トップ
>
誌
>
しる
ふりがな文庫
“
誌
(
しる
)” の例文
そして、情熱的な読者の赤鉛筆で共鳴の傍線があちこちに
誌
(
しる
)
してある「抽象的観念の実在」——そんな項目の頁を微風に翻してゐた。
村のストア派
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
又ほかに、
短冊形
(
たんざくがた
)
の金革に姓名と名乗を書いて、
後襷
(
うしろだすき
)
に縫いつけていた者があるし、辞世の和歌とか俳句とかを
誌
(
しる
)
している者もある。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
せめて状袋にでも入れて「正岡子規自筆根岸地図」とでも
誌
(
しる
)
しておかないと自分が死んだあとでは、紙屑になってしまうだろうと思う。
子規自筆の根岸地図
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
人間は決して書物に書き
誌
(
しる
)
され、もしくは学者に説明せられることのみによって、祖先の思想感情を相続していたのではなかった。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
昨年の春より今年の春まで
一年
(
ひととせ
)
と
三月
(
みつき
)
の間、われは
貴嬢
(
きみ
)
が
乞
(
こ
)
わるるままにわが友宮本二郎が上を
誌
(
しる
)
せし手紙十二通を送りたり
おとずれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
▼ もっと見る
博士はすでに死を決していて、なにか遺言めいたものがここに
誌
(
しる
)
されているのであろうか。僕の好奇心は、その頂点に達した。
地球を狙う者
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
私のこの椅子に身を託して、私の知り得たところを主に私自身のために書き
誌
(
しる
)
しておこうと思う。私はこれを宣伝の為めに書くのではない。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
あの寒々とした中に、以前からこの予言は
誌
(
しる
)
されていたのであろうか——近く始ろうとする教師の姿をぼんやり考えてみた。
冬日記
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
幾多の古書にも
誌
(
しる
)
されてあるので、その奈良王とは
弓削道鏡
(
ゆげのどうきょう
)
のことであるとの一説、ただに奈良の帝と伝えられている一説
大菩薩峠:08 白根山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そこにおいて長老たちから
芳醇
(
ほうじゅん
)
なる葡萄酒が供せられ、各自
轎
(
かご
)
に乗駕してこの都会の貴族邸へ、賓客として
舁
(
か
)
かれてまいることが
誌
(
しる
)
されているのであります。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
私は遊び始めてから、
暫
(
しば
)
らく周囲の友だちと会はなかつたので、何となく涙ぐましいやうな
懐
(
なつか
)
しさを以て、その端書に
誌
(
しる
)
された彼の伸びやかな字体を
凝視
(
みつ
)
めた。
良友悪友
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
箱の中に一枚の紙があって、その上に次の語が
誌
(
しる
)
してあった。「クラヴァットよりビヤンヴニュ閣下へ。」
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
差上げて置きまする、これに住所も
誌
(
しる
)
してあります——貴方は失礼ながらやはり
鰐淵
(
わにぶち
)
さんの御親戚ででも?
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
数多い坂の中で、地蔵坂、源聖寺坂、愛染坂、口繩坂……と、坂の名を
誌
(
しる
)
すだけでも私の想ひはなつかしさにしびれるが、とりわけなつかしいのは口繩坂である。
木の都
(新字旧仮名)
/
織田作之助
(著)
しかし、いささかの滑稽を感じながら、彼の言葉が気になっていたのはたしかである。私はノートに断片的にそれを
誌
(
しる
)
し、いまだにそのノートを持っているのである。
軍国歌謡集
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
佐野次郎左衛門百人斬の顛末は、かの「洞房語園」には、ほんの数行、
誌
(
しる
)
されてあるに過ぎない。
吉原百人斬り
(新字旧仮名)
/
正岡容
(著)
歴史とは、昔在った事柄で、かつ粘土板に
誌
(
しる
)
されたものである。この二つは同じことではないか。
文字禍
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
無事を祝して
濺
(
そそ
)
ぎし酒のかびなり、岸辺に近き
砂礫
(
されき
)
の間、離別の涙
揮
(
ふる
)
いし跡には、青草いかに生い茂れるよ、行人は皆名残りの柳の根を削りてその希望を
誌
(
しる
)
して往けども
空家
(新字新仮名)
/
宮崎湖処子
(著)
慈善を好む仁者なることを
誌
(
しる
)
した次に、
未
(
いま
