の
時宜
(
しぎ
)
實
(
げ
)
に
哀
(
あは
)
れを
止
(
とゞ
)
めける
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「おんしうき。恩と
讐
(
あだ
)
ですか。」と私は、指先で机の上に、その恩といふ字と、讐といふ字を書いて、Nさんに問ひただした。Nさんは卒直な、さつぱりした氣象のおかたであつた。
大恩は語らず
(旧字旧仮名)
/
太宰治
(著)
親の
讐
(
あだ
)
に巡り合ったとて、恐らくこれほどの顔はして見せないだろう。
寄席
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
三世十方
恒河沙数
(
がうがしやすう
)
の諸仏菩薩に妄執煩悩無きものやある、妄執煩悩無きものやある、何ぞ
瞿曇
(
ぐどん
)
が
舌長
(
したなが
)
なる四十余年の
託言
(
かごと
)
繰言
(
くりごと
)
、我尊しの
冗語
(
じようご
)
漫語
(
まんご
)
、我をば
瞞
(
あざむ
)
き
果
(
おほ
)
すに足らんや、恨みは恨み、
讐
(
あだ
)
は讐
二日物語
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
畜生に
讐
(
あだ
)
を
復
(
かへ
)
す価は無いさ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
それがしかも、尊氏
誅伐
(
ちゅうばつ
)
の
宣旨
(
せんじ
)
を南朝から申しうけて、公然と、義父
直義
(
ただよし
)
の
讐
(
あだ
)
とも
称
(
とな
)
えているのである。
小癪
(
こしゃく
)
とも何とも言いようはない。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
旦那様も
唖
(
おし
)
、私も唖、
手附
(
てつき
)
で問えば目で知らせ、身振で話し真似で答えて、御互にすっかり解った時は、もう半分
讐
(
あだ
)
を
復
(
かえ
)
したような気に成りました。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
彼の聴水が
所業
(
しわざ
)
なること、
目前
(
まのあたり
)
見て知りしかば、いかにも無念さやるせなく。
殊
(
こと
)
には
他
(
かれ
)
は黄金丸が、
倶不戴天
(
ぐふたいてん
)
の
讐
(
あだ
)
なれば、意恨はかの事のみにあらず。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
親の
讐
(
あだ
)
、家の
仇
(
かたき
)
、また自分の敵であるあのドーブレクを命にかけても生かしてはおかないと、ごく秘密の裡にあの児と力を協せて事を計っておりました。
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
「恩を
讐
(
あだ
)
で返すにつくいやつめ。
匇々
(
そうそう
)
土の牢へ投げ入れい。」と、大いに
逆鱗
(
げきりん
)
あつたによつて、あはれや「れぷろぼす」はその夜の内に、見るもいぶせい地の底の牢舎へ
きりしとほろ上人伝
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ウェリントンは、
讐
(
あだ
)
を返さんとして立った古典的戦法そのものである。ボナパルトはその光栄の初めにおいて、イタリーにて古典的戦法に
邂逅
(
かいこう
)
し、みごとにそれをうち破った。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
併
(
しか
)
し天下の大盜と言はれたお狩場の四郎は此儘
老朽
(
おいくち
)
る氣は毛頭ない。生きてゐるうちに、恩は恩、
讐
(
あだ
)
は讐で返し、惡事の帳尻を合せて置かなければ
閻魔
(
ゑんま
)
の廳へ行つて申譯が相立たない。
銭形平次捕物控:103 巨盗還る
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
讐
(
あだ
)
なんて、あまり氣持のよいものでは無いのですから、テエマにあまり拘泥せず、子供の頃、誰かに毆られて、くやしかつたとか、そんな事でもお書きになつて下さつたら、いいのです。
大恩は語らず
(旧字旧仮名)
/
太宰治
(著)
討しも同前知れ
難
(
がた
)
き惡人共我手に入しは
公儀
(
こうぎ
)
への
御奉公
(
ごほうこう
)
親の
讐
(
あだ
)
のみならず本夫の敵まで討たるは忠孝貞と
揃
(
そろ
)
ひし
烈婦
(
れつぷ
)
と云べし吉原町
始
(
はじま
)
りしより
以降
(
このかた
)
斯る遊女有べからずと
賞美
(
しやうび
)
ありしかば瀬川は云も
更
(
さら
)
なり抱へ主松葉屋
迄
(
まで
)
も面目を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
某これより諸国を
巡
(
め
)
ぐり、あまねく強き犬と
噬
(
か
)
み合ふて、まづわが牙を鍛へ。
傍
(
かたわ
)
ら仇敵の
挙動
(
ふるまい
)
に心をつけ、
機会
(
おり
)
もあらば名乗りかけて、父の
讐
(
あだ
)
を
復
(
かえ
)
してん。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
呼びはしない。もし御身に、父の
讐
(
あだ
)
たる曹操を討つ気があるなら、義によって、わしも一臂の力を添えたいと思ったからだ。いったい御身の覚悟はどうなのだ
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ここに三浦
兵衛尉義勝
(
ひょうえのじょうよしかつ
)
とありますよ。この人は
従
(
じゅ
)
五位
下
(
げ
)
だ。
元弘
(
げんこう
)
二年
新田義貞
(
にったよしさだ
)
を
輔
(
たす
)
けて、
鎌倉
(
かまくら
)
を攻め、
北条高時
(
ほうじょうたかとき
)
の一族を滅ぼす、先世の
讐
(
あだ
)
を
復
(
かえ
)
すというべしとしてありますよ。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
悲愴
(
ひそう
)
な
謎
(
なぞ
)
たるマブーフ氏の死、殺されたバオレル、「きてくれ!」と叫んでるクールフェーラック、追いつめられてる少年、それを助けあるいはその
讐
(
あだ
)
を報ぜんとしている友人ら
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
彼は直ちに捜索課長から二週間の猶予をもらって、旅装もとかず、その足を以てスパルミエント夫人を訪ね、必ず夫君スパルミエント氏のために
讐
(
あだ
)
を報い心を安んぜしめるであろうと誓った。
探偵小説アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
しかし天下の大盗と言われたお狩場の四郎はこのまま老い朽ちる気は毛頭ない。生きているうちに、恩は恩、
讐
(
あだ
)
は讐で返し、悪事の帳尻を合せておかなければ
閻魔
(
えんま
)
の庁へ行って申し訳が相立たない。
銭形平次捕物控:103 巨盗還る
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
死んだ陶謙は、わが亡父の
讐
(
あだ
)
なることは、玄徳も承知のはずだ。その讐はまだ返されていないではないか。——しかるに玄徳が、
半箭
(
はんせん
)
の功もなき
匹夫
(
ひっぷ
)
の分際を
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
去年の春から、
敵打
(
かたきう
)
ちの厳禁——そうです、敵打ちの厳禁でさ。政府も大きな仕事をやったもんさね。親
兄弟
(
きょうだい
)
の
讐
(
あだ
)
を勝手に
復
(
かえ
)
すようなことは、講釈師の昔話になってしまいました。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
吾々は、故浅野内匠頭が浪人共でござるが、
唯今
(
ただいま
)
、亡君の
讐
(
あだ
)
を討って、吉良殿の屋敷から引き揚げて来たところでござります。恐れ入るが、
暫時
(
ざんじ
)
、休息のため、御寺内を拝借したい。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「曹操は、決して、過去の
讐
(
あだ
)
などを、くよくよ心にとめている人ではありません。そんなことにこだわっているほどなら、何で今日、礼を厚うして、わたくしなどを差しつかわしましょうや」
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
秦
(
しん
)
の世が乱れて項羽のようながさつ者の私議暴論が横行して、天下に定まれる君主もなかった時勢だろ、ゆえに高祖は、
讐
(
あだ
)
ある者でも、降参すれば、手なずけて用うことに腐心したのである。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今日こそは——と期して、味方の馬岱、龐徳よりも先んじて曹操を捜していたのはもちろん馬超で、父の
讐
(
あだ
)
たる彼の首を見ぬうちは退かじと馬を駈け廻していたが、ひとりの部下が、彼に告げて
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
讐
漢検1級
部首:⾔
23画
“讐”を含む語句
復讐
讐敵
仇讐
讐討
敵讐
讐仇
恩讐
讐打
復讐戦
校讐
報讐
復讐心
女讐
怨讐
深讐
深讐綿々
父讐
恋讐
御尊讐
讐家
...