)
だ学ばずというと
雖
(
いえど
)
も吾は之を学びたりと
謂
(
い
)
わんとまで長二郎を
賞
(
ほ
)
め、彼は未だ学問をした事は無いというが、其の身持と
心立
(
こゝろだて
)
は
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
後は見舞客のアドレスのメモで、それも見舞客の何十分の一しか
誌
(
しる
)
されていない。そして四月二十四日、大東学園病院から、帝大病院に移ってからは殆どなにも誌されていない。
お蝶夫人
(新字新仮名)
/
三浦環
(著)
家に帰へりて「奥の細道」を
閲
(
けみ
)
するに、蕉翁は左の如く松島に於て
誌
(
しる
)
せり。
松島に於て芭蕉翁を読む
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
時に建暦二年三月晦日頃、僧
蓮胤
(
れんいん
)
が外山の庵で
之
(
これ
)
を書き
誌
(
しる
)
したものである。
現代語訳 方丈記
(新字新仮名)
/
鴨長明
(著)
二百十日
(
にひやくとをか
)
もおなじこと、
日記
(
につき
)
を
誌
(
しる
)
す
方々
(
かた/″\
)
は、
一寸
(
ちよつと
)
日
(
ひ
)
づけを
御覽
(
ごらん
)
を
願
(
ねが
)
ふ、
雨
(
あめ
)
も
晴
(
はれ
)
も、
毎年
(
まいねん
)
そんなに
日
(
ひ
)
をかへないであらうと
思
(
おも
)
ふ。
現
(
げん
)
に
今年
(
ことし
)
、この
四月
(
しぐわつ
)
は、
九日
(
こゝぬか
)
、
十日
(
とをか
)
、
二日
(
ふつか
)
續
(
つゞ
)
けて
大風
(
おほかぜ
)
であつた。
火の用心の事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
本篇
(
ほんぺん
)
は
主
(
おも
)
にこの
注意書
(
ちゆういしよ
)
に
對
(
たい
)
する
解釋
(
かいしやく
)
を
誌
(
しる
)
したものといつてよいと
思
(
おも
)
ふ。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
嘗
(
かつ
)
て彼の「東北日記」の原稿を見るに、その表紙の裏面に、細字を以て『
六国史
(
りっこくし
)
』云々と
乱抹
(
らんまつ
)
せるものあり。これ彼が水戸に来りて、自家の邦典に明かならざるを
愧
(
は
)
じ、発憤以てこれを
誌
(
しる
)
せるなり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
紛々たる人の
噂
(
うわさ
)
は滅多に
宛
(
あて
)
になら
坂
(
ざか
)
や
児手柏
(
このでがしわ
)
の
上露
(
うわつゆ
)
よりももろいものと
旁付
(
かたづけ
)
て置いて、さて正味の
確実
(
たしか
)
なところを
掻摘
(
かいつま
)
んで
誌
(
しる
)
せば、
産
(
うまれ
)
は
東京
(
とうけい
)
で、水道の水臭い士族の
一人
(
かたわれ
)
だと履歴書を見た者の
噺
(
はな
)
し
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
抽斎の家の記録は先ず小さき、
徒
(
あだ
)
なる
喜
(
よろこび
)
を
誌
(
しる
)
さなくてはならなかった。それは三月十九日に、六男
翠暫
(
すいざん
)
が生れたことである。後十一歳にして
夭札
(
ようさつ
)
した子である。この年は人の皆知る地震の年である。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
提出された
題目
(
モチーフ
)
は、単に、次のように
誌
(
しる
)
されているだけであった。
地底獣国
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
重昌出陣に際して書残したものに、次の如く
誌
(
しる
)
されてあった。
島原の乱
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
私は一々自分の注意を
惹
(
ひ
)
いた事柄を日記に
誌
(
しる
)
したのでした。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「ニコラス・ヴェダーさんだって。おやおや、あの人は十八年もまえに死んでしまったよ。教会の墓地に、木の墓標があってな、あの人のことが残らず
誌
(
しる
)
してあったんじゃが、それも今は腐って、なくなってしまったわい」
リップ・ヴァン・ウィンクル:ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
それには飯田とのみ
誌
(
しる
)
してあった。
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
八十一老
白里
(
はくり
)
関寛
(
せきかん
)
誌
(
しる
)
す
関牧塲創業記事
(新字新仮名)
/
関寛
(著)
「これを、勝家の部屋へとどけて参れ。明朝
卯
(
う
)
の
刻
(
こく
)
までに、これに
誌
(
しる
)
してある者ども一同、
評定
(
ひょうじょう
)
の間に集まるようにと申し添えて」
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何某
(
なにがし
)
教授ギリシア哲学史とか、卒業論文「ヴント心理学の研究」とか……様々な科目の表題が、太く叮嚀な文字で
誌
(
しる
)
してあつた。
夏ちかきころ
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
しかしそれと同時についその案内記に
誌
(
しる
)
してない横道に隠れた貴重なものを見のがしてしまう機会ははなはだ多いに相違ない。
案内者
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
奄美大島の方でもワダガナシと呼ばるる海神が、地を
曳
(
ひ
)
くほどの偉大なフグリをぶら下げて出現することが、『南島雑話補遺』に
誌
(
しる
)
されている。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
……彼はそのことを手紙に
誌
(
しる
)
して、その街に
棲
(
す
)
んでいる友人に送った。そうして、そこの街を立去り、遠方へ旅立った。
壊滅の序曲
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
ただ見返しに
誌
(
しる
)
された、このぬしの
墨書
(
すみがき
)
が、なかなかに見事で、しかも女の手、そうして、どうやら床の間の「花の色は」の筆蹟と似通っていることだけです。
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「君には秘密にすべきマッチ箱を売った失敗を
贖
(
あがな
)
うことを命ずる。
但
(
ただ
)
し我等の祖国は君の名をR団員の過去帖に
誌
(
しる
)
して、これまでの忠勇を永く称するであろう、いいか」
流線間諜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「文字ノ精ガ人間ノ眼ヲ
喰
(
く
)
イアラスコト、
猶
(
なお
)
、
蛆虫
(
うじむし
)
ガ
胡桃
(
くるみ
)
ノ固キ
殻
(
から
)
ヲ
穿
(
うが
)
チテ、中ノ実ヲ
巧
(
たくみ
)
ニ喰イツクスガ
如
(
ごと
)
シ」と、ナブ・アヘ・エリバは、新しい粘土の備忘録に
誌
(
しる
)
した。
文字禍
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
すでに
誌
(
しる
)
した物だけでも、五、六巻くらいには上っていたのではなかろうかと思われます。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
元日快晴、二日快晴、三日快晴と
誌
(
しる
)
されたる日記を
涜
(
けが
)
して、この
黄昏
(
たそがれ
)
より
凩
(
こがらし
)
は
戦出
(
そよぎい
)
でぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
記者思うに不幸なる大河の日記に依りて大河の
総
(
すべて
)
を知ること
能
(
あた
)
わず、何となれば日記は
則
(
すなわ
)
ち大河自身が書き、しかしてその日記には彼が馬島に於ける生活を多く
誌
(
しる
)
さざればなり。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
岐阜
(
ぎふ
)
県××町、——
里見稲子
(
さとみいなこ
)
、二十七、と宿帳に控えたが、あえて
誌
(
しる
)
すまでもない、岐阜の病院の里見といえば、
家族雇人
(
やからうから
)
一同神のごとくに崇拝する、かつて当家の
主人
(
あるじ
)
が、難病を治した名医
伊勢之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
グリュランは日に三度組合の牛乳を受け取り、その量を
合札
(
あいふだ
)
に
誌
(
しる
)
します。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
見るからに静かそうな、一戸の寒亭が
戸閉
(
とざ
)
してある。古びた
戸額
(
とがく
)
の文字を仰ぐと、船板に
白緑青
(
びゃくろくしょう
)
、題して「
錦霜軒
(
きんそうけん
)
」と
誌
(
しる
)
してある。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ただ自分が近頃彼の作品を乱読しているうちに特に心付いた若干の点を後日の参考また備忘のために簡単に
誌
(
しる
)
しておきたいと思った次第である。
西鶴と科学
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
その鳥が鶴になっているだけで、やはり稲の種がニライカナイから運ばれたという話が、『南島雑話』には
誌
(
しる
)
されてあると、伊波君は注意しておられる。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
滝何々と
誌
(
しる
)
してあつたさうぢやないか、そのことを僕に話した時の君の顔付! と云つたらなかつたぜ
西瓜喰ふ人
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
誌
常用漢字
小6
部首:⾔
14画
“誌”を含む語句
小雑誌
雑誌
柳橋新誌
地誌略
少年雑誌
日誌
東京人類學會雜誌
雜誌
随筆問答雑誌
緬甸帝国誌
同人雑誌
輿地誌略
常陸国誌
独逸鬼神誌
Z・F・P誌
地誌
動物誌
地震學雜誌
墓誌銘
動物全誌
...